平成13年9月1日(土)晴れ 於 愛知県スポーツ会館
いつもよりきつめのストラクチャでスタートした今回のテキサスホールデムのトーナメント、ポジションは次の通り。
seat1 すみ
seat2 おさかな
seat3 池永
seat4 MILK
seat5 heba
seat6 なごやん
seat7 爆破道
seat8 LAC-HERO
印象に残った試合をいくつか拾ってみる。
クラブ2枚と5の見えるフロップ、MILK氏チェックにLAC-HEROはフリーカードを許さずベット。暫しためらった後MILK氏コール。
ターンにはクラブ。ck-ckと回すあたり、目いっぱい怪しい。リバーにラグが出るとMILK氏はまたもチェック。
LAC-HERO氏は少々間を置いたが、ここはベットの選択。ここで、MILK氏チェックレイズ。このあたりはまるでライブの戦法をみているようだ。いや、失礼。おそらくMILK氏は相手をきっちりマジ手と読んでいたのであろう。
LAC-HERO氏、「勝ってる気がしない」とかなり悩みつつもポットは思った以上にでかい。コール。MILK氏TQs持ちのフラッシュ。LAC-HERO氏が開いた手札55。勝負はついた。
続いてブラインド同士がかち合った。フロップをみたbbのおさかな氏、sbからリンプしたすみ氏のチェックにすぐさまベットの判断。すみ氏コール。ターン、ひるまずベットのおさかな氏に、すみ氏はまたもジャストコール。そしてリバー。おさかな氏、ここの選択もベットだった。しかし、ここですみ氏がコール。予想外にも手札はノーペアだった。フロップの2ペアで最後まで押しつづけたおさかな氏の読み切り勝利といえよう。
さて、このすみ氏のノーペアでのコールをどうみれば良いのであろうか。一般的にみて、このアクションは少々量り難い。始めにノーペアでコールしたということは、すなわち相手が自分と同じノーペア、若しくは打てば降りるローペアしか持っていないことを読みきっていたことになる。
そこまで読んでいたならば、ここは相手より優位にあるチップ量からみても、レイズをして相手の手札をより正確に絞り込む一手こそ求められたのではないか。
すみ氏はのちにこう語っている。今回は弱気さをアピールすることで相手のミスを誘う作戦を持っていた、と。この一戦がその作戦を念頭に置いていたかどうかは定かではないが、
この時のすみ氏の判断がより遠くを見越しての捨て駒、或いは撒き餌だったという可能性はあり得る。とはいえ、このような作戦は一歩間違うと自分を陥穽にかけ、そのまま力尽きてしまうことにもなりかねない。
というのも、今回はとりわけストラクチャがきつめの設定にしてあったし、そのせいで周りがいつもよりタイトさを心がけていたからだ。たしかに、きついストラクチャということはそれだけ
ブラフも効きやすいが、少なくとも外見上ではタイトなテーブルで、いかに上手く相手に付けこむ隙を与えるように見せるかという技術はかなり難しいものと思われる。しかも、MILK氏を除いてすみ氏との対戦は今回が初めてではないのだ。
その後もすみ氏は、爆破道氏との一戦でもすべてチェックで回すなど普段では見られないパッシブさをみせた。ただ、この試合の流れは爆破道氏がしっかりと読みきっていたようで、すみ氏がベットしたならば、フロップでの3ペアのみでチェックレイズできる余地は十分にあったというコメントを残している。或いは、
すみ氏が相手のアクションを予測していたのかもしれない。いずれにせよ、もしもこの序盤の時点で他のプレイヤーたちに対してウィークな印象を与えることに成功したのならば、これはすみ氏の作戦勝ちということになろう。
一方、ひたすら静観していたなごやんだったが、いつもと同じようにじっと耐えて待つだけの戦略をほどなく軌道修正せざるを得なくなってしまう。
このストラクチャで生き残るためには、アグレッシブに転じねばならぬ。そして、ようやくそのタイミングがきた。手前オールフォールド−やっときたこの状況!−でsbのなごやん、レイズ。爆破道氏、かなり悩んだ末にフォールド。
sbになるまで札を見ず、見た瞬間にレイズをかけたのだからすぐに降りるかと思いきや、単なるスティール狙いと読まれてしまったようだ。
