重なってしまった。連チャンである。
ショウコミュージックカンパニー(SMC)からのDMや、Web仲間からもたらされる情報を総合すると、すなわち11月26日から12月3日までコンサートが連続する。
職場でシフトを組んでいるのは僕だし、このさいだ、全部まとめて出かけよう。
そう決心したのは10月の上旬である。
この日は夜勤明けのシフトを組んでいたので、時間に余裕がある。梅田に出たついでに、ライブハウス「バナナホール」の事務所によって、30日のライブ(聖子さんと同じSMCグループ所属のギタリスト)のチケットを買ったら、整理番号が1番と2番。入場はファンクラブ優先予約、バナナホール発売のチケット、プレイガイド、当日発売の順なので、10番目くらいには入れそうだ。
座席の場所はこれで一安心だが、肝心の動員が心配になってきた。もっとも、前回もそうだったけれど、ほとんどの人が当日券で入場するみたいだ。
まず最初は、沢田聖子&山田パンダ&山木康世の3人のジョイントになる「アコースティックライブ」である。同様の趣旨のライブとしては2回目だそうである。山田パンダさんは元かぐや姫、山木康世さんは元ふきのとうのメンバーだが、僕は「ふきのとう」を熱心に聞いたことはない。多分、ほとんどの曲を知らないだろう。
会場の「梅田ヒートビート」前の行列は少ない。入場が始まっても客はほとんど増えない。いつもならロビーの販売コーナーに人だかりがするのに、スカスカである。
結局客席の3分の1ほどが埋まっただろうか。野鳥の会会員のようにカウンターを持ってかちゃかちゃ数えたわけじゃないから正確な人数はわからないけれど、前から3分の1くらいしか人がいなくて、しかも両端などの悪い席は敬遠されるから、実際は3分の1も入ってなかったかも。
聖子さんはピアノの弾き語りなので、手元が見えるように左よりの席を確保した。(今回は自由席なのだ)
ステージ上は少し寂しい。左手にグランドピアノ、中央と右手に椅子がひとつづつ。なるほど、確かに3人ライブだ。
トップバッターは聖子さん。聖子さんが絡むジョイントコンサートはたいてい(全て?)SMCの企画制作だから、聖子さんがホスト役をかねてトップで出演することが多い。
こんな客の入りではかわいそうだと思っていたけれど、聖子さんは逆に肩の力が抜けたみたいで、日常に見せるような笑顔で気軽に語る。
「なんか、自分の家みたいですね。いえ、わたしの家はこんなに大きくないですよ」
「アットホームな感じですねー。質問なんかも受け付けましょうか。手を挙げなくても良いですよ。そのつど訊いて下さい」
ちょうど一週間後に行われる「あの頃を想い出して」(初期の頃の作品のピアノの弾き語りライブ)や、冬のチャペルコンサート(富良野プリンスホテル)、クラブチッタ川崎で年末に行われるチャペルコンサートなどなどコンサートの告知、KBS京都のレギュラー番組「うわさの街wa」などの宣伝をする。
「うわさの街wa」は、聖子さん初のテレビレギュラーで、この番組改編の激しい時代に1年を越えた。2年目からは再放送までされるようになり、結構人気が高い番組らしい。
60年代・70年代のフォークソングは、聖子さんが青春時代に聴いた歌でもあり、懐かしげに語りながらカヴァー曲を中心に5曲(曲目1〜5)を唄い、山木さんを招き入れた。
ステージ左手にピアノがあるせいか、聖子さんファンは左に、山木さんファンが右にどうやら陣取っている。山木さんの登場で、女性軍が多い客席右半分から声援が飛ぶ。
山木さんの登場で、それまで客席に語りかけるように比較的ゆっくり話していた聖子さんに火がつき、矢継ぎ早に話題を振るが、山木さんは楽屋でうたた寝をしていたらしく、もうひとつ頭が回転しないようだった。
