いつ頃から決まっていたのかわからないけれど、このライブの存在を知ったのは一月半前。たまたま10月のシフトを組む直前で、ライブが金曜日のせいもあって、出かけることが可能だと判明した。いつものように土曜日だと今回は行けなかった。 伊丹から沖縄へ。こんなことは始めてなのだけれど、出発時間の一時間も前に折り返しの機材が到着しており、搭乗も案内時間にピッタリ。しかも、待たされたイライラ感がないせいか搭乗口に行列が出来るということも無かった。 最近、飛行機に乗る機会が増えているけれど、本当に好きになれない。せかされ、せかされ、せかされて、待たされ、待たされ、待たされるからである。 |
前夜、あまり寝ていなかったので、ホテルにチェックイン後は昼寝をするつもりだった。けれども、那覇空港に着陸の直前に見た青く澄んだ海。これに惹かれた。沖縄に来て海ぐらい見ていかないとつまらないなと思う。空港もすぐ海の側だから荷物をどこかにおいてフラフラ歩くという手もあったが、とりあえずホテルにチェックインした。那覇のど真ん中である。そして、そこからまっすぐ海へ向かう。 10分も歩けば海だった。なんとか公園と書いてある。砂浜などではなく、残念ながらコンクリートで固められていたが、それを乗り越えてテトラポットに登った。那覇港だか那覇新港だかが見える。風が強くて気持ちがいい。こんな都会の海なのに、港が近くにあるというのに、海は黒くはなかった。 北海道の北の果て、稚内桟橋の裏のテトラポットに立ったのは、遥か昔、学生時代のことだったが、当時あちこちを1人旅していたことを思い出した。あの頃と自分は結局のところちっとも変わっていないなと思う。 都道府県単位ではこれで「北の端」と「南の端」のテトラに乗ったことになる。こんなことに感慨を覚えるようでは、俺もたいしたことないなあと思う。テトラポットなんて所詮、人間の作り出したもの。旅に憧れ、最果てだの僻地だのに憧れているが、無人の荒野には行けそうもない。 |
宿に戻るには早いので、海から戻って宿のあるところを行きすぎ、国際通りなどを歩いた。修学旅行生がたくさんいる。 地元の人をターゲットにしたお店もあるが、お土産屋もたくさんあり、沖縄の産業が刊行に支えられていることがよくわかる。驚いたのはステーキハウスの看板で、なんと本物の火を吹いている。もちろんちゃんと調整してあるのだろうけれど、まわりには色々なものがあり、よくこれで火事にならないもんだ。いや、火事にはならないだろうけれど、周辺から文句が来てもおかしくないだろうに。 谷村ひとしさんのマンガに「関西の人はかわいそうだ」というくだりがあるのを思い出した。パチンコのことである。特定のナンバーで当たらないと一回ずつ交換しなくてはならないとか、換金率が悪いとか、持ち玉で大移動が出来ないとか、いろいろなプレイのルールが一番厳しいんだそうだ。 ためしにパチンコ屋を探して入ってみる。なるほど、確かに座席の下にドル箱を積んでいる人が多い。しかし、僕は全く当たらなかった。ルールが甘い分、いったん当たるとすごいけれど、釘が渋いのだろう。設定の出来る台では当たり確立も悪いかもしれない。 1週間後に北海道でも打ったが、結果は似たようなものだった。僕には関西のルールが馴染んでいるように思う。 |
ライブハウスには開場の45分前に行った。前回の沖縄遠征で知り合ったMさんが既に並んでいる。ここでは前売りであろうが、整理番号が何番であろうが、当日券(つまりチケットを持っていない)であろうが、とにかく並んだ順である。 前売り券が思ったほど出ていないとさる筋から聞いていたけれど、なるほど行列の伸びが悪い。それでも開場後、開演までにほぼ座席が埋まったからやれやれだ。 |
=かぐやひものステージ= 1.マキシーのために 2.置き手紙 3.僕の胸でお休み 4.ポークは友達(新曲・オリジナル)アルバムに収録予定 5.あの人の手紙 6.太陽の色(新曲・オリジナル)富良野アルバムに収録予定 |
