緊急特別企画

フジミ1/24・マークUグランデ4ドア発売記念キットレビュー




※追記あり
※さらに追記あり

21世紀になってからまさかの4ドア完全新作キット化、これが喜ばずにいられるはずがありません。
とは言うものの同シリーズの230ローレル、ジャパンを見る限り、定番となった意味不明とすら思えるウィークポイントの数々を憂慮せざるもまた得ないわけです。
そういうわけで、緊急企画としましてキットレビューをお送りする次第でございます。

すでにお手の速い有名モデラーブログなどではレビューされておりますが、ここはひとつ実車をよく知ったキチガイの視点でもって一層深く突っ込んで見られたらと思います。


大急ぎでのキットレビューでありまして、またカメラや撮影技術の都合上お見苦しい点も多々ございます。また21世紀の新製品ということで例によって判断の辛(から)い、重箱の隅を異常に突くような部分もあるかと存じます。更に取材車両のオーナー様、並びにこのキットを手放しでお喜びになっておられる各位にはいささか不快な表現もあるかと存じます。ご覧いただく前にあらかじめご了承下さい。

ついでにかなり長いです。長くなりましたすいません。





まずはパッケージから。赤いなあ。
一見写真のようですがイラストとして描き起こされています。
個人所有の車両を元にキット化されているので写真そのまんまというのも拙いのでしょう。

実在車両を取材して忠実に再現したあまり、各部の欠品(敢えてシェイブとは言わない)、改造箇所はそのままキット化されています。「純正仕様ではございません」の表記はオリジナルとの乖離が大きい事への言い訳でもあるのでしょう。もっとオリジナルに近くかつセンスの優れた車両もあったでしょうに、わざわざこの個体を選んだ理由は分かりません。
どっちにしてもズレたバンパーくらい直して写真撮ってもらえばよかったと思います。


前期なのでトヨタじゃなくトヨペット・・・はもう言うのも飽きました。言ってるけど。




よく見ると左下隅に「SEDAN/WAGON」とあるのが普通の人では意味不明でしょう。
前期型の取説の表紙から修正なしで持ってきたので訳の分からない事になっているわけです。
これ必要あったのかなあ・・・ついでにサイズの小さいのをいい事にWeb上から拝借してたりしてとか思いましたが、まさかそんな事はないでしょう。





パッケージに完成見本ってなんか懐かしいというより古くさいような・・・
プロポーションは良いけどあちこちグダグダの香りが既に漂っています。

なんで「Grande」のロゴがひん曲がってるかは不明。斜めにしてキメるなら逆方向にしないと。
ここに限らずこのパッケージ、全体的に雑な印象を受けます。この手の仕事に慣れたプロがやってるんじゃないみたいな感じ。



肝心の中味に突入致しますが、やはり誰でも一番に手に取るのはボディでしょう。
フジミのこのシリーズで共通で問題となるもののひとつが、小径タイヤに合わせてしまった妙に小さすぎるタイヤハウスです。これがどう組むに当たっても大きい山のひとつと言っても差し支えないと思います。
完成写真で既に嫌な予感がしていますが、現物を見てみましょう。




はい、おかしかったです。



・・・で済ますわけにもいかん・・・
でもテンション下がるわー・・・




フロントは明らかに幅が足りず、縦に長く見えます。隧道アーチだこれ。
後ろはまだマシですがやはり縦長に感じられます。
フェンダーフレアの膨らみも薄すぎます。実物だったらミミもろとも2センチカットという感じでしょうか。


こんなこともあろうかと、実車(零号車)の側面写真を用意してありました。

こんなのです

キットの側面写真と重ねてみましょう。
実車と比較するのは模型には少々酷な部分もあるのですが、今日びの精密模型なら許されるでしょう。たぶん。許されなくても目安にはなるはずです。

長さを揃えて、最近注目の「差の絶対値」で被せてみました。



(↑マウスポインタを乗せてロールオーバー)

重ねてみると、全体のプロポーション自体は驚くほど整っている事がよく分かります。
ホイールアーチだけ際立っておかしい。
真横から見ると妙に腹が膨れて見えるのも、実際はロッカーモールがないせいなだけでほぼ実車通りである事が分かります。あとは目線の位置ですね、すごく遠くから真横を見るって事があまりない。普通見下ろすので絞られた裾の辺りが少し長くても気にならない。

