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 リクウィッド§MSD美加パテ盛り半目記録 

初のパテ盛りカスタムに挑戦しました。
カスタムのテーマは『無表情』。
少女の中にある神憑りっぽい少し大人びた雰囲気を出せたらと思い、イメージを固めました。
以下、反省点だらけのカスタム記録となっていますので、ご参考程度にご覧下さい。


使用したパテ○ 材料
使用したのは、(株)ウェーブから出されているウェーブ・エポキシパテ・軽量タイプ(以下ウェーブパテ)と、ミリプット・エポキシパテ・グレードS(以下ミリプットパテ)の2種類です。
ボークスはもちろん、各玩具店、模型店でも入手出来るごく一般的なパテです。

パテは練り物状のA剤とB剤を混ぜ合わせる事により化学反応を起こし硬化する物で、柔らかい間は粘土細工の様に加工が出来ます。
完全に固まると石膏の様に堅く成り、カッターやヤスリで削ったりも出来ます。
パテの特性については、ガレージキット等を取り扱っているサイト様を巡ると詳しく載っています。
また、ボークスSRでも親切丁寧に教えて下さいます(心の師匠ヤマさん(仮名)に感謝)。

【メモ】
ウェーブパテ
硬化後の肉痩せが少ないので、ターゲットから剥がれ難く土台に適している。
ターゲットへの食い付きが良い。個人的に扱いやすかった。
追加で盛っても付きやすいが、伸びが少ないのでパテ同士の境目を馴染ませ辛い。
硬化が始まるとカッターでの成形は仕易いが、伸びが少ないのでヘラでの成形は難しい。

ミリプットパテ
硬化後は固くて表面処理もし易く、キメ細かく滑らかな仕上がりになる。
ターゲットへの食い付きはいまいち。追加で盛る時も水分が多いとパテ同士くっつき難い。
硬化が始まっても伸びが良いので、完全硬化するまで有る程度の補正が可能(やりすぎると間に空気が入って気泡になるので要注意)。但し刃物で切り取る、ヤスリで削る等の成形には無理がある(完全硬化後は可能)。


○ 下準備
ヘッドを1000番以上のヤスリで軽く磨きます。メイクの時の下準備と一緒ですね。
逆に、パテを盛る部分はパテの食い付きを良くする為に粗めのヤスリで少し荒げておきます。
ヤスリはスポンジタイプを使うとヘッドの凹凸もまんべんなく磨けて大変便利です。

次ぎに中性洗剤を薄く溶いた水で洗浄。ヘッドに付いた油分をしっかり取り除いてから良く乾かします。
パテは油分を特に嫌うので、後でパテがポロリと取れたなんて事に成らない為にもこの辺は結構重要。

パテの準備をします。
行程としては、しっかり食い付き肉痩せの少ないウェーブパテで基礎となる土台を築き、その上に仕上がりの美しいミリプットパテを重ねて形成する方法を採りましたので、まず最初にウェーブパテのA剤とB剤を同分量ずつ切り取ります。
瞼程度でしたら5mm程度で十分足りますが、あまり少量過ぎると練り難い上に、硬化速度や仕上がり強度にムラが出るので、慣れるまでは少し多目に切り取って使うと良いと思います。

パテが固くて練り難い場合は、湯煎に掛けると柔らかくなります(写真下)。
くっつかない様にサランラップで軽く巻いたパテをクリアパックに密閉してお湯に漬けます。
湯煎の温度はポットのお湯で十分です。5分から10分、軽く触って柔らかくなっていればオッケー。

パテをサランラップで巻いて   湯煎

【メモ】
パテを扱う時は薄手のゴム手袋を着用しないと肌荒れを起こします。

「私は手荒れしないから平気」と思った方も、素手で触っているとパテに手の油が移ってしまい、後々ひび割れが出来たとか、取れてしまったなんて事に成りかねませんので、やはりゴム手袋はした方が良いと思います。


○ 基礎づくり
下準備が出来たら、A剤とB剤をムラ無く混ぜ合わせ、目標に向かって盛り付けて行きます(写真下左)。
ヘラ等を使って造形を整えて行っても良いですが、私は削りの方が得意なので適当に盛った状態で硬化させた後、カッターとヤスリで形を整えました(写真下右)。

景気良く盛る整える

盛りつけ箇所はアイホールの上下。
アイホールの奥へストンと落ち窪んだ造形をリアルっぽくしたかったので、下側を少し上に持ち上げ前面に出しています。つまり目の下にクマの部分を作ったんですね。

