Q and A 集

このコーナーでは、乳がんにまつわる疑問点と、自分なりの解答を示しました。あくまで私個人の考えということで、参考にしてくださいね。また、不安や疑問に思うことがありましたら、メールや掲示板でお知らせください。


もくじ

Q1. 乳がんの早期発見のコツとはなんでしょうか?
Q2. 乳がんにかかりやすい人はいるのでしょうか?
Q3. どのような病院にかかるのがいいのでしょうか?
Q4. セカンドオピニオンとはどのようなものでしょう?
Q5. 乳がんかどうか心配で、検査を受けますが、どのような項目があるのでしょう?
Q6. 手術で入院した場合、入院から退院まで、どのようになりますか?
Q7. 退院後に気をつけることはいったい何でしょう?
Q8. 乳がんについて詳しく知りたいのですが、参考になる本はありますか?
Q9. 今話題の「ハーセプチン」とはどのような薬でしょうか?



Q1. 乳がんの早期発見のコツとはなんでしょうか?

 乳がんは体の表面にできる癌ですから、唯一自分での発見が可能です。早期に見つかれば見つかるほど、完全に治る率が高いのですから、注意したいものです。
 自治体などで行っている検診を利用するのもよいですが、視触診だけですし、若い人は対象となっていません。月に一度の自己検診は誰にでもできますので、実行してみるとよいです。この方法は、いろいろな所で詳しく描かれていますが、月に一度くらい行います。生理のある方は、月経後4〜5日くらいがよいそうです。
まず、入浴時に石鹸をつけて乳房をていねいに触ってしこりがないかを調べます。脇の下が腫れていないかどうかも調べます。次に鏡の前に立って、腕を上下させたりして、左右で大きさが変わっていないか、乳房にひきつれやへこみがないかどうかを調べます。仰向けに寝て、調べるほうの肩の下にタオルを入れ、ていねいにしこりがないかどうかを調べます。最後に乳頭をつまんで、分泌物がないかを調べます。しこりというのは、ポケットに消しゴムを入れて、上から触ったような感じと表現できるようです。
 しこりを発見しても、9割は癌ではなく、乳線症や線維腺腫などの良性のものですから過剰な心配はしなくても大丈夫です(月経前後で大きさが変化したり、痛みがあるようなら乳腺症であることが多いようです)。でも、素人判断は危険ですので、ぜひ専門医に診てもらうことをおすすめします。

<ふるぼうの場合>
 ふるぼうの家族には乳がんにかかった人は誰もいませんので、まさか癌だとは思いもしませんでした。入浴中に気がつきました。本文にも書きましたが、手術を受ける1年くらい前からそこにしこりはあったのです。が、それは筋肉だろうと思い込んで、全く意識すらしませんでした。そして、旅行から帰ってきた後、よくよく左右の乳房を触って、それが右にはあるけど左にはどこを探してもないことに気がつき、初めてこれは普通のものではないと思いました。病院の先生方もこの年齢(当時27歳)なので、乳がんであるはずはないと診察前には言っていたのですが、エコーの画像を見た瞬間顔色が変わりました。1年前からあったしこりが大きさもほとんど変えず、リンパに転移もなかったのは、不幸中の幸いであったとしか思えません。

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Q2. 乳がんにかかりやすい人はいるのでしょうか?

 よく、肺癌はたばこがよくない、などといいますが乳がんの場合、そのようなものはあまり聞きません。リスクの上で、もっとも重要なのが女性ホルモンである「エストロゲン」の過剰です。女性は、一生を通してさまざまなホルモン環境におかれます。よくいわれる「リスクの高い人」は、
1.年齢が40歳以上
2.初産年齢が30歳以上、あるいは子供を産んでいない
3.閉経年齢が55歳以上
4.肥満である
5.良性の乳腺の病気になったことがある
6.乳がんの既往暦がある
7.家族や親戚の中に乳がんになった人がいる