レポートの中でかなりわたしのプレーを晒してしまっているから、このごろいささかプレーがやりにくくなってきた。「きっとキッカーでドミネートされてる」とは降りた氏の弁。少なくとも、フロップを歓迎する手でなかったことだけは確かだ。真実は藪の中。
スティールといえば、今回は当然ながらブラインドスティールの嵐が吹き荒れた。ひとたびレイズが入ってしまえば、あるのはフォールドかリレイズのみである。うかつにコールなど出来はしない。
しかも、今回はわたしの直前にheba氏、MILK氏、池永氏と比較的アグレッシブなプレイヤーが揃っている。おかげで、レイズをかけるタイミングがなかなか掴めないのだ。テキストには常にこうある。「手持ちのスタックを維持しつつ、それを膨らませるよう心がけよ」と。そんなことは分かっている。それができないから苦労しているのだ。
ノーリミット突入後、UTGからLAC-HERO氏がオールイン。そのままブラインドを払うだけで済むため、Q3sでリンプインした。だが、爆破道氏がそれを許してくれなかった。この状況において力強い発声は「レイズ」。ただ事ではないことを覚ったなごやんは迷わずフォールド。マニアックのレイズならともかく、相手が相手である。
LAC-HERO氏の開いた88に対して、爆破道氏が示した伏せ札、ともにA。安堵の吐息を漏らすなごやん。結果としては、フロップにQが現れたあとターンで3が出てしまったとはいえ、まだそのような偶然に期待しなければならないような差し迫った状況ではない。だから、悔しさはなかった。
第一、そんな手で氏を降してしまったならば、少なくとも3ヶ月は口をきいてもらえなくなる。そちらの損害のほうが遥かに甚大だ。
一向に手が入らない。ボタンKTsでのレイズを試みようとするも、また直前のheba氏に55でレイズされてしまい断念。
そろそろ後がなくなってきた。そしてミドルポジション。気になる池永氏が降りた。MILK氏も降りた。いや、だめだ許してもらえるはずがない。
と、諦めかけたその時、heba氏がなんとフォールド!手はダイヤの86。ハローダイヤである。意味不明。
中盤になってから初めてのボタン付近でのオールフォールド、こんな僥倖をみすみす取り逃してなるものか。ムーブイン。
すると、直後の爆破道氏が予想外にもコール。氏がビッグスタックだということをすっかり忘れていた。これで2人のコーラーが確定したことになる。sbのすみ氏がコールするのは端から分かっていたからだ。
わたしなごやんが取り残された中でのヘッズアップ、フロップはJ-K-6。ck-ck。いやらしい。ターン、同じくck-ck。なごやんはここで8がヒット、フロップの6と合わせてツーペアができた。Kはないと見ていいが、Jが臭う。Jさえ出なければ勝てる、Jさえ…。
しかし、願い空しくリバーJ。怖気立ったが、爆破道氏は4のポケット。すみ氏は何もひっかからず辛勝した。トリプルアップ。
1ラウンド耐え、遂にKKが配られた。池永、heba、MILK両氏がフォールドしたのを見届けてそれなりの額をレイズ。
ブラインドのすみ氏がまたもコール。すみ氏はベビーキッカー付きのエース。こういうカードこそ落としたかったのだが…。レイズ額に問題があったのであろうか。しかし、ここはきっちりとポットを手に入れて再び静観に入る。
池永、heba両氏が相次いで脱落すると、爆破道氏も生き残りを懸けてUTGからムーブイン。ばらっと降りてわたしの手札、5T。たとえ取り損ねたとしても戦える状況だ。だが、氏の7Tを見ては狼狽しないわけにはいかない。
そんな時に都合良く5が現れてくれるわけもなくポットを逃し、あとには無視できない被害だけが残った。
さて、スティールとリレイズのチャンスを探っているうちに、いよいよわたしも2度目の危機に立たされた。
痛いビッグブラインド。手前オールフォールド、そのままいけ、そのまま…と思うも祈り通じず直前のsbでMILK氏がオールイン要求をしてきた。
耐えればあと2ラウンドはいける。だが、もはや上位争いには食いこめまい。手札、As8s。KTでアーリーからレイズしてきたMILK氏のプレーを思い出す。
あとひとつ順位を上げればポイントに入る、ここは降りろと思いつつ、両手がチップを前に押し出していた。
だが、つくづく現実は厳しい。氏が開いた手札は、AJだった。今回はなんだか微妙にドミネートされてしまい、いいとこなし。結局LAC-HERO氏と同じく8をみること叶わず、5位に終わった。
