…本当に駅まででいいのか?
タミヤ 1/35スケール プラスチックモデルキット
待ちに待った劇場版も公開されてだいぶ経ちました。
その劇場版からの模型道第12.9弾。
非常に中途半端な番号なのはお察しのように忌み数を避けたからですが、完全に飛ばしてしまうと数え間違うので。各位四捨五入いただくということで。
いっそ13を使ってもいいような事態が製作中に発生してるのですが…(後述)
そんなわけで西住さんちの自家用車、U号戦車F型です。
自家用車というか、あるいはまほみほ姉妹の専用車なのかも知れません。
いずれにしても劇中での登場の仕方は非常に印象的であり、特に劇場版がはじめてのガルパンで、あの世界での戦車の社会への溶け込み方に馴染みのなかった方には強烈なインパクトでもあったことでしょう。
U号戦車と言えばタミヤ。ちゃんとF型も出ております。
…とは言え劇中と全く同じモデルではないのは毎度のこと。
見た目の印象で劇中車と大きく異なると感じられるのはやはりフロントフェンダー先端のエクステンションの有無と、左リヤフェンダーの物入れの有無でしょうか。
実は劇場版公開直後からキットは調達してありました。
もうあれ見たら誰だって作りたくないわけない。U号作るぞ!タミヤにあったな!よし同じF型だ!あれっでもフェンダーになんか箱付いてるな…じゃあついで新しい方のキットも買っとくか!こっちのフェンダーは箱付いてないし!なーにどうにかなんべ!という感じで。
二つのキットを並べて矯めつ眇めつした結果、古いF型の車体に新しいA-Cのフェンダーをちょん切ってくっ付けるという方向にすることにしたのですが…
フェンダーをカッターで切り落としている最中に、
手を切りました。
左手薬指の腹をそれはもうざっくりと。なまじ良く切れるカッター刃を使っていたためにそれはもう見事に。
ツリロンをほぼ1本使い切って何とか止血しましたが、半年以上経ち見た目は完全に治っている今も指先に違和感があります。これはきっと一生治らないでしょう。
西住姉妹とU号戦車は、私の心と身体に二度と消えない跡を残していくのです…
さすがにこれでモチベーションが下がり、以来しばらく放ったらかしてあったのですが、基本旧キットのみで仕上げる方向に作戦変更し、この度ようやく完成に漕ぎ着けました。
フロントフェンダーは当初おゆまるで先端を複製して継ぎ足そうと思ったのですが、なにぶんモールドが細かいせいで何度やっても綺麗に型取れない。
4回試したところで諦めて、別の車体から切り取って継ぎ足しました。
やるとしたら部品請求でアッパーボディだけ取り寄せるというのがスジなのでしょうが、わたくしその前に磨き終えた遊動輪を洗っていて無くしておりまして。キットがお安いのでいっその事と丸ごと買い足してあったのです。なのでこういった反則技を使うこともすぐ思い付きました。
案の定と言うか何と言うか、その後も予備履帯を切り過ぎたりアンテナ基部を掘り抜いてしまったりジャッキを削り過ぎたりと、部品取りとして遺憾なく活用が出来ました。
威張ることではないです。
また作業中の成り行きで元付いていた位置と左右逆に取り付けることになりました(前後は180度ひっくり返す)が、このキットは元々右フェンダーに一部編み目のモールドの不揃いな箇所があります。したがって左右を同じ方向に取り付けてしまうとこの不揃いな部分が車体部と延長部で反復してしまうので、見る角度によっては(ああこれを足したんだね)というのがバレバレになりかねません。なのでうっかり削り過ぎたとかそういう理由がなくてもなるべく左右は入れ替えた方がよろしいかと。
劇中車は予備転輪が付いてないのでキットパーツからブラケットだけ切り離し。
結構型ズレしているので目立たないように削るのに苦労しました。小さすぎて。
この辺りは正直なところアルミ板かなにかで作り直してしまった方が楽なくらいなのですが、基本設計の古いキットですので一部分だけリアルかつ繊細な部品が付いていても浮くだけだと思い、あえていくぶん大味なのを承知の上でキットのパーツを使用しています。
砲身は当然両方とも穴開け。
まほみほU号となればどうしてもやっておきたくなる、お姉ちゃんが顔を覗かせていた正面窓の上部防盾の取り外し。
劇場で見た印象だとてっきり単に取り外しているだけだと思っていたのですが、アハトゥンク2を見るとがっつり大きく穴が開けられています。防盾を付け直しても上部に穴が残るくらい。あるいはパネルごと付け替えている設定なのかも知れません。その辺のアシに使うなら別に防盾とか要らないわけですし。
劇中の印象を尊重して大きく開けるか、それとも理屈を優先してちゃんと防盾に隠れるくらいの穴にしておくべきか。
とりあえず後者(小さめ)を狙っておいて、穴がうまく四角くならなかったら前者でもいいことにしよう…ということで削っていったら、ギリギリ隠れそうな範囲内で程良く四角くなったので終了。深追いはやめましょう。
穴の両脇に付いている2対の防盾の位置決めブロック?らしきものは作るつもりですっかり忘れて塗装まで進めてしまったので、塗装後にプラ板から切り出してGクリアで貼り付けました。微妙にズレてるような気がしますが気のせいということにしておいて下さい。
