第19回 名古屋ポーカーオフ(POKER in NAGOYA)


平成13年1月27日(土)雨天 於 愛知県スポーツ会館

21世紀はじめのオフはわたしにとって素晴らしい幕開けとなった。 実にひさびさの総合優勝を飾ることができたからである。ずしりと重いこのメダルの感触、いいものだ。 部門毎の優勝はしばしばあり、チャンスはあったのだが、 それこそ百年河清を俟つというコトバの如く、これまでその望みが達せられることはなかった。 そして今回のこの結果である。しかも、スタッドはさておき、 テキサスではほぼ自分の思い描いた通りの流れですすんだのが嬉しい。 この喜びの気持ちを皆さんに伝えるにはまだまだコトバが足らないが、 それを伝えきるには紙幅がいくらあっても足らないし、皆さんが読み飛ばしてしまう可能性も高いのでやめにしておく。



***



順位ネーム
優勝なごやん
たかの
いぶやん
待宵草
いわた
すみ
MILK
高井
点心乱丸
10爆破道
11LAC-HERO
12denko_sekka
13heba
14阿部(博)
15池永


上はテキサスホールデムのトーナメント順位表。

序盤、遅れて入り口手前のテーブルについたなごやん。みると、たかの氏といぶやん氏がリードしていて、あとはどっこいどっこいという情勢である。たかの氏とは対戦経験がなく、未知の相手だけに要注意人物と判断。あとはルーズないわた氏の動きが気になる。左隣は点心乱丸氏で、右隣は高井氏。常識的なプレイヤーだけにやりやすいか、というのが第一感。
今回の序盤の戦略はこうである。 まずNo-Limitに突入するまでは静観し、NLになった時点で積極的にスティールをかけにいく。 リードしている2人を除いて、残りの4名は似通ったshort stack、しかもいわた氏を除いて残りのプレイヤー(阿部、高井、点心乱丸各氏)はまともであり、かつアグレッシブでもない。 これらのことからスティールが効きやすいだろうと判断した。 しかし、遅れてきただけあって、さすがにチップが心許ない。一度くらいは突入前に 勝っておきたいと思っていたところ、NL直前のsbでJQsが入った。まあ、普通は降りる手だからべつに嬉しくはなかったが、 アーリーでいわた氏がlimp-inしていた。点心乱丸氏はおそらくレイズしないと踏んで、同じくlimp-in。ボードJ-Q-A。チェックで回してターンはローカード。同じくチェック。 リバーにKが落ちて、一気にハメチェックから正直チェックかとひそかに嘆くも、ベットしたらいわた氏が甘いキッカーのAペアでコール。 やはりターンで叩くべきだったか。しかし、これでよりスティールがしやすくなったことになる。

そしてNLに入った。引き続きまともな手が入らなかったが、sbでかけたスティールはすべて成功し、なんとか決勝台に食いつく。 決勝台ではMILK氏(ひさびさのお出まし)と待宵草氏、それにたかの氏とが早速ぶつかった。MILK氏の初手レイズに、ポケットQで limp-inしようとしたボタンの待宵草氏、それにbbのたかの氏がコール。フロップでQがヒットし 待宵草氏が正直なベットでオールイン要求。この人もティピカルなプレイヤーであり、オーバーカードでコールした MILK氏はやや読みが浅かったとみるべきか。
MILK氏がリタイアし、テーブル内はいぶやん氏とたかの氏が依然大量リード、それに待宵草が続くという状況である。 だが、この中・後半戦もすべてが思い通りに運んだ。まず、スティールが効いた。 とにかく手が来なかったから、スティールに頼るしかない。これが、普段の信用のせいか(?)決まった。 まあ、all fold のsbでK7のいぶやん氏を落とし、しかも氏が「こんな手じゃのれねぇって」と言ってるそばからQ3oを開いてみせたりしたから、 次回からは多少信用度に影響がでるかもしれない。
さて、そんな中で始めてbbの待宵草氏にコールされたのが、幸か不幸か本日最高手のAJo。 しかし、風は我が方に吹いている。ボタンで、しかもフロップがK-2-Xという理想型。 チェックしてきたから、AKだと思わせるためにもベットが正解と踏む。悩んだ末にフォールドしてくれて助かったが、ルーズなプレイヤーか、 或いは未知のプレイヤーならコールされたかもしれない。やや浮いたものの、まだ油断はできない。 一方、果敢にスティールをかまし、対待宵草戦ではリバーでペアオンボードになったとき、 同氏66のベットに対して88でノータイムコールするなど冴えをみせたいぶやん氏、順調にとばしている。