ヘッズアップ。ヘッズアップにはめっぽう強いと定評のあるすみ氏だが、今回はチップの分が悪く、試合の行く末に注目が集まる。
ヘッズアップではチップ量がすべてというコトバ通り、はじめは爆破道氏が有利にリードを広げていく展開となった。
そして、遂にオールイン要求。ためらいなくコールしたすみ氏のハンド、QQ。文句なしの手である。対する爆破道氏のハンドは36。
ここで、あそこは相手の劣勢を考えればしれっとコールだろうという野次が周りから飛んでいたが、わたしは逆に氏の判断は正解だったと思っている。
今回はたまたま相手が良い手を持っていたというだけの話で、窮地に立たされた相手としては、なるべく中途半端な手では行きたくないもの。
従って、オールインという押しに対して降りる可能性はあったからだ。もし、ここでリンプしたとしても、相手はまず初手でムーブをかけてくるであろう。この局面でこの手ならば
その判断以外はあり得ない。フロップをみせてしまうことで相手に降りる余地を与えてしまいたくはないからである。
たしかにムーブインをされた時にフォールドという選択はなくもないが、相手と自分とのチップ差を考えれば降りてしまうのは下策といえよう。従って、手札はどうあれ氏の判断を支持したいのである。
当然ながらこのポットはすみ氏が取り、これで戦えることになったのはいいが、ブラインドレベルがさらに一段上がったことによるプレッシャーはかなり大きい。
ヘッズアップではこれまで無敗を誇る氏の実績が両肩に重くのしかかる。
数ゲームの探り合いが続いたあと、フロップ7-8-T。爆破道氏がムーブイン。対するすみ氏コール。爆破道氏はTのトップペア。そしてすみ氏の手札は89のオープンエンドドロー付きセカンドペア。
今年のTOCのラストゲームを彷彿とさせるこの展開に周りも固唾を飲んで見守ったが、ターン、リバーともにラグ。爆破道氏が堂々たる優勝を決めた。
1st 爆破道
2nd すみ
3rd MILK
4th おさかな
5th なごやん
6th heba
7th 池永
8th LAC-HERO
続くセブンスタッド。今回のわたしなごやんはストレート1回、フラッシュ1回を成功させるなど、終始絶好調だった。MILK氏をブラフで打ち落とすなどの強気の攻めも功を奏し、
さほど手持ちのチップ量を気にすることなくヘッズアップまでこぎつけることができた。このような展開は珍しい。だが、ヘッズアップの相手はスタッドの名手おさかなこと徳江氏。
氏は、わたしとは対照的にショートスタックで耐えに耐え、周りのプレイヤーたちの自滅を待つという戦法でここまでこぎつけた人である。
チップはほぼイーブン。小さなポットは悉くわたしが取り、たまに訪れる大勝負ではおさかな氏が取るという展開が続き、両者のチップは動かないまま時間が過ぎた。
しかし、5thのAペアで相手のリレイズに降りたあたりから集中力を欠いたなごやんがじりじり追いこまれ、最後は両者ノーペアのままかち合うという展開で幕となる。30分以上続く熱い持久戦だっただけに、我ながらあっけないラストゲームだったと思う。
おさかな氏オープンTでレイズ、なごやんホールカードAQ、オープン5でコール。4thでなごやんT。両者チェック。5thなごやんK。氏ベットになごやんレイズオールイン。互いにAK持ちノーペア。6thで氏にAがヒット、なごは依然ノーヒット。7th、氏にKがヒット。なごやんはJしか残されてないが、結局ブランクが配られ試合終了。
以前の池永氏とのヘッズアップでもそうだったが、スタッドは課題が多すぎる。
1st おさかな
2nd なごやん
3rd MILK
4th 爆破道
5th heba
6th LAC-HERO
7th すみ
8th 池永
休憩を挟んで行われたオマハハイロー。ポジションは次の通り。
seat1 爆破道
seat2 池永
seat3 すみ
seat4 heba
seat5 LAC-HERO
seat6 なごやん
seat7 おさかな
いつもなら大好きでよく覚えているこの種目の途中経過も、今回は頭の中に靄がかかったままでよく思い出せず、詳細な報告をお届けすることができない。よって、ヘッズアップまではわたしが勝ち取った2、3の重要なポットを記すに留める。
