他流の茶事 


他流のお茶事に招いて頂く事があります。
御茶が「好き」な者同士で、流派に拘らない一会を持つ事が出来たら
素晴らしい茶事となりますね


2015年11月28日

江戸千家の茶道を学ばれている茶友に
新居での茶事にお招き頂きました。

この方はいつもおもてなしの心が一杯の茶事をなさる方なんです。

この時期ならではの炭点前が楽しかったです。
練香の代わりに生の菊の葉3枚、
予想以上の良い香りが立ちました。
その後、清めの塩や、火打石が登場しました。
珍しく楽しく拝見しました。

花のお好きな方で、前回は花寄せ、今回も花所望がありました。
正客と次客(詰)2人で入れる花所望も江戸千家流。

懐石や濃茶は小間でしましたが、
わざわざ8畳にもう1席設えをして下さっていました。
8畳を使用しての 亭主と客2名、計3名での3人花月も
初体験で珍しく、勉強になりました。

通常の茶事の準備でさえ、大変な労力なのですが、
2ヵ所ご用意くださったお心に頭が下がります。

当日の連客さんは偶然でしたが、旧知の方で、
懐かしく、楽しく時を過ごしました。
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2015年11月3日

開炉の茶事にお招き頂きました。
今回お招き下さったのは表千家を学ばれている男性です。

御茶室はマンションでありながら躙り口を備えた本格的なもので、
長年茶道を学ばれている男性茶人の拘りの空間でした。
使用の道具類はいかにも男性的で堂々としていて、侘びていましたけど都会的。
選ばれる目の確かさ、御道具がお洒落でした。
また、木地の炉縁も炉壇も新しく清潔で、開炉にぴったりのお席でした。

正客を仰せつかりましたが、当方未熟ゆえ、不足が多々あった事と思います。
茶事は亭主七分の楽しみと言いますから、猶予頂いて、
ゆったりと異空間を楽しみました。

またお招き頂きたいと願う、そんな大人の茶事でした。

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2014年6月28日

今回、茶事にお招きくださったのは表千家の茶道を学ばれている男性です。
名古屋の水郷地帯にお住まいという事でした。
初めてお伺いするお宅はどんな環境かしらといつもワクワクします。

ご自宅は新幹線の名古屋駅からさほど離れていないのに、長閑な田園地帯でした。
外腰掛の向うには大河がゆったりと流れていて、川とご自宅の間には田圃。
梅雨時とはいえ、優しい湿り気を含んだ空気感が溢れる環境でした。

新築された立派な茶室や、まだ新しい露地は
これからどのように年月を重ねて行く事でしょう。
ご亭主は優しい話しぶり、驕らない人柄で
立派な道具類を由来などのお話を交えて披露して下さいました。

懐石は仕出し屋さんをお使いでしたが、
初物や尾張の食材を贅沢に使用していて、とても美味しく頂きました。
お酒や抹茶も地元産を使用されていましたが、美味しく、馳走して頂きました。

私は自宅に招いて下さる茶人が好きです。
今回の御亭主も、この環境で少年になり、青年になり、
家族を育てて晩年を迎え、柔和なお顔で茶事を楽しまれている
という事が良く分かりました。

わずか二刻の茶事ですが、
招いて下さった方の人生そのものが見えてくるように感じます。
今回も、忘れられない一会になりました。

2012年5月13日

インターネットのお陰で日本各地に茶友が出来ました。
今回の茶事は山口県での正午茶事です。
昨年の約束でしたが、震災の影響でいったん中止に。
やっと念願叶って、お伺いする事が出来ました。


約束の駅に、ご主人様が笑顔で御出迎え下さいました。
不案内な土地なので、ありがたい事です。
ご自宅着。待合はリビングでした。
古民具と手作りのパッチワーク作品がとても良く調和しています。
「こんな家に住みたい」と思うようなセンスの良さです。

露地はご主人様丹精のお庭です。
ガーデニングをしますので、私も植物の状態が良く分かるのですが、
どの植物もイキイキしていました。
亭主である奥さまの拘りか、蹲には水禽屈まで。
そしてこれがまた良い音を奏でるのです。




本席の道具も然り。
長年に亘って妥協なく熱心に集められた茶道具の数々。
どれをとっても立派でしたが、道具の一つ一つが
「茶道ってこのようにするものよ」と私に語りかけてくれました。
御立派な道具を使用しながらも偉ぶらない、これって本当の御茶の姿ですよね。