などがあります。「エストロゲン」の過剰は自分で気をつけてどうにかできるというものではなく、女性であることが一番のリスクであるといえそうです。母親や姉妹が乳がんになった人は、普通の人より、かかるリスクが高くなるといえますので、20代の頃から自己検診をすることをおすすめします。

<ふるぼうの場合>
 乳がんは欧米のグラマーな女性がかかるものであり、日本人のましてやAカップのバストしかない私には、生涯縁はないだろうと思っていたらとんでもないことでした。上に書いた(いろいろな所で見聞きした)「リスクの高い人」にも当てはまらないし(20代では)・・・これは宝くじの一等でも当ててしまったようなものでしょう。妹には、きちんと検診をするようにと言っています。

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Q3. どのような病院にかかるのがいいのでしょうか?

 これもいろいろなところで紹介されていますが、「外科」です。その地域の総合的病院、大学病院などがよいでしょう。できれば、「乳腺外科」「乳腺外来」を設けているところがベストなので、行こうと思ったらあらかじめ曜日などを調べておくと良いと思います。ただ、乳腺専門の医師は、まだまだ少ないので、外来は混むことが多いそうです。
後でご紹介する「胸のしこりが気になる人が読む本」には専門の医師がいる推薦病院一覧があります。
診てもらうところが、乳房ですから「男性の医師に診てもらうのはちょっと・・・」ということもありますよね。特にまだ若い先生が出てきたらハズカシイですよね。(大学病院などですと、ボスの先生の後ろに医局の若い先生たちが控えていたり、なんてこともあります。そりゃ、先生だって一人前になるには勉強が必要なのでどうしてもそうなるのです)乳がんはホルモンと関係するので、生理の話なんかもしなくちゃいけないですし。「外科」ですので、どうしても女医さんは少ないです。婦人科ほどにはいらっしゃいません。女医さんがいらっしゃるかどうか、聞いてみるといいですね。また、「女医さんガイド」などの本も出ていますので、調べてみるとよいでしょう。

<ふるぼうの場合>
 ふるぼうのかかっている松山の病院の外科は、総合病院の外科ですが、乳腺だけを専門とする医師はいないと思います。でも、乳腺疾患でかかる患者さんも多いです。主治医は胸部外科の先生ですが、症例数も多くこなしていらっしゃるようですので乳腺専門の先生とほとんど変わらないと思います。また、女医さんはいません。検査、手術の時は「一刻も早くなんとかしてくれ〜!」という心境でしたので、ハズカシイとか言ってる場合じゃありませんでした。今は、診てもらうのは別に平気なのですが(だってもう一つしかないし・・・)、生理周期がどうこうなどというのはちょっとイヤです。できれば避けて通りたいですが、そういうわけにはいかないですね。
 そして、ふるぼうは主治医の他に義父にも診察してもらっています。義父に胸をはだけた姿をさらす!(義父はあくまでも医師として診ているのですが、でも冷静に考えてみるとすごい光景だ〜)ことに慣れてしまったのだからどんな先生が出てきても平気だと思います。でもやっぱり女医さんだったらよかったのにと思うこともあります。

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Q4. セカンドオピニオンとはどのようなものでしょう?

 セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師に治療方針などについて意見を聞いてみるものですが、日本ではまだまだ普及していないと思います。乳がんの治療法は、病院や医師の考え方によって同じステージでもかなり違うところがあります。同じ病状でも、病院によって温存手術をするか全摘手術をするか違ったりします。また、術後の補助療法についてもいろいろな選択肢があります。乳房を取られるかもしれない、というまさに女性にとっては一生ものの問題なのですから、自分で納得した治療法を選びたいものですよね。
もし主治医の方針に納得できないものを感じたとき、では別の医師ならどのように考えるか聞いてみるのがセカンドオピニオンです。話せばカルテなどの資料や検査結果などをセカンドオピニオン用に貸し出してくれる病院もあるそうです(そういう病院は進歩的でしょう)。最初にこの医師に当ってしまったから、絶対に変えられないし方針に従わないと・・・ということはありません。病気と戦うのは自分自身で、医師は参謀なのです。それに乳がんは手術後のフォローアップも長いですから、主治医との関係も長くなりますので、なんでも疑問に思ったことは素直に話せて、信頼できる関係を築きたいものです。ぜひ、信頼のできる先生を見つけられるよう病院を歩いてみてくださいね。名軍師を味方につけましょう。

