ABU 2500C Bait Casting Reel    第1号館Top

abu2500csr 写真は1993年型ABU:2500CS ROCKET
<改造点>
・オープン型チューニングベアリング
・スコーピオン用ベアリングオイル
・S字ショートハンドル
・シルバースタードラグ
・2500C IAR用チタン製レベルワインダー
・フルトリートメントチューン

このリールは、バズベイトをトロトロやる目的で
ギア比は1:4.7のままです。1:5.3のギアは
精密度に欠け、巻物ではゴロゴロいうのでお奨
めできません。気分の問題ですが。そして、アン
チリバースへの改造は機構上不可能です。

<ABU 2500Cは何故世界のスタンダードなのか?>

ABU2500Cは、1975年スウェーデンのABU社から、小型ベイトキャスティングリールのフラッグシップとして発売されたリールです。発売当初から現在に至るまで、小変更や部品材質の変更はあったものの、基本設計は変わる事無く継続されている息の長いロングセラーモデルです。
後続メーカーはこのABU2500Cを真似た商品を幾度となく世に送り出してきましたが、その知名度は上がりませんでした。
日本ではダイワやシマノといった釣具総合メーカーがリールもロッドも平行開発してマッチングを取っていますが、海外では専業化されており、リールはリールメーカー、そしてロッドはロッドメーカーが総力を結集して作り上げます。
ロッドメーカーがグリップ部及びリールシート部を設計するには、当然、リールが必要です。そこで、基準にされたのが世界的シェアを誇るABUのリールなのです。5.5〜7.5フィートのバスロッドの殆どがABU2500Cや5500Cを基準に作られていました。
現在はサミングポイントのロープロフィール化に合わせたロッド開発に変わってきたので、最新ロッドに2500Cを付けると手の小さい人には少しサミングプレートの位置が高く感じられるかも知れません。
それでは、2500Cを現在のロッドに付けたい時、どのようなロッドが良いか? 私なりの見分け方をお教えします。ご参考になれば幸いです。
まず、ロッドのハンドル部分に注目してください。深くえぐれたタイプを選べば、リールの位置も低くなるという理屈です。最近はえぐれが浅いタイプが増えておりますので注意ください。お奨めはフェンウィック。又、もっともサミングポイントが下がるのは、埼玉県JR川口駅の側にある「グラスアイ」のオリジナルロッドです。
グリップだけでもシングル・セミダブル・ダブルと取り揃えて販売しておりますので、気に入ったブランクをお持ちでしたら、このグリップに装着してみるのも良いと思います。但し、もともとグリップとブランクが取り外せる物でないとだめですが…。
フェンウィックのフラッグシップ:ゴールデンウィングシリーズは、ブランクがグリップを貫通して接着されているので、グラスアイグリップへの装着は困難です。
ダイコーのブルーダーシリーズは、しなやかなブランクでグリップから取り外せるので装着可能です。グリップへ装着の際はブランクエンド部分にアルミ製の補強部品(筒状)を接着する必要があるので、ブランクエンド部分の直径を正確に測り、それに合う径の部品を購入する必要があります。お店の人に相談してみてください。
私はダイコーのフォーミュラースティック(生産終了。ブルーダーへ移行)58ML,60ULのブランクをグラスアイセミダブルグリップに装着し、使用しています。フェンウィックゴールデンウィング(GW-58CMLマイナーチェンジ前)のメインロッドと共に活躍しています。

<ABU2500Cは使い物になるの? それともコレクターズアイテム?>

「格好良いから集めている」という人も数多くいらっしゃると思います。かくいう私もその一人なのですが、一方では実釣でのメインシステムとしても活躍しています。
実釣で傷つくのを嫌がる人は論外ですが、使ってこそ所有する価値があると思う人は、是非積極的に使ってください。
但し、アングラーでごったがえした有名ワンドで抜きに出ようと思うなら、ノーマル仕様の2500Cでは役不足です。黙ってシマノを使いましょう。
年式にもよりますが、インスタントアンチリバースモデル以前の物は、メカ部にグリスがべった塗りです。中にはベアリング内部までべったりグリスが侵入している物もあります。現代のリールの様に精度よく出来ていないので、グリスでごまかしている様です。性能面で、特に飛距離に影響してくるので、最新の国産リールには敵わないのです。
又、ギア比も2500Chighspeedモデル以前の物は1:4.7、以降の物は1:5.3です。最近の1:6.3とかには到底追いつきませんが、クランクベイトをトロトロやる時や、軽やかなペースでバズベイトを引く時はこちらの方が心地よいものですし、慣れればどうということはありません。但し、ホッパー等トップウオータールアーをやる時、ポイントを通過した後の手返しには、もろに効いてくるので少しストレスを感じます。
キャスタビリティーは世界最高と豪語しておきます。左右バランスが良く、サミングプレートの角度も絶妙。スプール幅が広いのでコントロール性はずば抜けています。同じくバランスの良いリールとしてシマノカルカッタがありますが、スプール幅が無く、万一のバックラッシュにはお手上げです。同じシマノのメタニウムやアンタレスはスプール幅が広いのでバックラッシュには対処できますが、メカ部が重く、左右バランスは良くありません。従って、ピンポイントキャストのコントロール性に劣るのです。オープンウォーターでぶっ飛ばすにはもってこいですが…。CMでうまい人が熟練したテクニックでキャストを決めるシーンがありますが、素人には真似できない物と思ったほうが良いと思います。私はヘタクソなので、2500Cが最もしっくりくるリールと言えます。
とにかく2500Cにこだわりたい人で、国産勢に負けたくない人は次の手段があります。