直すとなるとタイヤハウスの形状を整えた上でフレアを作成する・・・結構面倒ですね。

試しに何もしないでオリジナルホイールを入れたらどうか?
少なからぬ人が考えつくであろう、今は亡きLS製キットの純正キャップ付きホイールをちょっと当ててみましょう。



微妙。





サイドビューで他に気になるのがこのドアサッシの細さです。
本来はサッシがこの2.5倍くらいの太さで、ウインドウ側にサッシ幅半分ほどのサッシモールが取り付けられます。



ちょっと見づらいですが

細くする意味が分からない・・・というか三角窓のサッシなんかよくこの細さで作れるなって変な感心すらしてしまうのですが。
因みに説明書ではこの驚きの細さにもかかわらず実車と同じく内側から順にサッシモール・サッシ(ボディ色)・ドリップモールとするよう塗装指示が出ています。できるか。




窓周りがおかしいのはサイドに留まらず、ウインドシールドはやはりモールが細め、リアウインドウに至ってはウェザストリップごとモールがそっくり消失しています。こんなに窓でかくねーよ。
窓パーツ側にモールドされてるのか?と思ったもののそうでもないようで・・・

窓パーツも嵌めてみると恐らく例によって「実車よりフラッシュサーフェス」になってしまうものと思われます。ボディパーツ自体が薄くできているので、このまま真っ平らなガラスを裏から当てればちょうど実車ぐらいの立体感にになるんですが。





こういうアングルなんかは本当にちょっとゾクッとする出来映えです。
「各部がそれらしいミニチュア」でなく、実物に精密なスケールダウンをされたものだけが感じさせる感覚です。実物をよく知らないとあまり感じられないかも知れませんが、よく知ってるからこそ一層強烈に感じさせられる「本物っぽい感じ」。
各部の中途半端な手抜き(ああもう言っちゃった)が惜しまれます。





他のパーツに移ります。

しかしそれにしても何という大胆なパーツ割り。
フジミのサイトにあったCAD図でも前後フードから先は別パーツらしく色分けがしてありましたが、せいぜい金型の方で差し替え式にでもするのかと思ってました。まさかここまで思い切った荒技を繰り出すとは。
当然ここでパーツ割りをするということは年式違いや兄弟車のバリエーションを期待せざるを得ないわけですが・・・「ゆくゆくはやろうと思えばできるようには一応してある」程度の期待に留めたいと思います。期待しすぎるとほら、落胆も大きいし。

グリルのハニカムはちゃんと交差部分の四角い星までしっかりもモールドしてある恐ろしさ。
リアスピーカーは古いパイオニアでもあるのかと思いきや前も後ろもつるんぺた、よくよく見ると片面にサランネットかアミらしきモールド・・・なんだこれ。




エンドパネルのパランスがおかしいなどという事もないようです。
この辺は完成見本の写真があると有利ですね。
ただ前後フード中央のリブはちょっと細め。気付かなかったフリがギリギリできるくらい・・・





シャシー。
無駄に良く出来ています。




タンクの奥にフュエルポンプのブラケットまでしっかりモールドしてあるとかいよいよ誰得って感じですが、少なくとも私は喜びました。
タンクのドレンが四角穴なのまで・・・ここまで行くと何か怖い。




シャシー部品類。
サスは前後ともトヨシマでしょうか・・・こんなとこ突っ込めること自体物凄く精密だって言う裏返しなわけですが。

このキットシリーズ共通の疑問なんですけど、わざわざセミトレ一式2個も入れる必要ありますかね?どうも無駄に思えて仕方がない。




エキパイは触媒手前まではガードのモールドがあるものの、触媒本体はノッペラボー、それ以降のパイプはモールド無しです。この辺りも取材車両の忠実な再現なのでしょう。意味があるかは知らない。

前後ディスクブレーキをわざわざパーツ割りしてまで再現したものの、小径ホイールのせいで生かし切れてないっぽい。この辺りも無駄なこだわりに感じます。完全に悪い意味で。
キャリパーが純正でないのは取材車がそうだったからでしょう。




