沢田聖子のそよ風の街角 コンサートレポート

バレンタインコンサート
 with イルカ&山田パンダ(PANDA//SON)&chiemi&ハイカラ
01/02/12(月)




 東京厚生年金会館。僕の聖子さんライブ体験ではこれが一番大きなホールある。キャパは1階席が1100あまり、2階席で800強。あわせて約2000である。
 会場が東京であるので、当然僕は泊まりで出かけることになるのだが、宿泊も厚生年金ホテルにとった。チェックインをしようとフロントに立つと、カウンターに今日のライブの「招待券」が置いてある。
 きけば、東京厚生年金会館40周年イベントとしても位置付けられていて会場にもチケットの割り当てがあるのだそうだ。「招待券」と思われたのは実はハガキの裏面で、色々な人を招待した残りなのだった。ここで行われるライブは宿泊者ならいつでも誰でもチケットがタダでもらえる、というわけではなさそうである。
 「ご覧になられますか?」
 「はい・・・、でも、チケット買ってきてますから・・・」
 こう言うと、フロントのおじさんは恐縮してくれた。

 開場時間を過ぎてから1Fに降りると、まだ入場が始まっておらず、広いロビーから外へ向かって長蛇の列。バナナホールなどでは「近所迷惑になるから」と外に並ぶのを禁止しており、ホール前のわずかなスペースに通勤列車並の混雑で待たされるのだが、ここでは会場入口から2列縦隊で並び、そのままロビーの外へ行列が延びるのが普通らしい。指定席なので並ぶのに意味はなく、外に出ても寒いだけなので、ロビーでウロウロしていると、「ここは通路になりますので・・・」と、端によるように注意された。これくらい大きなホールになると、外に人がはみ出していても近所の人は文句を言わないのだろうか?

 20分以上遅れて入場開始。いや、その列の長いこと、長いこと。いつまでたっても最後尾がロビーの中に入ってこない。あの手この手で動員がかかっているらしいのだが、それにしても自分が応援するアーティストにこれだけの人が集まると嬉しい。
 もっともこの程度が限度だろうけどね。万単位の人が集まるコンサートはその人の多さだけでうんざりするから・・・
 


1.きっといつか (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:ギター)
2.夢を忘れない (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:ギター)
3.愛をいそがずに (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:ハンドマイクで)
4.Respect (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:グランドピアノ)


 ライブで聴く度に少しずつ好きになっていく「きっといつか」。シンプルな編成でリズム隊をパーカッションが受け持つ。この音色がなんとも鮮やかで心を打つ。
 いつも明るくニコニコしている聖子さんだが、今日の笑顔はまた飛びっきりで、機嫌がいいというか、テンションが高そう。そうだった。大阪でのライブに近鉄小劇場を使っていた頃は、この笑顔にいつもついひきこまれてしまい、気がついたら自分も頬がいたくなるほどに笑い、口ずさみ、手拍子をしていたことを思い出す。最近は聖子さんが身近になりすぎて、またライブレポートを書かなくちゃという意識もあって、少しそういう気持ちから離れていたような気がする。いや、なによりも大きなホールというのがいいのだと気がついた。やはり雰囲気に圧倒される。
 東京厚生年金会館は13年ぶりという聖子さんは、バレンタインにちなんで愛の歌をと「夢を忘れない」「愛をいそがずに」を披露。
 そして、「へ、バレンタインなんて、ふん・・・と思ってる方へ」と、別れの歌を歌った。

 「若い衆にも、大きなホールを体験させてあげたい」と、事務所の後輩二組にステージを譲る。


==chiemiのステージ==

5.空色の風船、そよ風に乗って (ギター、キーボード、パーカッション、emiko:ギター、横山知枝:ギター)

==ハイカラのステージ==

6.坂道 (ギター、キーボード、パーカッション、トシ:ギター、マサ:ギター&ハーモニカ)
7.かあさん (ピアノ)