山木さんの語り口調は独特で、マイクの前でボソボソ呟くように喋る。北海道出身で、最近の北海道の熊は髪を染めているとか、なんとか。熊が友達を誘いに来て「行くベアー」だとか、呑みに行こうと「呑むベアー」だとか、そんなことを本当に一本調子でぼそぼそ言う。(文字にすると全然面白くないね)
右半分を陣取った山木ファンからは笑いの声があがるが、左半分の聖子さんファンは、あまり笑わない。ギャグが面白いとかつまらないの次元ではなく、語りのペースがつかめないのだ。
こういう「芸風」なのだとわかってしまえば笑えるのだが、ソロコンサートで約2時間この調子なのだったら、僕はちょっと遠慮申し上げたい。
JR北海道も客離れを防ごうと必死で、頼まれて車内でライブをやったとか。その時の新曲がシングルで発売されていて、ライブもこの曲「ようこそ春の日 日高路」だけはカラオケを使った。
「(カラオケですが)驚かないで下さい」との注釈付きだ。
最近、聖子さんもピアノの弾き語りのステージで一部の楽曲にカラオケを使うことがあるから、驚きはしなかったが、カラオケに生のギターを合わせるステージがいまいちしっくりこない。
これは「新神戸OPA」で行われた聖子さんのライブで、ジョイントした男性二人のユニット(名前失念)でもやったけれど、やっぱりしっくりこなかった。
カラオケを使うときは聖子さんのようにハンドマイクでステージを動き回りながらうたう方がいいように思う。
山木さんのソロステージは7曲(曲目6〜12)。
山木さんのステージ終了を見計らって聖子さんが登場しかけたが、山木さんが次のパンダさんを紹介してしまったので、お得意の「ビデオ逆回し」風あとずさりウオークで聖子さんがソデに引っ込む。
山田パンダさんはベテランの迫力とでも言うのか、マイクの前に座っただけで、会場の雰囲気がガラリと変わる。視線も気持もグイグイっと惹きつけられる感じだ。
あまり多くのひとり語りをせず、2曲だけやって(曲目13,14)聖子さんと山木さんを招き入れた。
3人になって話が弾む。聖子さんは同じステージに立つ出演者との会話を客席に聴かせるのが好き(お得意)のようで、あれこれ話題を引っぱり出す。
バンド付きのソロコンサートの時は、話題を振ってもサポートメンバーは「あくまで中心は聖子さん」というのをわきまえていて多くを語らず僕など欲求不満になるが、ジョイントだと対等の出演者だから話も弾む。
山木さんが沖縄から戻ったばかりで、聖子さんとパンダさんは「明日、沖縄へ行くんです」と、入れ替わりのライブであることから、沖縄の話題。
そして、僕を驚かせ、かつ後悔させたのは、南こうせつの「サマーピクニック」にパンダさんが飛び入り参加した話。
なんと、サマーピクニックが復活していたのか! 迂闊にも全く知らなかった。
いつか行きたいと願いつつ、機会のないままに企画が終わってしまい、とても残念に思っていたのだ。
かぐや姫時代は「かぐや姫」が大きすぎてどこかしっくりいかないものを感じていたらしいが、やっと両想いになれた、というようなことをパンダさんは語られた。
「健康に気を使っているくせにコーラをがぶ飲みして」と、話題は村下孝蔵さんにおよぶ。
村下さんはおそらく聖子さんがもっとも多くジョイントしたアーティストで、僕も最後の大阪公演を観ている。村下さん亡き後の聖子さんのステージでは必ず話題に上り、思わず(僕も)涙ぐんでしまったりしてきたが、「お通夜に行ったけれど、苦しまなかったんだろうな、綺麗な顔をしてたよ。今日も来てるだろう」と、パンダさんは明るく村下さんのことを語って、「踊り子」をワンコーラスだけ唄った。
3人でのステージは全部で5曲(曲目15〜19)。このうち1曲は打ち合わせになかった曲を急遽やったようだ。パンダさんが聖子さんにごめんなとささやいたようである。
また、山木さんは「陽だまりの中」を会場から差し出されたウクレレで演奏した。
