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俳句航海日誌8500句目! 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月29日(土)20時03分28秒



             刺身包丁



8496         蕁麻疹ふきたる腕に秋の風



8497         空豆のはじけて終はる少年期



8498         水筒の水飲み干す正午夏つばめ



8499         板前の刺身包丁水澄まし



8500         仕舞屋で刺身包丁冷やしをり



●以上8500句完了・2001年9月29日(土)。



             (今日の名句)



             手にのせて火だねのごとし一位の実  飴山實



註・一位の古名はあららぎ。この実の透きとおった赤い果肉は、まさに火種の形をしている。そして、その実は大木となる生命を秘めている。
なお飴山さんは平成12年3月逝去。
  







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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月29日(土)18時34分17秒


             
             芋虫



491          肩で押す街の灯や秋のれん



492          居酒屋の灯に入る虫や秋のれん



493          病床に芋虫一匹落ちて来た



494          病室で芋虫這うを見てゐたり



495          愁ひつつ芋虫の葉病みてをり



            (今日の名句)



            人の死へ きらりきらりと光る 露   赤黄男



●この句は、赤黄男が絶望と荒廃の敗戦の焦土を彷徨った時の作だと言われている。

●清水哲男へ。やはりウイルスとしか考えられないよ。でも個人的テロみたいなウイルスあるのかなあ。吉祥寺のパソコン専門店、木村屋ではあると言っていたけれど。小生のマシンは正常らしい。











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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月29日(土)16時16分39秒



             サングラス



486          神学生テロに冷えゆく街灯り



487          渚にて原潜の夏沖に消ゆ



488          サングラス地下水道に冷えてをり



489          いなびかりたれか死ぬのか奈辺にて



490          秋風や妹の消息伝へてよ



            (今日の名句)



             父恋しみの虫鳴けば吾も又 伊藤榛名



●蓑虫も又、鳴くのである。有無。

●干論茶さん、駄目だ!以前のとおり依然として「増俳雑記帖」に繋がらない。送信すると、いつも「メイルアドレスを正しく記入して下さい」と出てくる。先日パソコンのプロに聞いたところ、それはサーバーの側に何らかのウイルスが侵入していて、小生の送信を妨害しているとしか考えられないと言う。清水哲男よ、早急に大家さんに問い合わせてよ。じゃによって干論茶さんメインとして、この掲示板の許可、改めてお願いします。








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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月29日(土)12時19分40秒



             無法松



481          お母さんほらもぎたての茄子の艶



482          大病のあとに独りや鮭茶漬け



483          居酒屋で大栗もらふ夕日かな



484          無法松稲穂の重き佐賀平野



485          信濃川落人風巻に秋の水



             (今日の名句)



             十月やミサに急ぎし牛鳴坂 伊藤榛名



●有無、坂の名とミサの対比が絶妙なり。

●今回8485句を以て「俳句手帖」15冊目を完了。

 










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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月29日(土)01時56分31秒



              赤い羽根



476           死期と四季走馬燈なり友の逝く



477           流木や敬老の日に川流れ



478           蕎麦味噌や独酌の秋暮れにけり



479           名流やその名も高き手取川



480           赤い羽根断食月へ祈りをり



●国連難民対策委員会、アフガン難民50万人に700億円を準備(日経新聞)。

●タリバン内部分裂の兆し。将校連中が逃亡し始めた。他方、アメリカ軍もイスラム原理主義のラデンのテロ首謀者説の確証なし。アメリカの反戦平和の世論も公用の兆し。戦争前夜は相当長引く模様。

成蹊大学情報データー部涌井修治氏と甲斐軍司令部発信。
















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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野) 投稿日:9月29日(土)00時17分11秒


             鳳仙花



471          船に乗り来る南蛮の冷し麦



472           鶏肉を浮かせて独り冷蕎麦



473           タイヤキの目玉を食べて秋の暮



474           鳳仙花生娘の帯あどけなき



475           御老女の立姿きれいな秋の帯



              (今日の名句)



               秋風や昼の銭湯出ず来れば 伊藤榛名



●有無、この句は「天」!















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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月28日(金)16時58分07秒




             悪魔の戦闘機



466          嗚呼夕日佐渡へ渡るや浮寝鳥



467          雁渡し佐渡の荒波越へゆけり



468          寒き夜に地震来るや蝸牛



469          アパッチのヘリ浮いてをり鷲の空



470          寒夜来る悪魔の翼飛来せり



米軍は「悪魔の戦闘機」呼ばれる夜間戦闘機を持っている。



            (今日の名句)



             鳳仙花孫の一人も持たずゐて  伊藤榛名



◎うむ上手いが「地」。



灯台薬学部の梵子、出番だ。ただちに壜詰サリンを持ってアフガン前線に出動せよ!貴君が国のお役にたてるのは、せいぜい、その程度だ。

甲斐軍指令部発信


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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月28日(金)13時55分23秒



             早乙女



461          五月女も齢経て家に籠りけり



462          早乙女の姿無き夜や田の鏡



463          涼月や風呂屋の煙突星一つ



464          文月や昼の銭湯われ独り



465          熱燗を傾けてをり手打ち蕎麦



             (今日の名句)



             うそ寒やキリストに似しテロの顔 伊藤榛名



この人は旧詩塾の塾生で「詩俳塾」に再入塾してきた女性。歌人馬場あき子とは昭和女子大で同級生。上田五千石の講座にいたとの事。実に上手い俳句の使い手なり













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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月28日(金)12時07分42秒



             空豆(はじき豆)



456          人情の廃れし夜にはじき豆



457          秋の蠅句帖を覗く蕎麦屋かな



458          初産の激しき叫びはじき豆



459          落雁の青き水面や空気銃



460          秋の空穴より戦争降りて来る



●「俳句航海日誌」8000句、長谷川祐一君、蕎麦屋の精さん(俳号・青山雁)の助けを借りてウィンのロムとマックCDを完成。某出版社と交渉中。


●昨日は旧「詩塾」の塾生、峰尾聡子さんと彼女の所属する同人誌「河」に「俳句航海日誌」の一部掲載の件で相談、実に十数年ぶりの再会。北里大学薬学部出身。しかし絶世の美女は少しも変わっていない。あのなあ、峰尾さん、もっとパソコンの勉強してよ。

●「戦争に賛成する輩を撲滅せよ!」 甲斐軍司令部発信














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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月27日(木)13時55分24秒



             野苺狩り



451          番傘の渋き驟雨や湯の煙



452          独り旅風に吹かれて鰯雲



453          秋分に盃傾けて線引きす



454          秋分の昼夜を分かつやテロリズム



455          黄野苺を狩り弁当箱のあふるるや



●長州での農少年時代、友達と山に登って良く野苺狩りをやった。空の弁当箱を持って行き、その弁当箱に黄色い野苺を、いっぱいにするのが楽しみだった。

●昨日は「詩俳塾」。18年間も良く続く。塾生の富田庸子さんより詩集「手」(詩学社)を手渡される。

この詩集、昨今、まれにみる優れた抒情詩集だと思う。小生がそう踏むのだから間違いなし。谷内さんには送るが、他の掲示板諸君、読んであげて下さい。

申込先。東村山市多摩湖町4の19の2

富田庸子

定価は2000円なれど切手代310円同封で結構との事。

●塾が跳ねた後、皓星社の社主、藤巻さんと新宿の居酒屋「ナベサン」で会う。もっぱら「同時多発テロ」の話。彼曰、「ブッシュと言う男、一元方程式の頭しか持っていない。だから映画「真昼の決闘」が大好きで、報復やリンチが好きなんだ。最低さ」云々。「なるほど、なるほど」云々。かくて車で朝帰り。





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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月24日(月)14時45分34秒



             髑髏盃



446          蕎麦の花美少女に指迷ひ込み



447          黒猫や満月一つ我にあり



448          このやふに家を出るのか蝸牛



449          還らざる川の水面に鬼やんま



450          髑髏盃光晴の墓にすみれ草



             註・金子光晴にアジア紀行集「髑髏盃」あり。



            (今日の名句)



            蟻地獄光陰を見てすごしけり 川端茅舎



●北丸さん、ニューヨークでの親しかった神父さんの死、ご冥福申し上げます。本日の朝日新聞には「沖縄米軍、フェンスの内側」と題して「軍の指令で遺書提出」との記事があります。これはブッシュが若い米国兵士に「国のために死ね!」と言っているのと同じですね。それに「死んでも名が分かるように入れ墨を」ともありました。沖縄米軍属の家族の母も「行かないで!」と懇願しています。ブッシュの言う「新しい戦争」は蟻地獄ならぬ「生き地獄」を新しく準備しています。

かつて、どのような戦争に於いても、特攻隊を例外にして、このような異常な国の指令は、あまり聞いたことがありません。米国の反戦平和の動きは如何?小生の知る限りの友人、知人達あるいは在日アメリカ人は「新しい戦争」に異議を唱えています。対岸の火事ではないからです。


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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月24日(月)12時19分23秒




             秋の蝶



441          関ヶ原すすき野貫く特急車



442          無宿人新宿御苑の落葉かな



443          吊革の手錠に似たる夏去りぬ



444          秋の蝶掘割り残す落城史



445          海底のトンネル轟音秋の風



            (今日の名句)



            頂上や殊に野菊の吹かれ居をり 原石鼎



10年前、小生が大事故で杏林大学病院に入院していたとき、当時、河出書房にいた大日向公男君(現・東京新聞嘱託)から「原石鼎論」(作者失念)をお見舞いに貰った事がある。その中で、この句が一番、気に入った。でもこの句、石鼎の代表作でありました。


ふむ「ぎふう」さん、436の句、このままでいいと思うけどなあ。あえて改稿すればですね。



             秋の雲浮きて形見の腕時計



ですか?となると、時計が止まってしまうかな。
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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月24日(月)01時14分10秒



             法師蝉



436          秋の雲流れて形見の腕時計



故・加藤温子さんに腕時計を貰ったことがある。seikou・DOLCE。その時計が本当に彼女の形見となってしまった。



437          城のある町にて眠る兜虫



438          風景の顔色変へる蜃気楼



439          血を流す国境線や雲の峰



440          文法の語尾変化せし法師蝉



             (今日の名句)



             かまきりの孤高は午後の風の中 鈴木石夫



●なるほどねえ。この類句は、ちと出来無いなあ。



             かまきりの草に揺られし独り旅  甲斐





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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月24日(月)00時16分59秒



             葱甘し



431          死後の夢骨の月出る寒鴉



432          哀しみや素知らぬ顔の葱坊主



433          言葉狩り人権狩りや秋の暮



434          葱甘し乳房独りの里帰り



435          戦雲の迅き日暮れも秋の暮



            (今日の名句)



            春寒やぶつかり歩行く盲犬 村上鬼城



            座頭市満月と犬連れて逝く   甲斐



●どちらが上等な句かと言えば、もちろん鬼城さん。

ところで、今スポーツ新聞が面白い。相撲も競馬も片隅に追いやられ「同時多発テロ」の記事を満載している。小生がアジトで手に入れた「スポニチ」は、何と一面から六面まで、その記事で埋め尽くされている。社説も義理人情も何もない。そこには生々しい事実だけが極彩色を使って掲載されている。彼らを不謹慎というなかれ。「増俳」でますます無茶苦茶な事をしゃべり始めた梵子さん、読むべし!