ただ、ガンではないと言われることを期待してやみくもに歩き回ったり、ちょっとしたことで何人ものお医者さんを渡り歩く「ドクターショッピング」は、治療方針もなかなか定まりませんのでおすすめできないと言われています。それに、最初に当った医師を信頼でき、納得した治療法が選べれば、セカンドオピニオンの必要性はないと思います。

<ふるぼうの場合>
 セカンドオピニオンをお勧めするようなことを書きましたが、私自身は全くやっていません。体験記を読んでいただいた方にはお分かりいただけると思いますが、義父のお知り合いの先生にお願いして診ていただいているからです。そのことで不満を感じたことはありません(距離がいかんせん遠いので、自分が不安になることはありますが)。治療法も選択肢がある中から全摘手術を選んだので、十分納得しています。何か気付いたことや心配なことは、義父と主治医の先生とでフォローしてくださいます。参謀は、バッチリだと思います。ちなみに、先日先生にメールを出したところ、なんと17分でお返事が来ました。この記録は今までで最短で、当分破られることはないでしょう。

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Q5. 乳がんかどうか心配で、検査を受けますが、どのような項目があるのでしょう?

 乳がんを疑われる患者さんの検査は、大体次のようなものです。

1.問診(症状、結婚、出産、授乳の有無、初潮、閉経、月経周期、しこりの状態が月経前後で変化するか、などです)

2.視触診(上半身裸になり、座ってあるいは寝て行います。脇の下のリンパ節が腫れていないか調べます。乳頭部からの分泌物がないか、皮膚の変化がないか調べます。熟練した医師なら、この段階で大体は分ります。でもこの触診が結構恥ずかしいですよね〜)

3.超音波検査(エコーです。ジェル状のものを塗られるのですが、全然痛くないです)

4.X線撮影(マンモグラフィーといいます。乳房をできるだけつぶして撮影するので痛みを感じることが多いようです。病変部に良く見られる石灰化を観察できます)

画像解析から癌でないと判断できれば、ここまでの検査で終わります。ただ、良性であっても、しこりが消えないうちは、定期的な検査をすることになります。
癌が疑われる場合、確定診断となります。

5.細胞診(しこりに針を刺して、中の細胞を吸引し、病理検査に出します。この段階でほぼ鑑別がつきます。この検査は、ものすごく痛い人もいれば、それほどでもない人もいます。)

それでもはっきりしない場合、
6.しこりの摘出生検を行うこともあるそうです。

乳頭部から分泌物のある患者さんの場合、分泌物を取って細胞診を行ったり、乳管内視鏡検査をすることがあります。この他に、病院によってはMRIやCTスキャンなどを使った検査をすることもあります。

<ふるぼうの場合>
松山の病院で行った確定診断ですが、なにしろ頭はパニック状態、その日のうちにがん告知と、「わが人生最悪の日 2000年8月11日」だったので、頭真っ白、記憶はぶっとびまくり、今となっては正確なことは思い出せません。体験記に書いた出来事以外に、欠落した記憶がかなりあります・・・

1.あらかじめ紹介状に、症状を書きましたので、問診はありませんでした。触診があったのか、記憶が混乱して思い出せません。でも脇リンパ節については診たはずだと思うのですが・・・

2.次はエコーでした。ここで主治医と初対面だったのですが、エコー画像で癌だと確信したようです。私は一応理科系なので、先生の言っている単語から癌だとバレバレになってしまい、凍りつきました。恐ろしや〜。