聖子さんがステージを降りて二人で5曲(曲目20〜24)。聖子さんが再登場して「子供の前で歌うこともあるんでしょう?」と話題を振ると、いきなりサザエさんとドラえもんをパンダさんが唄う。
そして、ステージはいよいよ終盤。2回のアンコールを含めて全5曲(曲目27〜32)でステージは終了。
この中に、「おもかげ色の空」が含まれていた。
残念ながら1番と3番で、2番が省略されていたが、それはともかく、僕はこの曲がムチャクチャ好きなのだ。アンケートやファンクラブ会報への投稿など、機会があるごとに「おもかげ色の空」をカヴァーして下さい、と書いてもいた。自分的に「好きな曲ベスト5」を挙げるとしたら、この中に3曲ぐらいは聖子さんの唄が入るんだけど、「おもかげ色の空」も入る。ちなみに、1〜5位の順位などは付けることは出来ない。
それを生のステージで聴けて、超感激なのだった。
MCで2回ほど印税のことが話題になった。
1回目は、山木さんが「思えば遠くへ来たもんだ」は武田鉄也が作詞し、僕が作曲したと言ったときで、「みなさんカラオケで歌って下さい。なにがしかの印税が。。。」とかだったと思う。
2回目はパンダさんが、「いまだに何がしかの印税が入ってきて、それで生活できて」のようなことで、長くファンでいてくれる人達への感謝の気持ちのようなものを表そうとしたものと思われるが、「夢の印税生活ですね」と聖子ちゃんが半ば本気(?)で受け答えする。
著作権というと法律じみてしまうけれど、いわゆる知的財産を守るシステムが整っているのは結構なことだ。そして同時に、それで食べていけるだけのものを創りあげてしまう才能はすごいと思う。
また、いつまでも唄い継がれる歌のパワーには圧倒されざるを得ない。
いつか自分にもそんな仕事が出来るだろうか。今は「出来る」と信じて、一歩づつ前へ。
曲目
1.あなたからF.O.
2.愛の唄
3.風になりたい
4.君と歩いた青春
5.シオン
6.不明
7.でいごの花
8.御池のほとり
9.不明
10.春雷
11.思えば遠くへきたもんだ
12.ようこそ春の日 日高路
13.落葉
14.好きだった人
15.加茂の流れに
16.妹
17.けれど生きている
18.陽だまりの中
19.踊り子
20.うちのお父さん
21.風の街
22.黄色い船で
23.時の過ぎゆくままに
24.祭りの後
25.サザエさんのテーマ
26.ドラえもんのテーマ
27.おもかげ色の空
28.僕の胸でおやすみ
29(アンコール).夢の中へ
30(アンコール).白い冬
31(ダブルアンコール).神田川
聖子さんの全てのステージが観られたら、確かに言うことはない。
しかし、それは所詮無理な話である。
けれども、全てのシリーズは何とか追いかけたいと思う。
沖縄フォークナイトというライブは今回が2回目だが、それ以前の「アコースティックウエーブ」の流れをくむもので、一度はその雰囲気の中に呑まれてみたいと思っていた。
SMCが依頼を受けて企画している「市町村ライブ」(これは毎回趣旨は異なるのだが)は、島根県六日市町の町制40年記念として行われたものに参加している。チケットは今でも手元にあるけれど、出演者名が記されていない。杉田次郎、白井貴子、岡崎倫典などが出演したすごいライブであった。
この他に、シリーズものとしては、富良野チャペルコンサートや鬼の蔵などがあるが、いずれは行きたい思っている。
とにかく、今回は沖縄だ。
手配が若干大変だ。
航空券は一人参加が可能なパッケージツアーで安くチケットを手に入れた。フライト指定が出来ないのでエージェント任せにしておくと、行きも帰りも全日空になった。
全日空の国内線に乗るのはコレが初めてだ。そういえば、国内線って、おいらJASしか使ったこと無かったような気がする。
宿はインターネットで調べて、ライブ会場の「CLUB D−SET」から徒歩で戻れるビジネスホテルを予約した。