ははあ茂樹さん、でも十センチでも胎児は超音波で見る限り胎児なんですね。でも、生動のキック・ボクシングはしていない。でも有馬ひろこさんの句、そっとしといてあげましょう。女ってさ、美しい嘘をつく生物なんだから。
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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月23日(日)17時27分14秒




             蝶




426          首一つ夕日に沈め憂国忌




427          日の丸や殉死の風に夕焼けて




428          星条旗若き兵士の殉死行




429          てふてふや刑務所の堀越へてゆき




430          凍蝶の少年院や影法師




            (今日の名句)




            十ミリの胎児の動く星月夜 有馬ひろこ




新しい命の小さな星と満天の星月夜、この対比の仕方は見事である。しかし、この命の句、女性にしか書けない。小生は、勝つか負けるかで俳句を鑑賞する癖がある。とすると永遠に女性俳人には負け続けることになる。この際、性転換でもしてみようかな。笑止!(笑えないと言う意味)。



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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月23日(日)14時05分22秒


             星条旗


421          禿鷲の舞ひて母なる船出航す


422          対岸の火事とは見えず曼珠沙華


423          死者の数手毬唄から教へられ


424          星条旗はためく屍秋の海


425          無名鬼の墓にあふるる曼珠沙華


             (今日の名句)


             かなかなや陰画となりし兵の列 倉橋羊村


この句は戦時中の作品だろう。何だか今回の「同時テロ報復作戦」に出向く各国の兵たちを見送る人々の暗鬱な心情とダブル・イメージされてくる。

どうやらアメリカの臨戦態勢は、ほぼ整ったようだ。安全装置は外され、あとはアメリカの指の引き金を引くだけだ。しかし、闘うべき敵の姿は見えない。強引にアフガンを「敵」に、でっち上げテロ同様の特攻作戦を敢行する事を、既に決めてしまっている。愛国心で、振り上げてしまったブッシュの腕は、もうおろすことが出来ない。

ただ朗報もある。先日、ニューヨークで行われた学生・市民たちの反戦集会だ。

[waris NOT ANSaA」。本格的な戦争に突入すれば敵味方に関係なく無数の死者を出す。真っ先に死ぬのは若いアメリカ兵だろう。この戦争は「限定戦争」ではない。それに戦争には、前方も後方支援もない。むしろ後方支援の方が最も危険と言える。退路を断つて前方部隊を窮地に陥れる。おそらく長期戦になれば日本の自衛隊員も死ぬ可能性は大だ。その時にならなければ日本人は、事の重大さに気がつかないのかも知れない。

日本政府の真にやるべきこと、戦争の根絶はイスラム世界とアメリカの和解政策だったのに!







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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月23日(日)12時23分14秒



             七草粥




416          佃島濁りし川の冬鴎




417          古びたる扉の秋に結婚相談所




418          アフガンの雪山飢えに堪へしかな




419          病み上がり七草粥やわれ独り




420          七草に癒へしはじめて七分粥




             (今日の名句)




             曼珠沙華抱くほどとれど母恋し 中村汀女




この句も詠んで文字通り。鑑賞文不要なり。


干論茶さん。小生、この掲示板に一時、亡命を許されよ。我がマックの野郎、原因不明の病気で狂ったり!


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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月23日(日)00時53分20秒




                     鹿




411                  秋の蠅往生したる夜の膳




412                  安曇野や熟れたる山女割れ落とす




413                  月明かり浮き上がりたる袋角




414                  若草や悲鳴も立てず角落とし




415                  鹿鳴きに平家伝説昏きかな




                    (今日の名句)




               いまたしかにおたまじゃくしの笑いをり 土肥あき子




土肥さん、こんばんは。俳句文学館の「詩俳塾」の折りはありがとう。メイルにて注意はそのとうり。「おたまじゃくしは蛙の子」。「蚪蝌」は「かと」との読み誤り。しかし若くして結社「鹿火屋」の新人賞とは、お主、出来ますね。

掲示板でも作品見せて下さい。楽しみにしています!

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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月23日(日)00時02分48秒




407                  野天風呂桃のうぶ毛の乳房かな




408                  桃の花含羞の太宰に良く似合ひ




409                  白桃を冷やして独り朝の卓




410                  水蜜桃女と男の仲を持ち




清水哲男へ、この掲示板には繋がって「増俳」には繋がらないのは何故だろう?干論茶さん、めんどうでも俳句航海日誌、「増俳」に流して頂けますか?情けないことに小生、まだパソコン音痴、嗚呼!投稿者に清水昶(武蔵野)と書いても「武野」のになっている?























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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月22日(土)23時17分38秒





406            白桃や原爆の町冷えてをり




干論茶さん、増俳雑記帖に、どうしても送信出来ません。この掲示板に繋がりますように。えいっ!







































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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)        2001/09/22 12:23

新着 Access from kichijoji3-15.ppp-1.dion.ne.jp



            茗荷



401         家の灯やひと口麦酒うまきかな



402         空室の秋の病院千羽鶴



403         片隅にひつそり生きて花茗荷



404         仕舞屋で舌にしみいる茗荷汁



405         微笑して土から挨拶花茗荷



            (今日の名句)



          月光にいのち死にゆくひとと寝る 橋本多佳子



多佳子さんは凄い句を作るなあ!



●清水哲男へ。あのチエーンメイル、英語の八木君に読んで貰った。どうやら発信者はアラブ人らしい。それにスペリングが一つ間違っている。何らかの暗号だろう。

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8400句

俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/21 17:52



            虎落笛



396         戦雲に哀しき音色鳩の笛



397         冷麦を独りすすりて軒の灯よ



398         虎落笛鳴る夕暮れの鴉かな



399         雉子を撃ち人間を撃つ季節風



400         爆死テロにはあらず遠花火



            註・かつて「花火」は秋の季語であった。



            (今日の名句)



           蚪蝌の玉血を流さずに食い合へる 矢島渚男


           註・蚪蝌(とか)・蛙の卵



のどかな春の田圃で蛙の卵が血を流さず共食いしていると言う惨状。自然の摂理とは、そういうものだろうが、何だかね・・・

さて吉祥寺南口の飲み屋「舞来里」(ぶらり)とやらに、井川博年らと会うため、お出かけ。


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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/21 13:23



            テロの秋



391         新蕎麦をすすり清酒と喉仏



392         新豆腐掌にとろける嵯峨野かな



393         鳩吹きや山河の里に子を放つ



394         秋の闇次は火だぞと悲鳴かな



395         テロの秋窮鼠猫噛むやタリーバーン



小生もブッシュ演説を聞いた。アメリカの敵につくか味方につくか、この二者択一の論理は恫喝で、もはや理性を失った狂った論理だ。

この狂った国家的敵論理には「未来」がない。テロの犠牲者への哀悼と、報復とは次元が違う。今、日本の小泉は完璧にアメリカの尻馬に乗ってしまった。

日本政府には「国家意志」と、その主体性がない。自国にアメリカの基地を置いている、その意味が分かっていない。アメリカは「世界の支配者」として日本を単に利用しているだけで、日本人の誇りなど虫けら同然としか考えていないだろう。核の傘の翼下で日本を守ってやっている、だから日本も俺たちアメリカに金と軍隊を出すのは当然だ、と言う論理がアメリカ人に一般的だ。そんなのは欺瞞的口実だ!彼らは「アメリカの栄光」のために日本人を使い走りさせているにすぎないのだ。愚劣な親分に忠義をつくす腰巾着の日本人。世界から、そう蔑まれても致し方ないのが、今の我々日本人の現状であろう。

世界の株価が暴落し続けている。明るい材料は何一つないという。しかし最悪かつ唯一の希望は、なきにしもあらず。ハイエナが、やって来る。「軍需景気」というハイエナが・・・

アメリカよ、どうぞ戦争は、お早めに!下卑た日本人というハイエナは、そいつを永く待ち望んでいたのさ。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)      2001/09/21 00:52




            イスラムの鎖



386         たんぽぽや韃靼海峡夢明り



387         蝸牛戦雲に角縮めをり



388         戦雲の迅き流れや蝸牛



389         対岸の戦火ならずや蝸牛



390         イスラムの神の子鎖を月に架け



            (今日の名句)



            砂漠戒第一条眼を瞑るべし 津田清子



砂漠戒律第一条とは「眼には眼を・・・」かな?




追伸、再び。この掲示板のタイトル、青か赤でないとマックでは、よく見えない。緑、黄、白も駄目。








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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/20 22:01



            竹の秋



381         夏の月ドーヴァー海峡泳ぐ人 



382         蝸牛戦雲に首埋めしかな



383         緑陰に夕刊虚し星条旗



384         武蔵野に風を流すや竹の秋



385         竹の秋京の下宿を庵となす



            (今日の名句)



            滝落ちて群青世界とどろけり 水原秋桜子



「落とす」は他動詞。「創造主が滝を落とした」?それが無難な解釈だろう。それにしても秋桜子の句は壮大だなあ。

ところで、人類史上、未曾有な今回の「同時多発テロ」、我々は、その現場に立ち会った。これは、かつて無かった歴史的大惨事であり地球の生命があるかぎり悲劇として記録され続けるだろう。

ところが、「日本お赤飯派」の梵子のように事の重大さに気づかぬ人々も多い。隣の家の掲示板を、こそ泥して近所のテロが、ああだこうだと言っている場合じゃないんだ。言っていることは、テロ廃絶だけの正義ずらした小泉の売国奴と同じ穴の狢じゃないのか。あの野郎とは言いたくないが、可愛そうだが梵子よ、あなたは、完璧な馬鹿じゃない。清水哲男や高槻の榮太郎の暗黙の質問に答えられるだ老化?




