平成12年(行コ)第27号

国営川辺川土地改良事業変更計画に対する異議申立棄却決定取消請求控訴事件

控訴人     蔵 橋 静 男  外

被控訴人   農林水産大臣  

 

上   申   書

 

平成15年3月31日

福岡高等裁判所第3民事部 御中

控訴人ら訴訟代理人

弁護士 板井 優

 

 控訴人らは、被控訴人の平成15年3月28日付口頭弁論再開申立書に対して下記のとおり上申する。

第1 これまでの裁判の経緯について

1 平成14年10月30日進行協議(「進行協議期日調書」)

   「(裁判所)

     次回口頭弁論期日においては、本件訴訟の終結を視野に入れた今後の主張立証予定・時期について、双方から意見を聴取する。」

2 平成14年11月29日口頭弁論(「第8回口頭弁論調書」)

   「(被控訴人)

     証人桐木正男の採否についてはしかるべく。控訴人らから新主張等がなければ平成15年1月24日午後1時30分口頭弁論期日を最終弁論期日とされても構わない。」

3 同          進行協議(「進行協議期日調書」)

   「(当事者双方及び裁判所)

     平成15年1月24日を最終弁論期日とすることを前提に、平成14年12月26日、指定済みの進行協議期日に先立ち、弁論期日を指定し、同期日において証人桐木正男に対する尋問(尋問時間双方各30分)を実施することとする。」

4 平成14年12月26日進行協議期日(「進行協議期日調書」)

   「(当事者双方及び裁判所)

     前回確認したとおり、次回平成15年1月24日を最終弁論期日とすることとする。

    (被控訴人)

     なお、上記各求釈明に対する回答の範囲を超えて、本件判決言渡までの間に、三条資格者の母数の調査確定作業を進め、同最終確定数についての新たな主張をするかどうかについては、被控訴人においてさらに検討する。」

5 平成15年1月24日進行協議期日(「進行協議期日調書」)

   「(被控訴人)

     本日、弁論終結することに異論はないが、三条資格者の総数調査は今後も続行し、その結果報告を行う予定であり、また控訴人らの最終準備書面に対する反論も行いたい。そのため、本件弁論の再開を求める予定である。

    (控訴人)

     本年3月中に三条資格者総数調査の結果報告がなされ、かつ、弁論再開を求める趣旨がそれに限られるのであれば異論はないが、さらに反論等を行うというのであれば弁論再開には消極である。

     判決言い渡しの時期は、本年5月を希望する。

    (裁判所)

     判決言い渡しの時期は本年5月中とし、本日の口頭弁論期日において判決言渡期日を指定する。

     仮に弁論再開することとなったとしても、特段の事情がないかぎり、本日指定する判決言渡期日は変更しないこととする。」

6 同         口頭弁論(「第10回口頭弁論調書」)

   「(指定期日)

     平成15年5月16日午後2時00分(判決言渡)」

 

第2 控訴人らの意見

1 「第1 これまでの裁判の経緯について」のなかで確認したように、裁判所及び当事者双方は、平成14年11月29日進行協議期日までは、平成15年1月24日の口頭弁論期日を最終弁論期日とすることで裁判を進行してきた。

2 ところが、被控訴人は、平成14年12月26日進行協議期日において、突如として、三条資格者の母数の調査確定作業のために時間を要するので、最終弁論期日を延長して欲しい旨申し出て、裁判の引き延ばしを図った。

  最終的に、控訴人らの意見を聞いたうえで、裁判所が合議を行った結果、「前回確認したとおり、次回平成15年1月24日を最終弁論期日とすることとする」との結論が下され、当事者双方これを了承した。

3 しかし、被控訴人は、平成15年1月24日進行協議期日において、本日弁論終結することに異論はないとしながらも、三条資格者の総数調査を続行し、その結果報告を行う予定であり、また控訴人らの最終準備書面に対する反論も行う。そのため、4月上旬に本件弁論の再開を求める予定である旨申し出て、今度は判決期日の先送りを図った。これは、本年3月末で裁判官が移動することを見越しての悪質な裁判引き延ばしと言うほかない。

  控訴人らは、本年3月末までに、三条資格者総数調査の結果に限った報告がなされ、同時期までに弁論再開がなされるのであれば異論ない旨表明したが、判決言渡期日の先送りにつながる最終準備書面に対する反論や4月以降の弁論再開に対しては強く反対した。

  そのため、裁判所は、進行協議期日において、「仮に弁論再開することとなったとしても、特段の事情がないかぎり、本日指定する判決言渡期日は変更しないこととする」と念を押したうえで、口頭弁論期日において、平成15年5月16日午後2時を判決言渡期日として指定した。

4 今回、被控訴人は、三条資格者総数調査の結果を報告する内容を含む準備書面を平成14年3月28日付で送付してきた。同準備書面が送付されてきたのは、3月下旬の押し詰まった時期であるうえ、代理人の事務所にFAXされた時間は当日の終業時間を過ぎた時刻である。

  これらの内容は、本年1月中に提出することが可能なものであることは明白である。すなわち、被控訴人は、もともと当初計画の同意署名簿を自ら所持しており、平成6年当時、これに基づいて変更計画の同意署名簿の三条資格者の特定を行ってきたものである。したがって、今更その特定作業に本年3月末まで要するはずはなく、提出時期を3月末にしたことに特別な意図があることは明らかである。

  今後、弁論を再開するとすれば、4月以降になるのは明らかであり、このような時期に弁論再開申立てを行うことは、本年4月に裁判所の構成が変わることにともなう審理のやり直しを事実上要求するに等しい。その結果、5月16日に指定されている判決言渡期日を先送りしようとする意図は、明白である。

   控訴人らは、被控訴人らのこのような裁判の引き延ばしを許容する考えは微塵ほどもなく、被控訴人らが、3月下旬の年度末ぎりぎりの時期に弁論再開申立てを行ったことを厳しく批判するものである。

5 裁判所におかれては、被控訴人の判決言渡期日を先送りの意図を見抜かれ弁論再開申立てを直ちに退けられるよう求める。

以上