ひとつの山は待宵草氏を含むいわた氏との一戦。手前のいわた氏がraise all-inし、なごやんと待宵草氏がコール。 いわた氏だけなら勝ち目は十分あると思っただけに、待宵草氏のコールは痛かった。 が、ここで間違い。なぜか2人ともオールインだと勘違いし、手札のTTを開いてしまう。いわた氏は当然みせた(KJ)が、待宵草氏も咄嗟につられたのか、 自分の手札AQsを開いてしまった。フロップはすべてrag。ノーペアという手札がみえている以上、待宵草氏にこーらせるわけにはいかない。 ベットオールイン。苦々しげにフォールド。あとはKJさえ出なければいい。なんとかターンrag、リバーもragでいわた氏リタイア。その数試合後、後がなくなった待宵草氏のレイズオールイン(A7o)にtwo ducksでこーったのも正解だった。
たかの氏とかち合ったのは一度だけ。sbでの初手ミニマムレイズにbbのわたしが9dTdでコール。 フロップはローカードばかりで、チェックのあとは間髪いれずにオールイン。もちろんこーらせないためのオールインだったが、 先の山場を迎えた後で多少の余裕はあったものの、もしもチップ差を甘くみられてこーられていたらどうなったか分からない。 実際、ともすればこーられそうだったので「(チップ量を考えると)こんなとこで無理する必要なんかないって」とか「次はいいフロップがくるよ」 「気張るとロクなことがない」などと、なごやん得意(?)のトーク攻撃を炸裂。いらざる斟酌である。 相手によってはこれを弱気と受け取るかもしれず、振りかえってみるときわどい賭けではあった。

終盤、いぶやん氏とチップリーダーのわたしとでスティールのかけあい。この時点で かなりチップ差があり、それほど危機感は持っていなかったが、 ひとつ取り逃がすとそれなりにでかく、まあギャラリーの面々の野次のとびかることといったら。 ええ、すべてわたしが悪いんですとも。それでも最後は氏の88オールインに99でコールし、ヘッズアップへの道を開いた。 いぶやん氏とは今回相性が良かったのか、氏がスティールをかけてきたときなど、いくつかのポイントとなる 試合において僅差で勝つことができた。
なお、ヘッズアップはあまり書くべきことがない。鎧袖一触、数試合のうちに勝負を決めた、とだけ記しておこう。

何度も言うが、今回はここぞというときのスティールがうまく決まったのが大きな勝因といえる。 なにせ、最高手ですらAJoである。手に頼っていたら決勝台に残る前に敗れていた。 次回もAAなど来なくていいから、今回のようにスリリングな展開を楽しみながら勝ちたい。

いや、困る。やっぱりAAはきてほしい。



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順位ネーム
優勝すみ
なごやん
LAC-HERO
M.S
池永
いわた
たかの
いぶやん
heba
10高井
11阿部(博)
12denko_sekka
13待宵草
14点心乱丸


上はセブンスタッドのトーナメント順位表。

スタッド序盤・中盤は、テキサスとは対照的に攻め手が入った。とにかく初手の判断がわかりやすかったのである。 まあ、それによって最後まで悉くこーられて痛い目に遭ったりもするわけだが。 これらをいちいち挙げていくのはわたしにとっては有意義だが、おそらく画面の前の皆さんにとっては おもしろくもなんともないと思うので、ここでは中盤以降ポイントになった試合をいくつかあげてみる。