チケットはD−SETに電話をして、取り置きをお願いする。なにしろ、キャパもわからなければ動員も予測できない初めての会場だから、当日券目当てにわざわざ沖縄までやってきて「チケット完売」なんてことになったら目も当てられない。
ライブハウスでの公演がそう簡単に完売するとも思えないが、「あの頃を思い出してライブ」は東京も名古屋も完売しており、名古屋では追加公演まで決まったと言うから、油断できない。
D−SETは、親切にも「前売り料金」で当日取り扱ってくれると言う。電話口で若干のとまどいがあり、しばらく待たされたから、おそらく例外的な措置で、責任者にどうするべきか相談に行ったのだろう。
ライブレポートまでなかなか辿り着かないけれど、まだいくつか書いておきたいことがある。
ひとつは、ANAのスーパーシートである。
飛行機のエコノミーの居住性は極めて悪く、「座りっぱなし」を余儀なくされることや搭乗時間が長いことを勘案すれば、JRの通勤電車以下だと僕は思う。
通勤電車と言っても山手線などのいわゆるE電を想像されると、「大げさに言い過ぎる」と言われるだろうが、僕が比較しているのは、関西の新型新快速や関空快速である。
片道料金より安く往復のチケットを手に入れたので、ここはスーパーシートを奮発しよう。
ただし、問題がある。もともとパッケージツアー用のチケットであり、クーポン券には「変更不可」と印字されている。とりあえず、代理店カウンターでクーポンを航空券に交換すると、券面には「団体」の表記。
つまり、ノーマルとして販売される正規の割引運賃ではなく、パッケージツアー用の料金であることがわかる。
しかしダメモトで、ANAのスーパーシートカウンターへ行ってみる。
「変更できますか?」の質問に、係員の返事は「できます」だった。ラッキー。料金は3200円である。
ANAの時刻表によると「全日空のスーパーシートでは、いろいろなサービスをご用意しております」とあり、楽しみにしていたが、結論から言うと、JASに軍配が上がる。
食事時間帯には軽食が出るが、今回は時間帯が合わず茶菓のみ。ちいさなまんじゅうとおかきがスーパーシート用のボックスに入って提供された。この他に、ビールが無料であるらしいが頼まなかった。
では、JASはどうかというと、まず、出発前に専用ラウンジが使える。ANAはラウンジを使うには別途それ用の会員になっていなくてはならず、スーパーシートの客と言うだけでは使えない。座席の居住性が最大目的だが、ラウンジも実は楽しみにしていた。あの雑然とした空港ロビーとは比べものにならない。もっとも空港自体が全く混雑していなかったので今回は良しとしよう。
搭乗の順番も、JASでは「スーパーシート、レインボーシートのお客様を先にご案内します」だったが、これもない。
また、座席に着くとJASは「○○様、本日はスーパーシートをご利用いただき誠にありがとうございます」と、名前を呼んでスチュワーデスが挨拶に来るが、これもない。
JASでは飲み物がグラスで提供されたが、ANAは紙コップだった。JASだとフルーツまでついてきた。
このように、同じスーパーシートでもANAとJASでは結構差がある。
とかいいながら、帰りもしっかりとスーパーシート。往路とは機種が違い、機体そのものは小さくなったが逆にシートは大きくなった。おまけに修学旅行と一緒になり騒々しそうだ。さらには、ユナイテッドの乗り継ぎ便にもなっているようで、ANAだけでなくユナイテッドのフライト番号もついている。外国人はそれほど多くなかったが図体のでかい人と隣同士になれば辛いだろう。
おまけに、国内線機内食を初体験した。12時台に飛ぶ便だったので、スーパーシートだけ昼食がついてくるのだ。内容は3分の2サイズの幕の内といった感じだが、量は少なくてもおかずの種類は結構あった。身動きのとれない飛行機での食事は、国際線でもこれくらいで充分だと思った。