普段は5人編成だが、ソーミンさんとさらまわしさんが今回は都合によりお休み。ソーミンさんは産休だとか。そんなわけで3人編成の「かぐやひも」である。キーボードとドラムがないわけだ。3人編成ではやはり厚みには欠けるが、音楽的に遜色はない。 「かぐやひも」のステージは客席との一体感がピカイチだ。残念ながらよそ者の僕には「地元にちなんだ曲」に若干の疎外感があるけれど、それはそれでいい。本日のご当地ソングは新曲の「ポークは友達」である。3度もプレスしたというシングルCDの売れ行きに気をよくして間もなくアルバムを出すのだそうだが、それに収録される。 沢田聖子とのジョイントの時は追っかけがやってくるのを承知していて、この「ポーク」に関する解説までしてくれた。もしかして、結論として僕1人に説明してくれている? 要するに沖縄で言うポークとは豚肉のことではなく、豚肉を加工して、コンビーフ状の缶詰にしたもので、これ一品でおかずになり得るという県民に愛された食品なのである。 もうひとつの新曲「太陽の色」は、富良野をイメージして創った曲。なぜ富良野かというと、「新富良野プリンスホテル」で毎冬行われるチャペルコンサートに、とうとうかぐやひもが出演するのである。暖かい歌詞を丁寧に歌う明るくて素敵なメロディーで好感を持った。シングルにするにはインパクトに乏しいかもしれないが、アルバムにするには良い。 というのも、チャペコン出演アーティストで企画もののアルバムがリリースされることになったらしく、その中に「かぐやひも」も収録される。残念ながら参加アーティスト全員がアルバムに携わるわけではないようだ。多分、SMC(ショウコミュージックカンパニー・沢田聖子さんの事務所)関連のアーティストが中心となるだろう。 |
=沢田聖子のステージ= 7.愛の唄 8.respect 9.初恋(ギター) 10.親愛なる人へ(新曲・ギター) 11.一緒に暮らそー!(ご存知の人もいると思いますが、11月22日発売) 12.シオン |
ステージの組換えがあり、わずかにインターバルがある。こういうとき聖子さんがホスト役を勤めるジョイントライブでは出演者同士のおしゃべりがあるのだけれど、今回はなし。方針を変更したのかもしれない。ちょっと残念だ。 聖子さんは胸に大きな星のあるキャミソールで登場。思わず「きゃわいい!」と叫びたくなる。30台も後半の女性に「かわいい」というのもナンだが、可愛いのだから仕方ない。いつだったかのステージで、「若い頃は恥ずかしくてこんな格好できなかった」と言っていたが、まあそれはそういう時代だったのだろう。デビューの頃からファンをしている僕自身も意外に思うのだけれど、キャミが似合うのだ。 さて、「初恋」はご存知村下さんの曲。そして、それに続く「親愛なる人へ」は、やはり村下さんにささげる曲である。多分、近くリリースされるニューアルバムに収録されるだろう。この2曲はギター、他はピアノの弾き語りであった。 「一緒に暮らそー!」は、松下電工の販促ビデオのテーマソング。当初、シングルカットする予定はなかったのだが、評判があまりにもいいので、11月22日に発売される。ビデオも観たけれど、予想通りフェイドインフェイドアウトでフルコーラス聴くことは出来ないし、やはりシングルカットが妥当であろう。聴けばわかるけれど、すこぶる評判がいいのは頷ける。究極のラブソング、とまで言ってしまうと大げさだろうか。 とにかく、本当に良い曲だ。太陽をイメージするような真っ直ぐで幸せな愛。こんなギスギスした時代だからこそ、ヒットして欲しいと願う。テレビCMにでもなればいいなあとか思うが、こればかりはスポンサー次第である。 ラスト「シオン」は聴きなれた歌だが、どういうわけかこの日はいつもよりも心に染みた。 |
