機関車ED1011(鉄道資料館)ここから下はポエム

このごろ
観覧車の姿が見えないのは
私が年をとったからだろうか。

このごろ
人々の姿が全く見えないのは
どういうわけか。

人々は
向こうの丘の遊具のことも
古ぼけた私のことも
忘れたのか。

ただ
ばらが香る季節だけは
桜の梢越しに
人々が行き交う姿が見える。

なぜだろう、
ばらをめでる人々の声が聞こえるときだけは
見えてくるのだ、
観覧車がゆっくりと回る姿が。

いつか
そのことに気づいた人々は
きっとここまで上ってくるだろう
再び私の黒い車体をも見上げるだろう。

だから 私は
外側は古ぼけていても
心構えだけはしっかりと保って
小さな駅舎とともに人々を待つ。

ここまではポエム
神奈川県川崎市にあった、向ヶ丘遊園。惜しまれながら
閉園しましたが、バラ苑だけはボランティアの力で
存続しています。
すぐそばの丘の上には、小田急の鉄道資料館 (旧新松田駅舎)がありました。
そこに保存されていた機関車のひとりごとです。