ライブ前レポートをもうひとつ。宿泊ホテルについて、である。
誉めるので、実名を出しておこう。「エアウエイ」という名前のホテルだ。インターネットでライブ会場に1番近そうなビジネスホテルを探しただけで、なんの予備知識もなく来たが、かなりいい。
那覇の目抜きにあるビジネスホテルなので、ビジネスユースは完璧だ。
フロントでは定価でおやつやジュース(沖縄は110円)を売っている。公衆ファックスやコインコピーも備えている。
室内の電話はパソコン対応で専用のジャックが儲けられ、接続コードも貸してくれる。僕はコードと二股ジャックを持ち歩き、電話の配線をつなぎ変えていままでネットをしてきたけれど、パソコン用のジャックのあるホテルをはじめてみた。
室内の冷蔵庫は空っぽで「自由にお使い下さい」とある。最高の対応である。
完全なビジネス客指向のホテルである。2年間500円の会員制度があり、入会すると料金が割引になるのだが、なんと土日の方が平日より安く、なるほどビジネスホテルである。
さて。インターネットで知り合った方が、関東から遠征してこられるので、待ち合わせてステーキハウスへ。
少し早めの夕食を済ませてD−SETに並んだのが開場30分前である。
既に10数人が列を作っており、ここの場合は整理番号があってもなくても並んだもの順の入場である。
バナナホールよりもなんとなく雰囲気がいい。
ステージ上には、聖子さん用のエレピの他に、キーボード(シンセサイザー?)が2段に置いてあり、ベース、ドラム、アコギ、エレアコ、エレキなどが設置されている。脇にはウッドベースまであって、どういうステージになるのか期待が膨らんだ。
どの会場に行っても見かける濃い〜ファンの顔が無く、会場で知り合った自称「日本最南端のファンクラブ会員」Mさんと、一番前中央に座った。
最初にステージに立ったのは「かぐやひも」のメンバー5人。
SMC企画制作にもかかわらず、聖子さんが最初に顔を見せないのは珍しい。
「かぐやひも」のメンバーの一人がこのライブハウスのオーナーでもあるらしく、彼らはここでマンスリーライブを開いている。
沖縄ではそれなりの知名度のあるアマチュアバンドで、シングルCDも出している。
「かぐや姫」のコピーバンドであるが、同時に「ふきのじゅう」と称して「ふきのとう」のコピーもこなす。
メンバーは、南こっせつ(アコギ)、にせ正三(エレキ、エレアコ)、山田ラクダ(ベース)、さらまわし(ドラム)、ソーミン(キーボード)で、ボーカルとコーラスはドラム以外全員がこなす。
たまたまこの日のナンバーにさらまわし氏がボーカルをする曲がなかっただけかも知れないが。
で、この「かぐやひも」
文句無く上手い。奏でる音が綺麗。聖子さんのファンクラブ会報に以前登場して以来興味を持っていたのだが、プロと同じステージを踏むだけあって、相当なものである。
リーダーのこっせつ氏が「緊張している」と言っていたが、悪い意味での緊張は感じられず、慣れているという面もあるのだろうけれど、とにかく楽しげにステージに立っているのが良い。
伊勢正三さんにお会いする機会があり、「公認の偽物」になったとかメンバー一同喜んでいる。ステージ奥には色紙が飾られ「かぐや姫もかぐやひもを応援します」と書かれている。もちろん3人のサイン入りだ。
オリジナル2曲を含む5曲(曲目1〜5)を演奏して、聖子さんにバトンタッチ。
聖子さんは昨日の5曲より1曲少ない4曲(曲目6〜9)。しかも、自作の「あなたからF.O.」が省かれて、カバー曲とシオンだった。
シオンは聖子さんのオリジナルナンバーだけど、作詞作曲はイルカさん。結局最後まで、聖子さん自作曲はなかった。
これはどうかと思う。聖子さんのファンとして今回足を運んだのは50〜60人ぐらいの入場者のうち、おそらく10人程度の模様で、こういう機会に自ら作詞作曲した曲を披露すべきじゃなかったか?