御亭主は表千家の方ですが、
懐石は地元の裏千家の茶友が引き受けて下さったそうです。
交友の広さもこちらの御亭主の魅力です。
他流の茶事の面白さはやはり思考過程の違いでしょうか。
二刻を、大変楽しみました。
この茶事は私にとって生涯の宝になりました。

2010年5月4日

この黄金週間は嬉しい御招きが重なりました。
今回お招き下さった御亭主は武家茶を学ばれている男性です。
都内有数の高級住宅地にある
静かな佇まいの御自宅にお伺いしました。

普段御家族が食事をしているテーブルで
主客一緒に懐石弁当を頂きました。
こういうお食事も良いですね。

そしてお茶室はリビングからフラットに続いていました。
囲わない小間の茶室はひろびろとしてとても良い感じ。
方盆点、という始めて拝見するお点前で美味しい濃茶を頂きました。
他流の点前はいつも新鮮に感じますが、
千家からより離れた武家茶なので
所作の一つ一つが違っていて目が離せなかったです。



拘って集められた上品でセンスの良い茶道具類、
リビングに飾られた海外から持ち帰られた思い入れの品、
どれも素晴らしく充実の1日でした。

2010年5月2日

以前お招きした返礼という事で
席中8名という小寄せの茶会にお招き頂きました。
公共の施設を全館借りきっての贅沢な茶会でした。

立礼席の寄付きで主菓子を頂いて後、
残月亭写しの広間で濃茶、
こちらの施設はすべての部屋が池に面していて
湖面を渡る風が爽やかです。

濃茶の後、別室で懐石を頂いていると隣室から楽器の音が。
御亭主が静かに襖をあけるとドレスを着た美しい女性が二人
フルートとファゴットの演奏をして下さいました。
聞きなれた 曲を楽しく鑑賞したのち、
本席に戻って薄茶、花寄せ数という進行でした。



な〜んて贅沢なご趣向なんでしょう
千家の茶道を学ばれている方ですが
このご亭主のおもてなしの心にはいつも感嘆してしまいます。
黄金週間のとても贅沢な1日を過ごしました。

2008年11月26日

兵庫県まで夕去りの茶事に伺いました。
略式でのお茶事というご案内でした。
初めての場所で闇も迫り、少し不安を覚えましたが
ご亭主が駅までお迎え下さいました。

外腰掛で迎え付けを頂いて席入りの後、
灯火の許でイタリアン懐石。
どのお料理もとても美味しく頂戴いたしました。
後座は流し点でお茶を頂きました。
手造りお菓子と紅茶の後段付き(^^)
そのままそちらの御宅に泊めて頂きました。

朝は和風懐石。
やはりとても美味しい懐石でした。
その後、高原のような素敵な庭を眺めながら
美しい点前で薄茶を頂きました。

大日本学会で茶道を学ばれたご亭主が創りだす
やさしい時間がとても心地よく感じました。
お話し上手な方で、気配りも隅々まで行届いていました。

御自身ではあれこれ流とおっしゃっていましたが、
真の心で草のお茶をなさる御方でした。
ご縁に感謝!






2008年11月23日

インターネットのお蔭で
流儀や地域をこえてお茶のご縁を頂きます。

今回お招き下さった方は
鎮信流を学ばれている御方で
茶号御披露の茶事でした。
席入りしますと、残月亭写しの茶室の書院に
茶号のお許し状が飾られていました。

センスが抜群のご亭主は
社会の第1線でご活躍されている方で、
お持ち出しのお道具もとてもご立派でした。

裏千家、表千家、藪内流、石州流、 大日本茶道学会、各流派の
お客さまは懐石の仕様もそれぞれで
とても楽しいお茶事でした。

正客さんは裏千家の大先輩で
優しく上品で、話し上手な方で
席中はやさしい雰囲気に満ちました。

会場は新宿柿傳。
さすが柿傳、とても美味しいし懐石でした。
これをご縁のお茶事がどうぞ続きますように。
感謝の1会でした。



2008年9月5日


軽井沢の別荘でのお茶事にお招き頂きました。
江戸千家の茶道を学ばれている方です。

この夏はとても忙しかったので。
少し遅目の夏休みにしたいと思い
軽井沢に前泊することにしました。


前日、会場近くを散策しました。
沢山の野の花が咲き乱れていて
花野に迷い込んだようでした。
この様な処でなさるお茶事の
床の花はどの一輪を選ぶんでしょう?