 イルカオフィスから聖子さんがデビューしたときも、こうしてイルカさんのステージで歌わせてもらっていた聖子さん。それが今や「後進の育成」に当たるのだから月日が流れるのは早く、そして僕のファン暦も長い。
 chiemiは、シンガーソングライターのemikoと、元やかまつウインクの横山知枝のユニット。知枝ちゃんは舞台女優としても活躍している。emikoのとろけるような笑顔がかわいらしく、知枝ちゃんは美人系。SMC(ショウコミュージックカンパニー)は綺麗どころが揃っている。
 僕は何年か前に聖子さんのファンクラブイベント「リーフリゾートツアー」ではじめてemikoの歌を聴いた。その声は僕を高校時代にタイムスリップさせた。文化祭のときにいつも1人でギターの弾き語りをしていた女の子を思い出させたのだ。クラスメイトだったけれど名前は忘れた。針金ボイスとひそかに名付けたその声質は決して心地よいものではなかったけれど、他では決して聴くことのできない個性で、じんじん響いてきた。そして、それはいつしか心地よさに変わっていく。
 emikoはその高校時代の同級生の声質に似ていたのだが、・・・・随分丸くこなれた声になってきたものだ。
 スローテンポで始まった「空色の風船、そよ風に乗って」は、すぐにアップテンポになり、綺麗なコーラス、純粋な詞が会場内に響く。けれども、残念なことにchiemiの2本のギターの必然性が感じられなかった。普段はこれに坪ヤンのギターがメロディーを刻むだけらしいので、彼女達のコードストロークがこの歌の音楽の流れを作っているのだろうけれど、今日はキーボードにパーカッションも入っているので、そう感じたのかもしれない。

 もうひとつ残念なのは、ちまたの多くの歌手がそうであるように、「予習」をしておかないと歌詞がわからないこと。演奏にヴォイスが負けている。あと一歩だ。どこかメルヘンの世界を思わせる彼女達の世界観は、派手な大ヒットにつながらなくても多数の固定ファンを獲得するだろう。

 続いてハイカラのステージ。表記が「HAIKARA」だったり「はいから」だったりして、どれが正式名称かはわからない。広島出身で路上ライブで人気を集め、上京。今日も彼らの登場と共にハイカラファンが黄色い声援を上げていた。インディーズアルバムが一枚あるきりだが、既に固定ファンがいる。そういう彼女達が「沢田聖子コンサート」の席の一角を占めるのだから感慨深い。
 ハイカラは2曲。一曲目は聖子さんのサポート隊の演奏に、トシのギター&マサのギター+ハーモニカの賑やかな編成。超アップテンポで僕が普段親しんではいない種類の音楽だが、気持ちはわかる。ただ、やはり歌詞が全て聴き取れない。2曲目はピアノ演奏だけをバックに二人は楽器を持たずに歌う。本来はトシがピアノの弾き語りをするらしい。控え目だがしっかりと楽曲をひきたてるピアノは決して派手ではなく、ようやくこれでボーカルとのバランスがとれた、というところだろうか。
 新人としての個性は感じるし、既にいるプロ連中の誰とも異なった世界観を表現しつつあるけれど、「新人」として目をつけられる人なら誰でもこの程度のものはもっているはずなので、やはりこれからである。技術と演出を磨くこと、技術と演出に走らないこと、やりたいことをやること、この3つが彼らの課題であるように思った。



 若手二組が出番を終えて聖子さんが登場。
 ハイカラファンに「帰らないでね」と声をかけ、「いよいよ、山田パンダさんの登場でえ〜〜〜〜〜・・・・」
 高らかにマイクを持って叫ぶが、袖からスタッフの1人が登場して聖子さんになにやら伝えようとする。だが、聖子さんは異変を察知するも自分の叫び声でそのスタッフが何を言いにきたのかわからない様子。
 スタッフの人は明らかにオロオロとしており、叫びつづけている聖子さんに真意が伝わらないと思ったのか、ピアノの人に何かを告げようとしたりする。
 いったい何が起こっているのか、この時点で客はわからない。
 「え? パンダさん、トイレ? え? え?」と、聖子さん。
 やがて段取りを間違っていることにようやく気がついた。
 「あ、このあと、わたしのステージだ・・・」
 そこへパンダさんが登場。
 「びっくりした。オシッコが引っ込んだよ。また、後で出るからさ。いまからやろうか? あとでいいだろ?」
 聖子さんはパンダさんに謝り倒した後、「あれだけリハーサルやったのに」「なんか、早いなと思ったのよね」「さあ、気を取り直して」と、ピアノの前に座った。
 ・・・・・ピアノの前に座ったような記憶があるので、そう書いたが、メモを見ると次の曲は聖子ちゃんはギターで、それまでキーボードの前に座っていた人がピアノ、と記してある。あれれ?
 とりあえずメモを信用することにするけれど、間違っていたら指摘メールくださいね。


