#5 模擬試合導入で、オープンさを維持しつつ差別化を図る〜上級者ラウンジ〜
[ ヤフーポーカー ]において、これまではそれほど初級者ラウンジに対する上級者ラウンジの差別化について語られることはなかった。
それは、おそらく"真剣にゲームをするために集まってきている人々"が、この上級者ラウンジにおいて
独自の雰囲気を創り出すことに成功してきたからであろう。
けれども、最近の上級者ラウンジは、初級者ラウンジですらあまり経験を積んでいない人たち(ポーカーでは、
そもそも初級者/上級者という定義があいまいであるが、経験をどれくらい積んでいるかで、ある程度の
区別はできるのではないか)が、まま参戦しているように見受けられる。
従って、常に真剣な姿勢で高度な技術を競い合う場であるはずの上級者ラウンジの意味合いが薄くなってきていると感じるのである。
そうはいっても、これまで上級者ラウンジは、そのプライドをなんとか維持しようとしてきた。
経験豊富なプレイヤーたちが、なるべく初級者ラウンジではなく、上級者ラウンジでゲームをしようとしてきたからである。
そして、そうした行動は、上級者ラウンジの独自性を高めるのに少なからず貢献したといえよう。
[ プレイヤー情報 ]等で降率を比較してみると、明らかに上級者ラウンジでは、初級者ラウンジよりもその率が高い。
これは、ひとつひとつのゲームを真剣に取り組んでいる証拠ともいえる。実際のゲームをみれば、
その雰囲気の違いがもっとよく伝わってくることだろう。
わたしも、最初に上級者ラウンジに招待されたときは、これほどまでに雰囲気が違うのかと感動したほどである。
だが、その雰囲気は絶対的なものではなかった。そこには常に、初級者や単なる荒らしが入りこむ余地が残されていたし、
実際、入っていたのである。
一部で、こういう意見を聞いた。上級テーブルの設定を非公開にし、上級者たちだけで独自のコミュニティーを
つくってはどうか、というものである
(ヤフーゲームでは、テーブルを管理できるいわゆるホストの手によって、3タイプのテーブル設定ができる。
公開、保護、非公開の3タイプである。
公開設定が普通だが、保護や非公開にすることもできる。保護のテーブルだと、そのテーブルに入って
観戦はできるが、ゲーム自体には参戦できない。非公開のテーブルだと、観戦すら許されない。
本来は荒らし対策等で適用されることが多い)。
だが、わたしはこれには反対である。なぜなら、オープンさがウリのインターネットという性質上、閉鎖的になるのは
好ましくないと考えるからだ。わたしは選ばれし上級者たちによって、誰も立ち入ることのできないテーブルに
なってしまうことを危惧する。少々辛辣な表現をさせて頂くと、これは上級者を自負する者たちのエゴだともいえる。
では、閉鎖的になってしまうのを避け、より上級者同士の真剣な対戦ができる雰囲気を持続させていくためには
どうしたらよいのだろうか、というのが本日のテーマである。
そこでわたしは、模擬試合の導入を提案したい。
模擬試合とはなにか。
これは、まず、毎月の上級者ラウンジの[ ランキング ]上位者数名(仮に10名)に、特定の日にち(仮に週1*4)に限り、
保護設定のテーブルで試合をしてもらうというもの。テーブル設定を保護にすることにより、プレイを学びたい初級者の
人たちは観戦することができる。が、そこには選ばれた10名以外の人間は参戦することができない。
ここがミソである。
模擬試合開催にあたっては、掲示板等で事前に告知しておき、理解を求める。そして、初級者も学べるというメリットが
あることを記す。
開催は、特定の日にちのみに限定する。勿論、上級者ラウンジでは、
この上位10名だけのテーブル以外にも自由にテーブルはつくれる。
原則として、Kleagueを入室させないが、この模擬試合の模様はすべて記録され、ウェブ上で公開される。
誰が、いつ、どのようなアクションをみせたのか。そして、それはどういう意図があったのか。
これらをすべて記録し、コメントをつける。
この上級者たちのプレイ記録は、上級者を目指す人たちにとって貴重な資料となり得るだろう。
では、導入することで、いったいどのような効果が期待できるのか。これは本テーマの核心部分である。