まずは、コーラー多数で臨んだ序盤も終わろうかという頃の一戦。フロップJ-A-5でローナッツに期待を寄せる23持ちのなごやんがチェック。続くおさかな氏がベットし、池永氏に加えてリードを続けているすみ氏がともにコール。なごやんも同じアクションでターン6。なごやんローナッツ完成でチェック。おさかな氏がまたもベットすれば、コールで応じる池永、すみ両氏。なごやん、2名のコーラーを挟みこむという理想的な状況でチェックレイズ。池永氏がなにやら喚いている。結局3名ともコール。
そしてリバーは、ターンと同じく6がめくられた。なごやん、ここはベットし、おさかな氏コール。池永氏はオールインし、すみ氏も同じくコールした。ハイはターンからの2ペアをリバーでフルハウスにした6J(!)持ちの池永氏が勝利し、やはりハイ狙いのおさかな氏を降した。ローは2-4のプレイヤーを吸い上げるカタチでなごやんが獲得した。
次に、中盤の一戦を取り上げたい。手前オールフォールドからなごやんKKTJのハイ狙いでレイズ。位置はボタン。sbでショートスタックのおさかな氏、bbの爆破道氏がともにコール。Ts-7s-Thのボードでなごやんベット。おさかな、爆破道両氏コール。ターン2s。再びck-ckでなごやんベット。おさかな氏コールオールイン。続いて爆破道氏もレイズオールイン。なごやんコール。振りかえれば、ターンでのベットは明らかに間違っていた。これは、フラッシュを見逃したわたしの単純ミスによる。体調不良のせい、としておこう。
ともかく、爆破道氏がフラッシュを完成させた2枚のローカードを見て思わず狼狽したわたしだったが、それにもまして驚いたのはラストカードでめくられたKを見たときである。この勝利は、以降のゲームに決定的な影響を与え続けることになる。
そして最後は、3人にまで絞られたときの一戦。すみ氏が脱落した時点で、チップリーダーはheba氏。それに池永氏が続き、なごやんが追いすがるというカタチだった。
山場は次の池永氏とのヘッズアップ。氏が初手レイズ、なごやんQTQXでコール。フロップでJ、ターンではKが出た。フロップでベットした池永氏がターンではチェックし、わたしにフリーカードを渡す。リバーは9。氏のチェックになごやんベット。氏はコール。この勝利によって、十分とは言えないまでも、heba氏と戦うために必要な態勢は整った。
ヘッズアップ。ここで勝てば通算5個目のメダルを獲得し、目の前のheba氏を抜いて単独首位に躍り出るだけではなく、
名古屋オフ初の総合2連覇をも達成することになる。前回の点心氏とのヘッズアップに続いて落とせない大事な試合だ。周りも「ここまできたらhebaさんじゃなくてなごやんを応援したい」と言ってくれる。力強い限りである。
しかし、わたしには致命的なディスアドバンテージがあった。突如として襲ったからだの変調による集中力の欠如である。
この種目の前から間歇的に訪れていた嘔吐感と眩暈、突き上げるような腹部の痛み、そして絶え間なく続く両手の痺れ。それらすべてが極度の緊張と絡み合い、わたしの集中力をどこまでも奪い去ろうとしていた。頼みの綱は勝負への執着だけだ。
チップ差は2:1で、依然として氏のリードが続いている。ブラインドは既に75-150に突入していた。
なごやんローカード付きのJJでレイズ、氏コール。ボードA-2-A、なごやんベットにheba氏フォールド。
初手のレイズも何度か効き、このブラインドレベルでは全体的になごやんが有利な試合運びをしたが、
氏も黙ってはいない。両者フロップでのK持ちでチェック、ターンに5、リバーでバックドアフラッシュの可能性のあるTが落ちた。氏はチェック、
K5のなごやん、ここでベット。KTでコールしたheba氏。ワンペアか、せいぜい低めのツーペアを予測したのだが、読みを間違えてしまった。
緊張の続く長丁場のヘッズアップ。またもブラインドレベルが上がり、150-250。アグレッシブな攻めを基本に据えて立ち向かい、遂にはチップ差をひっくり返した。そして、とうとうheba氏をオールインにまで追いこむ。
フロップで氏をオールインさせ、ロー目の揃ったフロップでオーバーペアを開くなごやんに対し、同じくドミネートされたオーバーペアを開くheba氏。引き目はTしかない。
