八段錦Q&A

Q.1
どのようなものですか?
A.1
中国語読みで「バ・ドゥアン・ジン」と読みます。中国で古くから民間に伝わる健康法で、8種類の運動から成っています。中国には体を健康にするための「導引術」があり、八段錦はそこから派生しました。
昔は「抜断筋」(バ・ドゥアン・ジン)と表記されていました。
Q.2
いつ頃からあるの?
A.2
「八段錦」と表記するようになってからでも、800年の歴史があります。「八段錦」とは、この運動によって心身共にバランスの取れた健康体となることを、中国の織物の中でもっとも美しい「錦」になぞらえたのです。
Q.3
健康に効果があるの?
A.3
長生きをするための養生法「医療体術」として大きな効果があります。全身の筋肉をゆっくりと伸ばしたり、縮めたりして血液の循環を良くします。その結果、体に気がめぐり、活力を導きます。高血圧、胃腸、心臓、神経系などの病気の予防や治療に効果があります。太極拳と合わせてリハビリにとりいれる病院もでてきました。
Q.4
高齢者にはムリ?
A.4
年齢、性別、体力、運動神経などに関係なく、だれでも自分の体力や体調に合わせて行えます。複雑な動きも無く、独立した運動なので、覚えやすいのが特徴です。第一段錦は椅子に座ったままでも、寝たままでも行えます。体力に応じて組み合わせることができ、一部分だけでも効果があります。
Q.5
太極拳との関係は?
A.5
太極拳も八段錦もそれぞれ独立した運動として発達してきました。楊名時気功太極拳では、主として内面の活力を養い、体が本来持っている力を活性化させるために、動きの簡単な八段錦を太極拳の準備運動としてとりいれ、より大きな効果を得るよう練習プログラムを組んでいます。

Q.6
名前があるのですか?
A.6
八段錦は第一段から第八段まで、それぞれ7文字の名前がつけられています。上4文字が運動方法を説明し、下3文字が運動の効果を表しています。例えば、第一段錦は「双手托天理三焦」ですが、「双手」は両手、「托天」は手を上に伸ばし、手のひらを上向きにすることです。「三焦」は中国医学で胃や腸を整えて丈夫にするということです。練習の中で動きをつけながら一つ一つ自然に覚えることができます。
Q.7
長い呼吸ができるか心配ですが?
A.7
呼吸は手を動かしたりすることで助けられ、より深く長い呼吸へと導かれます。その結果酸素を含んだ良質の血液が体中をめぐります。はじめは呼吸の動作が合わなくて苦しくなることもありますが、無理をする必要は無く、途中で息継ぎをしてかまいません。毎日心を込めて呼吸しているうちに、次第にできるようになります。
Q.8
服装と練習時間・練習場所は?
A.8
八段錦は一つだけでも一部分だけでもでき、効果もあるので、時間・場所を選ばず行うことができます。職場や学校などで、長時間同じ姿勢でデスクワークが続いて胃が圧迫されたり、肩が凝ったりした時に、椅子に座ったままでも、ちょっと廊下に出ても短時間で運動でき、疲れをとることができます。気分転換にも最適です。服装も特に選びません。家庭であれば、キッチンやリビングで、太極拳の部分稽古とあわせて行えますね。毎日生活の中に取り込んで続けてください。

参考資料: ★幸せを呼ぶ「楊名時 八段錦・太極拳」決定版(楊名時著 海竜社刊2002.2 第7刷)
       ★楊名時太極拳実技テキストT「健康太極拳規範教程」(楊名時監修 楊進・橋逸郎著
         ベースボール・マガジン社刊2000.6 第2刷)
       ★新装版「太極拳」(楊名時著 文化出版局刊2001.6 第12刷)
       ★「太極 この道を行く」(楊名時著 海竜社刊2001.5)
       ★「暮らしの風 特集:健康は自分でつくる、太極拳にチャレンジ」(楊慧監修 朝日新聞社          2002.5)
       ★「日経新聞 連載企画 SPORTS健康学:太極拳・八段錦」(日本経済新聞社2002)
       ★「石垣 連載 実践健康術」(楊名時監修 渋谷麻紗 文 2002.8)