#2 「わたし、タイトなんです」


#1では、いわゆる「強い」プレイヤーの特徴を簡単にまとめて取り上げ、 それらのプレイヤーに対してはタイトな姿勢で臨むのがよいと書きました。 しかし、本人はタイトにプレイしているつもりでも周りからみると随分ルーズに見られるケースは 意外によくあるものです。ですから、ここではその「タイト」なプレイヤーについて 若干の考察をしてみようと思います。その上で、本当に効率のよいタイトプレイヤーとは一体どのような タイプなのかを考えていきます。

一口に「タイト」といっても、人によって様々なタイプがあると考えられます。以下をご覧ください。

1)pre flopの段階から徹底してタイトな人
2)flopからはタイトになる人(pre flopの段階ではルーズな人)
3)普段はルーズなのだが、ルーズなプレイヤーが多いテーブルではタイトにプレイする人
4)普段はルーズなのだが、タイトなプレイヤーが多いテーブルではタイトにプレイする人
5)普段はルーズなのだが、ある時点から一変してタイトになる人
6)普段はタイトなのだが、ルーズなプレイヤーが多いテーブルではルーズにプレイする人
7)普段はタイトなのだが、タイトなプレイヤーが多いテーブルではルーズにプレイする人
8)普段はタイトなのだが、ある時点から一変してルーズになる人
9)一定の条件が揃ったときにのみタイトになる人
10) 一定の条件が揃ったときにのみルーズになる人

1)pre flopの段階から徹底してタイトな人

「タイト」と言われる人は普通1)のようなタイプの人たちを主に指すと思われます。 文字どおりpre flop(3枚の場札、いわゆるflopが提示される前の段階、つまり手札が配られた段階のこと) から先を見越して降りるようにしている人です。ネットポーカーでもこのタイプの人は比較的多く 見受けられます。

2)flopからはタイトになる人(pre flopの段階ではルーズな人)

2)は意外と見過ごしやすいかもしれません。この種のタイプは、とにかくflopまでは見に行く、そして その時点でアクションを判断するので、一見するとルーズ(タイトに対して、よくコールをするタイプの 人をいう)に見られがちです。ただこのようなタイプは、いかんせん判断材料に乏しいpre flopの段階で 判断を下してしまうよりも、最小限度の額を払ってでもflop段階まで見に行くことでより正確な見通しを 得ようと考えているので、flop段階からはタイトにプレイします。とどのつまり、2枚で判断するよりも 5枚で判断したほうがいい、しかも少ない額で見にいけるのだから、と割り切っているのでしょう。 1)のタイプからみると、2)のタイプはルーズにみえますが、ここではタイトなプレイヤーの枠に 入れたいと思います。このタイプは1)のタイプほど多くはありませんが、時折見られます。

3)普段はルーズなのだが、ルーズなプレイヤーが多いテーブルではタイトにプレイする人

次に3)ですが、このタイプは一般的にルーズプレイヤーとして認識されています。しかし、 あまりにルーズなテーブルに居合わせた場合、一変してタイトに変わるという特徴をみせます。このような タイプは注意が必要でしょう。ルーズなテーブルではタイトにプレイしたほうがいいというのは 先に述べた通りです。ただ、先に補足したように、コーラーは時として意外な勝利を掴むおそれが あるので、タイトになったから必ずしもルーズなテーブルを征することができると解釈してしまうのは 早計です。えてしてタイトに過ぎるテーブルの場合、ルーズに行くほうがよいこともありますから。

4)普段はルーズなのだが、タイトなプレイヤーが多いテーブルではタイトにプレイする人

一方、4)は3)とまったく逆のタイプとみてよいでしょう。この種のプレイヤーも周りからはルーズな プレイヤーとして認識されていますが、タイトなテーブルに居合わせるとそれに合わせたようにタイトに プレイをします。タイトなテーブルの独特な雰囲気に飲み込まれているということも考えられますが、 手を絞らないと勝てないと学習しているのかもしれません。ただ、このようなタイプは急にタイトに 変わるのではなく、次第にタイトな流れに合わせていくので普段はルーズだということが分かります。 普段ルーズな人ほどボードを読む(先の展開を読む)のに不得手であるとするならば、明らかに 手を絞るだけでは限界があります。また、かなりいい加減に絞っていることも考えられます。いずれにせよ、 このようなタイプは恰好の“カモ”にされてしまうでしょう。この種のタイプは、ヤフーポーカーでいうならば よく上級テーブルに迷い込んでくるルーズプレイヤーに多いと思われます。

5)普段はルーズなのだが、ある時点から一変してタイトになる人

5)は少し見分けにくいタイプのプレイヤーです。このタイプもルーズプレイヤーと認識されていますが、 ある時点を契機に一転してタイトになることがあります。例えば、大きなポットに参加していて 惜敗を喫したときや、特定の相手に連敗を重ねてしまったときなどです。これらのプレイヤーはたいてい 一定の時間が過ぎてほとぼりが冷めるとまたルーズに戻ってしまう傾向があるので、あまり注意して 見守る心配はないでしょう。このようなタイプは時として勝てる試合でも疑心暗鬼にとらわれて降りてしまったり、 勝ち目はないのにも関わらず無闇に最後の札に期待してしまうケースもあるようです。もしあなたが このようなプレイヤーならば、一度ゲームを中断されることをお勧めします。そして、自分のプレイスタイルを 見直す必要があるでしょう。このようなタイプはとくにポーカーを始めたてのビギナーに多く 見受けられるようです。