「かぐやひも」のファンは間違いなくフォークファンなのだから、きっとそれなりに感じてくれるはず。
カヴァー曲も「かぐや姫」のコピーをこなす「かぐやひも」とのジョイントなのだから、「愛の唄」を外して、彼らのサポートで「ささやかなこの人生」がききたかった。
かぐやひもの実力からすれば、バンドスコアとCDを事前に送っておけば、最新シングルの「ガンバレ」や「風を感じて」だって、フルバンドで出来たはずだ。
いや、大阪在住の僕は別にいいんだけれど、聖子さんが出演するからと足を運んだ地元ファンだっているんだし、ちょっと構成を考えて欲しかったと思った。
聖子さんと入れ違いで、山田パンダさん登場。ひとりで3曲(曲目10〜12)をこなした後、かぐやひものメンバーをステージに呼ぶ。
パンダさんの一人ステージの間も楽屋に引っ込まず、すぐ横で見ていたのはさすがだ。
かぐやひもが加わったパンダさんのステージはすごい。なにしろかぐや姫のコピーバンドであるから、強力なバンドメンバーを従えたに等しい。時にギターを手放し、ハンドマイクで唄ったり、メインボーカルを一部かぐやひもメンバーに任せたりしながら、4曲(13〜16)をこなす。
いわゆるフルバンド編成になるので、音楽が厚く、とても楽しめた。昨日の大阪では「おもかげ色の空」が1番と3番だけだったのが、今日はフルコーラス。今日は聖子さんのボーカルorコーラスはなかったけれど、やはりこの曲はフルコーラスでないとダメだ。
「まだメンバー紹介してないんじゃないか?」ということで、かぐやひものメンバー紹介が行われた。
このレポートではすでにかぐやひもメンバーの紹介を終えているので省略するが、ここで大事件が起こった。
かぐやひものメンバーの芸名に、本家かぐや姫からクレームが出たのだ。
伊勢正三は「にせ正三」、南こうせつは「南こっせつ」と、けっこう悲惨なもじりなのに、山田パンダだけは「山田ラクダ」でおとなしいじゃないか、と正やんに言われたと、パンダさんが発言。
だから、「山田ラクダ」はダメだ、お前は今日から「山田パンツ」だと、無理矢理改名させられたのである。
かぐやひもと入れ替わりで、聖子さんが登場。今日のステージは入れ替わりが激しい。
ふたりで亡き村下孝蔵さんの曲をということで「踊り子」を唄う。(なぜかワンコーラスのみ)
続いてアコースティックバージョンを、ということで、かぐやひもの中から、南こっせつ・にせ正三・山田パンツだけがステージに上がる。
聖子さんは手拍子やコーラスをしていたが、打ち合わせではどこかでステージから降りるはずだったらしく、ちょっといずらそうだった。
アコースティックバージョンのにわかかぐや姫は、綺麗としか言いようがない。音の澱むところが無く、きっちり聴かせてくれる。
4曲(18〜21)を披露した後、聖子さんがそそくさとステージを降りる。
その後(前かな?)、ベース(山田パンツ)も抜けて、かぐや姫原点の構成で、3曲(曲目22〜24)。
パンダさんはウッドベースを持ちながらメインボーカルを努めた。最前列中央で観ていた僕は、ベースの弦の振動が視覚的にも伝わってきて、迫力満点だった。
さて、位置的には記憶が不確かだけれど、MCがおかしかったので紹介する。
ひとつはパンダさんのベース空中ブランコ事件。かぐや姫時代、緞帳の内側にあったベースがひっかかってしまい、緞帳が上がるにつれてベースも一緒に持ち上がってしまった。
演奏は既に始まっているから中断できず、どんどん高く上がっていくベースを背伸びをしながら弾くパンダさん。スタッフが気が付いて再び緞帳をおろすが、客は演出だと思ったらしい。
「かぐや姫にしては随分派手な演出ですね」と、聖子さん。