=鈴木聖美のステージ= 13.? 14.タッチザワールド(カラオケ) 15.熱くなれたら 16.? 唄い出し「胸騒ぎを感じたら・・・」 17.? 唄い出し「抱かれる度不思議・・・」 18.? 19.ドレスのままで 20.小さな願い(カラオケ) 21.聖・VOICE(カラオケ) |
すいません、タイトルがほとんどわからなくて。 聖美さんは立ったまま歌い、隣でご主人がギター伴奏をする。聖美さんのステージを観るのもはじめてなら、ソウルなるジャンルを生で聴くのもはじめてだ。 ギター一本の演奏であっても、なんというか、迫力満点。ズシンズシンと心の奥に響き、魂を揺さぶってくる。なるほど、ソウルなのだ。 演奏にかき消されてしまって歌詞がさっぱりききとれない歌手が多い中、聖美さんの歌声ははっきりくっきりひとつひとつのメッセージとなって、あるいは物語として、きちんと入ってくる。こういう歌手のステージなら、いっさいの予習無しで楽しめるからいい。 即売のアルバムを買ったのは言うまでもない。おまけに、SMCの社長さんがサインをもらってきてくれた。お手数をお掛けしました。 |
=アンコール(二人で)= 22.クロース トゥー ユー 23.ユー ゴット ア フレンド 24.ロンリーチャップリン 25.夜明けのスターライト 26.TAXI |
とても気の合う二人だが曲のジャンルが違うので、二人で歌える曲を探すのに苦労した、とのこと。そうするとどうしても洋楽のスタンダードナンバーになるかな? 「ロンリーチャップリン」は大ヒットした聖美さんの歌、「夜明けのスターライト」は聖子さんのリクエストという形式で聖美さん1人で歌った。楽器は聖美さんのご主人のギターである。 聖子さんと聖美さんの出会いは、聖子さんのラジオ番組に聖美さんがゲスト出演したのがはじまり。最初は「とにかく失礼のないように、怒らせないように」と緊張していた聖子さんだが、いざ会ってみるとすっかり息投合。聖子さんにとっては頼もしいあねごという感じらしく、それはMCでも発揮されていた。 聖美さん曰く、「今日、顔、いつもと違うよね」。どういうことかというと、本日の聖子さんのメイクは、なんと聖美さんの手によるものなのだそうだ。「こんなに変わるのね−」と、聖子さんも感心することしきり。しかし、ゲストにメイクさせるホストって・・・。通常の化粧時間は、聖美さんは1時間、聖子さんは15分らしい。マニキュアまで塗ってもらい、つけまつげまでもらったとか。 聖美さんのご主人のギターの弦が切れてしまったので、張替えの間、急遽ロングMC。ここへ来る前にFMラジオに出演して、二人で「しゃべり倒してきた」そうだが、その続きが始まった。このラジオを聴いた人も客席にはいて、ちょっとうらやましかったりする。ラジオ出演は知っていたし、多分ホテルで聴くことは出来たろうけれど、僕は外をうろついていた。「本日、二人でライブをやります」程度の告知なら聴く必要はなしと断じた結果だが、この判断が間違っていた。もう遅いけどね。 MCはつけまつげや化粧の話、稲川淳二の怪談ナイトで携帯電話が鳴り響いた話など、何しろ時間があるものだから多岐にわたったが、この二人のジョイントライブはまだあるので、ネタバレになるといけないから、省略する。 ジョイントのときはどこかいつもゲストに気を使っている聖子さんだけど、アネゴと慕う聖美さんとの会話は、聖子さん自身が本当に楽しんでいるという感じが客席まで伝わってきて嬉しい。 ダブルアンコールは「TAXI」。いったん二人とも袖にひっこんで、その後、聖美さんだけが登場した。最後の最後は、聖子さんやかぐやひもの3人にも出てきて欲しかった、というのが心残りである。もっとも、南こっせつさん(かぐやひものメンバーでライブハウスのオーナーでもあります)とは終演後にお話できました。 |