3.マンモグラフィー 乳房をつぶして撮影するので痛いと聞いていましたが、全然痛くありませんでした。これにバッチリ石灰化が写っていました。マンモグラフィーが痛いのは、どちらかといえばふくよかな胸の人の方でしょう。

4.細胞診 これはもう、痛いのなんのって、という痛さでした!目から星が出てきちゃうような痛みで、「ごめんなさい許してくださいもう悪いことはしません!」と叫びそうでした。(この検査は、麻酔はしません。これから受ける人に、脅かしてしまうようで、ごめんなさい。これはあくまで私のケースです)。看護婦さんが「私の腕につかまって」と言ってくれたので、必死でしがみついていました。

この細胞診で、癌細胞が出てきたので、確定診断がつきました。
しかし・・・
私の場合、右に癌が発見されましたが、左には線維腺腫が見つかりました。細胞診は左右どちらもやったのです。右は上記のように、癌だと確定したのですが(充実腺管癌というタイプも判明)、検査の翌日病院に行くと、先生がこうのたまいました。
「左の方ですが、よう針をあてんかったんですわ」(これは伊予弁です)
な、な、なんだってえ!あんなに痛い思いをしたのはいったいなんだったの?!
そして、手術の際に、左のしこりも摘出したのです。この線維腺腫はとても小さかったので、針を刺すのはなるほど難しいものだったようです。エコー画像で、左のしこりが良性だろうということは言われていたのですが、右が癌なので、念のために摘出生検することになったのでした。だから残った左乳房にも、2cmほどの傷跡が残っています。

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Q6. 手術で入院した場合、入院から退院まで、どのようになりますか?

 残念ながら乳がんと診断されてしまった場合、治療を開始しなければならないので、入院となります(ごく早期のものでは外来で手術を済ませることも出来ます)。早期のもので、手術して退院ですと、およそ2週間程度になります。

診断がついてからの流れ

1.病状について詳しい説明を受け、手術法を決めます。

この時は、本人だけではなく、必ずご家族の方も一緒に立ち会ってください。治療法については、主治医から十分説明を受けて決めましょう。この段階で「本当にこれでよいのか?」と思ったら、セカンドオピニオンを受けてみるチャンスです。
乳がんの場合、進行は概してゆっくりですので、数週間でしたら手術を先延ばしにしても、それで一気に病状が進むことはありません。がんセンターなどですと、手術で何ヶ月も待たされたり、なんてこともあるそうです。
手術を受けることが決まったら、所定の用紙にサインをします。(本人と家族)

このころ入院となりますが、入院してから手術までは、身体的には元気なことが多いので、手術直前まで入院しないこともありますし、あらかじめ入院して検査を受けたりすることもあります。入院してもすぐ外泊許可がおりることもあります。

2.手術までにおこなう検査があります。

脇のリンパ節に転移していないかの検査(エコー、エックス線など)
遠隔転移していないかの検査(転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓です)
肝エコー検査
骨シンチグラフィー(放射性同位体の物質、もちろん医療用なので安全とされています、を注射して数時間後に全身の骨の写真を撮ります。この時癌細胞があると、先ほど注射した物質が集積するので、ハイスポットになって写るそうです。)
胸部エックス線(これは手術の際麻酔管を通すのにも必要です)

他に、CTを取ったり(造影剤を注入して)、MRIをとることもあります。
腫瘍部分がどの程度広がっているか、事前にある程度正確に知る必要があります。その結果により、手術法が決まってきます。

手術に必要な検査
 血液検査(腫瘍マーカーも測定)、尿検査、心電図、呼吸機能、体重測定など
麻酔について
 手術の際に使う麻酔について、麻酔科医より説明があります。
 乳がんの手術は基本的には全身麻酔です。また、硬膜外麻酔といって、背中からチューブを通して、術後数日間持続的に痛み止めを注入することもあります。

3.手術までは、カゼなどひかないように、万全の体調でのぞみましょう!