8.一緒に暮らそー! (ギター、ピアノ、パーカッション、聖子:ギター、坪ヤンコーラス)
9.二人の明日 (ギター、ピアノ、パーカッション、聖子:タンバリン、坪ヤン&まりちゃんコーラス)
10.親愛なる人へ (ギター、ピアノ、パーカッション、聖子:ギター、坪ヤンコーラス)
11.まっすぐに愛 (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:グランドピアノ)


 「一緒に暮らそー!」は、彼女から彼に結婚しようよって言う曲。ただ、それだけではなくて、子供が出来ても、おじいちゃん・おばあちゃんになっても仲良く一緒に暮らそうという曲だ。核家族化がどうこう言われたのは今も昔。それどころか、家族崩壊や子供への虐待がニュースから流れない日がないほど、荒廃している現在。この曲をきくとほっとする。こういう家族の姿が普通で、そして憧れであると、誰もが望んでいるはずなのだが。多くの人に聞いてもらいたい名曲である。
 「二人の明日」は「一緒に暮らそー!」のカップリングで、やはり愛の歌。
 松下電工の「改築・増築」のビデオのために作られた「一緒に暮らそー!」は、テーマソングとしてビデオに納められていて、いっときファンがこのビデオを求めて右往左往したが、手に入れたところでフルコーラス聴くことは出来ない。ライブで初披露したときにあまりにも評判が良かったので、急遽CD化が決定した聖子さんらしい愛の歌である。
 「親愛なる人へ」は、故村下孝蔵さんを偲んで作られた曲。バンドバージョンは今回はじめての披露である。ギターの名手である村下さんに敬意を表して聖子さんにしては珍しくギターで作曲した楽曲なのだけど、残念ながら聖子さんのギターだけでは物足りなかった。今回は坪ヤンが加わっているので、僕的にはそれなりに完成品として聴けた様な気がしている。
 ここでようやくメンバー紹介。今回はサポートメンバーとのお喋りが少ない。イルカさんがあまりそういうことをしない人なので、バランスをとっているのかもしれない。
 ギターはおなじみの坪井寛氏。坪ヤンである。最近では「ピアノ弾き語りライブ」でも坪ヤンのギターとコーラスのサポートが入ることが多く、コンビネーションはばっちりで、会話も楽しく、ひとつのユニットのようにさえ感じる。chiemiのサポートにも欠かせないギタリスト。
 キーボード&ピアノは舟山氏。ステージでは初登場とのこと。ファーストネームは聞き逃した。漢字も自信がない。
 パーカッションはまりちゃん。・・・としか紹介してくれなかったけれど、多分もと米米クラブの宮沢まりちゃんだろう。僕は彼女のパーカッションが大好きで、実は再登場を待ち望んでいたのだ。もう少しコーラスに積極的に参加して欲しかったと思うけれど、それでも満足である。まりちゃんのパーカスは細かいところへの心配りが素晴らしく、その細部はいちいち書かないけれど、とにかく良い。


==山田パンダ登場==

12.約束 (ギター、キーボード、パーカッション、聖子:アコーディオン&コーラス、パンダ:ボーカル)

 「パンダさんといっしょにやるときは、いつもはかぐや姫の曲をやったりしますけれど、今日はわたしの歌を歌っていただきます」と、聖子さんが発言したときは、耳を疑った。
 格上アーティストとするときはいつも気を使っている聖子さん。その姿勢には好感を持つけれど、同時に、「いっしょにやってるんだから、ステージ上では同格でしょ? そこまで先輩を立てなくても・・・」と思うことがしばしばあった。
 だが、今回はいわゆるジョイントコンサートじゃない。会場の提示も「沢田聖子」としか書かれていなかったし、チケットもアーティスト名の並列ではなくて、あくまでイルカさんとパンダさんはゲスト扱い。つまり今回のライブはあくまでも「沢田聖子コンサート」なのである。聖子さんを観たくて聴きたくてやってきている僕としては嬉しい。
 しかも、あの大ベテランの山田パンダに自分の楽曲を歌わせるのだから、沢田聖子作・演出によるライブだといって過言でないだろう。
 ところで、パンダさんの「約束」は、さすがに渋い。味がある。曲の中に登場する主人公とかけはなれた年齢のパンダさんが歌うからなおさらだ。作品世界を訥々と歌い上げるってな感じだった。所々つっかかっていたけれどまあご愛嬌。ハモを工夫してセルフハモで普段はレコーディングしている聖子さんだけれど、メインボーカルをパンダさんに預けて、自分で工夫したハモを自分で担当できてそれなりだったに違いない。
 「約束」をいっしょにやった後、聖子さんはステージから降りた。