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/20 16:44




            隠し妻



376         仲秋の花園神社や赤テント



377         爆死テロ大夕焼のひろがりぬ



378         八朔や郷士の門に熟れてをり



379         戦雲の松葉牡丹も散りぬるや



380         金魚草五弁の花や隠し妻



            (今日の名句)



            しゃぼん玉底にも小さき太陽持つ 篠原梵



この梵さんは、「日本お赤飯派」の梵ではない。1910年生まれ。東大卒。中央公論社在職。この句は子供に希望を見つけて遊んでいる句。太陽のまん丸と、しゃぼん玉のまん丸が象徴的。梵の非凡さは、常に梵の視点で事物を見ようとした所にある。高校の山岳部で、そういう高さから角度からの視点も身につけた。しかし梵は「犬の馬脚」(戦争責任論)などにも敏感で、キッパリ句作を止めている。そのような潔癖な姿勢が、うちの梵子と決定的に異なっている。









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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/20 13:36


            花魁草(おいらんそう)


371         花魁草都の隅で色をつけ


372         おじぎ草病床に挿す少女かな


373         黒百合や威張るなお主高嶺の花だとて


374         どぶろくを呑みて終はりの暑気払ひ


375         片栗粉溶かし離島の星の砂

          
            註「砂の星」珊瑚の砂。


           (今日の名句)


          鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな 久保田万太郎


万太郎の生涯は孤独であった。小説家、劇作家としてはトップであり、彼にとって俳句は余技にすぎなかったが鈴木真砂女らを育てた。しかし、しかし妻は自殺、再婚しても長男に先立たれ、ついに一人暮らし。「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」などの名句は、そのような彼の背景から生まれたものと思われる。芥川龍之介は、子規以後、虚子・碧悟桐を除いて残るのは「東京が生んだ嘆かいの発句」として万太郎を絶賛している。

でも皮肉なものだなあ。我々は、彼の余技とした俳句は知っていても、小説や戯曲は、ほとんど知らない。

以前の「余白句会」で小沢昭一さんがしゃべっていた。万太郎に会った折り、一句、色紙にしたためてもらったが、その紙が小沢さんのノートの切れ端であったため、奥さんが紙屑と思い屑箱に捨ててしまったらしのである。嗚呼、馬の耳!









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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/20 11:45



            刈田



366         りんだうやりんりんと鳴れ母の花



367         片栗の花いちめんの夕日かな



368         野の花も筋金入りの野菊かな



369         ランボーの秋も茶色い戦争ありました



370         刈田跡トラクタ一台錆てをり



            (今日の名句)



  短夜や乳ぜり啼く児須可捨焉乎(すてちまおか) 竹下しづの女



とにかく、この句、斬新で面白い。「うるさいから捨てちまおう」と言うのではなく「乎」によって母性愛を表している。彼女は、まだ学生時代の金子兜太を育てている。

ところで、この掲示板に傑出した俳人が現れてくれないかなあ。そうでないと単なるネット俳人として馬鹿にされるのが「落ち」だ。

なお小生は、俳句を「一行の現代詩」と考えている。

谷内さんのHPを初めて拝見。「お気に入り」に入れる。貴兄は「狸」ではなく「パンダ」に似ているのか。その可愛い写真を載せると宿敵奇十も態度を変えるかも(大笑)でもないか?





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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/20 01:19



            落し水



361         水澄みて武蔵野の穴覗きをり



362         口笛を吹き鳴らしたる刈田道



363         秋の水剣山に張り花活かす



364         秋の水笛の流れや祇王寺



365         嵯峨野にて闇の匂ひや落し水



           (今日の名句)



霧黄なる市に動くや影法師 漱石



1902年(明治35年)、漱石は子規の死を官費留学の英国で知って、虚子宛に「手向くべき線香もなき暮れの秋」など5句を書き送った。この揚げ句も、その一つ。

掲示板が、やたらに賑やかになったなあ。しかし「泰山鳴動して鼠一匹」てなところ。皆様、ご苦労さんです










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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)       2001/09/19 21:54



            戦争論



356         夕月や白骨温泉人気なし



357         夕月夜たれかの悲鳴糸引きぬ



358         殺し合ふ秋を哀しむや自爆テロ



359         戦争の秋来るやも神の糞



360         テロリスト廊下の隅に立つてをり



            (今日の名句)



            戦争が廊下の奥に立つてゐる 渡辺白泉



註・白泉・1939年、「京大俳句」に招かれ、この句を初出。翌年、同誌に対する弾圧事件に連座し起訴猶予となるも執筆禁止。享年56。


お〜い、「日本赤飯派」の梵子、この掲示板はあなたに於いてにぎやかなり。この暗鬱な戦争景気を吹っ飛ばす、一言が欲しい。もっと元気を出せ。だども他人の愚痴は駄目だぜ!









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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/19 16:16



            苺潰し



351         牛乳に苺を潰す少年期



352         列島に苺潰しの唄流れ



353         お寺の子遊ぶ者なし蛇苺



354         青春の苺白書は書かれざる



355         戦雲の模様眺めや冷し酒



            (今日の名句)



            驚愕の目をもて鯖の売られをり 赤尾恵以



この句は「雉の眸かうかうとして売られけり」(加藤楸邨)の一句にはかなわないが、女性俳人には珍しい(台所俳句ではない)活気と勝気がある。













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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/19 12:43




            斑猫(道をしえ)




346         戦雲の路傍にひそむ道をしえ




347         穀象の無職渡世や風まかせ




348         散歩道ひそか鶯の落し文




349         書斎の灯思惟小さくててんと虫




350         湯呑み這うテントウ虫を殺さざる




            (今日の名句)




            爆死子の墓斑猫のいきどまり 下村ひろし




爆死子とは、原爆か戦争での死なのか良く分からない。しかし戦後俳句は、風雅の道、花鳥諷詠の道から大きく外れ始めたようだ。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/19 10:45



            秋の蚊



341         往生際悪し秋の蚊皆殺し



342         秋の蚊や闇の跳梁に激怒せり



343         哀れ蚊や情け無用に処刑せし



344         秋の蚊や渾身の力刺して死す



345         秋の蝉遙かな里にて鳴きとおす



            (今日の名句)



            蛇逃げて我を見し眼の草に残る 虚子



執念深い蛇の性。それを短編小説のワンカット風に描いている上手さが、この句にはある。

ところで干論茶さん、うちの梵子が、他人の家に、こそ泥に入り、また悪さをしているようですね。あの子は生まれつき性根が腐っているので、せめて料理でもと思い朝日カルチャーセンターの料理教室の「お赤飯の作り方」を教えたところ、何を勘違いしたのか「お赤軍の作り方」を覚えてしまい、料理と政治を混同して無茶苦茶になってしまったようです。梵子は、この掲示板が生まれたての頃は、未だ眸のパッチリした子でもありましたが、親の遺伝が子に祟り・・・と申しますか、今は、薄ぼんやりと眼が濁りグレてしまったこと、もう世間に申し開きが出来ません。政治音痴の馬鹿、無能の痴呆症「お赤飯派梵子」に、現在の風雲急を告げる政治状況いくら話した所で無理難題の河童の屁。知能指数はゼロ。人品卑しく、屑野郎。半殺しにしても結構毛だらけ猫灰だらけ猿のお尻は真っ赤っか・・・あら、なんか差別用語使った歌詞欄?

くだらないことは、ともかくとして世界中が固唾を呑んで注目している戦争いったい、どうなるのだろう?自然のテロ、颱風18号、関東地方を目指して直進中!

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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)         2001/09/19 00:23



            秋海棠



336         ほろほろと涙もろしや秋海棠



337         うつむきて何か恥じらふ秋海棠



338         蕎麦の花風のおいしい蕎麦屋かな



            註・吉祥寺の蕎麦屋「中清」さんえ。



339         コンドルが飛ぶ山河あり風涼し



340         イスラムの熱砂争ふ鷲と鷹



            (今日の名句)



            痰一斗糸瓜の水も間にあわず 子規



本日、9月19日は子規の「糸瓜忌」。「をととひの糸瓜の水も取らざりき」とともに、この句は死の前日の絶筆。

わが家の隣は200坪はある篠一族の豪邸。篠家とは毎年、武蔵野市の指定記念物の大欅の落ち葉をめぐって争っているが今まで、そこに住んでいる住人の一人が中野好夫の次男で元全日空のパイロットだととは知らなかった。先日、蕎麦屋「中清」で、その人とハイジャックの話をしていたら仲良しになり申した。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/18 20:20



            五番街



331         月のぼるビル焼跡に秋の雨



332         駄々子の颱風青き沖迷ふ



333         朝帰り朝顔に水打ちて寝る



334         新涼や鴉鋭き五番街



335         泥沼に高貴な鷲の舞ひをりぬ



            (今日の名句)



            死に死にてこ々に涼しき男かな 村上鬼城


            
     目から死に耳から死んで暮れの春と其角の詠めりしに答ふ



註・「目から死に耳から死ぬということは、年を取って老眼となり、耳が遠くなっていく状態をいう。


上野さん、「干論茶の掲示板」で「株の空売り」の仕組み初めて知りました。さすが元野村証券の悪。それにしてもラデンという若造(44歳)敵ながらお見事、もし戦争が始まったなら、その莫大な資金をイスラムの聖戦に投入するのは必須。アメリカの勝算は、まずありえない。湾岸戦争の二の舞で、唯、双方、虚しく殺し合うだけ。

吉祥寺のアジト蕎麦屋(中清)で、また密談いたしましょう。


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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)       2001/09/18 17:30



            田鏡



326         処刑台倫敦塔は霧の中



327         渓流で眼鏡を洗ふ蝶一葉



328         まぐわひの夜懐かしや菫草



329         水瓶の水汲みてをり母微熱



330         田鏡に月を浮かべて人の声



余句          山猫とどんぐりころころ日暮れ時



            (今日の名句)



            暗黒や関東平野に火事一つ 兜太



            火事一つ武蔵野の闇に穴が空き 甲斐










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16464 Res 俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)       2001/09/18 13:18



            霊安室



321         針山や月夜の人魚いまいずこ



322         車椅子鶏頭の庭止まりをり



323         霊安室庭に真っ赤な曼珠沙華



324         採血の列や爆死のビルの秋



325         海ゆかば水漬く屍や原爆忌



訂正(今日の名句)   禿鷲の翼片肺飛行かな 甲斐



            (今日の名句)



          悲鳴にも似たり夜食の食べこぼし 波多野爽波



先刻まで、にぎやかに夜食を取っていた会社の連中が仕事に戻った後の食卓は(悲鳴にも似た)惨憺たるもの。爽波、平成3年逝去。享年68。


昨日、皓星社より俳句航海日誌8000句を巻き込んだテキストとMOを落手。ありがたし!さて、どのように、これを紙にするか思案中。





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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)      2001/09/18 02:38