もうひとつは、かぐやひものメンバーの色々な昔話。活字にするのはちょっと差し障りがあるかも知れないので省略である。
そして、サマーピクニックの話。昨日と同じ話かなと思ったら、こちらはかなり盛り上がった。語り手のパンダさんがノッていた証拠だろう。前日に吉田拓郎や井上陽水に電話で呼び出されて急遽駆けつけ、こっそりと伊勢正三とリハをしつつ、直前まで黒いシールドで中が見えないようにしたワゴンの中に待機、最後の最後まで南こうせつは山田パンダが来ていることを知らなかったようである。
こう書くとただのエピソードでちっとも面白くないが、パンダさんの語りは面白かったぞ。
以上でいったんステージは終了。
しかし、もちろんアンコールはある。パンダさんのソロで「祭りの後」、その後、聖子さんとかぐやひもを呼び寄せて、「なごり雪」
パンダさんの決め台詞「これしかないだろ」で、始まったなごり雪は、聖子さんがメインボーカルを努める。
聖子さんもエレピを弾き、その後ろではそーみんがキーボードを操る。ギターとドラムも素晴らしい出来。イルカさんのなごり雪を忠実に再現している。
ベースが目立たないのは残念だけど、ドラムの良さだって気を付けていないと見過ごしてしまう。そもそもドラムやペースはミスをすれば目立つけれど、目立たずに音楽にとけ込んでいるということは、ほぼ完璧といえると思う。もちろん、それぞれ目立つように演出された部分は別だが、一般的にはそうであろう。
なぜ「完璧」ではなくて「ほぼ完璧」なのかというと、僕の耳がその程度だからだ。
ステージはこれで終了。
2回目のアンコールがあるかと思ったが、拍手がやんでしまった。
昨日の大阪では「本日の公演は終了しました」のあとも拍手が続き、ダブルアンコールとなったのだが。。。。灯りがすぐともらなかったことから見ても、もしかしたら出演者側でももうひとつ用意していたのかも知れないなとか思ったりする。だって、「夢の中へ」がまだだったから。
もっとも、個人的にはアンコールは1回が好きだ。プロなら1回のアンコールで客を納得させて席を立たせなくてはならない、というのが持論だ。けれど、もっとたくさん聴きたい観たいというのも本音だけどね。
ステージ全体としては、プロばかりでやった昨日の大阪より、今日の方が良かった、と僕は感じた。
昨日の大阪公演が悪かったと言うわけでは決してないのだが、あえて比較すると、大阪公演は「鑑賞」、沖縄公演は「一緒に楽しむ」ということが言えるだろう。
ところで、タイミング的にどの時点でだったか忘れてしまったが、聖子さんが「アコースティックパーティーに来ない?」とかぐやひもを誘った。
アコースティックパーティー、通称アコパ。自分のHPに情報が漏れているので日時場所はどこかのHPで確かめてもらう(覚えているけど、間違っていたら大変だから書かない)として、12月下旬に川崎(だったよね)で行われるライブである。
聖子さんが色々なアーティストに声をかけ、出演者もお客さんも飲んだり食べたりしながら楽しもうという趣向のライブだ。今年で10回目になる。
年末でもあり、それぞれ仕事を段取りするのが大変だろうけれど、おそらくこれは実現しそうな気がする。いよいよかぐやひもも「関東進出」である。
アコパの一人(一組)の割り当てはおそらく3〜4曲だろうから、どの曲をかぐやひもがやるか。
「動物のうた」は沖縄方言がきつくてしんどいかもしれないが、「22才の神田川」は面白かろう。一部受けないのを覚悟の上で「動物のうた」をやるのもいいかもしれない。
しかし、これだけではコミックバンドと誤解されかねないから、正統派フォークソングのオリジナルをひっさげての出演、というわけには行かないだろうか?
