2018年秋桜忌




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「壁を崩したい」菊池事件考える 菊池恵楓園で集い/熊本県
朝日新聞 2018.09.09 西部地方版/熊本 

 ハンセン病患者とされた男性が裁判所ではない「特別法廷」で裁かれ、無実を訴えながら殺人罪で死刑になった「菊池事件」を考える集いが8日、合志市の国立療養所菊池恵楓(けいふう)園であった。

 集いは「秋桜(しゅうおう)忌」と呼ばれ、男性の死刑が執行された日(1962年9月14日)前後に毎年、事件の再審を求める弁護士や支援者らが開いている。研修で参加した各地の弁護士を含む約100人が集まった。特別法廷による裁判手続きや事実認定の誤りを訴えて事件の再審をめざす、菊池事件国家賠償請求訴訟の現状を弁護団が報告した。

 菊池事件を伝える映画「新・あつい壁」(2007年、中山節夫監督)も上映され、関係者の座談会もあった。菊池恵楓園でもロケをした同作に出演した志村康・恵楓園入所者自治会長(85)は、男性の弁護人を含む法曹関係者の中にあった差別意識を指摘。事件とハンセン病問題に詳しい内田博文九州大名誉教授は「今も差別・偏見は残り、再審無罪を勝ち取るまでにいくつもの壁がある。当事者、家族、専門家のほか、市民一人ひとりが自分の問題として関わることで厚い壁を突き崩したい」と語った。(田中久稔)