            鶏頭


316         極道の祖父野放しや葉鶏頭


317         鶏頭の農少年に夕日かな


318         鶏頭の写真を開く夜の風


319         寒村や真昼の鶏頭憂しきかな


320         仏壇に祖父の鶏頭烏骨鶏


改稿314       向日葵や無名戦士の奢りかな


            (今日の名句)


            禿鷲の翼片方づつ収む 飯島晴子


            禿鷲の翼方肺飛行かな 甲斐


今日的状況を考えれば晴子より甲斐の句がいい。

ところで今回の米国本土防衛報復作戦、沖縄の嘉手納基地からF15イーグル戦闘機が発進するのは必須のようだ。アメリカは、湾岸戦争の時もそうだったが、戦争を、あたかも西部劇のように考えている。冗談じゃないぜ。

今、世界中の株価が暴落しつつある。アラブの原油は暴騰する気配。そうなれば、いつ世界大恐慌が来てもおかしくない状況だ。何が「星条旗よ永遠なれ」だ。

聞くところによるとアメリカ情報部は、全世界のパソコン通信をチエックする能力があるという。ならば、この掲示板も拾って貰いたい。日本の詩人のひとりとして今回の米国政府の軍事行動に抗議する。

「21世紀の不吉な幕明け、(ノーブル・イーグル作戦)を、直ちに中止せよ!さもなければアメリカの正義と権威は永遠に失われ、永く米国の汚点として、この戦争は後生の歴史に残るであろう!」。

清水昶。9月18日署名。

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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/18 00:31


          

            高貴な鷲




311         白昼夢燃えるキリンの話しをしたい




312         仰がざる夜の向日葵死者の数




313         十字架の向日葵繚乱たりしかな




314         向日葵や無名戦士の奢り許さざる

 改稿314       向日葵や無名戦士の奢りかな



315         禿鷲の眸かうかうと何狙ふ




米国本土防衛報復作戦名は「ノーブル・イーグル」。これは米国の国鳥ハクトウワシを象徴して名付けられた。この空爆は1991年の湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦と同様、米国テレビのゴーウルデン・タイムの報道が有力。同時刻はアフガンの早朝に当たるため「暁の空漠」になりそうだ。(ある通信社の情報より)。











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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)      2001/09/16 12:43




            牛丼



306         夏ばてに喰う牛丼の恐ろしき



307         牛丼の汽車に牛飼う秋流れ



308         牛丼の牛狂ふやも秋の暮



309         山小屋は自生の蕗の天下取り



310         みづみづし老母の目覚め蕗剥きぬ



            (今日の名句)



            秋風や子無き乳房に緊く着る 日野草城



            註・緊(かた)



「エロスの開拓者、日野草城」と言うのが彼の一般的評価。1958年、肺結核で逝去。享年56。









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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)          2001/09/16 11:00



            唐辛子



301         主知的に酒飲み蕎麦屋の唐辛子



302         処女独り唐辛子に舌夕日かな



303         青ざめて仰天真っ赤に唐辛子



304         腰までも恥じらう少女唐辛子



305         唐辛子赤面症の日暮れかな



            (今日の名句)



            今日も干す昨日の色の唐辛子 林翔



通勤途上、毎日見ている何処かの家の筵干しの唐辛子。秋の色が眼に沁みる。この際「赤トンボ羽を取ったら唐辛子」といった下品な鑑賞は止めよう。

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8300句
俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)        2001/09/16 03:09



            里芋



296         里芋の掘りて深夜の野盗かな



297         里芋の喰うや喰わずやテロリスト



298         密談の頭里芋の蒸けるまで



299         里芋の母売る話太りけり



300         里芋の頭あつめて噂かな



            (今日の名句)



            鷹匠の指さしこみし鷹の胸 橋本鶏二



彼は虚子をして、その句は「鉄腕一打,自然従順」と評せしめた。鶏彼には鷹の句が多く「鷹の鶏二」とも言われた。


ところで神戸のお富さん、今日は。瀬尾育男の「人間虫けら論」は湾岸戦争の折。どうも納得しかねた記憶あり。それにしても貴兄、元気になったなあ。








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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)         2001/09/16 01:23



            流氷の唄



291         仰ぎ見る昴の光烏骨鶏



292         わが非力包み隠さず昼寝かな



293         ほろほろと暮らす仏具師秋深し



294         流氷の唄聴こえ来る怒濤越え



295         報復てふ永遠の郷曼珠沙華



註・クリスチャンの詩人石原吉郎に「報復と言う永遠の正しさ」と言う謎のような言葉がある。イロニーなるや。はて?



            (今日の名句)



            芋嵐猫が髯張り歩きをり 村山古郷



里芋の葉を翻すほど強い風が吹く畑の中を猫がぴんと髯を張って歩いている。面白いじゃございませんか。


ニュヨーク茶袋さん御無事で何より!こちらは情報に飢えている。連絡願います!





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16365 Res 俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/15 23:50



            報復



286         栗を剥く独り少女の子守歌



287         いが栗を叩き落として子らは散り



288         風韻のアリラン峠や秋の風



289         コーランと聖書血の海秋の暮



290         報復は答えにならぬと座禅草



ニュヨークの街頭に「愛の許しを!報復は答えにならない」というビラがあったという。(NHKスペシャル)。せめてもの慰めだ。



            (今日の名句)



            八頭いづこより刃を入るるとも 飯島晴子



芋としての八頭。奥野まやは、この句を説明して曰く。「俎板とも包丁とも、いや、芋とすら表記されていないこの句から立ちあがってくるものは、われわれの文化のはるか深い古層に棲息している八岐大蛇の姿だ。読み手は無意識の裡に、剣を手に持ったスサノオに自分を重ねることになる」。

飯島晴子は平成12年、6月6日、80歳で自宅で自殺。彼女とは昔、一度だけ講演会で顔を合わせたことがある。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/15 20:32





            鯰(なまず)




281         天動説満月窓辺で聞いてをり




282         地動説山椒魚や岩穴抜けられず




283         蝸牛宗教戦争に首を出し




284         天地狂乱鯰も沈む沼の水




285         殉教の爆死許すや芥子の花




同胞たちよ。私は不帰の旅に出ることを決めました。この虫の羽ほどの価値もなく、影のように消えてしまう、楽しみの少ない世界に戻ることはないでしょう。

私は偉大なる神が私を受け入れ、予言者や信仰者や殉教者や善行者らと共に真実の座を与えるようお願いします。(中略)私は武器を取って殉教者の道を進み、ユダヤ人が我々の息子達を毎日殺しているように、彼らに破滅と破壊を味わわせるでしょう。(イスラム過激派ハマスの自爆テロを実行した大学生(23)の遺書)。朝日新聞9月15日号より。








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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/15 18:32





            白芙蓉




276         酔ひ覚めの酒の旨さや秋すだれ




277         酔芙蓉戦中戦後崩れ咲き




278         特攻の雲流るる果て白芙蓉




279         友逝きて一期の夢や白芙蓉




280         女酔ひ崩れむばかり白芙蓉




            (今日の名句)




            落日の獣身を寄せ嘆き合う 三谷昭




敗戦の混乱期の1947年の作。獣のような人間の悲しみが滲み出ている。彼は「新興俳句」の旗手でもあった。無季定型を一行詩とした。



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16351 Res 俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/15 17:22



            底紅



271         遠吠えの月へ狼ニュヨーク



272         殺し合ふたれかの叫び月の猫



273         訪ねてもお化け屋敷に白木槿



274         母黙す底紅の家風の里



275         底紅や里は落人部落かな


             
            底紅・木槿



            (今日の名句)



            非常口に緑の男いつも逃げ 田川飛旅子



非常口に緑(みどり)の男が逃げる。うむ、気持ちは分かるが、小生は、あまり買わない。他に「犬交わる街へ向けたり眼の模型」あり。









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16350 Res 俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/15 14:21




            魔の火曜日(於・ニュヨーク)




266         旅客機の木っ端微塵や積乱雲




267         飛行する客爆死せり夕焼けて




268         操縦士積乱雲の果てまでも




269         母子草哀しむなかれ大量死




670         操縦士サングラスの果て何思ふ




註・米国同時テロ事件を俳句(文学)にするには困難をきわめる。何故なら、テレビ映像の方が、その惨事の悲劇を圧倒的な迫力で伝えてくるからだ。次元は違うが、「飢えた子の前で文学は可能か」というサルトルの昔の命題を、ふと思い出す。













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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/14 16:59


        
            アリラン



261         海胆割りて夕日の砂に貝の唄



262         並脚の馬の少女や秋の風



263         邯鄲の琴線ふるる夜の底



264         蟻地獄覗きても罠テロリスト



265         アリランの谺呼ぶかな秋の風



            (今日の名句)



            一度死ぬ再び桔梗となるために 中村苑子



ふむ苑子さん「死んで桔梗になりにけり」ですか。いいですね。「死んで花実が咲くものか」て、あれ嘘ですよね。













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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/14 13:26




            五月闇



256         秋風の山頂独り餓鬼大将



257         蟷螂や斧振り上げたまま風の中



258         雄を喰ふ雌蟷螂や母性愛



259         秋風も修行するなり芭蕉庵


            変哲氏へ



260         五月闇何処に飛びしやテロリスト



つねずねアメリカン「民主主義」というものに疑問を持っていた。そこには、あらかじめ詭弁が潜んでいる。「民主主義」=「絶対多数の絶対幸福」。これは数に於ける強者の論理で当然そこからは弱者は、はじき飛ばされる。

ここで拙者の小咄をひとつ。中学時代、級長の選挙があった。結果は、あらかじめ決まっていた。小野君は秀才で、体育も抜群、したがって女子学生にももてる。それに先生に媚びる才能も充分。

結果の分かっている選挙なんて面白くも何ともない。そこで小生ら落ちこぼれ悪童連は考えた。「副級長」のポストがポッカリ空いているのである。そこで小生らは、そのポストに狙いを絞った。結果は予想道理、小野君が圧倒的多数で級長、そして小生は、圧倒的少数のたった4票で副級長。それを称して「弱者とその誇り」(寺山修司)と言う。








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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/14 03:13


            黒葡萄


251         信玄も喰ひたり笛吹川の黒葡萄


252         家族あり葡萄の房の重さかな


253         寂として熟れし巨峰や甲斐の里


254         贈られし母の大粒黒葡萄


255         巨峰剥く果汁は甘き母の味


先日の「余白句会」の採点に誤記があったようだ。ゲスト小沢昭一の採点が正しい。(俳句朝日9月号・連載俳句武者修行)