内装パーツ。
ここもCAD図の時点で嫌な予感がぷんぷんしていた部分です。

この時点でとりあえず言いたいのは・・・ハンドル小せえべいくらなんでも。




フロントシート。
予定通りぺちゃんこです。その上妙に反り返っています。
ジャパンがことさら酷かったようなので、それに比べれば相当マシな方でしょう。




ステアリングコラムはチルトレバー、ハザードとキーロックのツマミまで再現。ここは素晴らしい。
シフトレバーはだいぶ小さめ。
その隣は何かと思ったらセンターコンソールに後付けした社外オーディオ・・・

このクルマの場合コンソールを切り裂いて2DINオーディオを詰め込んでも、フロアトンネルに突っかかってしまいコンソールとツライチにインストールすることがほぼできません。
それを忠実に再現したパーツ・・・
その裏事情を全て知った上でやったのなら「ばーっかじゃねえの!?(褒め言葉)」と言ってあげますが、そうでなく単純に機械的に実物通りにしただけなら・・・うn・・・




内装はバスタブ式。
成型の都合ドアハンドルなんかはかすかな凹みがあるだけですが、下まで思い切って一体にしてアームレストをちゃんと再現したのは良いアイデアです。
反面センターピラー辺りに何もないのがかえって気になる。




なんでセダンなのにハードトップの可倒式シートバックのロックらしきものがあるんでしょう。
最初は別の後付けアクセサリーかと思ったけどそうでもないような・・・




運転席にもパワーウインドウのスイッチが1個しかなかったりするのもご愛敬。
なんでこういうのってうっかり左右共通にしちゃうんでしょうね?

アクセルは社外のカバーが貼り付けてあるようです。
それにしても・・・このアングルで見ると気が付きますけど・・・




根本的にレイアウトおかしいですよね、これ。
足の置き場がないすぎる。ドア口のすぐ前に即バルクヘッドって事ですから。
なまじアクセルなんか再現しなかったらここまであからさまにおかしい感じにならなかったのに。
ちなみにこれ以上前を伸ばすとシャシーにつっかえる・・・なんてことも当然なく、やたらに無理矢理縮めた意味がよく分かりません。

リアシートは実車より広そうです・・・センターアームレストのモールドがないのが惜しい。




インパネはこれまたこのシリーズの通例で逆台形になっていますが、それ自体はそんなに気になりません。
それよりセンターパネルが妙に幅狭くなっている方がよっぽど気になる。
真円であるはずのルーバーが縦長になっているので、一旦線を引いた後で他のパーツとのレイアウトの辻褄を合わせるために無理矢理幅を狭く変形したような感じがします。
助手席側のアンダートレイはお忘れの模様。




上から見るとまた妙な事に、パッド幅が実際の2/3くらい、その代わりにデフロスター出口のある鉄板のパネル(車体側)の面積がやたら広くなっています。
ここはLSのがちょうどいい感じなので参考までに示します。



パッドとパネルの比率、デフロスターの位置はこれくらい

それよりも・・・メーターナセルの上・・・
ちらっと見ただけじゃ一見気が付かないのですが・・・

いや、まさかと思ったんですよ・・・でも位置的にもしかしてとか思ったりして・・・
でも流石にそれはないだろうと思いつつ説明書見てみたら・・・





パッドのヒビ割れまでモールド入れちゃったろ。



アホだ・・・

ちなみに本来スピーカーグリルの細かい穴があるべきパッド中央上面にも何か四角く線が見えます(パーツではよく見えません)が、ここもオーナーが破けたパッドを補修した痕跡なのではないかと・・・




ワイパーは細かいモールドでスロット(穴)入りのブレードが再現されています。
でもこれはその辺の社外品である何よりの証です。純正ではこの穴はありません。
オリジナルにしたい場合銀色に塗るだけではダメです。
あえてこのままアームは銀色でブレードだけ黒にすると、80年代以降の「その辺で無頓着に使われてる中古車」をほどよく再現できます(笑)。




リアワイパーも同じく社外のブレードが付いています。
形状からすると停止位置が逆のように思えますが、左(助手席側)で合っています。
アームの先の方をよく見ていただけると、左止めの形状なのが分かるでしょう。

この頃のトヨタ車はサイド2本ネジ止めブレードですが、このタイプのアームにU字フックのブレードが使える社外アダプターを付けると、恐らくこんな事になってしまうかと思います。