まずは中部の雄(持ち上げすぎか)LAC-HERO氏との試合から。 わたしなごやんがまず初手ミドルのポケット8のオープンカード9でレイズ、LAC-HERO氏コール。 Kingが見えている以上無理はできない。4thに9がきてツーペアになったものの、チェックで回す。 のちのLAC-HERO氏の述懐によると、ここのチェックはわたしの手を9のセットと読んだ完全な はめチェックだったらしいが、そんなに良い手ではない(こなくてよかった)。 さすがに5thはチェックで回してくれるはずもなく、あえなくフォールド。悔しそうに初手KK-Kをみせる LAC-HERO氏。あなおそろしや。
ほどなくしてまた同氏との一騎打ち。all foldしていて、残ったbring-inにやすやすと場札を開かせることはできない。 手札は45、氏はというと、オープンカード3。が、レイズしたら「こわくないよ」と言いながらコールされてしまった。 そりゃそうだ。わたしもオープンカードが3なのだから。
さあ、物語はここからである。 4thでKが落ち、打つ構え十分の体勢でいると、氏にもKが配られる。ぜひもなし、チェック回り。5thはQueen。悪くない。 が、チップをわしづかみにしかけた手が思わずとまった。氏にもQueenが配られたからである。 さらに次に配られたカードをみたとき、笑い崩れた表情は確実に一瞬凍りついた。 わたしの前にはJackがある。氏の前にも、たしかにJackがあるではないか。 わたしのオープンカード3KQJ、対するLAC-HERO氏のオープンカード3KQJ。その勝負の行方はどうなったか。 どんな手で勝負がついたのかは皆さんに想像していただいたほうが楽しかろうと思うので伏せる。結果だけ言うと、わたしの負けだった。

しょっぱなから続けざまに負けた試合を取り上げてしまったので、そろそろ勝った試合を紹介させていただいてもバチは当たるまい。 heba氏との冷や汗ものの一戦を取り上げようか。 右隣でbring-inのheba氏は、わたしがレイズしたときにはshort stackであった。そろそろ死に場所を探していた 頃だったのかもしれない。all foldであわやスティールか、と思いきやheba氏のみコール。こういう オールインを視野に入れた体当たり的なコールほどこわいものはない。 なにせ、わたしの手はTJ-Aと、さして強いスターティングハンドでもない。できれば降りてもらいたかったが、 この期に及んではそうもいっていられない。4th(K)-5thはragでノーペアだったものの、打たざるを得なかった。 氏のほうも似たり寄ったりの流れだったからである。6thでチェック回りし、7thでもついにカードの神に見放された。 わたしなごやんのただいまの手札、Aハイである。AハイストレートでもAハイフラッシュでもない。単なるAハイ。いわゆるブタ。 きわめて格調高くいえば、ノーペアである。いばるな。だが、ここは打たねばならない。幸運にもダウンしてくれたから、 この日はとどのつまりMy Dayなのだろうと勝手に納得した次第。 この試合で余裕をもつことができるようになったために、のちのアグレッシブなほどのスティールのかけっぷりが可能になったわけである。

ヘッズアップではすみ氏との対戦。
またこの人!もうはっきりいわせていただくと、いやなのである。 どうもこの人との試合は後味の良くないものばかりしか記憶にない。 とにかく、脅しに屈しないというタイプで、タフなのである。その意味では、テキサスやオマハよりも スタッドのほうが氏には向いているかもしれない。大きなお世話か。
さて、はじめはお互い慎重な探り合いが続いたが、しばらくするとチップ量で睨まれたかアグレッシブにスティールをかましてきた。 なめられている。そういうわけで、相手が脅しに屈しないならこちらも、と機を見て強そうな看板に対しリレイズ。 よし、ダメージを与えてやったぞとほくそ笑むのも束の間、Aはたしかに、わたしのほうではなく、そう、 すみ氏のほうに配られたのである。一度ならず二度目までも。
スタッドでは一度かち合ってしまうとあっけないほど早く勝負がついてしまう。 かくしてまたもその男の希望は、まるで赤子の手のひらにそっと掬ってやった真砂のように、 音も立てず、そして罪深く、さらさらとこぼれ落ちていったのである。



***



順位ネーム
優勝LAC-HERO
点心乱丸
M.S
いぶやん
なごやん
heba
池永
高井
すみ
10いわた


上はオマハハイローのトーナメント順位表。

今回はわたしのプレーについて言及するつもりはない。言えばすべて弱音になってしまうからである。 だが、やはり一言だけ愚痴を許してもらおう。いうべきフレーズは決めてある。 手がこなかった。いや、お待ちいただきたい。 すでにもうこの瞬間に、画面の前にいるすべてのかたから、例外なく「言い訳するな」という視線が 向けられていることと思うが、ここはお怒りを鎮めていただきたい。 とにかく、QQ45とかJJA8とか、わたしの大嫌いなペアばかり回ってきた。AAなんぞは3度も回ってきたが、 そのうち二度は捨てている。KKなど言うに及ばず。それくらい嫌いなのである。いや、お待ちいただきたい。