天        歯ならびを立夏にさらす馬の顔 紙子(14点)


地        打水の虹を跨いで帰りけり ズボン堂(11点)


人        祭屋台出っ歯反っ歯の漫才師 変哲(7点)


なお       歯磨粉散る朝顔にご挨拶 甲斐


の句には小沢昭一(俳号・変哲)が「客」を入れている。そして彼は次のように書き添えている。

話はそれるようですが、私ども俳優の世界も、各人各様のアヤフヤです。でも、長いこと仕事をやってきた今の私の思いは、俳優は一に稽古、二に稽古。そう言う繰り返しを続けている内に、各人各様オモシロサが自然にそなわってくる。俳句もおなじでしょう。とのかく句を作る。他人様の句に接する、これが積もり積もって、自分の句できあがっていくのでしょう。つまり「修行」ですな・・・・と、表現に近づけるなであります。がってん昭一、と言いたいところだが小沢さんは哀しいかな全部手書きでパソコンを持っていない。






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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/14 00:30



        
            山姥



246         嫁がせむ娘針山の京鹿子



247         幾山河越へて残生朧月



248         原爆忌とんとん叩くは風の音



249         露天風呂月の光に溢れをり



250         かなかなの鳴く里山姥老ゆるなり



            (今日の名句)



            秋風や褒貶を聴く耳ふたつ 石原舟月



この作者は評論めいたことはほとんどせず、師蛇笏の俳句信条を全面的に信頼して自らは句作に専念した。この句は作者46歳の折の作品。他に「風花のかかりてあをき目刺買ふ」あり。


冬月君、しゅうさん、削除は一番下の番号を使えばすぐ消える。上の「取り消し」は駄目。









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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)     2001/09/13 21:32



            馬冷やす



241         激怒して牛馬と戦車冷やしをり



242         馬洗ふ疲労戦争前夜かな



243         馬冷やす黒き眸の眼に涙



244         馬冷やす天国地獄紙一重



245         ビル炎上馬冷やす暇零時なり



            (今日の名句)



             炎上のビル半月のなほ削られし 絵馬



検索で「タリバン」を引くとテロ報道の12日の日経情報が出てくる。米政府はアフガンに本気で報復戦争を仕掛けるかも知れない。あとは時間の問題のような気がする。













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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/13 18:57



            初鰹



236         黒潮に身を遊ばせて初鰹



237         鰹船黒潮に乗る魚師の逞しき



238         とつくりを転がし居酒屋初鰹



239         鰹節削りて出し汁朝薫り



240         踏切や夏の終はりの蛇の飢



            (今日の名句)



           目には青葉山郭公(ほととぎす)初鰹 素堂



青葉・郭公・初鰹と3つの季重なりで、この句ほど現在まで愛唱されている句はめずらしい。しかし「郭公」が、どうして「ほととぎす」なんだろう?













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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/13 17:20





            麦の秋




231         胸の内秘めし鬼をり泉汲む




232         叱られて麦の穂そよぐ少年期




233         大風の去りし列島麦の秋




234         天の邪鬼幼き山河偲ぶ秋




235         異郷にて秋思無きかなテロリズム




            (今日の名句)




            りりりりと蟲りりりりとりりと蟲 原月舟




今のところ、この句はオノマトペの最高傑作の句かも知れない。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/13 14:00



            狂牛病



226         吹き荒れし屠殺の秋の淋しさよ



227         牛殺し淋しき蝿の牛舎かな



228         颱風が去りて昏き牛舎かな



229         秋昏れてそして蒼ざめた馬を見よ



230         火襖の秋震撼とビル崩れ



昨日の「詩俳塾」で塾生の御主人が世界貿易センターに以前、勤務していたことを知る。「対岸の火事」にあらず。

世界経済の中枢であり、アメリカの権威の象徴のビル爆破は、ある意味でテロリストたちは大成功を収めたと言える。暴力革命であれ資本主義革命であれ、あらゆる「革命」は、まず経済の攪乱を狙う。しかし民間人を巻き込んでの無差別テロは卑怯きわまりない。今後、彼らは「世界の孤児」となることは必須だがアラブ、アメリカ、イスラエルの「目には目を、歯には歯を」の民族闘争、宗教戦争は2001年の今回のテロリズムを以て苛烈をきわめるのも事実であろう。我々日本人は「どうすりゃいいのさ、思案橋」。表現者としては埴谷雄高風に「思惟の永久革命者の悲哀」を再認識するほかあるまい。


掲示板の皆さんへ。タイトルは「青」でないとマックでは、ほとんど見えない。「青」姦にしてください。










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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/11 20:08



            満月



221         蟲殺め嬰児深夜を這いまわる



222         酔ひ給え俺はやくざなすがれ蟲



223         大風の去りて深夜の蟲しぐれ



224         満月や垂れし教会の縄梯子



225         満月や階段のドア閉めてあり



            (今日の名句)



            死期といふ水と氷の霞かな 斉藤玄



斉藤玄・1980年1月、直腸癌で永眠。享年66。玄にとって「死」は、いつも眼前のものとして存在した。


ふむ、長谷邦夫さん、唐十郎の「チビ太の風の又三郎」ですか。面白そう。漫画にしていたら演劇とは違う味が出せたかも。唐十郎とは、昔、奇妙な喧嘩をしたことがありました。それも、みんな昔のこととなりました。ころでメイルの故障直りましたので連絡下さい。








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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/11 18:09




            台風一家




216         雨颱風やり過ごす間の河童酒




217         土砂崩れ暗き颱風一家かな




218         喜々として雨颱風や屁の河童




219         颱風を慈雨と喜ぶ河童連




220         雨雲を道連れにして颱風禍




            (今日の名句)




            戦どこかに深夜水のむ嬰児立つ 赤尾兜子




この句は無季。ダリ風の超現実的手法であるにもかかわらず、奇妙に生々しい感覚が見えてくる作品だ。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/11 16:17





            颱風禍




211         責任を問はむ颱風人殺め




212         人も樹も薙ぎ倒し颱風高笑ひ




213         多摩川の岸辺の家族颱風禍




214         雨颱風硝子窓打つ不意の客




215         鉢植を転がし颱風舌打ちす




            (今日の名句)




          颱風禍しずかに寝ねて死にちかき 橋本多佳子




ま、そういうこと。関東圏から颱風15号は、あっと言う間に去った。多摩川の増水、決壊が心配だ。後2日間は要注意とのこと。



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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/11 10:11




            野分



206         旅の人野分に傘と口すぼめ



207         久米島に颱風洗ふ珊瑚礁



208         大風の蓑虫吊す一軒家



209         蜜蜂の女王大風を刺し迎へ



210         在りし日の歌はいつでも野分かな



            (今日の名句)



            夏草に機缶車の車輪来て止まる 山口誓子



茂吉の写生はちがう。実相を観入して、自然、自己一元の生を写す、のである。自然に自己の生命を投入して、自然と自己の合体した(生)を(いのち)だと言い、写生は(いのちを写す)のだ言った。写生がかかるものなら俳句でもそれを実行しよう。私はそう決心した。(誓子)。


でもさ、いくら誓子が茂吉の信奉者だからといって、この文章、当然の当たり前、生真面目すぎはしないか?


東京地方、ただ今、暴風圏に突入!




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)    2001/09/11 02:00





            1つ目小僧




201         からつ風忠治の墓や曼珠沙華




202         谷の百合咲かずまぼろしの日本軍




203         傘を挿す一つ目小僧の花野かな




204         風の山小僧を飛ばす里の秋




205         颱風が来るぞと蟲の脅し鳴き




            (今日の名句)




            邯鄲の骸透くまで鳴きとほす 山口草堂




註・邯鄲は鳴く虫の女王として親しまれている。低くて何の抑揚もない単調な鳴き声だが、その声に幽玄の響きを感じる人が多い。(鳴く虫の博物誌・原富和夫)。
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8200句
俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)  2001/09/10 23:51



            鐘の鳴る丘



196         荒野より蝶来るらし鐘の音



197         犯罪の匂ひや野辺の芥子の花



198         渓谷で眼球洗ふ秋の水



199         クレヨンで描く麦秋や波緑



200         安曇野や鐘の鳴る丘秋深し



谷内さん、191はクンデラとグラスを作為的に使ってみました。なおプラハではブリキの玩具が人気だそうです。



            (今日の名句)



            血を喀いて眼玉の乾く油照り 石原八束



八束は1998年、8ヶ月の闘病生活の末、逝去。享年78。奇妙に肉感的で迫力のある作品を残した。この句は、その代表作の一句。


追伸・余白句会の井川博年君、詩集「そして舟は行く」で「朔太郎賞」2対3の僅差で破れたとの訃報あり。何、選者が馬鹿なのさ。「ベンチがアホやから現代詩なんかやってられへん」(匿名氏)。


こら颱風15号、のろのろするな!こちらは鉄壁の構えで待ち伏せしているからな。
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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)  2001/09/10 20:11





            プラハの春




191         鳴り止まぬブリキの太鼓春プラハ




192         時計止めプラハの春は動き出す




193         百塔の町プラハの雪溶けぬ




194         重戦車挑む民衆プラハ雪




195         春疾風スメタナの鳴る革命歌




註・1989年十一月、プラハの街の時計はすべて「12時5分前」で止まっていた。「新しい時代が始まる寸前」を意味していた。今、時計は普通に動いている。なぜか、「ビロード革命は続いている」と思った。(2001年8月12日朝日新聞日曜版・「革命」・企画報道室・清水弟(てい)記者1947年生、記)。うむ清水弟か。著名な沖縄民俗学者に清水哲男がいる。











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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野)  2001/09/10 18:21


            

            聖書




186         風神に祟られたるや秋祭




187         若衆の荒れる神輿や秋祭




188         土砂降りに神輿押し出す秋祭




189         南部鉄形見の風鈴舌のまま




190         夏逝きて友の聖書を開かざる




            (今日の名句)




            雨季来りなむ斧一振りの再会 加藤郁乎




今や郁乎は「真光教」の大幹部と聞く。不思議な俳人もいるものだ。そう言えば、以前、我が家の隣人も「真光教」だった。誘われたが小生入信せず。




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俳句航海日誌 清水昶(武蔵野) 2001/09/10 16:24




            俳諧楽府




181         流離恍惚異郷の果てや曼珠沙華




182         颱風の狼少年迷走す




183         山河鳴る母颱風に挑みをり




184         若き妻もらいて友に蝉時雨




185         旅の宿俳諧楽府や蝉時雨




註・「楽府」・漢の武帝によって始められたと言う楽府(かふ)は、物語の詩に合わせて謡った歌辞であったのを、後には、その題目、つまり、楽府題を模して、楽府が作られるようになったと言われている。漢詩の一種の替え歌のようなものだが、この分野にも傑れた漢詩が多いことは言うまでもない。(石原八束)












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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/10 12:19




            曼珠沙華




176         遊女塚哀しからずや女郎花




177         死人花君も他人も恐山




178         風太郎忍者屋敷や曼珠沙華




            追悼・山田風太郎




179         いつか死ぬ墓地に真っ赤な曼珠沙華




180         颱風を待つ朝妙に生き生きと




颱風15号、潮岬を北上中。東京地方に洪水波浪警報。本日、夜半過ぎ、紀伊半島、ないしは東海地方に上陸する見込み。おい15号、小生は何をなすべきか?


