■ 風の奇跡 ■
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月が魔物のように人を惑わす。
その夜は赤く照る月が鬱蒼とした森に差し込んでいた。ふと目が覚めて、寝付かれず、レイヴァンは夜の散歩にと小屋を出て来た。
外へ出て、何故か僅かに胸の高鳴るのを感じた。
月の光がレイヴァンの頭上に降りて来ていた。
パシャリ…。
水音がした。この先に湖があった筈。
レイヴァンは首を傾げながらその音の方角に向けて歩いて行った。
またパシャリと音がする。
誰かいるのだろうか。こんな夜中、こんな森の奥深くに。
レイヴァンはそっとそっと近づき、木陰から覗き込んだ。
月の光がスポットライトの様に湖の一点を照らしていた。
そこに、妖精がいた。
羽根があるわけでもない、耳がピンと尖っているわけでもない、尾があるわけでもない。そこにいたのはひとりの少年、セレムだった。
無邪気なその姿はレイヴァンの心をひどく揺らめかせた。
まだ幼さの宿った顔、華奢で大人になりきっていない身体。
肩の細さも胸の突起。
腰の僅かなくびれ。
しなやかに伸びた足
その両足の付け根の間から顔を覗かせている、レイヴァンの手の平になら握り込んでしまえる程に可愛らしい少年の証し
そして、時折少年の動きに合わせて見え隠れする彼の秘部を柔らかく包んでいる部分
全てがとても美しく見えた。
少年は水と戯れる。
その度に水しぶきが散り、少年の身体を濡らしていく。
白い透き通った肌を流れる透明な水が、少年の肩を、胸を我がもので滑り落ちる。
腹部に散った滴が、少年の下腹部から足の付け根を通って少年自身の先端へ流れ、そこから滴り落ちる。
レイヴァンは知らずに息をのむ。
先日の夜の事が鮮明に思い出された。
自分の腕の中で甘い吐息をはくセレムの姿――。
もう一度、手に入れたいと思った。