■ 学校祭

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 結局、由加は杉浦くんの可愛さにKOされて、ミスコンの出場を辞退した。辞退して正解だったと、会場である体育館に見物に行って思いっきり思った。

 あの、ダントツ可愛い杉浦くんが2位だったなんて、レベル、高すぎる。

 優勝した子が舞台に上がった時なんて、ものすごい歓声と悲鳴だったし。司会の人が名前を呼ぶのすら聞き取れなかったけど。

 まぁ、ウケるわよね。華奢な感じでシャイだし。いや、もう、声も聞こえなかったけど、遠目に見てもその人気の高さがうなずけるくらいに可愛かったし。

 杉浦くんには、女装までして準優勝だったなんて、可哀想だったけどね。

「あーあ。うちもミスコンしないかなぁ」

 ものすごく盛り上がっていたここのコンテストに、羨ましそうに由加が言った。

 そうなの。私達はやっぱり部外者なんだけど、ここの生徒達はものすごく楽しそうだった。別に優勝なんてしなくても、各代表に送られる声援は温かかったし、そんなのっていいなぁって私達みんな思った。

 結局、私達は夕方まで飲んで食べて遊んだんだけど、当初の目的は何も果たせなかった。そのことに気づいたのは、帰りぎわだったと言うのが間抜けなんだけどね。ま、それなりに楽しかったからいいとしよう。

 そんな私達が校門を出ようとした時、そこに見知った人が立っていた。

「あれ、美奈ちゃん…?」

 実行委員の腕章をつけている。きっと保護者や来賓の見送りに出ていたのだろう潤也さんだった。

 そう言えば、小早川さんが、言ってたっけ。生徒会長だって。

「来てくれてたんだ? ありがとう」

 きりりと締まった顔立ちに浮かぶ、さわやかな笑顔。客観的に見ても、トキメキ度MAXだわ。

 案の定。

「きゃっ。美奈、この人、誰?」

 小声で私をつつく由加とさつき。そうでした。あんた達はメンクイでした。

 赤くなっている二人に気づいて、潤也さんは惜し気もなく、にっこりほほ笑んで見せる。

「美奈ちゃんの友達?」
「はいっ。私、三崎由加って言います。美奈とは親友で、私が来ようって誘ったんです」
「私は、私は、神田さつきです。今日の学校祭、楽しかったです」

 あんた達、私を押しのけて自己主張してんじゃないわよ。だけど潤也さんは二人の勢いにも動じた様子も見せず、ほほ笑みをたたえたまま。

「明日は体育祭をやっているから、良かったら見に来て。来客も楽しめるゲームも用意しているからね」
「はい、来ます、来ます、絶対にっ!」
「私もっ!!」

 このメンクイどもめ。

 でもまあ、杳さんにも会ってないし、明日の予定も特にないし、いいかな。

 そんなことを思いながら、笑顔の潤也さんに見送られて、自転車に跨がった。

 秋の早い夕暮れの薄暗くなり始めた道を、私達は自転車をかっ飛ばして家路についた。






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