あっ「子規」はホトトギスとも読むんだ!まだ俳句修行が足り無いなあ。






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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/08 12:09



            落城史



171         いが栗の裂けたる心酒苦し



172         来る世とは魑魅魍魎や秋祭



173         五日市街道僧も秋祭



174         秋の月切れ込む青葉城趾かな



175         荒城の月渡りをり落城史



註・今日から五日市街道沿い商店街の秋祭り



           (今日の名句)



          その棘を残して薔薇の散りにけり 相生垣瓜人



盛りの薔薇も散った後は棘だけの無惨な姿となる。俳句を花鳥風月の風雅と考えている輩に読んで貰いたい一句。









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16156 Res 俳句航海日誌 清水昶 2001/09/08 02:52



            老人と海



166         昏々と眠りに入る蛇の穴



167         首塚の海に望むや曼珠沙華



168         血の海や老人の舟大旗魚



169         老人の銛は骨まで大カジキ



170         老人の海の血怪魚骨の秋



0K、富さん、ロルカ詩祭の折りはありがとう。この掲示板にも、これから神戸詩壇事情について知らせて下さいね。


谷内さん、本庄ひろし君は律儀な人です。一度出会って好印象を持ったら決して忘れない。それに谷内さんは「現代詩手帖」に好意的な書評を書いているでしょう。だから感謝を込めての梨一箱。赤穂浪士の末裔の義理人情かも。ちなみに彼の奥さんは有名な川柳作家の大西和世。



           (今日の名句)



           秋の暮大魚の骨を海が引く 三鬼



この句は明らかにヘミングウエイの「老人と海」を下敷きにして書かれている。あの魚は大カジキまぐろ。それにしても上手い。脱帽!



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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/08 00:16




            津軽海峡




161         シベリアの日本原人寒波来る




162         青梨の二十世紀や峠越え




163         長十郎博徒も喰ひし郷の味




164         凩の言水消へゆく海の果て




165         最期まで津軽海峡霧笛鳴る




            (今日の名句)




            凩の果てはありけり海の音 池西言水




先の引用は誤記。正確には「凩の言水」。言水は芭蕉と同時期に活躍した俳人。言水の墓は京都新京極の六角通りの誠心院にある。この句の評で上野洋三は次のように書いている。「ごうごうと水面を荒立てて波音をひびかせて行く風よ。これが、あの野を枯らし、山を枯らして、吹き渡ってきた木枯らしの風が、いまはもう吹き枯らすものもなく、役割を終えた最期の姿なのだ」。(現代俳句時評・坪内捻典・平成12年・俳句2月号)他に「菜の花や淀も桂もわすれ水」の句あり。

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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/07 20:51




            熟れ柿




156         青林檎囓りて少年海の風




157         新水の甘き果汁や喉仏




158         さくさくと柿剥く母の手は若し




159         熟れ柿の妹嫁ぐ異郷かな




160         渋柿を盗みて苦き少年期




冬月君、俳号ねえ。「鬼頭」も考えたけど、何だか変かな。芭蕉も何回か変えてるらしい。「木枯の玄二」から借りて「清水玄治」とでもするかなあ。














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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/07 17:12





            向日葵




151         雁渡し断崖に立つ旅の客




152         俳諧の悪党が詠む野菊かな




153         銃の手に蝶西部戦線異常なし




154         茫然と月下の一群通夜の客




155         向日葵の種子教会の土に埋め




            (今日の名句)




            露燦と俳諧やくざ恥多し 山口草堂




草堂は戦後、貧窮生活を強いられたが奥さんの援助で俳諧一筋の道に入る。句には気迫が漲り後年の代表作は「涸滝の巌にからみて落つるかな」。「俳諧やくざ」か。小生こういうのが好きなんだ。



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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/07 13:49





            牡丹




146         夏休み明けて駱駝の針の穴




147         尾瀬の道挨拶とび交う水芭蕉




148         特急で海市の町を貫けり




149         一瞬に蟇の餌呑まれのつそりと




150         たれか死ぬ牡丹崩るる深夜過ぎ




            (今日の名句)




            轢死者の直前葡萄透きとおる 赤尾兜子




兜子、1981年、自宅付近の踏切で急逝。多分、自殺。この句は、あたかも遺句みたいである。昔、「京大俳句」の故、中谷寛章から、彼の噂は、良く聞いていた。たしか結社誌「渦」の主宰者だったはず。みんな死んでしまったなあ。


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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/07 04:23



            竹の春



141         昭和とは霏々と雪降る暗殺史



142         鬼灯を挿して老母の背は潔し



143         亡国の理想はありや竹の春



144         鴉さへ生きる歓び竹の春



145         未だ来ぬか狼少年竹の春



註・竹の春・秋の季語



            (今日の名句)



            化野や風とあそびて竹の春 細川加賀



学生時代、京都嵐山に住んでいた者にとって嵯峨野の化野〔あだしの〕念仏寺の青竹の秋は懐かしい。今夜は眠れないまま、記憶吟行てみた。









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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/06 21:12




            コロッケ




136         べらぼうめ夕焼領や少年期




137         唖蝉や鳴けよと夕日昏れゆけり




138         いが栗の痛き部落の少年期




139         コロッケを喰うや独りの夕月夜




140         遠火事の夜目むざんやな歌舞伎町




新宿歌舞伎町で深夜ビル火災。44人死亡。その時、小生、隣のゴールデン街で飲んでいた。あそこは良く知っているが昨今は、やたらに風俗店が多くなった。テレビ画面に出てくる火災現場のカンバン「セクハラクリニック」とは、ありゃ何だ。                  

とにかく新宿歌舞伎町は、この不況知らずに猥雑な活況を呈している。俳壇にも、そんな猥雑さが欲しい。

ところで、死者44人は見ず知らずの他人である。哀悼の意はやぶさかではないが、「心から」とは言えない。

そこで、ふと思い出すのは三島由紀夫の短編「真夏の死」。歌舞伎町での、ひとりひとりの死は彼ら家族にとっては深い悲しみだが、第三者ににとっては不運としか言いようがない一種、不条理の死だ。そして我々もまた「不条理な死」に、いずれ遭遇することになる。



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  俳句航海日誌 清水昶 2001/09/06 15:26




            秋祭



131         笛流し交差点より秋祭



132         樽酒の辻に掛け声秋祭



133         秋祭笛吹川を古里となし



深沢七郎「笛吹川」を思いつつ・・・・



134         秋祭軒並み提灯首を吊り



135         秋祭商店街につむじ風



            (今日の名句)



            海沿いの道に灯が点き秋まつり 大串章



吟行だろうか、それとも旅の列車から見た夜の風景だろうか。ともかく綺麗な句である。









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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/06 11:40




            石榴(ざくろ)



126         荒涼と寒村哀し花石榴



127         旅の果てゆうぐれてをり石榴寺



128         栗剥けば甘き母をり少年期



129         石榴割る叫び長老端座して



130         長老の一気に呑み干す石榴杯



            (今日の名句)



            露人ワシコフ叫びて石榴打ち落とす 三鬼



小生の「石榴」の句は、三鬼の有名なこの句と福島泰樹歌集「石榴杯」にヒントを得た。長老とは歌人坪野哲久を指す。


ははあ、三鷹も秋祭りか。吉祥寺は五日市街道商店街(九月八/九日)とサン・ロード商店街(一四日)。肉屋のよっちゃんたちが集まって、こないだ祭りの相談を蕎麦屋「中清」でしていたっけ。でも、この目を覆わんばかりの不景気風は、どんな御輿を出しても追い払えそうもない。







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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/05 23:49





            首塚




121         首塚の丘に新涼土踏まず




122         新涼や首塚苔の緑なす




123         落武者の郷にしずかな蝉時雨




124         新涼や落武者の里水青し




125         死後に聴く山河の声や法師蝉




            (今日の名句)




            蝉の穴覗く故郷を見尽くして 中村苑子




そんな事もありました、と言う句かな?




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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/05 15:34





            かまきり




116         蟷螂の斧の怒りや明日のため




117         仏壇へ這う蟷螂にお線香




118         蟷螂の青き風吹く少年期




119         蟷螂の身構へ何を恐るるや




120         斧虫の風に吹かれし旅路かな




           (今日の名句)




           かまきりの孤高は午後の風の中 鈴木石夫




農少年期、かまきりを、じっと見つめていたことがある。そこには何とも言えない寂寥感が漂っていた。



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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/05 12:22




            ひぐらし




111         かなかなの糸引く声や地獄谷




112         ひぐらしにさそはれ電話母の古里




113         死後も森かなかなかなと昏れゆけり




114         鎌倉の月の道までお通夜かな




115         かなかなや迷ひ込むかなけもの道




かよさん、冬月君、テストメイル受信。ありがとう。完璧だ!




           (今日の名句)




           かなかなや陰画となりし兵の列 倉橋羊村




戦争、そして兵の列は何処へともなく消えていく。この句の説明は無用。
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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/05 02:18





            秋刀魚




106         秋刀魚焼き佐藤春夫の唄苦き




107         やはり父秋刀魚に泪嫁に出す




108         初秋刀魚骨まで眠る旅荘かな




109         初秋刀魚飛び出し居酒屋灯を吊るす




110         安曇野や友遠からず蕎麦の花




本日、安曇野の別荘の持ち主、佐藤至輝氏から「余白句会」の写真が贈られてきた。皆さん、年の癖にお若い。「50、60洟垂れ小僧」の時代に入ったせいかもしれない。即ち未熟者。でも佐藤さん、ありがとう!