普段の活動の成果は、他のアーティストのサポートをすればきっと理解されるだろう。ただのバックバンドというのではなく、コーラスやメインボーカルの一部を担当さしてもらうことが出来ればなおいい。
このあたりは聖子さんのプロデュース次第、といったところだろうか。
いずれにしても、「かぐやひも」のメンバーは、アマチュアでありゲスト的な出演であり、と妙な遠慮だけはしないで欲しいと思う。観客のいるライブ会場で聖子さんから誘われたんだから堂々としてもらいたい。
さて、終演後の雰囲気がまた良かった。
「終わりました」のアナウンスもなく、気が付いたらかぐやひものメンバーが客席に降りてきて、馴染みのお客と一緒に呑みながら歓談しているのだ。このあたりがアマチュアバンドのいいところかも知れない。
かぐやひものメンバーの一人(確か南こっせつさん)がこのライブハウスのオーナーだと言うから、スタッフがそそくさと閉店をしてしまうわけにもいかないのだろうけれど、それがメインの理由ではないだろう。とにかくアットホームなのだ。
ゆっくり席に座ったまま、ドリンクを追加注文して、それからアンケートを書いた。
顔なじみのメンバーが「煙草を買いに行ったらemikoちゃんがいた」というので、僕もemikoちゃんの顔を見ようと、アンケートをわざとらしくひらひらさせながら出口付近へ遠征。
間が悪く、社長(SMCの)が立っている!
「あ、あの、これ(アンケート)どうしましょう。箱があるのかな?」
と、さらに首を伸ばすと、そこにemikoちゃんが。。。。
よし、emikoチャンに渡そう、そう思う僕の背中に「では、頂いておきます」と、社長が一言。
あ、あれえ〜???
でもいいのだ。
「あの方、昨日の大阪にも来られてましたよ」と、emikoちゃんが社長にささやいていた。覚えていてくれたのだ。しかし、僕は沖縄在住で、昨日の大阪公演に沖縄から行った、と解釈していたかも知れない。
会場を後にするとき、このライブハウスで「かぐやひも」のシングルCDを販売していることを発見。早速購入する。すると、南こっせつさんがやってくるではないか。
サインをお願いすると、全員に回してくれた。
戻ってきたサインを拝見すると、そこには「山田パンツ」の文字が。。。。。どうやら、マジで改名したらしかった。おそらく「山田パンツ」になってからの初めてのサインが僕の手元にある。
曲目
1.22才の別れ
2.22才の神田川
3.サラダの国から来た娘
4.静かな夜に
5.動物のうた
6.愛の唄
7.風になりたい
8.君と歩いた青春
9.シオン
10.落葉
11.好きだった人
12.風の街
13.君がよければ
14.うちのお父さん
15.おもかげ色の空
16.あの人の手紙
17.踊り子
18.加茂の流れに
19.妹
20.眼を閉じて
21.けれど生きている
22.神田川
23.黄色い船で
24.僕の胸でお休み
25.(アンコール)祭りの後
26.(アンコール)なごり雪
かぐやひものオリジナルCD「動物のうた」。カップリングは「22才の神田川」。裏面にメンバー全員のサインを頂きました。山田ラクダがパンツに改名されているのがわかります。
このCDジャケットは、「Clue D−SET」および「かぐやひも」に許可を得て掲載しています。
よって、転載など2次利用はお断りいたします。レポート協力:住職さん。ありがとうございました。