「あ…ん…やん…」

 胸の突起に舌を這わせると、杳の身体がビクンと撥ねて、甘い声を上げる。耳に心地よいその声音に、寛也は触れなくても、ビンビンに張り詰めている自身に気づく。

 ――これはまずい。早く事を進めなければ俺の方が先にイッちまう。そんなことにでもなったら、コケンに拘わる。

 などと意味も分からないことを思った時、杳の声。

「ヒロ…もう、オレ…」

 たったこれだけでと少し物足らなく思いながらも、同じようにせかす自分の分身も鑑みてうなずいた。そして、杳の下半身へ手を伸ばそうとして。



 パシッと、手首をつかまれた。

「え?」

 掴んだ杳の顔に目を向けると、妖艶な瞳で見つめていた。

「オレ、上がいい…」



 ――もしかして、お初から騎乗位かーっ!?



 叫び出しそうになるのをぐっと押さえて、それでも口元が緩むのは押さえられなかった。

「いいぜ、じゃあ上に…」

 そう寛也が言い終わらない間に、杳は勢い起き上がり、そのままの勢いで寛也をベッドに押さえ込んだ。

 まるで、押し倒すように。

 また性急なことだと、杳の意外な面を見たような気がした。

 と、悠長に考えていると、寛也は腰が浮くのを感じた。

 持ち上げられてる?

 何の…ために?

 恐る恐る見下ろすとそこに、両足が簡単に押し広げられ、杳の細い腰がその間に滑り込んできた。

「初めはちょっと痛いかも知れないけど、すぐに慣れるから」

 そう言って、ニッコリ笑いながら、寛也を見下ろしてくる杳の奇麗な顔。それと同時に、寛也の後ろの部分に当てられてくる、何か、熱いもの――。

「ちょ、ちょっと待てっ、杳っ」
「今更止められないんだけど?」
「まてっ、まてっ、まてってばーっ!!」




 そして、貫かれた。

「―――――――!!」

 声にならない叫び声を発して、寛也は目を剥いた。





 いや、目を開けた。

「ゆ…夢?」

 チュンッ。

 窓の外で、雀が鳴いていた。見上げるといつもの自分の部屋の天井が見えた。

「た…助かった…」

 夢で良かったのか、どうなのか。額にびっしょりかいた汗を腕で拭う寛也(まだ、バックはヴァージン)だった。




   END

















夢オチですみません。
寛也じゃないんですが、このお話ではなかなか色っぽいシーンが書けずに、ちょっと欲求不満気味なのです。奥手なヒロ兄ですから、番外で憂さ晴らしですよ。


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