約3日間、メイルの仕込みに悪戦苦闘していたが、吉祥寺のTゾーン駆け込み訴えで、どうやら回復したらしい。しかし油断禁物。まだ時々エラーが出る。冬月君、中清さんテストメール頼む!








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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/04 15:54





            風の盆




101         胡弓の音夜風に流す風の盆




102         越中の風神眠らせ風の盆




103         舞ひ続きそして三日の風の盆




104         風の盆女浮き立つ白き掌




105         風の盆笠の女や夜目深し




           (今日の名句)




           返す手に風のまぼろし風の盆 坂本真理子




九月一日から三日まで行われた「越中おわら風の盆」についての俳句は、おそらく無数にあるに違いない。これぞと言う「風の盆」について句、御存知の方、お知らせ下さい。

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8100句

俳句航海日誌改稿 清水昶 2001/09/04 12:57





98          鳥雲の寒村海鳴る日本海




100         新聞王薔薇の蕾は謎の罠




最近、思考能力、夏ばての模様なり。嗚呼!
































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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/04 12:28





            薔薇の蕾




96          恐山三途の川や渡り鳥




97          二学期の海の子山へ照り返し




98          鳥雲の寒村海鳴り日本海


 改 98          鳥雲の寒村海鳴る日本海


99          句作する路傍の人や穴惑




100         新聞王薔薇の蕾の謎のまま

 改100         新聞王薔薇の蕾は謎の罠



註・映画「市民ケーン」




かよさん、メイルの仕込みには困ったモンだ。あなた様で修理方法でいければいいなあ。すなはち、壊れたテレビを蹴飛ばして直す方法。

ところで小生,8000句を天神様に奉納した結果、俳号を変えようと思っている。西東三鬼にちなんで、清水鬼頭とかね。甲斐は原田甲斐とか武田信玄の甲斐だったが、清水甲斐では、あまり強そうじゃない。


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清水昶 2001/09/04 02:22





改稿94        白桃に笑みてナイフの滑りかな




とんでもない誤記でした!







































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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/04 02:02




            白桃




92          白桃に笑みて汝のあどけなき




93          桜桃の花まで遠き母の郷




94          桜桃の笑みナイフの滑りかな

改稿94        白桃に笑みてナイフの滑りかな



95          青林檎袋かぶせる旅情かな




今日は一日中、メイルの仕込み。アウトルック未だ作動せず。嗚呼!



















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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/03 10:22


          


          お通夜



8091      鎌倉へ夕焼け綺麗なお通夜かな




故 武田穎介儀葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず遠路の処態々ご会葬くだされたご芳情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます

早速参上御礼を申し述ぶべきが本意でございますが略儀ながら書中を以てご挨拶申しあげます


平成十三年九月二日 通夜


喪主妻 武田佐智子


外 親戚一同


昨日、元河出書房の穎介さんのお通夜に行って来た。肺癌で逝去。死顔を見せて頂いたが、まるで生きているかのごとく安らかそのもの。「さよなら!」と思わず叫んでしまった。昨年末、名物編集者、河出の飯田貴司の葬儀の時、お会いしたのだが、その時は、既に癌が進行していたらしく、まるで原爆症のように抗癌剤で頭がお坊さんのように禿げていた。ところが、ご尊顔を拝見したら毛髪がふさふさ。佐智子夫人に聞いてみたら「抗癌剤を止めたからよ」との事。抗癌剤は苦しむらしい。

お通夜の会場で、久しぶりで三木卓さんに出会う。それに田村隆一の第四婦人とも。小生、佐智子さんと彼女に言われた。「あの美少年が老けたわねえ」と。うむ、永遠の「少年」だと思い続けていた青春は終わったのだ。糞垂れ!

しかし武田麟太郎一族の命脈も詩人の武田文章、編集者の穎介さんの死を以て終わったようだ。

「増俳」の表に掲載(八月三十一日)された、我が親族の榊原昭宏さ

ん、昨日は失礼。たまには掲示板で連絡せよ!小生のメイル今も故障中。OutoLookXpresu4.5のソフト入手はしたのだが。





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俳句航海日誌 清水昶 2001/09/02 01:05



干論茶様、掲示板荒らしに「掲示板荒らし」と言われましたか?もともと「増俳雑記帖」と「干論茶の掲示板」はリンクにあるように一種の「盟友」関係にあるはず。そんな愚劣な輩は黙殺せよ!

ところで、この掲示板に打ち込んだ小生の俳句を「干論茶の掲示板」に移動出来るのですか?そうしていただければ、ひどく有り難いのですが。何故なら俳句は御存知のように応答形式、贈答形式です。出来るだけ多くの読者に読んでいただけると例え罵倒であろうとも光栄の至りであります。


さて全国でも珍しい「荒れる掲示板」の開校!あの不良学生たちは何人登校してくるのだろう?


「ユリイカ9月号」に「俳句航海日誌」掲載。書店で御覧あれ。



































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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 9月 1日(土)23時47分00秒


干論茶様、清水哲男の「増俳雑記帖」開校したのですね。知りませんでした。しかし「俳句航海日誌」は、しばし、置いてあげて下さい。お願いします。


明日は、清水昶・哲男(哲男とは元河出書房の先輩)の親友だった作家、武田麟太郎の次男、武田穎介さんのお通夜。死因は癌。驚きました。河出書房の飯田貴司の葬儀の時は元気そうだったのに・・・・鎌倉まで行って来ます。次は小生の番か!









































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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月31日(金)12時09分29秒


           十二湖


86         口寄せの巫女恐山夏昏し




87         暗門の滝石畳われ独り




88         日本一澄むや岩崎村は夕月夜




89         白神や昏き新緑ぶな林




90         青池の十二湖底抜け秋の水




註・青森の岩崎村にある十二湖の「青池」は名前の通り木漏陽の光の中で群青色に池の底まで透きとおっていた。多分、空気が綺麗なせいだろう。だから岩崎村の星空が日本一綺麗だという事もうなずける。

「暗門の滝」にはまいった。そこには3つ滝があって岩がゴロゴロしている山道を登っていかなければならない。途中で小生くたばって石畳でひと休み。筋肉痛を起こして立ち上がれなくなってしまった。東北旅行の宿泊先では毎日、温泉に飛び込んでいた。

そこから青息吐息で酒田の白雪姫の実家まで辿り着いたら「ユリイカ」9月号の「俳句航海日誌」の校正ゲラがファックスで届いていた。その日に青息吐息でゲラ校正を終えて青土社に転送。翌日、青息吐息で帰京。翌々日は青息吐息で神戸のロルカ詩祭に参加。そしてまた青息吐息で安曇野の「余白句会」へ。そして今は青息吐息で旅の記憶の整理に没頭。ふるさとまとめて花一匁。笑止!








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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月31日(金)00時32分06秒



           東北のゴッホ



81         華厳譜や冬山越への柵の鳥




82         大和し美し裏彩色に小雪降る




83         猟銃のなめとこ山の熊版画




84         道標の柵冥界に雪の降る




85         東北のゴッホ彫る雪恐山




絵馬さん、久しぶりです。棟方志功の板画は「華厳」ですね。「華麗にして厳か」。ところで「尻餅をつく観音堂の倭武多かな」の「倭武多」は、どう読むのですか。意味は「倭建命」かな?
















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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月30日(木)13時44分19秒


           棟方志功



76         木の魂秋の風聴く志功かな




77         雪の郷志功恋しや恐山




78         三本の指巡礼す秋の風




79         風神の柵も彫り込み秋刻む




80         秋来る風留守番の棟方記念館




註・東北旅行の途中、青森の校倉造(東大寺正倉院は有名)に似せた「棟方志功記念館」に立ち寄った。東北の一隅で「ゴッホになる」事を望んだ青年志功は、のちに「板画」の世界に進み「世界の棟方」となった。

彼はみずからの版画を「板画」と称する。何故か?木の魂を、そこに込めているからである。また「柵」と称する「板画」が多い。彼にいとっての「柵」は、例えば、垣根などのようなものではなく四国巡礼の廻礼、願いを込めて納める生涯の道標のごときものである。

また彼の彫る板画の人物には五本指の人間は登場しない。「私は五本指の人間なんか彫りたくない、指が三本の、鬼というか、化物というか、そういうものを描きたい」と語っている。









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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月30日(木)02時30分34秒



           秋の風



71         秋の蚊の弱音を聴くや穂高にて




72         緑濃きわさび田渡る秋の風




73         道祖神安曇野旅の曼珠沙華




74         藤袴穂高のすそ野穿きてをり




75         湧き水の安曇野独り秋の空




碌山は次兄の援助で新宿角筈の中村屋相馬家の近くに制作に没頭出来るように「忘却庵」を造ってもらった。しかしそこで碌山を待っていたのは制作に手がつかなくるような恋愛の苦悩だった。中村屋の友人相馬愛蔵の妻、相馬良と恋愛関係になってしまったのである。「ある婦人と抱き合って泣いた」とか「我が心病を得てはなはなだ重し」とか友人に洩らしている。禁じられた恋だった。その後、碌山は「恋愛苦悶3部作」と言われる「文覚」の銅像を造っている。この銅像は文展に出品して3等賞。他の2作「坑夫」「女の銅」は皮肉にも彼の親友高村光太郎の父、高村光雲によって落選させられた。世の中、万事、塞翁が馬成らず!











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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月30日(木)00時04分52秒


           露天風呂



66         旅の果て信濃高野のつつじかな




67         月影の安曇野に咲く山葵園




68         新月や穂高を望む湯の煙




69         露天風呂穂高に風の夕月夜




70         安曇野に湯の夜こうろぎ鳴通す




碌山美術館は教会風に設計されていて尖塔と鐘がある。その鐘には「LOVE IS ART,STRUGGLE IS BEAUTY」(愛は芸術なり、煩悶は美なり)と刻んである。


           秋の風ポプラを揺らす美術館














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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月29日(水)19時56分07秒


           水の郷



61         海亀に聴け平和とは死後の夢




62         安曇野に早春賦歌碑雪の峰




63         安曇野や野分碌山美術館




64         野分去り湧き水穂高温泉郷




65         水の郷穂高に青き鳶の笛




安曇野の「余白句会」で清水哲男に聞いたところによると、「増俳雑記帖」の登校日は9月3日予定とのこと。しかし「俳句航海日誌」当分の間、ここに居候を決め込むつもり。干論茶さん、置いてくれるかなあ?