こういうやつですね

なんとなれば、アダプターはフロント用の向かって右止めワイパーの事しか考えていないであろうからです。左止め(逆向き)の旧型トヨタ車用アダプターは恐らく日本にはないでしょう。北米辺りならありそうですが。

何の話でしたっけ。ああ組み立てる時にはご注意というお話でした。
この際なのでついでに申し上げときますと、純正リアワイパーは前期でも銀でなく「黒ブレード」が正解です。厳密にはアームの中程(一段細くなるところ)までは銀、そこから先が黒です。
リアワイパーはガラス面に掛かるところだけ黒、この頃のトヨタ車のお約束です。




クリアパーツ・・・はまともに写らないのでさらっと行きます。

テールレンズまでが1個1個別パーツ化されているのは狂気としか思えません。
組みにくいだけじゃないのか・・・設計は楽だろうけどさそりゃ。




改めて見てみても、やはりリアウインドウのモールなぞはオミットされているようです。
位置的にこちらのガラス側に付けるのが正解でしょう。
もしかするとここにモールドする腹積もりがあってのパーツ構成だったのかも知れません。




サンバイザーとパーソナルランプのモールドがあるのはいいですね。形違うけど。





めっきパーツ。

なおホイールについては全く興味がないのでスルーします。ご了承下さい。
タイヤも同様です。ついでに変なマフラーも。


書きそびれてしまうんでここで書きますが、ご覧のようにグリルのトップマークが付いていません。
前期のグランデは大変凝ったものなので、この精密さで再現されていればと残念に思います。
2000車なら「EFI」、2600車仕様にするなら「2600」のバッジも必要です。



下に「GRANDE」って入ってるのがかっこいいのですよ






バンパーは形状良好ですが、バンパーラバーとオーバーライダーゴムが別パーツというこれまた狂った構成。大人向きキットと言ってもちょっとどうかと・・・ここまで細かく割る意味あんのか?
ラバー付きノーマルバンパー+ラバー付きオーバーライダー左右、が順当なパーツ割りだと思ったんですけどね・・・それならグランデ以外も楽に作れたのに・・・

ラバーの付く部分はミゾが掘ってあるので、パーツを付けないだけではモールレス仕様の再現はできません。




リアコンビランプは電球のモールドがありますが、一番下の段のリバース/反射鏡の部分もセンターに掘ってあるという杜撰ぶり。実際には電球見えないから個人的には要らんと思います。せいぜいヘッドライトだけで。
隣のセンターガーニッシュはぺったんこでむしろガーニッシュなしみたいな雰囲気、トランク側モールの「TOYOPET」の刻印もデカールもありません。CAD図ではあったんですが。




ヘッドランプベゼルはライトのリフレクターと一体化、ナイスアイデア。妙に大袈裟なバルブのモールドが、H4でしょうか。
中央上はローレルウインカー、下はエアアウトレット。いずれもボディには取り付けボスも位置を示したケガキ線も一切無いというふざけた設計。
ここってバリエーションが出ても共通部品にするセクションっぽいんですけど、ということは兄弟車の場合はアウトレットは細工が必要って事ですかね。エンブレム付けるだけだけど。


しかし・・・言うべきではないと分かってるけど・・・720ミラーはないわー・・・




最後にデカール。
ナンバーの番号が選べるのはいいと思います、が・・・ちょっと数字少なくね?




なんか無駄に凝ってるような、明らかに間違った凝り方のような・・・

微妙に書式の違うOKステッカー、紺地でない白抜きの53年規制ラベル、必要とも思えないリアデフォッガとシガーライターの絵文字・・・いややりましたよ、やりましたよ確かに自分でも全部。ただそれとキットに付けるのとはちょっと違うのではないかと・・・
ああ今さらですが53年ラベルがあってかつ後ろのエンブレムが「Grande」だけということは53年規制グランデEFI車なので型式MX41という事で商品名の「(X30型)」は間違いって事になりますね。「(X30)」にしてあればよかったのに。
通常「MX41」と呼んだ方が通りも良いはずなのにわざわざX30型なんて表現をしているのかもよく分かりません。

24番はエアコンパネルに貼るよう指示がありますが意味がわかりません。実物は青地です。
3番も何だかさっぱり分からなかったのですが説明書見たら車検ステッカーでした。どこがだ。