オマハの勝負はフラッシュかストレートでつくことがあまりに多い。 だから、セットをつくってもフルハウスになるまで気が気ではないし、なまじセットになることがあるために降りられない。 ましてやツーペアやペアでベットするなどわたしにしてみれば愚の骨頂で、初手でAAとかKKが入ったら喜んでレイズをしかけるプレイヤーは理解に苦しむ。 また、そうした攻撃が通用してしまうテーブルも理解し難い。
わたしは基本的にスクープできるローのほうがハイよりも好きだが(A2oとか、明らかにローしか狙えないものは駄目)、 今回はこうしたわたしの注文はほとんど無視されたカタチになった。もっとも自分の希望に近い手で、 A35Q double-suited と A45K A-suitedくらいである。ブラインドを削られてゆくにつれ、A2sがないならA2o、 A2oがないならA3s、挙句それもないならいっそ23でも!とにかくロー目をくれ!と、さながら麻薬常習者のリバウンドの如き心理がはたらく始末。そうした実体験はないが。 だから先のA35Qが飛びハンドになってしまったのは参った。そのときに限って、相手の点心乱丸氏が A22K double-suitedなんてものを持っているものだから凹みぶりもひとしお。
一言と断ったのに、だいぶ喋ってしまった。けれど、まだ言い足りない。もう一言よろしいか。
そこをなんとか。

さて。

もうここまできて、持ちかえって三日経った夜店の風船のように書く意欲がすっかり凋んでしまった。 しかし、さんざん自分の愚痴を連ねてきてハイおわり、ではあまりに画面の前の良識ある皆さんに対して失礼である。 よろしい。それでは今回のレポートを終える前に、とりわけ印象深い試合をひとつだけ紹介させていただくことにする。

中盤以降のゲームの行方を左右することになったのが、いぶやん氏オールインで迎えた250-500の一戦である。 コーラーは点心乱丸氏、LAC-HERO氏、そしてボタンheba氏の3人。いぶやん氏を確実に落とすために 最後までチェックで回るものと思いきや、リバーで内部分裂。ck-ck でheba氏が小考後ベット500。 結局ロー狙いで迷ったLAC-HERO氏は落ち、heba氏は7、点心乱丸氏はJのセット。しかも、 LAC-HERO氏が残っていればいぶやん氏は僅差でローも及ばなかったものだからブーイングの嵐。 これでheba氏はリタイア、いぶやん氏は息を吹き返し、点心乱丸氏は十分に優勝を狙えるチップ量を 獲得した。
その後は、失礼ながらM.S氏がよく粘ったことしか記憶に残っていない。

トーナメント3本を終え、総合優勝はなごやん、2位3位はそれぞれLAC-HERO氏、すみ氏となった。 4位は点心乱丸氏であった。

ゲームレポートとは別に、今回のオフで少々気になる点があったので最後に触れておきたい。 それは、進行中のゲームになんらかの影響を及ぼしかねない発言がしばしばみられたことである。 降りてしまった人の「のってたら勝ってたのに」とか「いけばよかった」という類のものである。 また、これは個人的に嫌悪感を覚えるだけなのだが、プレー中に自分のカードを ギャラリーや降りてしまったプレイヤーにみせる人がいる。これもいただけない。 ポーカープレイヤーは、常に自分の手の内を見透かされないようにすべきであって、 すすんで手をみせてアクションの選択を尋ねるといった行為は支持しかねる。 ついでに、表情が素直にでてしまうのは仕方がないにせよ、少なからぬプレイヤーが、カードやボードに対して抱いた感情−多くの場合が不満−をそのまま口にするが、 これも真剣にゲームをする場においてふさわしい態度とは思えない。
たしかに代わり映えしないメンバーで長くやっていると、自然に内輪的なムードが醸成されてしまうのは 仕方のないことかもしれないが、常にそれを省みる理性と批判できる雰囲気があってもいい。 他のかたの意見も頂戴したいところである。


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今回のオフの成績は全国統一のレーティング(Doyle氏提供)および名古屋オフへの参加プレイヤーのみを対象としたポイントランキング(LAC-HERO氏提供)に反映されます(レーティングおよびポイントランキングは、ともに半自動的に反映されてしまうので、対象にしてもらいたくないかたはその旨を伝えてください)。興味のあるかたはこちらもどうぞ。



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