我がメイル、未だ不通なり。アウト・ルック5をダウン出来ず。「私は泣いてますベットの上で」♪♪・・・













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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月29日(水)17時39分34秒


           蕎麦の花



56         法師蝉何を祈るや奥穂高




57         新蕎麦やすする渓流我一人




58         荒野より乱れて咲きし蕎麦の花




59         小糸線穂高を抜けて蕎麦の花




60         汽車止まる穂高に吐息蕎麦の花




みっくさん、地球に非常によく似た環境にある火星への人間の着陸計画は17年後。目的は、生物の生命体の発見と資源の探索。小生は、その時まで生存不可能なり。嗚呼無情!

















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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月29日(水)12時38分23秒


           信濃路



51         空低き信濃に来り花わさび




52         渓流のわさび農場独歩せり




53         安曇野やわさびの花の眼に沁みて




54         安曇野に秋鐘の鳴る丘母恋し




55         秋の水独り安曇野道祖神




「ユリイカ」9月号に「俳句航海日誌」が掲載されています。書店で御覧あれ。


昨夜は金子洋子、中村厚子、庄司房子、鈴木正枝さんら古くからの「詩塾」の塾生と新宿百人町の居酒屋「わかやま」電話「03(5389)2143」で、どなたかの慰労会。感じのいい居酒屋さんでした。また行ってみようかな。













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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月28日(火)12時46分33秒


           碌山美術館



46         安曇野や秋はキラキラ風の旅




47         デスペアの女の銅像秋の昏れ




48         秋深く碌山苦悩果てもなし




49         秋昏れて苦悩す女の全裸像




50         赤煉瓦碌山美術館は夕焼けて




註・荻原碌山・1879年(明治12年)長野県南安曇郡東穂高村に農家の五男として生まれる。本名、守衛。二九歳の時、夏のロンドンに赴き高村光太郎と親交。ロダンの指導を受ける。そしてイタリアに赴きイタリア・ギリシャ・エジプトの美術を見て帰朝し1910年(明治43年)32歳。4月20日東京新宿中村屋で喀血、22日永眠。


干論茶さん、吉祥寺の手打ち蕎麦屋「中清」さんは掲示板持っていますよ。検索で出てくる筈。小生宅から歩いて5分。困るのは、その店、美酒が置いてある。猫に鰹、世は情け?











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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月27日(月)12時30分12秒


           安曇野



41         安曇野や旅の終はりの浮寝鳥




42         安曇野や風鳴る夜の竹似草




43         安曇野に蟋蟀独り夜は更けて




44         安曇野や友と一緒に霧の中




45         穂高にて死す黒揚羽真青なる




昨夜遅く「余白句会」の安曇野より帰京。参加者、井川博年、清水哲男、多田道太郎、国井克彦、佐藤至輝(彼の別荘で居合刀を強奪)有働薫、小沢信男、小長谷清美、八木幹夫。谷川俊太郎欠席。現代詩人会の理事長、八木忠栄は総会とやらで欠席。木坂涼、アーサー・ビナード夫婦は欠席。金欠病か? 句会は、全員、疲れが目立つ。

小生、みんなと別れた後、吉祥寺の手打ち蕎麦屋「清正」に立ち寄り、酒少々。そこで、肉屋の「よっちゃん」と吉祥寺南町の祭りの話。蕎麦屋のご亭主清田さんは大学の電気工学科出身。電気工学を応用して蕎麦を造る全国でも有名な変人。この掲示板も毎日見ている。

今年の夏は恐山、神戸、安曇野と旅の連続だった。さすがにくたびれた。良く体力と金が持てたと我ながら感心。しかし今日から金欠病。清田さん、おいしい蕎麦おごってよ。                                                                           







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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月24日(金)01時36分10秒


           鬼やんま


36         目をまわすかな夕暮れの赤トンボ




37         ひぐらしの学校夕日の帰途急ぐ




38         秋蝉の抜殻拾い旅昏し




39         釣り糸を垂らし夕日の赤トンボ




40         鬼やんま川面を滑るや少年期




さて今日は「余白句会」。長野の南安曇郡穂高町の佐藤至輝(よしてる)氏の別荘へ。先鋒隊は午前10時半、八王子に集結。ジャガーにて出発。小生は只今、風邪の真っ最中。無事生還できるや否や?辞世の句を用意!


冬月君の指摘で電子メイル故障の原因判明。OutoLookEpuresが壊れている。再インストルー帰京して早々にすべし。


長谷川祐一君、itunsの故障完了。今「第三の男」を視聴している。綺麗に画像が動いている。










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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月23日(木)16時48分29秒



           風車



改稿26       花薄活けて老母の背は潔し




改稿30       夏山に青年磔刑半裸なり




31         地蔵着る幼児の赤いちゃんちゃんこ




32         逆吊りの十字架伽藍原爆忌




33         恐山石の塔まで蛇崩れて




34         風車風に手向けし恐山




35         風車西方浄土や恐山




茂樹さん、風車には回向の意味があったんですか。ありがとう。



電子めえる故障中。初期設定、TCP/IP、アカウント、それらを再設定し直しても駄目。何故か?



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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月23日(木)12時04分12秒



           蛸壷



26         花薄活けて母の背老ゆるなり

改稿26       花薄活けて老母の背は潔し



27         舟虫も乗せそして船はゆく




28         老漁師や蛸壷引つぱる口すぼめ




29         真夏の死寅さん読経の蛸坊主




30         夏山に磔刑青年半裸なり

 改稿30       夏山に青年磔刑半裸なり



徳子さん、台風一過、おはようございます。仏ヶ浦には「かもしかライン」で佐井までレンタカーで出て、大型高速旅客船「ほくと」に乗船、仏ヶ浦の岸壁に辿り着きました。8句目の「下北半島沖の孤島」は小生の錯覚で、正確には「下北半島の海沿いの岸壁」でした。陸上からは行けないのですね。あそこ日本猿の北限の棲息地?見かけなかったなあ。きっと小生の顔に驚いて退散したのでしょう。笑止!

恐山の、いたるところにある風車(かざぐるま)あれは不思議ですね。何のためにあるのだろう?西方浄土の西風を受けているのかしらん?








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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月23日(木)00時35分26秒


           秋出水



21         賽銭の箱庭水打つお寺の子



22         仏壇を背負ひて老母秋出水



23         空気銃撃つ秋空や少年期



24         大風の海水浴場秋の潮



25         野仏を残して引けり秋出水



週刊新潮(8月16日・23日夏季特大号)で久世光彦連載中の「死のある風景」に次のような文章があった。


そしてその日から、井川さんは奇妙な友人や、静かで知的な詩人と知り合い,一人ずつ別れ、戦後の数十年を、かつての<筑前丸>のように流され生きる。いろんな映画や歌謡曲が、追いかけるみたいに井川さんの後をついてきた。                         −−「なみだ船」「あの日の船はもう来ない」「アカシアの雨が止むとき」・・

この詩人は(あとがき)で<映画や流行歌で語るのが、いちばんこの時代をうまくいえるような気がする> と書いているが、おなじ時代を、おなじように流されてきた私は、ほんとうにそうだったと、いま思う。私にとっては「港の見える丘」や「月がとっても青いから」や「東京ドドンパ娘」がそうした歌だった。

(E la nave va)−そして船は行く。とどのつまり行き先は知れているのだが、そこまでに、井川さんや私に、いったいどれほどの時間があるのやら・・・


井川博年詩集「そして船は行く」(思潮社)に触れて書かれた一文である。彼は(余白句会)の一員。俳号は「駄々子」。掲示板の紳士淑女悪党諸君、この詩集を読むべし!




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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月22日(水)20時21分47秒



           海神(わだつみ)



16         死すならば恐山かな月見草



註・恐山一帯には月見草が咲き乱れている。




17         満月や恐山にて御霊石




18         月明に死すや海神の夏怒濤




19         颱風や海神の声呑み込ぬ




20         颱風の眼に優しげな母子草




改稿14       白神や熊も昼寝のぶな林




待ちかねていた颱風野郎、何処へいっちまったのかな?小生宅には、まだ来ない。嫌われたかな。


明後日は第44回「余白句会」で長野の安曇野行き。小生、東北旅行、神戸行きで体がズタズタになっている。お〜い八木幹夫君、どうすんべいか?




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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月22日(水)11時46分26秒



           白神山地



11         浅虫の皇帝ペンギン夏凍り


           

           浅虫・青森市浅虫水族館



12         世界遺産白神全域山眠る




13         キツツキの白神山地耳立てる




14         白神や熊夏休みぶな林

改稿14      白神や熊も昼寝のぶな林



15         梟の白神全山星月夜




「詩俳塾」の皆さん、先程、新宿百人町・俳句文学館から電話あり。午後から休館とのこと。従って今日はお休み。


颱風は午後三時頃、東京地方を来襲。身のまわりのものをまとめてをくべし!例えば遺書など。


甲子園の決勝戦、日大三高…近江高校はやるつもりだ。日大三頑張れ!





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俳句航海日誌 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月21日(火)23時18分35秒



           白神山地




6          ぶな林の白神山地秋の風




7          不老不死温泉短命蝉の鳴く




           註・不老不死温泉・西津軽群深浦町




8          仏ヶ浦五百羅漢に舟の虫




           註・仏ヶ浦・下北半島沖、津軽海峡の孤島。




9          如来の首仏ヶ浦の夏怒濤




以上、四句、東北紀行にて独吟。




10         アンテナに鴉颱風来るを待つ




今、武蔵野は颱風前夜の静けさ。来るぞ!

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俳句航海日誌8001句目から 投稿者:清水昶(武蔵野)  投稿日: 8月21日(火)17時20分27秒



           颱風11号来る




1          颱風の潮岬や怒濤来る




2          颱風圏巻き込まれて雨の救急車




3          野分来る関東平野風怒濤




4          颱風の暗雲青森リンゴ園




5          颱風に追はれ新幹線の客暗し




お〜い干論茶さん、名古屋からの新幹線は大丈夫か?小生、一日早くて助かった!待ち時間に次の「恐山和讃」をど〜ぞ。




これはこの世のことならず、死出の山路のすそ野なる、賽の河原の物語、十にも足らぬ幼児が、賽の河原に集まりて、峰の嵐の音すれば、父かと思いよじのぼり、谷の流れを聞くときは、母かと思いはせ下り、手足は血潮染みながら、

河原の石を取り集め、これにて回向の塔を積む、一つつんでは父のため、二つんでは母のため、兄弟わが身を回向して、昼はひとりで遊べども、日も入りあいのその頃に、地獄の鬼があらわれて、つみたる塔をおしくずす・・・


以上は寺山修司「田園に死す」の序「恐山和讃」より。この詩はロルカ詩祭で富哲世によって朗読された