説明書もちらっと。
本当は塗装指定とかも微妙におかしかったりするのですが今回は省略させていただきます。

このホイールアーチのサイドビュー見てヘンだとと思わなかったらちょっとおかしいでしょ。
子供の絵みたくなっとる・・・

ボディを俯瞰しても感じたのですが、やはりわずかに尻すぼみな形状になっているようです。
生憎真上のこのアングルから実車を見たことがないので断言は致しかねますが、実物はかなり真っ四角でこういう形状ではないと思うのですが・・・何の都合だろう。



モーターファン1977.2号より転載
ストレートに真四角ですね、少なくともこの図では







キット化の報を最初に聞いたときには俄には信じられず、事実と知って小躍りしました。
そしてフジミのサイトでCAD図が出るにつれてかすかな懸念はつのり、一足早く手に入れられた他の方のレビューではいささか失望も感じざるを得ませんでした。
正直その後この目で見る前は糞味噌に批評して採点するつもりだったのですが・・・

やっぱりキット化されて実際に見ると嬉しい方が大きいですねえ。なので採点はやめます。

とは言っても手放しで喜ぶ出来でなかったのもまた事実。しかし素材としては素性の悪くない相当上等なものだと思います。あのボディを透かして見たときのゾクッとした感じは、少なくともこれまでの同型車のキットでは絶対に感じられないものです。
例え多少の問題点があるにしても、何よりやはりこの期に及んで(失礼)新作キット化したという英断には拍手を送らざるを得ません。

よくやったフジミ!アメちゃんをやろう!(そればっかし)





最後の最後におまけになるかならないかわからないおまけです。

寸法の入った実車4面図、カタログ写真ではよく分からないパーツ取り付け位置の参考にいくらかなるでしょうか。




※追記



軽く仮組みしてみました。
組んでみて分かった辺りをちょこっとだけ追加。








基本的には実に素晴らしい顔つきです。これだけでも満足。

ランナーに付いた状態だと完璧に思えたバンパーですが、ボデーに取り付けてみるとフロント側の薄っぺらさが若干気になります。確かに実車もにフロントパネルに食い込み気味になっているのですが、上面の奥行きがちょっと足りません。
こうなった原因もたぶん指摘できます、取材車のバンパーが僅かながら上を向いていたからでしょう。だから曲がったバンパーくらい直しとけと言ったのだこのバカチンが!
リヤは逆に気持ち厚めのような、こんなもんのような・・・いずれにしろ気にするほどではないと思いますが。

ゲートがオーバーライダーの裏面に配置されているので、上手くカットすればタッチアップ要らず。こういうところは全く素晴らしい。ライセンスランプがアオシマほど凝っていないのが少し残念。
前後フードは相当な精度できちっと嵌ります・・・が、ほんの僅か厚みがありすぎて面一になりません。
ボデー側の受け部分を少し削るとぴしゃっと揃います。




バンパーは前後でこれだけの差があります。
実物はこんなに長さの違いありません。自信があります。
何故なら実物にももしこれくらいの、前バンパーの中に後バンパーを入れ込んでしまえるほどの寸法差があれば、エアキャップで養生してあっただけの見苦しく始末の悪いストックの新品バンパーを前後セットでまとめて段ボールで梱包するという糞めどい作業をした時、もっとスリムにまとめられてずっと楽が出来たはずだからです。いや実物の話ですよ念のため。うまくまとまらなくて往生した記憶があります、まあ結局うまくまとまらなかったのですが。

先程万全を期すべく実車で計ってみましたが、やはり前後でほぼ同じ長さでした。やはり何らかの理由で故意にボデーが尻すぼみになるように設計で細工したということです。その理由がよくわからんのですが・・・




前述のようにシャシーのモールド自体はばっちりですが、フロントのサイドメンバーとリヤのトランクフロアは実際よりも上の方に逃げた形状になっています。実車でこのアングルだとエプロンの下からアンダーカバー、オイルパン、サスペンションメンバーまで全部見えるのですが、何も見えません。リヤも同様燃料タンクが全く見えません。
一度実物通りのシャシー構造に作った上で、よりシャコタンにするために前後端のフレーム位置をぐっと持ち上げた・・・という設計に思えます。チャネリングの変形とでも言いましょうか。実車だとありえないのですが。
この辺りの位置関係がアオシマはほぼ完璧です。このフジミのキットでは折角の詳細なモールドにも関わらず、違和感なく牽引フックを付けることができません。フックの先がちゃんとエプロンの下に覗くようにすると、ステーがとんでもないことになる。