==PANDA//SONのステージ==

13.まちなみ(?) (ギター、ギター、ベース)
14.月の裏側 (ギター、ギター、ベース)
15.途中 (ピアノ、ギター、ベース)
16.黄色い船 (ギター、ギター、ベース)
17.踊り子 (ギター、ギター、ベース)
18.僕の胸でおやすみ (ギター、ギター、ベース)

 PANDA//SONは、山田パンダさんを中心に息子さんも加えた3人ユニット。本格始動はこれからということで、どういうスタイルでやっていくのかはわからないけれど、今回のステージでは「かぐや姫」の楽曲と「オリジナル」の混成のようにも思われる。
 オリジナルは若い二人がボーカルを、かぐや姫の曲はパンダさんがボーカルをそれぞれ担当すると見て良いのではないか?
 従来のフォークソングの良さ、聴きやすさを残しながら、新しい何かが加わった感じがする。
 このライブではてっきり僕は、パンダさんはギターの弾き語りをやるものと思っていたので、PANDA//SONとしてベースを弾く姿が観られるとは思ってもいなかった。これは儲けものだった。
 ところでパンダさんのベースが新しくなった。エレキウッドベースとでも言うのだろうか。背の高さはウッドベースと同等なのだが、ほっそりと痩せている。何かを調節するつまみもついているし、音はマイクで拾うのではなく、シールドでアンプに繋ぐ。だが、音的にはウッドベースと区別がつかなかったなあ。(たいした耳じゃないし)


==イルカ登場==

19.シオン (聖子:ピアノ&ボーカル、イルカ:ギター&コーラス)

 イルカさんの登場で、ようやく聖子さんらしい少し長めのMC。
 「リハーサルやりますから来て下さいっていうんで行ったら、いきなり『シオンをいっしょにやりましょう』って、そんな話聞いてなかったわよ。本当に我侭なんだから」と、イルカさん。
 「出来ればハモやってくださいっていうのよ。本当に我侭なのよ」
 ご存知の通り、沢田聖子はイルカオフィスのオーディションを受けてイルカオフィスからデビューしている。「シオン」は聖子ちゃんがイルカさんからもらった楽曲で、ほとんどのステージで欠かさず歌いつづけてきた。
 いわばイルカさんは聖子さんの師匠なのだけれど、その師匠からもらった曲を、師匠にハモをしてもらって歌うというのは、本人にとってもファンにとってもこの上もなく贅沢な演出なのである。
 しかも、演奏もふたりっきり。聖子さんがピアノを、イルカさんがギターを。
 昨年の1月、聖子ちゃんの独立後、はじめて二人のジョイントコンサートが開催されたけれど、リハーサルも当日だけのようだったし、感動はしたけれど音楽的に欲求不満だったのはこの部分だった。それが見事に解消され、それどころか昇華したのは素晴らしい。
 (もっとも、今回のステージはこの程度で満足しては行けないことを後で知る)


==イルカのステージ==

20.なごり雪 (ピアノ、ギター、ギター)
21.ココロネ (ピアノ、ギター、ギター)
22.いつか冷たい雨が (キーボード、ギター、ギター)
23.祈り (ピアノ、ギター イルカ:ボーカルのみ)
 イルカさんのMC。高校生の頃、通学のために駅に行くと、祖母がいて、訊くと用事で出かけるのだという。ところが、自動販売機での切符の買い方がわからない。そこでイルカさんが祖母のために切符を買ってあげると・・・・
 祖母の中には幼かった頃のイルカさんのイメージしかなかったのだろう、「あのとしえちゃん(イルカさんの本名)が切符を買ってくれた」と大感激して、近所に触れまわった。
 「そのわたしが今やおばあちゃんになってねえ・・・」
 セーラー服を着ていた聖子ちゃんが、立派になってねえ、とは言わなかったけれど、そういうことをしみじみと感じているというのが、伝わってきた。
 さて、イルカさんのサポートはおなじみの、ピアノ&キーボードが丹野さん、ギターが長尾さん。イルカさんは「祈り」以外はギターを弾いていた。
 「ココロネ」は、絵を描くために森を散歩しているときにイマジネーションが沸いて出来た曲。心音なのか心根なのかがはっきりしないのでここではカタカナで表記している。
 それにしても、シンプルな編成なのに、どうしてこうも迫力があるのか。演奏も、コーラスも。そして、いつものペースで歌い上げるイルカさんのボーカルの力強さ。
 くらべちゃいけないんだろうけれど、楽器にまけていると感じたchiemiやハイカラに足りなかったものって、この力強さではないだろうかと思った。