1) インスタントアンチリバース(IAR)モデル以降を使用する

このモデルからベアリングが回転の良いものになっている様です。手を加えなくともある程度、気持ちよく飛ばせます。
最近のカラーモデル(ゴールド・レッド・グリーン)では金属製の軽量スプールが採用されており、回転精度が上がった為、さらに気持ちよくキャスティングが楽しめます。無論、シマノと比べると絶対的な距離では敵いませんが…。

2) ベアリング交換及びトリートメント処置を施す

ここでは、初心者でも出来る簡単なチューニング方法を紹介します。
IARではない古いモデルでは(ハンドルに遊びがあり、若干戻るタイプ)ベアリング交換とトリートメント処置をお奨めいたします。
最新の2500Cのベアリングと互換性が有るので、ABUに発注すれば入手できます。交換するのはスプール軸を支えている左右のベアリングで、トレードインで交換できる筈です。念のためABUに確認してください。このベアリングであれば、CRC666等の少し粘度のあるスプレーオイルでOKです。
その他にサンライズ等のショップで販売しているベアリングを装着するのも手ですが、回転が鋭い分、オイルの切れも早く毎回注油が必要です。純正と同じ形状のシールドタイプ(ボールベアリングが隠れている)とオープンタイプ(ボールベアリングが露出している)の2種類があり、オープンタイプでスピナベやバイブレーションのようなキャスト回数の多い使い方をするとオイルは1日持ちません。又、シールド、オープンに関わらずチューニングベアリングはもともと回転が良すぎるので、CRC666のようなさらさらなオイルは使いません。なるべく固い物を使います。ショップでは昭和シェルのマシンオイルを販売しておりますが、どこでも入手出来るわけではないので、シマノメタニウム純正のオイルをお勧めします。但し、オイル切れは早いのでフィールドで注油する事も考慮し必ず持ち歩いてください。フィールドでの注油では、誤って遠心ブレーキのブロックを無くしてしまう恐れがあるので、こちらの予備も持っていると良いでしょう(かくいう私も…)。最近のリールと違って、ブロックは円筒形のカーボンで出来ていて、ロックもないので、スプールを取り外す際に落下する事があります。
尚、注油量は一滴です。万一、ドクドクと流してしまったら、CRCで洗い流す事をお奨めします。明らかに回転が鈍り、メカ内部にも飛び散るからです。飛び散ったオイルは合わせ面から染み出てくる事があり、手を滑らせてタックルを水没させる恐れがあるので注意してください。
次にトリートメント処置ですが、IAR以降の物には必要ありません。グリスの量も少なく飛距離には殆ど影響しないからです。IARでない物は新品でもこの処置をお奨めいたします。
特に難しい訳ではなく、プラモデルを作った事のある人であれば60分程度で出来ます。先ずは部品単位に分解してください。再組みする自信の無い人は、デジカメ等でもとの姿を撮っておきましょう。そして、図面と照らし合わせれば完璧です。
基本的にグリスは全て取り去ります。その後ABUのテフロングリスを必要量だけ塗ります。必ず行う個所はスプール軸を支えている左右のベアリング近辺です。塗りたぐられたグリスをCRCで洗い流し、丁寧にティッシュペーパーで拭い取り、ベアリングを交換し注油します。次に遠心ブレーキノブの内側スプール軸を受け止める銅版をCRCで良く荒い、一滴たらします。この時、スプール軸の先端も忘れずに洗って下さい。
お次はメカ部です。ハンドル軸には多量のグリスが塗りこまれているので、気合を入れて拭い取ってください。但し、ワッシャーとワッシャーの間やギアとの接触面は完全にグリスが無い状態ではゴロゴロ鳴ったり、摩擦でパーツを痛めるので適度にテフロングリスを塗ってください。この部分は直接飛びには関わりませんが、ハンドルの軽快さやスムース感に影響します。又、メカ部のグリスが、スプール受け部分に干渉していると飛びにも影響してきます。なお、2500Chighspeedはハンドル軸部にベアリングを装備してスムース感を演出しておりますが、トリートメント処置を施した場合、逆にギクシャクしますのでご注意ください。
次にレベルワインダー部をCRCで洗います。良く、ブッ飛びチューンと題してレベルワインダー軸にもベアリングを入れる場合が
ありますが、専用の冶具を要する為、自分では困難です。ショップに預ける事になりますが、信頼の出来るショップでないと不都合が発生します。私も某有名ショップでやって貰いましたが、当たりが悪かったせいか、突然レベルワインダーが機能しなくなるトラブルが発生しました(2台依頼して2台とも)。一歩間違えると取り返しがつかないチューニングなので、初心者は避けた方が良いでしょう。
そして、仕上げは遠心ブロックが接触する面の掃除です。黒くカーボンがこびり付いている様では重症。2,3回の釣行で真っ黒になるのでこの部分はこまめに掃除しましょう。
最後に再組上げして終了です。最初は2時間はかかりますが、慣れれば60分で終わります。
尚、この処置は使い込んだリールに特に有効ですが、新品に対しても有効です。


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