6)普段はタイトなのだが、ルーズなプレイヤーが多いテーブルではルーズにプレイする人

さて、では6)のタイプはどうでしょう。このタイプは、一般にタイトプレイヤーとして通っています。 しかし、ルーズなプレイヤーが多いテーブルではそのプレイスタイルを変え、ややルーズに局面を判断します。 いわば、「ルーズプレイヤーおそるるに足らず!」という気概で臨んでいるタイプともいえるでしょう。 この種のタイプはややルーズにプレイしても自己規制がはたらくので無茶な賭けにはのりませんし、 なるべく自分に有利なときに勝負を仕掛けようとします。また、ルーズ目にプレイすることによって 警戒されないようにするという目的もあるのかもしれません。相手をみてプレイスタイルを変えていることから、 このタイプには注意が必要です。よく観察して実際にルーズなのか、ルーズを装ったタイトプレイヤーなのかを 見極めてください。

7)普段はタイトなのだが、タイトなプレイヤーが多いテーブルではルーズにプレイする人

7)も注意が必要です。このようなタイプは3)でも触れたように、タイトなプレイヤーの弱点をねらって、 いわば裏を衝いて攻撃してくるタイプです。ですから、タイトプレイヤーが多いテーブルでは逆に スタイルを変えてルーズにプレイします。「弱点」の意味するところですが、タイトプレイヤーというのは 強い札(AやKなど)を持って勝負をかけてくることが多いので、低い札が場に出たときはえてして 脆い一面を見せる傾向があります。そのことを踏まえて故意にルーズ目にプレイしているプレイヤーがいたら かなり危険な存在といえるでしょう。単なるルーズプレイヤーなのか、故意にルーズにプレイしている人なのかを 注意深く観察していく必要があります。

8)普段はタイトなのだが、ある時点から一変してルーズになる人

8)のタイプはよくいわれるTILT(理性のタガがはずれてぷっつんした状態)状態のプレイヤーです。 不本意な負け方をしてしまうことで、急にルーズ(或はレイザー)なプレイヤーへと変質してしまう場合があります。 このような状態に陥ったプレイヤーにはなるべく近づかないほうが無難でしょう。 ただこれは上級者に多くみられるため、ある程度ほとぼりが冷めるとまた元のスタイルに戻ることが多いようです。

9) 一定の条件が揃ったときにのみタイトになる人
10)一定の条件が揃ったときにのみルーズになる人

では9)及び10)のタイプはどうでしょうか。「一定の条件」といってもなかなか正確に捉え切れませんが、 少なくとも2点ほどその条件を挙げることができます。1つは参加しているプレイヤーの「人数」です。 そしてもう1つは自分の座っている「ポジション」ですね。
通常、ポーカーにある程度慣れている人ならば、 人数が多いときはいつもよりタイトに、人数が少ないときはいつもよりルーズにプレイします。 また、座るポジション(位置)によってもその人の判断に影響を与えます。 自分の順番が早いほど慎重になり、自分の順番が遅いほど判断が下しやすくなることはよく 知られています。

いかがでしょうか。ただ「タイト」といってもかなりの幅をもっているのにお気づきかと思います。 勿論上に挙げたタイプは、個々に切り離されているだけではなく、 時にはいくつものタイプが複雑に絡み合ってプレイに反映しているケースもあると予想されます。

そこで、ではどのようなタイプが最も良いといえるのでしょうか。9)10)に限り、これだけでは その人がタイトなのかルーズなのかを判断し難いと思われますので、それ以外のタイプについて みていこうと思います。
やはり最良なのは1)でしょう。なぜなら2枚の札だけでもかなりの部分、試合展開が分かるからです。 しかも、無駄が一番少ないのにお気づきかと思います。しかし、はじめのうちはなかなか2枚の札だけでは 局面を読み切るのは難しいかもしれません。従いまして、2)のようなタイプもおすすめといえます。 ただ、えてして2)のようなタイプは自己規制を失いがちになるようです。というのも、3枚みて しまいますと、どうしてもその後の札を見にいきたくなってしまう心理がはたらくことがままあり得るからです。 その点では、多少忍耐がいりますが1)のタイプに慣れておくのがよいと思われます。わたしもなるべく 人数が多いときは1)のタイプを中心に据えてプレイしようと心がけています。しかし、1)も決して 絶対的に有効とはいえません。予め絞るパターンをある程度決めておかないと局面を見誤ることがよくあります。 そして降りた札には未練を残さないことも大切です。さらに、ここは落とし穴だと思っているのですが、 タイトが絶対的なものだと思うと、思いもよらない負け方をしたときにかなりのショックを受けることにも なりかねません。この点については、項を改めて触れます。
その他のタイプはどうでしょう。4)5)8)は基本的に下策とみます。このようなタイプは極めて “カモられやすい”状況にあるので注意が必要です。
3)6)7)は上級者向きのタイプです。場合によっては非常に有効でもあります。しかし、場の雰囲気に応じて 自分のプレイスタイルを変化させるためにはまず自分の基本的なプレイスタイルというものを ある程度自己認識しておく必要があるでしょうから、まだプレイスタイルが殆ど決まっていないビギナーには おすすめできません。

さて、次回は今回の項を踏まえた上で「タイト」と「ルーズ」との相克を取り上げます。
タイトプレイヤーはその絶対的な“信奉者”(=タイトプレイへの過剰な陶酔)になることで 彼らと対極にあるルーズプレイヤーを必要以上に疎む(或はそれ以上に下手なプレイヤーとみる) 傾向にあることを指摘し、その上でルーズプレイを再考していくことにします。
ルーズプレイは本当に下策なのか。最終的に、タイトプレイを基本に据えた人にこそ ルーズプレイが必要であると説いていきたいと思っています。(4/27,1999 なごやん)



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