当日の段取りは主治医や看護婦さんから説明があると思います。手術の際は、胃腸をカラッポにしなくてはいけないので、食事はストップされます(私は午後の手術でしたので、当日朝より絶食でした)。また、浣腸もさせられます(ギリギリまでトイレに飛び込むのはがまんして!)それから、閉経前の方は、手術当日に生理日では都合悪いこともありますので、主治医に申し出るようにしてください(ああ、なぜ女医さんはいないのか?)。
前日には、安定剤を処方されることもあります。ぐっすり眠りましょう!

4.いよいよ手術

始めに、麻酔を効きやすくするベースとなる注射をします。その後手術室に行ってから、心電図計や点滴など、いろいろなチューブをつけられ、最後に「これから全身麻酔を始めます、ワン、ツー、スリー(ホンマかいな?)」といって後は眠ってしまいます。
私の記憶は、前段階の注射でトリップしてしまい、全く何も覚えていません。
手術が終わると、家族の方へ主治医から説明があります。その時、取ったものを見せてもらえるでしょう。残念ながら、本人が見ることはないのですが。
(私は一応生物学を専攻して、研究所勤めをしていますので、自分の癌細胞を見てみたかったなと今でも思うのですが。ねえ、病院に残っていませんか?)

5.手術後(当日)

 目が覚めると、病室に戻っているかICU(集中治療室)にいるでしょう。酸素マスク、点滴、尿管がついていると思います。それから、傷口から出てくる滲出液をためる管と箱(ドレーン)が付いています。
 たぶん当日は目が覚めても痛いことでしょう。私もとにかく痛くてたまらなかった、あの辛さは手術を受けてみなくては分らないでしょう。でも、無事に目が覚めて安心したことだけは覚えています。
痛い時は、遠慮なく主治医や看護婦さんに申し出てください。今では痛み止めも各種ありますので、対処してくださいます。水を飲んでよいかは、先生に聞いてください。食事は次の日からになります。
手術後に発熱することは多いと思います。熱さましを使うかは、先生に判断していただきます。術後数日間は熱が出ることがありますが、心配はないそうです。
麻酔が残って気持ち悪くなることもあります。目が覚めたら、腹式呼吸をしてみましょう。酸素を出し入れすることにより、麻酔が残りにくくなります(By そのえさん)また、全身麻酔の管を喉に通すので、多少傷が付くことがあります。痰を出しやすくするため、吸入をします。辛い時は、がまんせずに看護婦さんか先生を呼びましょう。

6.手術後(翌日以降)

 翌日から、早速リハビリが始まります。最初は、ベットの上に座って食事ができること、トイレまで歩けることです。先生や看護婦さんの説明を聞いてやってみましょう。
食事は、翌日からほぼ普段どおりのものが出てきます。消化器系の病気ではないので、問題はないのです。無理せずに食べましょう。食べたいものから食べるようにするとよいです(プリンやゼリー、ヨーグルトなんかが食べやすいです)。
 日に日に回復していくのが実感できるかと思います。だんだん痛みが収まってくると、洗面など身の回りのこともできるようになってきます。病室の外へ出て、太陽の光を浴びたり、外の空気を吸いましょう。リハビリメニューもサボらずにやりましょう。術側の腕や肩を動かすのは、痛くて怖いですが、何もしないでいると本当に関節が固まって動かなくなってしまいます。腕を壁に沿って上げる「壁のぼり」運動などがよいです。お風呂やシャワーについては、先生の許可がおりてからにしてください。私はこのころ、テレビ漫画三昧、おやつ食べ放題という生活をしていました。せっせと友人に手紙を書いていました。
 術後数日で、ドレーンを抜きます。それでも滲出液がたまってしまう場合、注射器で抜くこともあるそうです。抜糸は、術後10日くらいからできるでしょう。痛くはないです。