当日、朝靄の晴れた頃、
湧水のほとりの蹲を使って
席入りしました。



床には「水急不月流」
清らかな水上の月はご亭主の御姿でしょうか。
美しいお月様でした。

初座は初炭で始まりました。
他流の炭点前を拝見出来るのは嬉しい事ですね。
その後、席を移して、素敵な別荘の素敵な洋間で、懐石を頂戴しました。
庭の大木がつくり出す木漏れ日や
大きな窓からの風は避暑地の爽やかさです。
手作りの懐石はどれもとても美味しく頂きました。
軽井沢の食材を使用されたそうです。

庭の東屋で主菓子を頂戴してから、広い露地を通って後入。
花所望、香席の後、美味しい濃茶、
薄茶を頂戴し、花寄せをしました。
ご亭主もきっと、茶花に魅せられた御方に違いありませんネ。

避暑地での贅沢な大人の休日を堪能しました。





2004年3月28日

華甲の茶事にお招き頂きました。
ご亭主は西国の方ですが、参加者の便を考慮して頂き、会場は大阪です。
そこはオフィス街にある素敵な茶事空間でした。

ご亭主は表千家を学ばれている方です。
他流のお茶事は目新しく、学ぶことが多くて楽しいのですが、
今回は、主客のお人柄と醸し出す雰囲気も加味され、
ゆったりと安心した時間を過ごさせて頂きました。
共にベテランの主客の掌でたゆたうた心地の二刻でした。

還暦のお祝いにふさわしく、また、ご亭主にもふさわしく
お道具類がとても立派で、堂々としていました。
選ばれる御目が素晴らしいのでしょうね。
また、きっと、普段からそのようなお道具に囲まれてお過ごしなのでしょう。

ゆったりと、堂々と、たおやかに、お茶が出来るって素晴らしい事ですね。
還暦を迎える頃のわが姿を、帰路の新幹線で思い巡らしました。
往復1000キロの日帰り強行茶事でしたが、
心地良い疲れを得ました。



2001年12月2日

茶事にお招きしたお客様が、正午の茶事に呼んでくださいました。
武者小路千家を学ばれている方です。

立派な御門を入るとそこは本当に別世界でした(^^)
清々しく打ち水された踏み石を待合いに進みます。
待合いのお道具の数々、すべからく所を得た風情で、本席への期待が高まります。
外腰掛けには青々とした棕櫚箒、色ついた楓、足元の苔
どこを切り取ってもまるで一幅の絵のようです。

本席の掛物は内親王さま誕生の翌日ということで「万々歳」
ご亭主の茶道の将来を象徴しているように思えました。

また、懐石のお道具類の立派な事!
そこに盛られた手作りの懐石、本当に美味しく頂きました。

後座では床中央にどっしりとした花入れ!
三千家ゆかりの作(作者は想像してくださいね)でした。
同じ時代の主茶碗(作者がまた、@@)とは!

至福の巡り合わせに感無量の時を過ごしました。



2000年4月15日

春爛漫の頃、毛筆で書かれた正午の茶事の案内状を頂戴しました。
ご縁の茶杓を披露して頂いて
春の一日を表千家不白流のお茶事を楽しみました。

他流のお茶事は発見が多く、かえって楽しく過ごしました。
初めて拝見する炭手前は、当然ながら裏千家とは炭の組み方から違い
玄々斎が考案された、炭を組んでお客様をお迎えするという、自流の心にも思いが至ります。
表千家不白流の茶杓飾りを拝見しつつも、心は裏千家と同じと頷きつつ
薄茶の所作にまで、目が釘付けになって仕舞いました。



2000年1月8日

表千家の茶友の御自宅での初釜に呼んで頂きました。
前日の夜、この辺では珍しく雪が降り、露地が雪化粧した中での席入りです。
雪を跨いで席入りしたのは初めての経験でした。

見慣れた裏千家の正月飾りとは違った、表千家流の床の設えを新鮮に感じます。
ご亭主はまだお若い方ながら、おもてなしの心を深くお持ちの方でした。

初炭の所作も、濃茶、薄茶の所作も当然ながら違いますが
厚いおもてなしを頂戴いたしました。

正客様は裏千家を学ばれている若奥様で
亭主、正客共に明るく清々しくて
新世紀到来を告げるにふさわしいお席でした。


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