この模擬試合を導入することによるメリットは、大きく分けて3つある。
まず第一に、上級ラウンジのランキング上位10名が対戦することで、より上級者ラウンジらしい
高度なゲーム展開が期待できるという点。
初級者ラウンジよりも、上級者ラウンジのほうが上位に食い込むのが難しいため、
その中で上位に入ったプレイヤーは、自然と上手い人が多いということになる。
こうして選ばれた人たちがプレイすることで、白熱した上級者ラウンジらしい試合展開になるのである。
次に、ランキングの価値が高まるという点である。現行のランキングシステムだけでは物足りないという人はいるだろう。
だが、この模擬試合を導入すれば、自分が上級者であるとプライドを持つ人ならば、なんとか上位に入ろうとする。
そうすれば、いきおいランキング合戦も盛り上がってくるだろう。いい意味での競争意識は助長させるべきだというのが
わたしの考えである。
そして最後に、なによりも周りのプレイヤーたちにとってよい学習になるという点である。
上級者ラウンジのランキング上位陣たちが繰り広げるポーカーの世界は、彼らにとってよい刺激となるに違いない。
いかがだろうか。
単に上級者ラウンジの特定メンバーのみで非公開にしてしまうのに比べ、
この模擬試合は、オープンな形態を維持しつつ、上級者ラウンジの雰囲気をつくっていけるものだと思う。
あくまで、これは模擬試合(デモンストレーション)という形式を取ることが重要である。
そうすることで、見る側は大いに期待をかけ、プレイする側は、よりよく見せるために真剣にならざるを得なくなる。
また、掲示板等におけるPRにおいても、テーブルを保護にする理由として、模擬試合を行うためといえば、
単に非公開にするよりも肯定的に受け止められるのではないか。
インターネットは、誰でも自由に参加できるオープンな形態が特長であり、この基本線は守られなければならないと考える。
それは、ネットにおける対戦ゲームにおいても例外ではない。
そこでは、誰しもが参加できる条件を与えられねばならない。
その意味で、誰しもが参加できる条件を与えられているこの模擬試合のスタイルは、試してみる価値が十分にあると思う。
さて、ここまでメリットを述べてきたわけだが、導入した際に予想されるデメリットもいくつか考えられる。
これも3点挙げられる。
まず、デモンストレーションを意識しすぎるあまり、仲間内で馴れ合いの雰囲気が生まれ、ゲームの
駆け引きに妥協が生まれてしまうのではないか、という点。
次に、模擬試合を誰が記録するのか、という点。模擬試合を週に1度(仮に1-2時間)、月に4度ほどやったとして、
その記録に費やされる労力は相当なものである。これを誰が負担するのか。
そして、初級者が入りすぎたあまり、ランキング自体の信憑性が乏しくなってしまうという点。
度を越したレイズ合戦等によって上位に入ってしまった初級者ばかりの模擬試合などとというのは
笑うに笑えない。
これら以外にもデメリットはあるかもしれないが、それでも敢えて、先に挙げたメリットのほうが
上回ると主張したい。これらのデメリット解消は、今後の課題である。
繰り返しになるが、大切なのはいかに上級者ラウンジらしい雰囲気を保てるか、である。
ヤフーUSAのような、初級も上級も区別のないポーカーテーブルになったらおしまいだ、と常々思う。
模擬試合の導入により、それを観戦した初級者は、自分のスキルの程度を知り、
もっと己を磨かねばと奮起し、上級者は、これまで以上によりよいゲームをして刺激を得ようとする。
この見通しは甘すぎるだろうか。
模擬試合の導入というのは、数ある手段のひとつにすぎない。
これによって、上級者ラウンジでは真剣にプレイしていかなければならないという意識が芽生えれば
大成功なのである。逆に言えば、これ以外にもよい手段があれば、積極的に検討していく必要がある。
もっと、現時点での上級者ラウンジの危機について議論をすべきだと思う。
現在、かなりの初級者たちが上級者ラウンジでプレイをしているこの憂うべき状況に対して、早急になんらかの手を打たねばならない。
上級者たちが初級者ラウンジ化した上級者ラウンジに見切りをつけてからでは、もう遅いのである。
(9/13,1999 なごやん)