7.退院

 リハビリを続けているうちに、病理診断ができ、手術後の治療方針(補助療法)が決まってきます。これについては、様々なので、よく主治医の説明を聞いてください。
 エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PgR)が陽性かどうか、また脇のリンパ節への転移が陽性か陰性かは、本人が把握しておいた方が良い情報ですので、主治医に聞いてみてください。
 引き続いて化学療法(抗がん剤の点滴)を行う必要がある場合は、入院が続くこともありますが、ホルモン療法、放射線照射を行う場合には、一度退院となります。
このころには、腕も前方に90度くらいは上がるようになり、洋服も脱ぎ着出来るようになっていると思います。家に帰ったら、まずはゆっくり休みましょうね。

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Q7. 退院後に気をつけることはいったい何でしょう?

 退院してから気をつけることですが、いくつかあると思います。

術側のリハビリについて

 病院でやっていたリハビリ体操、続けるようにしましょう。壁のぼりや、タオルを高いところから吊るして、それを左右の腕で引っ張る、など家にあるもので工夫しながら、毎日ちょっとずつでも、腕が上に上がるように、伸びるようにしましょう。もちろん、日常生活、家事をこなすことは最大のリハビリです。

通院

 退院後の通院は、各自異なってきます。放射線照射がある場合、連続して通うことになります。大体術後3年までは、1ヶ月に1度の診察、3ヶ月に1度の検査となります。でも、心配なことがあったら、次の予約日まで待たず受診してください。また、疑問に思う点はメモしておいて、受診の際主治医に聞いておきましょう。放射線や薬によりつらい副作用が出たときも、きちんと話して対処してもらいましょう。

手術後のこと

 術後しばらくして、傷がだいぶ落ち着いてきたら、触るのは怖いですがきちんと洗うようにしましょう。柔らかいタオルなどに石鹸をつけて洗います。市販されている補正具を使えるのは、このころからです。
 脇のリンパ節を切除(郭清)した場合、リンパ液の流れが悪くなって、腕がむくむことがあります。術側の腕は感染に注意し、怪我をした時はよく消毒します。採血や、血圧測定などは原則的にはしない方がよいです。
 腕のむくみの他、手術跡に変わったことが出現したり、しこりが現れたりした時にはすぐに受診してください。また、反対側の乳房の月1回の自己検診も、きちんと行うようにしましょう(一度癌を経験してしまうと、触るのが怖くてたまらないのですが)。

仕事復帰

 これも仕事内容によって違ってくるので、主治医と相談してください。始めは無理しないように徐々に復帰していきましょう。私は、術後はタモキシフェンの服用のみでしたので、術後2ヶ月で復帰しました。(主治医はもっと早く復帰してよいと言ったのですが、一応癌なので、会社側が、ゆっくり休んでくださいと復帰させてくれませんでした。)家にいるころより、今まで通りの仕事を持った方が、気もまぎれて精神的にも良かったと思います。
 同じグループで仕事をしているメンバーには、ケアのためにも病気のことを話して理解してもらいました。まだ若いので、患者より周りが動揺してしまいました。今では、大丈夫だと分って、今まで通りになっています。でも、松山に行く前には、一応万が一に備えて、何が起こっても後を託せる状態にしておきます。体験記に登場する先輩のMさんに「遺言状」という名の書き置きを残していくのです。冗談めいているけれど、結構毎回本気なのですよ。