Tだけは出るな、Tだけは…。ターン、T。氏が一瞬にして息を吹き返した瞬間である。
だが、数試合を経てまたもチャンスが訪れた。なごやん初手レイズに氏はコール。ボードQ-K-4。K-4の2ペアがヒットしたなごやんがベット。氏がオールインし、TJを開く。引き目はAと9しかない。しかし、ターンに9。またしても優勝が手の中からすり抜けていった。
「なごやんが動揺している。今がチャンスだ」と嬉しそうにつぶやきながらこれまで以上にアグレッシブなプレーをみせるheba氏。おのれ。負けてなるものか。
しかし、2度あることは3度ある。ボード3-4-Jで氏がベットした時、今度こそ4Jを持っている自分の勝利を確信した。なごやんレイズ、氏はリレイズオールイン。手は34…よし!だが、次の瞬間目を細めずにはいられなかった。残りの2枚はA、そして2。ほぼベストスターティングハンドである。以前にもこの種目で氏の恐るべきオールイン時の踏ん張りを見せつけられたが、今回も氏のいう「流れ」の再来か。
コールしたなごやんにターンはそのまま変化せず。そしてラストカード。そう、不吉な予感は見事に的中した。カードは5。
このスクープによって氏が完全に復活を遂げた時、わたしはすっかり目を覚ました。人は、互いに隙を窺って睨み合っている時よりも、顔面に強烈なパンチを食らった時にはじめて冷静さを取り戻すものである。そう、現実世界に引き戻してくれた氏には、寧ろ感謝せねばなるまい。ディーラー徳江氏の心地よいシャッフル音を聞きながら、わたしは自分の気持ちを確かめようと瞼を閉じた。そこには、どこまでも澄みわたる青空の光景が広がっていた。それからゆっくりと瞳を開き、テーブルの上で組んだ両手をほどいた。恐れるものは、もはやない。
死闘の再開を告げるゴングが鳴り響く。わたしは流れる血を舐めながら、拳を構える。
なごやんレイズ AcJcTQ、heba氏リレイズ。ノータイムでコールしたなごやん、フロップはオールロー。間髪入れずに氏がベット。カードを開きながらフォールドするなごやん。
数試合後、ボード24でツーペアヒットのなごやん、ベット。ためらいなくレイズしたheba氏。若干アクションに時間を置いたが、最終的にコール。ターンにラグ、氏はベットを止めない。リバーで2がヒットし、2フルが完成。この手のハンドは得てして
はまりやすいものだが、ここはいくしかない。ほぼチップが拮抗した両者、ややチップ量において優っていた氏がオールイン要求。コール。かなりきわどい勝負かと思ったが、やはりその通り。氏の手札も、わたしと同じ24の2フルであった。
その後も小競り合いの中、AQのツーペアが同じようにかち合い、さらにミドルのストレートも同じ手でショウダウンするという試合が続いた。
もうどれほど氏とのヘッズアップを続けているのであろう。少なくとも、これまでで最も長い勝負であることは間違いない。先に心の青空を乱された側が負ける。
そして、これ以上長引けば、体調を崩したわたしが奈落の底へと突き落とされるのは必至だ。
氏の初手レイズになごやんコール。フロップは3-5-7と流れた。氏のベットに、なごやん迷いながらコール。ターン9、氏はややためらったがベット。なごやんレイズに氏はコール。このとき、わたしのふたつの眼は氏のチップすべてをとらえていた。わたしの手をローと読んでいるのであろうか。だが、わたしの手は…。ラストカード、2。heba氏チェック、なごやんベット。
氏が手許のチップすべてを押しやる。その氏の動作が終わるか終わらないかのうちにざっとチップを前に出す。わたしは知っていた。すべての試合にケリをつけるには、この動作だけで十分だということを。
「ストレート…」
フロップが手札の46とかち合った瞬間に思ったのは、これで何もかもが終わり、ベッドで横になれるということだけだった。
そして、確かにそのささやかな夢は叶った。ある意味では叶いすぎたと言って良いのかもしれない。
なぜならわたしはこの翌々日に昏倒し、週の大半を病院のベッドで過ごす羽目になるのだから。
1st なごやん
2nd heba
3rd 池永
4th すみ
5th 爆破道
6th おさかな
7th LAC-HERO
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