エラーに備えよ

人間は、どんな状況においても 間違い(エラー)を起こす可能性を持っています。ですから、そのことを配慮することが大切です。そして、デザインやシステムが人にエラーを起こさせてしまうようなこともあるのです。しかし、ユーザーはなかなかデザインやシステムに原因があるということに気づかないものです。そのため、普通何か間違ってしまったりすると、「あ〜またやってしまったぁ〜。ダメだなぁ〜私って。」なんて思う人が多いと思います。

 飛行機の事故などで、「人為的ミス」というようなことで問題になることがあります。パイロットの何らかのミスでその事故が発生してしまったということで、パイロットに責任が追及されることがあります。しかし、本当にパイロットだけの責任なのでしょうか?いくら訓練されたパイロットとは言え人間であることには違いありません。先にも書いたように、「人間は常にエラーを起こす可能性」をもっています。もし、飛行機のコックピットのデザイン的な面に問題があったらどでしょうか?場合によっては、エラーを誘うようなデザインである場合があるのです。

さて、ここでコックピットではないのですが、1つの例として、Windowsのウインドウをとりあげてみます。

Windowsのボタン左の図は、Windowsのウインドウ、タイトルバーの右上についている、ウインドウを制御する3つのボタンです。機能的には、左から「最小化」「最大化」「閉じる」となっていて、アイコンで表現しています。

実は、ここに『エラー』の発生を誘う大きな原因があるのです。

問題は、

Windowsユーザーだったらあるかもしれません。

 特に問題なのは前者の「最大化」しようと思っていたのに間違って閉じてしまう」ということなのです。最大化するということは、すなわちこれからもっと広い領域で、作業をはじめようと思ってそうしたはずですよね。ですが、どうです?閉じてしまったのです。これはとても不快です。最小化してしまったのならまだしも、閉じてしまうのはユーザーの行為の大きな障害となってしまうのです。

これは、ユーザーが悪いとは言えないでしょう…。このような全くフィードバックの異なる機能をもつボタンがすぐ隣にあるというデザインに問題があるのです。

「うっかり隣を押してしまっただって?」…いや、うっかりしてしまうことは誰にだってあります。人間は機械ではありません。完璧な行動なんてできません。ですから、うっかりしてしまう人間を考慮したデザインにしなければならないのです。

 うっかりしてても、そこに閉じるボタンがなければ、このエラーは発生しないでしょう。

 さて、話は飛行機にもどります。もし、このようなデザインがコックピットにあったらどうでしょうか?「ついうっかり」なんてことになってしまったら大事故にもつながりかねません。ウインドウの閉じるボタンだから、ことはそこまで大きな問題ではないのかもしれませんが、飛行や原子力発電所などであったら…考えただけでも恐ろしいです。したがって、パイロットだけに責任があるとはいえないのです。

では、どうすればいいのか?

 さて、1つの単純な解決法として、このようなものがあります。とはいっても、とても単純なことです。

Macのウインドウ

 これは、Macintoshのウインドウです。Windowsとは違って、「閉じる」のボタンだけが、ひだり側にあります。そして、最小化(タイトルバーだけにする)が一番右側、その左にサイズ変更があります。

 これなら、ウインドウのサイズを変更しようと思って、間違って"閉じてしまう"ということはなくなります。もちろん、この場合でもサイズ変更をしようと思って、間違って「最小化」してしまう…というケースはあるかもしれませんが、「閉じてしまう」という結果よりは、軽いものでしょう。

 このように、単に「ボタンの位置」だけで、エラーの発生を防ぐことが可能なこともあり、ホームページのデザインにも充分応用が可能なわけなのです。

■では、『ホームページ』において、これに似たエラー考えてみることにします。

アンケート画面 これは、某アンケートの最後の部分です。この前、私がアンケートに答えていると、左のような「次へ」と「取り消し」のボタンがでてきました。これは、もうインターネットでは当たり前のようなものですが、この配置って意外と何も考えずに配置している人が多いように感じます。

