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会場  株式会社谷口建設

― 会場の設計者からひとこと ―

25か26歳の頃・・・もう20年近く前のことになります。
銀座の画廊で大竹山さんという方の個展がある
との案内状を知人から貰いました。
銀座という場所柄にも、また、画廊という雰囲気にも相応しくない
オートバイ用のブーツをはいて、ヘルメットを片手に
『やっぱり、場違いだった・・・かなぁ』
と心の中でつぶやきながら、ギシギシ音のする階段を上っていきました。

こじんまりした画廊の中には、男の人が一人。
絵を見ながらも
『あの人がこの絵を描いた人なのか、
それとも、画廊の人なのか・・・』
といろいろ考えていました。

なにせ、初めて行った画廊であり、個展なのですから
そんなものです。

絵を見終わったときに、その男の人が近づいてきました。
『あっちゃーっ。どうしよー。まさか、買ってくれなんて言わないよなー』

「どうでしたか ? 僕の絵 ?」

『やっぱり、この絵を描いた人なんだ・・・』
『なんか、気のきいたことでもいわなくっちゃ・・・』
「このビー玉ってすごく美しい"円"ですが、やっぱり筆で描くんですか ?」
『ま・まずい、んな当たり前のこと聞いてどーするって !』

「えぇ、少し離れて見直しながらネ !」
「コーラでも飲みながらお話ししましょうか ?」

・・・と、最初は自分でもさえないなぁと思う
一言から始まったおつき合いでした。

そのときからこのような絵を掛けることができる
建物を設計したいと思っていました
クラシックをベースにモダンを溶け込ませたような・・・
その願いがかなって、今回自分の設計した建物で
大竹山氏の個展が実現できることは
とても嬉しいことです。

珠洲は田舎だからなぁ・・・
お客さん少ないだろうなぁ・・・
と話していたのですが
「まず来てもらって、絵と建物を観てもらえばそれでいいんじゃない ?」
という大竹山夫妻からの言葉がありました。

お客さんがいないと寂しいので
お友達でも誘って是非来てもらえたらと思います。
期間中は大竹山氏も僕もずっといますから !

この個展のために、社屋の2階を会場としてこころよく提供してくださった
谷口永一郎氏をはじめとする、谷口建設の皆さんにも
お礼を申し上げたいと思います。

-architect office- Strayt Sheep / 長村寛行


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