【メモ】
パテの硬化速度は気温や湿度によって左右されますが、半日も有れば完全硬化します。
私はこの後にもう一度パテを盛るので、肉痩せによる剥離を防ぐ為に丸一日置いてしっかり乾燥硬化させました。


盛り終了○ 成形
ではいよいよ本成形です。
先に作った土台を覆う様に、今度はミリプットパテを盛って行きます。
なかなかイメージしていた表情を出せなくて盛って削ってまた盛ってを繰り返し、最終的に写真右の状態で落ちつきました。
目の形もココまで来るのに二転三転していますが割愛。結局アーモンド型が一番好きみたいです。

陥没した下唇もふっくらする様に盛り上げ、笑った口端を埋めています。
形が出来上がったら、やはり水分が完全に飛ぶ様に丸一日置いてから、1000番以上のヤスリで微調整をしつつ仕上げて行きました。

【メモ】
ミリプットパテは水溶性が高いので、形が決まったらパテがまだ柔らかい間に、指先に軽く水を付けて優しく表面を撫でつけながら均すと、キャストとの境目に出来た段差も綺麗に無くなります(完全硬化後は水に溶けません)。
こうすると表面もまるで貝殻の内側の様にキメ細かく滑らかに仕上がります。

この特性を活かして、パテが固いけど湯煎に掛けて柔らかくするのが面倒だと思った場合は、指先に軽く水を付けて練っても柔らかく成ります。
但し、余り水分を含ませ過ぎるとくっつき難く成る上、仕上がり後の肉痩せ量が増し、平らに盛った部分が硬化後陥没したなんて事になるので程々に。


肌色サーフェイサー○ 下地塗装・サフ吹き
パテ盛りが終わったら次は下地塗装です。
このままの状態ではキャストとパテの色が違い過ぎるので、キャストに近い色のサーフェイサーを吹いて下地塗装をします。
使用したのは、ボークスから出されているGKサーフェイサーの肌色(写真左)です。

私は出来るだけ元のキャストの質感を残したかったので、パテを盛った箇所のみサフを吹く事にしました。


サフを吹き付けたくない箇所をサランラップとマスキングテープを使って覆います(写真下左)。

サフ吹きは缶を良く振り、1〜2秒空吹きしてから、ヘッドをくぐらせる様な感じで吹き付けていきます。
一気に境目が分からなくなる程厚く吹き付けようとすると液だれを起こしてしまうので、一回の吹きつけは薄く、一回一回丁寧に乾かしながら数回に分けて重ね塗りをしていきます(写真下右)。

マスキングをして   数回に分けてサフ吹き

……というのがごく一般的なサフの吹き付け方ですが、私の場合はサフの吹き方がヘタなのか、吹き重ねて行くとだんだん表面がザラッとした質感に成って来てしまいましたので、一回吹いたら完全に乾かし、1000番以上のヤスリで軽くサフの表面を均してから次のサフを吹き付けて行きました。

左:ビフォー。右:アフターマスキングを取ると、まるで隈取りの様にサフとキャストの境目がクッキリ出来ていますので(左写真:左)、境目をヤスリで軽く均しながらキャストと馴染ませていきます(左写真:右)。

出来上がったら、つや消しトップコートで全体を軽くコーテシングしてから、メイクを施し完成です。

実は上記写真の状態の後、サフ前には気付かなかった研磨の甘い所や細かい傷、それとサフの吹き具合がどうしても気に入らなくて、メイクまでしたのに全部落としてパテ盛りからやり直しています。
盛って削ってを延々と繰り返し、サフだけでも3回も吹き直し、最後の方はいい加減疲れて写真を撮る気力も無かった為、最終的な仕上がり写真はありません。中途半端でごめんなさい。


最後に、
試行錯誤しつつ勢いだけで仕上げた初めてのパテ盛り。反省点は多々あれど一番の失敗は、瞼の裏側は5番開眼の要領で、全部出来上がってからドールアイが収まる様に削り出せばいいや〜程度に考えていて、基礎の段階でグラスアイの借り止めもせずに、いきなり目分量で瞼を作った為に、アイホールが不自然に歪んでしまった事です。
元々サイドグラスを想定してカスタムしていたので、右に視線を向けてグラスアイを固定すればそれ程歪みは気にはならないのですが、視線を正面に向けるとアイホールの歪みは一目瞭然(涙)。
なのでリクウィッドは正面を向く事なく、いつも不機嫌そうに何処か明後日の方向を見ています。
基礎は大事ですね。


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