私は、ちょうど上に書いたWindowsのウインドウのエラーについて書いていた頃、このアンケートをやりました。

 そして、私はこのアンケートの図の中の「次へ」を押すつもりだったのに、間違えて「取消」を押してしまったのです。べつにわざとやったつもりはありません。というわけで、ほーむぺーじ論のネタとなってしまったわけです。

 また、このフォームの内容を1度、取消してしまうと、ブラウザの「もどる」では、復元できなくなってしまうのです。つまり、1度取消してしまうと、2度と書いた内容を復活させることができないのです。簡単なアンケートならまだしも、項目の多いアンケートなどの場合は、もう1度最初からすべて書き直さなくてはならないので、ユーザーは非常に"不快"に感じてしまうのです。なかには、アンケートに答えるのをやめてしまうユーザーもいることでしょう。

さて、まだあります。

 下の図は、ある出版社のホームページで書籍を検索できるシステムです。下の図をよく見てください。なぜ「条件クリア」のボタンが「さがす」より大きいのでしょうか…。ユーザーの目的は「さがす」ことのはずです。これは絶対に「変」ですよね。条件クリアを促しているようにも見えてしまいます。

アンケート画面 さらに、もう1つ「変」があります。もしかしたら、わざとではないのかもしれませんが、図の中に一番上のところに「Let's Go!!」と書いてあり、その下に▼が矢印としてかかれています。笑えます。矢印がさしているのは、「条件クリア」です。特に、この矢印がさしているからといって、ユーザーが間違って条件クリアのほうを押してしまうことが増えるということはない…とは思いますが、これは「不自然」です。

ちなみに、ボタンは以下のようにできるはずです。

最後に、もう1つ悲しいボタンです。これも某アンケートのページです。

 見るからにわかりますが、この特徴は何と言っても、ボタンが「大きい」ということです。送信もリセットも、非常に大きいです。これは、Windowsのボタンのように小さくて押し間違えるということは無いとは思いますが、送信もリセットも同じ大きさにするのは、よくないといえます。
  書籍検索でも同じことが言えますが、やはりユーザーの目的は「送信」するということでしょう。リセットすることも、もちろんありえますが、リセットは基本的にフォーム全部の内容を消してしまうわけですから、アンケートの場合はあまり使うことがないのです。(私の経験ですが、アンケートではリセットを使ったことはほとんどないです。)

 このように、アンケートにおいては「リセット」の重要性は二の次的なものです。もちろん、なくては困りますが、あまり目立つ必要はないのです。最初と最後に示したアンケート例では、「送信」も「リセットも」ボタンが同じ大きさであり、これだと全く価値が同じようなものにも見えかねません。ユーザーは書いたのなら送信したいと思うのですから、間違ってもそんなところで、エラーは発生させるべきではないのです。

 したがって、ボタンの配置や大きさでも、意味を示すことができるのです。「送信」のボタンを大きく目立つ位置に配置すれば、送信して欲しいということが、大きさから意味を静かに訴えることができるのです。

 言葉を使わずにわかることが、とても重要であるともいえるでしょう。文字などで説明しなくては、わからないようなインターフェイスは、あまり良いものとはいえないでしょう。

これらは、意外と当たり前のようなことかもしれませんが、当たり前すぎて忘れられていることもあります。ちょっとしたことで、アンケートの収集率をアップすることもできるかもしれません。また、掲示板でも同じです。ボタンのこと考えていますか?

というわけで、エラーについてでした。エラーは何もボタンの配置関係がすべてではありません。他のことでもエラーは発生します。Webだけでもありません。普通に蛇口から水を出そうと思ったら、シャワーから出てきてびしょぬれに…なんていうエラーもありますよね。ん〜原因は何でしょうか。みなさんも日常に潜むエラーの原因を探ってみると面白いと思います。そして、ホームページのデザインにも応用ができることでしょう。