j重装機兵ヴァルケン・オリジナルスタッフインタビュー

※このインタビューは「重装機兵ヴァルケン 公式ガイドブック(アスキー刊)」に掲載されたものです。

製作スタッフ座談会
製作スタッフしか知らない『ヴァルケン』の秘密!?



鈴木英夫さん
 メインディレクター。ゲームの基本的な構成から、スタッフ全体のまとめ役まで、様々な仕事をこなす。
大矢哲也さん
 プログラム担当。主にゲーム全体を支える、システム的なプログラムを担当する。
川野幸広さん
 プログラム担当。敵キャラクターの動きや、ゲーム中のイベント的な演出部分を担当。
佐藤光さん
 バランス調整担当。ゲームが遊びやすいものになるかどうか、最終的な仕上げの部分を担当。
只隈圭介さん
 グラフィック担当。企画当初から関わり、ゲーム中に登場するグラフィック一般を担当。
斉藤隆秀さん
 グラフィック担当。主としてゲームのオープニングやエンディングなどのグラフィックを担当。

『ヴァルケン』誕生・企画が生まれるまで

司会 それでは、まずこのゲームを作るきっかけを教えてください。

鈴木 きっかけとしては、まずスーパーファミコンで、なにかゲームを作るという課題があったんです。けれど、なにを作れという指示がなかったので、なにを作ってもいいんだろうということで……。私を含めて3人くらいで、いろいろアイデアを出してたんです。
で、「なかなかおもしろいね」ってことで、盛り上がってしまいまして。

司会 それは、時期的に言いますと?

只隈 去年(1991年)の……。

鈴木 初めくらいですか。

只隈 2、3月くらいでしょう。

司会 スタッフ編成はすぐに?

鈴木 全員がフルタイムで入っていた訳ではなくて、抜けたり入ったりと……。最初のうちは特に少なめで、完成するに従ってグラフィックの人間ですとか、データまわりの人間が増えてきた、と。

逃げ出す寸前(?)開発中の苦労話

司会 開発についての苦労話、ここはホントに逃げたくなったとか、そういったエピソードを聞かせてください。

鈴木 それはもう、本当にしょっちゅう逃げたくて(笑)(ゲームを)作ること自体は楽しかったんですけれど、これだけの人数をまとめていく難しさはありましたね。

司会 全体の工程で言いますと、どのあたりがいちばん辛い部分でしたか?

鈴木 それは最後ですね、やっぱり。納期がいつ、締め切りがいつ、とはっきり見えてきた段階で、やらなきゃいけないことが、あとどれだけ残っているとか、冷静に考える時が辛いですね。

司会 なるほど。

鈴木 作っている時は作らなきゃしょうがないんで、いちいちウジウジ言ったりしませんけど……。ただ、会社のほうから「予定が狂って(遅れて)いるはずだから、予定を出し直しなさい」と言われる訳ですよ。で、予定表を作り直しながら、これは絶対に入らない……っていう(笑)感じになるときがあって、辛かったですね。

司会 鈴木さんのディレクターとしての立場では、やはりスケジュール的な部分でいちばん苦しまれたんですか?

鈴木 そうですね。作り始めれば、どんどん細かく作りたくなるんで、その気持ちをどうねじ伏せて、スケジュールに合わせて仕上げていくか……。そのバランスのとりかたがやっぱりいちばん難しかったですね。

川野 僕は入社して初めての仕事だったんで、プログラム技術的にも未熟なところがあって、鈴木さんや大矢さんとか、いろいろな方にご迷惑をかけてしまって。そのたびに逃げたくなって(笑)

司会 川野さんはサブプログラムを担当ということでしたが、具体的には?

川野 いろいろ組んだんですけど、後半の方だと、最終面の前の高速スクロール(ステージ6の雪山のステージ)とか、あそこの洞窟の外の高射砲陣地のボスの動きとか。あとは鈴木さんや大矢さんのお手伝いで、いろいろ細かい所を組みました。

司会 いちばん大変だった部分は?

