■ 花瓶2


「あん…やん…だめぇ…」

 甘い声が室内にこだまする。

 寛也のものをすっぽり銜え込んだそこは、きついくらいに寛也を締め付ける。

「お前のココ、すっげぇ気持ちイイ…」

 寛也の言葉に頬を染めてそっぽを向く愛しい人。

「ばかヒロ…あっ…ああんっ」

 寛也の動きに、可愛くない口調も、あっと言う間に甘い喘ぎに変わる。

「ここか? ここがイイのか?」
「やだあん…ヒロ…」
「ヤなのか…?」

 動きを止めると、切なげな瞳を向けてくる。

「どうした? もっと欲しいなら、ちゃんと言ってみろ」

 意地悪くそう言って、寛也はまだ猛ったままの己の物を抜き出そうとする。と、慌てたように寛也にしがみついてくる手。

「だめ…やめないで…」

 白い頬を朱に染めて、恥ずかしそうに瞳を伏せる。

「だったら、ちゃんと言えよ」

 寛也の言葉に耳まで赤くしながら、ようやく観念したように小さな声が聞こえた。

「もっとして…ヒロが欲しい…」
「いい子だ。だったら、思う存分、俺を感じさせてやるぜ」

 言って寛也は腰に力を入れた。



 その時――。



「何やってるのさ、ヒロ?」

 背後で聞こえた声に、ギョッとして振り返った。そこに、思いっきり不審顔の潤也が立っていた。

 そこで、改めて気づく自らの醜態。

 先日割れてしまった一輪挿しの代わりに、寛也がもっと口の広いものがいいと言って買い替えてきた花瓶。その口に寛也は己の物を差し込んでいた。

 慌てて抜き取ろうとする。が、膨張してしまっている自分の分身は、その中にすっぽり入ったままで、抜こうにも抜けなかった。

「いや、これは…その…つまり…」

 言い訳をしようと、しどろもどろの寛也に、潤也は大きくため息をついてみせる。何をやっていたのか、見当がついたのだろう。

「なるほどね。その花瓶で、杳を想像して興奮してた訳だ」

 真実だけど、真実だけど、そんな恥ずかしいことをやすやすと口に出さないで欲しい。

 そう思った時。

「何か呼んだ?」

 ひょっこり顔を覗かせたのは、この醜態を最も見られたくない人――杳だった。

 いつの間に来ていたのだろうか。今日は学校も休みなのに。潤也が誘ったのだろうか。それならそうと、言ってくれればいいのに。いや、問題はそんなことではなくて――。

「どうしたの? ヒロ、何やって…」

 言いかけて、杳の表情が固まったかと思うと、次には見る見る嫌悪の色を浮かべる。

「あの、これは…」
「ヒロってば、サイテーッ」

 怒鳴り様に、殴られた。

 花瓶の口に入れたままの下半身が千切れるのではないかと思われる程に激しく刺激され、その瞬間、あろうことか達してしまった。

 それを見られて、もう一発、殴られた。

 もう、サイアクだった。



   END







すみません。ヒロのこと、嫌いじゃないんです。
いつか、いつか、良い思いをさせてあげたいと思ってはいるんですが、つい楽しくって…vv


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