予備履帯は劇中車通りに10コマに詰めています。
固定しているプレートの上にピン跡があり削りにくいので、上から0.3ミリのプラ板を被せてボロ隠し。
これまたアハトゥンク2を見ると薄いフラットバーで固定されているようなので、ついでに忠実に再現しようと思えば出来るのですが、ここもやはり全体のバランスを鑑みてあえてキットパーツのように端をブロック状に作っています。ナット追加してもよかったかも…
短くすると車体側にある位置決めのヘコミが見えてしまうので当然パテ埋め。
またキットのままだとこの正面のパネルの傾斜が浅く切り立っていて必要以上にゴツく見える印象だったので、削り込んで角度を付けると同時にアゴの部分を面取りしています。裏打ちのパテが表に出るほどは削っていないのですが、これだけでも結構印象は変わる、と思う。思いたい。
後部はマフラーエンドに穴を開け、新キットから尾灯をいただいて追加した程度です。
シャックルの頭は付けてもよかったかも…組んだ状態だとこの辺りはどうしても影になるので意識が薄れておりました。
流用と言えば劇中車はノテックライトの脇にホーンも付いており、これも当然新キットにはパーツが入っているのですが、あまりに小さく繊細なのでキットのままのライト類とチグハグになるのを恐れてオミットしました。決して小さすぎて面倒になったからではないです。
車体色は在庫のサンドイエローに同じく在庫の中島系コクピット色、白を足したり黒を足したり黄色を足したり…したらこうなった…気がします。
もう少し明るく黄色っぽくてもよかったか。しかし直射日光下で見ると…(何度目だ)
転輪は同じ色かと思ったら動画でよく見ると微妙に違うようです。ガルパン戦車だとよくあることですが。一応緑色多めにしています。
起動輪、転輪のトレッドは調整を。そのまま組むと履帯がきちっと真っ直ぐになりません。
今までは戦車道という「武芸の道具」ということもあり、基本的に墨入れも最低限で済ませていたのですが、今回はウォッシング多めに…というのもおこがましいですね。
いつもよりは余計に薄っ黒くした、というのが妥当な表現ではないでしょうか。水垢がそこそこ溜まったような感じです。
こういう表現だとつい塗装剥げなども入れたくなるものですが、個人的にはガルパン戦車に「こっちの世界の戦車」のような派手なウェザリングはどうにもしっくり来ない。
今回の場合は自家用車…というか女児の自転車みたいなもんだと思えば剥げてても錆びててもおかしくないわけですが、そこはそれ常夫さんがまめに手入れしているということで…
アンテナはケースごと一体になっているので切り取り、0.5ミリ真鍮線に入れ替え。
軸は0.8ミリで打ってあるので可倒式です。
微妙な軸位置のズレのせいで倒してもケースには収まらないのですが、そんなことよりも何よりも引っ掛けて壊す危険性が飛躍的に下がるのがこれは…ありがたい…。
そして問題の、タミヤU号の西住家仕様化二大ポイントの片割れ、左リアフェンダーの物入れ。
これは正直に言って非常に気になります。これの有る無しで左側面のシルエットが全く違ってしまう。70カローラで例えるならハードトップとリフトバックくらい違う。(本当か?)
かと言って切り取ってしまうにも後処理が苦しいわけです。長さの都合で右のフェンダーを移植するというわけにもいかない。気にならないくらいに高さを切り詰めてしまうというのも考えましたが、「薄っぺらで何にも入らない物入れっておかしくね?」とつい考えてしまう。
仕方がないので途中までそのまま行くつもりだったのですが、突如閃いたアイデアがあったので本能に従いました。
さっきからずっと見えてたと思いますが。
上部を切り落とし、空いた大穴はプラ板で蓋をして、短冊状に切ったプラ板をつなぎ合わせて…
常夫さん特製、縁台風ベンチのできあがり。
座らせられる人がいないので代役
このU号で一家4人、家族揃って花火大会に出かけて、みんなでここに座って花火を楽しむのです。
幼いまほみほ姉妹と一家でピクニック(ドライブかも)に出かけているピンナップが後に出ましたが、それを見ていて「U号は上面に真っ平らで落ち着いて座れる場所がないな…」とぼんやり思ったことも発想のヒントになっています。
個人的には縁台というと竹のイメージなのですが、竹はかえって不揃いにしないといけないので地味に製作難易度が高いこと、あと戦車の車体にあまりにオリエンタルでも違和感あるかも…ということで簡単なベンチ形になりました。
これならOVMの色合いとも揃うのでそこそこの説得力がある…ような気がしないでもないのだが気のせいかな…
どうしてもバケツを下げたくなりますがここはシチュエーションというかストーリー的に無しで。別に作るのが面倒になったからでは以下略。
基本設計は非常に古いキットですが、少し手を入れてやれば充分以上に見栄えがする物になると思います。
むしろ個人的にはこういう元モーターライズぐらいのヘビーデューティ設計の方が、扱いに神経を使わずに済んで好きです。素人の追加工作も目立たないですし。
見たことあるようなアングル(お約束)