 自分で経験して思うのは、手術は終わってしまったけど、自分の中で終わることは決してないということです。見かけはピンピンしているように見えるので、周りはだんだん忘れてしまいます。でも、自分の中では、常に「再発しないか、転移はしないのか」ということが不安となって居座っていて、毎日その不安におしつぶされそうになりながら、かろうじて毎日を過ごしている、という状態なのです。それでも周囲には、心配をかけまいと、そして自分自身がネガティブに考えていたら、治る病気も治らないと、一生懸命明るく生きようとしているのです。いつの日か、病気と自然に共存していけるようになるまで、それは続くことでしょう。
また、乳房を失ってしまったことに対して、精神的に立ち直れないショックを受けてしまうこともあります(私自身はそれほどでもなかったのですが)。将来本当に子供は産めるのだろうか、それを引き換えに自分が死ぬのではないかと思うこともあります。
精神的にバランスを崩してしまい、出社できなくなってしまったこともあります。
患者さんは、これから長いこと病気と付き合っていかなくてはいけないのだから、多かれ少なかれ、さまざまな不安を抱え、揺れる心を抱いています。周りにいる方には、そのことを理解していただき、支えていっていただければ、と思います。

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Q8. 乳がんについて詳しく知りたいのですが、参考になる本はありますか?

 この本は、もう既にいろいろなサイトで紹介されていると思いますが、乳がん患者さんの絶大な支持を集めています。私もバイブルのように読みこなした1冊です。

胸のしこりが気になる人が読む本
東京医科大学第3外科講師 日馬幹弘 著 扶桑社出版

 著者は乳腺外科の専門医です。実際に主治医になってもらった方もいるでしょうね。患者さんが病気と戦う上で知っておいた方がよい内容が、もれなく書かれています。もちろん難しすぎるということはありません。巻末には、推薦病院一覧もありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Q9. 今話題の「ハーセプチン」とはどのような薬でしょうか?

 「ハーセプチン」は、最近日本でも認可されて、使えるようになった新しい乳がんの治療薬です。今までの抗がん剤とは、作用機序が異なっています。
 これまでの抗がん剤(化学療法剤)は、癌細胞にさまざまな段階で作用して、癌細胞の増殖を抑えます。しかし、どうしても正常細胞にもダメージを与えてしまうので、吐き気や脱毛、白血球の減少などの副作用が起こります。

 HER2/neu(c-erb B2)という遺伝子があります。この遺伝子が作り出すタンパク質が、HER2というのです。HER2/neu(c-erb B2)は発癌に関わる癌遺伝子で、普段は眠っていて働くことはありませんが、活性化すると、HER2というタンパク質をたくさん作り出します。
 乳がんの患者さんの癌組織を調べると、全体の20%くらいでこのHER2タンパクが過剰に発現しています。この場合は、予後があまりよくないといわれています。このHER2タンパクのはたらきを抑えて、癌細胞の増殖を抑えるはたらきを「ハーセプチン」はしているのです。「ハーセプチン」は従来の抗がん剤のような、化学薬品ではなく、「抗体(モノクローナル抗体)」です。モノクローナル抗体とは、他の抗原には反応せず、1つの標的にしか作用しません。だから、ハーセプチンは、HER2タンパクにのみ作用して、HER2をもった癌細胞を殺します。そのため、副作用が比較的少なく(脱毛などがない)、効果が期待できそうだといわれています。アメリカでは、1998年に認可されていました。

 ハーセプチンが使えるようになったことにより、薬の選択の幅が増え、再発した場合にも効果が期待できるようになりました。ただ、この薬が使えるのは、「HER2タンパクが過剰発現している場合」に限られるのです。実際に過剰発現しているのは20%くらいなので、残りの方には使用しても効果はあまり期待できません。また、他の抗がん剤との相乗効果で副作用が見られることがあります。認可されたばかりの新薬なので、費用もかかります。ですから、ハーセプチンを使う前には、まずHER2タンパクが発現しているかどうか検査する必要があります。

 「ハーセプチン」のほかにも、この春新しいホルモン療法剤「アリミデックス」が認可されました(閉経後の人対象)。遺伝子治療についても、現在研究がすすめられています。抗がん剤の副作用を軽減する薬も増えてきました。医学と薬学の発達により、さらに治療法は開発されていくことでしょう。将来に期待したいですね。私も製薬会社に勤めていますので、ちょっとでも貢献できたらいいな、と思っているのです(大それた希望かもしれないけれど)。

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