台北の中正紀念堂站に 盲目のアコーディオン弾きがいた
その人が弾いていたのが 日本の古い曲で、 私の母は感激しながら口ずさみ、 エスカレーターをのぼった
観光しての帰り、 小銭を母に渡すと 相手にはわからないだろうことは置き去りにして 「さっきは日本の古い歌をありがとう、 とっても懐かしくてうれしかった」と 話しかけながら お金を箱に入れていた
歌を口ずさむことも 見知らぬ人に話しかけることも珍しい 母の旅姿
少女時代を過ごした街を 六十年ぶりに訪れた母の 旅の仕上げ