小学六年の時、
女子の雰囲気の悪さをとらえた担任が
命じました。
----コソコソ話をしてはいけません。
もともと、私はコソコソ話なんか
好きじゃないから、
先生に禁じられてホッとした。
正々堂々、
コソコソ話の相手をしないですむから。
以来三十年、
密林にて静かに暮らしてきました。
今、もし
老いた担任がやってきて
「○年○月○日をもって
コソコソ話禁止令を解除します、
これからは自由にコソコソ話をしてよろしい。」
と命じたところで、
かの、女のおしゃべりの国に
私が喜んで帰還する理由などないのだけれど。
先生に禁じられても
見せびらかすようにコソコソと話しつづけ、
女になったあの子たちと
同じ地べたに暮らす気なんてないのだけれど。