「いじめ」の授業

わたしのいもうと

 

                                            遠野市立青笹小学校       宮 川 信 子


参観日の道徳で松谷みよ子の「わたしのいもうと」という絵本を用いて「いじめ」の授業をしました。TOSS道徳「心の教育」5 の師尾喜代子氏、TOSSランドNO2210096山口佳子氏の実践の修正追試です。向山先生の「学校の失敗」の脳の話、子どもの作文も紹介しています。

 発問 1 どのような行為を「いじめ」というでしょう

・「悪口を言う」「無視をする」「集団で暴力をする」「避ける」「その人のいやなことをいったりしたりする」などが挙げられた。          

説明 1 「いじめ」とは次のようなことを言います。【自分より弱い立場の人に対して、一方的に体や心を傷つける       ことをして、相手がとてもいやに思うこと。】 

「わたしのいもうと」松谷みよ子著(偕成社)の前半を読み聞かせる。最初から「だまってどこかを見ているのです。振り向いてもくれないのです。」まで

指示 1 「わたしのいもうと」(前半)を読んでわかったこと、気がついたこと、考えたこと、思ったことを発表
      しましょう。

「いじめられた女の子はかわいそう」「いじめた子はひどい。」「跳び箱ができないくらいでなぜいじめるのだろう。」「いじめている子は反省して欲しい」等の発表があった。いじめた子達への怒りが強く出ていた。

発問 2 この後いもうとに対するいじめはどうなったと思いますか。

  ・良くなった   いじめた子達は自分たちのしたことを反省して「いもうと」に謝り仲直りした。

わるくなった いじめた子達はそんなに悪いことをしたと思っていない。だからいじめはなくならず「いもうと」はもっと弱っていく。

・変わらない 「いもうと」は学校にいっていないから状況は変わらない。すっとこのまま。

良くなったという子どもが多かった。それは「良くなって欲しい」という子どもの願いの表れでもあったと思う。

 続きから最後まで読む。「そしてまた月日がたち・・・・妹の話はこれだけです。」読んだあと教室はしんと静まり返っ   た。

このお話は松谷みよ子さんへ送られてきた手紙をもとにして書かれたそうです。本当にあったお話です。「いじめ」が人の命を奪うのです。

人間の脳の図を提示「学校の失敗」向山洋一著(扶桑社)P235参照  【ヒトの脳】【ネコの脳】【ヘビの脳】3つの層の説明をする。

発問 3 人はいじめられると脳のある部分が弱ってきます。3つの脳のうちどれが弱ってくるのでしょう。

子どもたちは【ヒト】【ネコ】【ヘビ】、ほぼ同数に分かれた。

説明 2 人はいじめられると【ヘビの脳】が弱ってくるのです。【ヘビの脳】は人間が生きていくためにもっともたいせつな脳です。ここ      が弱ってくると、生きていく力がだんだん無くなっていきます。つまり、いじめをする人は、相手の生きる力を奪っているので       す。命を縮めているのです。「学校の失敗」P236より

作文「ぼくを助けてくれた友達」(「学校の失敗」P237)を読む。

指示 2 今日の授業の感想を書きなさい。

5分後感想を発表させた。授業参観であったのでその後の懇談会でも授業についてや子どもたちの日常の悩み、人間関係についての話題が出され、有意義な話し合いとなった。