サイドメンバーがえらく上に行ったにも関わらず、サスの都合上サスメンバーはそんなに上げられない・・・という板挟みにストラットバー(テンションロッド)が巻き込まれた結果がこれです。1G状態でこれじゃテンションかからんがな。
どっちにしろこれでも車高低すぎですねー。一応ノーマルの訳なんですが。




ウインドウ部品は嵌めてみると意外と段差ができる仕様でした。前後窓は窓枠との位置関係自体はおおむね適正のようですが窓枠がおかしく、側面はやはりフラッシュすぎる上に窓枠もおかしいという・・・


それよりも個人的には最近のキットの「ボディとの段差のなさを優先する」作りがどうもしっくり来ません。
確かに最近のクルマだとこの方法の方がずっとリアル感が出るのはよく理解しているつもりなのですが・・・古いクルマのキットにはいらん技術なのではないか。
ていうか感覚がもう完全に古いんでしょう、ボディとガラスの段差がデカいのははっきり言ってそんなに気にならない。その反面段差を減らすための形状にすることで窓の端に出来る微妙な角アールや厚みを感じる屈折はとっても気になるという・・・言わんとすること伝わってるかなぁ・・・この写真でもフロントガラスの端のありえないエッジ(下画像赤丸)とか、前ドアガラスの角のヘンな反射屈折(下画像矢印)とかは分かるかと思うんですけど・・・
まぁあまりキットレビューと関係ない個人的意見なので無視して下さい・・・


考えすぎな気もしないではないです自分でも






こういうアングルなんかは本当に最高です。
過剰に思い入れがある方でなければ、比較的簡単にとても好ましいミニチュアが手に入れられると申せましょう。
実車、それもオリジナルの状態に思い入れがあればあるほど加速度的にハードル上がる、そんな感じ。







※さらに追記



予想通りというか期待通りというか、続いてチェイサーも登場。
こちらは後期型、まあ実車の残り加減といい人気度といい当然でしょう。



・・・ですが、残念ながら出来は良くありません。
期待した分を差し引いても良くないと言わざるを得ないでしょう。
内装やサイドエアダクトや何やらがマークUと共用とかそういう部分も更に差し引いた上ででも、です。
出来が悪いというか、一層粗雑な作り方をされているように感じると言った方が正確です。


個人的にこのバリエーションは実車取材をごく適当に済ませたか、そうでなければごく少ない写真を横目に設計したのではないかと考えます。
例えば斜め上からの写真がないとこういう風になるかも知れません。

ヘッドランプベゼルの上とグリルの上のパネルが同じ幅だとか。
(実物はグリル側が狭い)




リヤバンパーの張り出しが足りないのも、斜め上からの写真が無ければリヤだけボデーからエクステンションパネルが出ているなどと言うことは想像も付かないでしょう。こうなっても無理はありません。





セダンはナンバーポケットなど無いというのも実車を間近で見れば分かっても、真後ろからの写真しかなかった場合は気が付かなくても不思議はありません。
ポケットの要るマークUグランデに無くて必要のないチェイサーセダンにあるといういささか馬鹿げたことになっています。


まあこれらもアレですがそれより一番萎えたのがここ、




レンズが真後ろ向いたライセンスランプとか初めて見た。



何を考えているのか・・・何も考えてないとしか思えません。
よほど何も考えてないのでなければ、こういうモールドはできないと思います。

この辺りはあるいはCAD画面上では普通に見えていたのかも知れません。気が付かなかったのかも知れません。
もしそうだとしてもどっちにしろこのまま型を作って成型して発売してる時点で弁解の余地などありませんが。
噂によるとスケールを間違えたヒコーキのプラモを出したりしているらしいので、これくらいで呆れていてはいけないのでしょう。たぶん。


そういうわけで期待のチェイサーセダンも正直決定版とはとても呼びかねるものでした。
もう少し真面目に作ってくれればと思うと悔やまれてなりません。




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