==セッション==

24.旧友再会 (ギター×4、ピアノ、ハーモニカ、ベース、タンバリン)
25.あなたの胸に (カラオケ、ギター)
 さあ、大変なことになった。
 「今日のために詞を書いたのよ」と、イルカさん。
 「イルカから詞が送られてきてよ」と、パンダさん。
 イルカさんによると、1番はパンダさんを、2番は聖子ちゃんをイメージして創ったとのこと。(逆だったかもしれない)
 イルカ作詞、山田パンダ作曲の歌が、沢田聖子のステージのために用意されたのである。
 「じゃあ、わたしは踊ろうかな」と、聖子さん。
 「また、そんなお調子なことを言ってると怒られるわよ」と、イルカさん。
 「誰が怒るの?」と、パンダさん。
 「うちのカメキチ君に、イメージにあわないことするなって、怒られるのよ」
 カメキチ君とはイルカオフィスの神部社長でイルカさんのご主人。聖子さんがイルカオフィス時代、ずっと彼女をプロデュースしてきたその人だ。
 そういえば、ショウコミュージックカンパニーの社長も聖子さんのご主人なんだよね。なんだか似てるなあ。
 演奏もまた豪華で、丹野さんのピアノ、PANNDA//SONの二人のギター、長尾さんのギター、イルカさんのギター、パンダさんのベースである。聖子さんはタンバリンを手に持つ。
 とにかく今日だけの歌だ。今後、聖子さんがソロステージで歌うことはあるかもしれないけれど、とにかくこのシチュエイションで聴けるのは今回限りなのである。心して聴いた。
 「あなたの胸に」は、札幌雪祭りのイメージソング。イルカさんの手によるものだ。まさかカラオケが登場するとは思わなかったが、札幌の町で流れているのと同じ状態で聴かせたかったのだと思う。
 「みなさんご一緒に。知らないだろうけど」っとイルカさん。はい、知りません。


=アンコール=

26.春 (ギター×3、ピアノ、キーボード、ベース、パーカッション×2)
27.陽だまりの中で (ギター×2、ピアノ、キーボード、ベース、パーカッション×2、タンバリン)
28.祈り (聖子さんソロ、ピアノ弾き語り)


 「春」は、イルカさん自身も歌っていたと思うけれど、イルカさんが聖子さんにプレゼントした曲。去年の富良野でのジョイントのときは「涙ボロボロでまともに歌えなかったから、リベンジでもあるんです」と、聖子さん。
 それにしても、すごいバンド編成になっている。ギター×3というのは、長尾さん、聖子さん、イルカさんである。パーカッション×2は、まりちゃんと、そしてなんと坪ヤン。イルカさんと聖子さんのサポートメンバーが完全にドッキングした形だ。そこにパンダさんのベースも。これはさぞリハーサルも大変だったろう。それだけに聴き応えがある。「春」で手拍子なんてはじめてだ。エレキギターやドラムが加わるとバンド的になるのだろうけれど、どちらかというとオーケストラ的な雰囲気に近い。
 「ひだまりの中で」は、パンダさんがイルカさんに贈った曲。こちらは聖子さんがギターをタンバリンに持ち替えた。
 そして、最後は、聖子さんの「祈り」を、ピアノ弾き語りで。
 これだけのメンバーを迎えておきながら、最後の最後に、たったひとりでしめる、これはまさしく沢田聖子のステージであった。
 
 全28曲。3時間を越えるライブ。アーティスト数も5組。これだけのなかにあって、沢田聖子が顔を出していたのが、15曲。彼女の持ち歌が12曲。こんなことは沢田聖子のジョイント史上では稀で、沢田聖子を目的にやってきた人も十分満足できる曲数であった。かつ、内容も大変充実していると感じた。これで5000円では申し訳ないくらいである。
 それだけではなく、メジャーデビューは果たしていないものの、着実にファンを増やしつつある新人二組から、ヴェテランまでが出演し、明らかに僕の音楽史上に残るステージになった。「まとめ」はあまり多くを語らずにライブレポートを終わろうと思う。
 そうそう、聖子さんは5月25日に3年半ぶりのアルバムを出す。さらに、「旧友再会」も5月23日にシングルカットされることが決まったようだ。どんな形でどこから出るんだろう?


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