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術後療法と妊娠時期
私の場合は、乳がんの手術が2000年8月で、出産が2004年11月ですから、手術から出産までは4年3ヶ月、妊娠発覚まで3年7ヶ月経っています。
去年から今年にかけて、私と同じくらいの時期(2000年から2001年)に手術を受けた方で何人か出産されています。みんな手術当時の病状もさまざまですし、術後の治療法もちがいます。治療後の妊娠については、病状や術後療法の内容(無治療か、ホルモン療法か、化学療法か?)ということはあまり大きく影響しないのではないか?と感じています。
治療後に妊娠を考えるタイミングですが、あくまで私がこれまで感じてきたことをまとめると次のようになると思います。
- 手術で確実に腫瘍が切除できている
- 経過観察で良好な結果(画像診断で疑わしい所見がない、腫瘍マーカーの持続的な増加傾向がみられないなど)
- 術前、術後の治療に使われた薬剤(あるいは放射線照射)中止してからある程度時間が経っている
手術後、無治療で経過観察のみの場合でも、ホルモン療法か化学療法を行った場合でも、治療をやめてある程度期間をおいてから妊娠することになると思います。これは、今まで薬などによってがん細胞の増殖が抑えられてきたのが、薬を止めたことによって再び増殖することがないかどうか確認するためと、薬が卵巣内への卵子や胎児に影響するのを防ぐために時間をおくためだと考えられます。乳がんの治療に用いる薬は、ほとんどが「妊婦および妊娠の可能性がある婦人には使えない」薬ですから、ある程度の期間をおいて薬が体内から抜けるのを待つ必要があると思われます。
では、薬を止めてからどの程度の期間を置けばいいのか、ということについては実は明確ではなく、医師によりまちまちのような気がします。薬が実際に胎児に与える影響について、人間を使った臨床試験などできませんので、ここは医師の主観が大きく関わってくると思います。私は術後に抗エストロゲン剤のタモキシフェン(ノルバデックス)を服用していましたが、服用中止から妊娠までの期間は「1回の生理を見れば構わない」という医師から「服薬中止後1年は空けた方がよい」という医師までさまざまでした。他の薬剤についても、いろいろ意見が分かれるところだと思いますが、主治医の意見をよく聞いて判断するしかないのかもしれません。おおよそ数ヶ月〜1年というところではないかと思います。
治療を終えた後に妊娠したいと希望される場合には、投薬中止後の期間を主治医が把握するためにも、主治医に妊娠希望の旨を伝えて相談されるのがよいのではないでしょうか。
術後の補助療法として化学療法(抗がん剤治療)を行った場合、術後1年から1年半程度で終わると思われます。その後ホルモン療法を行わない場合は初回治療は完結、以降は経過観察のみとなって、その後に出産したケースがあります。
ホルモン療法を行った場合ですが、最近ではタモキシフェンの服用期間は5年が標準であり(私が手術を受けた2000年当時は2年が標準とされていました)化学療法の場合より期間が長くなると思われます。「再発を防ぐ」という目的のためには最後まで治療を行うのが一番ですが、ホルモン療法の場合長期化することもあり、妊娠可能な年齢との兼ね合いを考えることが出てきます。これまでに講演会などで聞いた話では、標準5年とされる治療期間を経過を見ながら打ち切って出産したケースが紹介されていました。
私の場合もタモキシフェンの服用を5年間待たずに打ち切りました。妊娠希望もありましたが、タモキシフェンの長期服用による子宮体癌の発生を恐れたということもありました。しかし、ただ妊娠希望というだけで辞められるものではないので、主治医との相談の上、手術時の病理のデータに戻って、これまでの経過観察も踏まえ、5年間服用を続けないことが再発リスクをそれほど上げるものではない、と判断して打ち切ることになりました。
服薬を打ち切った後は経過観察のみを続けて、乳腺の超音波、肝臓、肺、骨の検査、腫瘍マーカー値の検査結果などから再発の兆候がないことを確かめた上で妊娠に踏み切ったことになります。乳がんは長期にわたって経過観察が必要で、術後5年以上経ってからの再発も見られることがありますので、絶対に安全という保証はありません(主治医もそのことは言っていました)。しかし、病理の結果や本人の希望を天秤にかけた上で妊娠が再発率を上げるものでないと予測されれば可能となるものと思われます。(病歴がない人が妊娠しても、その後に何らかの病気にかからないとは言い切れないというのと同じではないでしょうか?)
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