川野 プログラムのやり直しがいっぱいあったので……。やっぱり最初から最後までですかね。

司会 グラフィックのほうではどんな苦労がありましたか?

只隈 量的な部分と、質的な部分。このふたつを一度に要求されて、どうしていいものかと大変でした。

司会 どのあたりが、いちばん?

只隈 いちばん苦労したところですか?実はゲーム中に入ってないのがありまして(笑)そこにいちばん苦労した所があったんですけど(笑)

司会 それはステージ丸々とってしまったというような?

只隈 ステージ丸々なくなったところがありまして、実は、容量の関係ですね。

司会 それでは、ゲーム中に残っているものでいうと?

只隈 最後の高速スクロールのところとか、あと議事堂とか。議事堂の内部はスケール的に無視して、リアリティーも出さないと駄目だというヤツで。あれはオペラハウスの資料を見ながら描きました。

司会 グラフィックの方は、全部で何人くらいいらっしゃるんですか?

只隈 キャラクターデザインのうるし原さんを除くと、実質3人……。

司会 多くはないですよね。人数の少なさというのも、やはりご苦労ということで?

只隈 そうですね。

司会 佐藤さんはどのあたりが?

佐藤 僕の場合は、完成四ヶ月前くらいから入ってますんで、まずラインに入って『ヴァルケン』というゲームそのものを理解することから始めたんですけど……。そのうえで、開発の人間が望むもの、ユーザーが望むもの、そして自分のやりたいことを、バランスをとって形にしていく……という部分で、いちばん気を使ったというか。

司会 では、佐藤さんのお仕事としては、全体のクオリティーを上げる事に苦労が集中したと?

佐藤 いえ、他のスタッフと比べたら大したことはないと思っているんですけど。

司会 斉藤さんもですか?

斉藤 俺って、そんなに苦労らしい苦労はしてないんですよね。最初に描き始めた絵を世界観に合わせるのに苦労したくらいで。あとはオープニング・エンディング関係がメインだったんで、結構、量があるのが大変だったというか。ゲームが形になってから参加しましたからね。

司会 なるほど、そうですか。

『ヴァルケン』の見どころはズバリ、ここだ!

司会 それではご苦労に続いて、今回のゲームで、自慢できる部分をお願いできますか。

只隈 自慢ですか?ロボットもので、他のメーカーさんから出ているものよりはハードな路線がやれて、映画っぽいというか、日本アニメじゃなくて、ハリウッド映画っぽい(笑)ゲームに仕上がったんじゃないかな。

司会 ご自分の仕事の範囲で言うと?

只隈 高速スクロールの吹き抜けのところ(ステージ7)は、カッコいいかな。

川野 僕の場合は只隈さんと組んで、高速スクロールを担当したんですけど、演出面でうまく伝わらないところを、只隈さんが4コママンガを描いてくれて、それを見て研究したり。

司会 やはり河野さんのお勧めは最終ステージですか。

川野 ええ。あそこのボスの動きとか、自分の考えに近いことができました。只隈さんと話しあって、歩兵が吹き飛ぶ演出を加えたり、あの面はじっくり時間をかけてやれましたんで。その部分を推したいですね。

佐藤 私の場合はですね、具体的に形になってこない部分なんで、ちょっとズルいんですけど、ユーザーの皆さんに買って頂いて、それでおもしろいと言ってもらえれば、それが自慢かな。

斉藤 ゲーム全体でいうと、やっぱり演出が光っているゲームなんで、演出を楽しんでもらいたいですね。

司会 演出部分の基本的なアイデアというのは、やはり鈴木さんが?

鈴木 いえ、僕ばかりでなく、グラフィックサイドから、これやりましょう、みたいなアイデアも入ってます。

只隈 僕としては、大統領の自殺シーンが実現したのが(笑)。家庭用でやっていいのかどうかという問題もありますけどね(笑)。

川野 あれは只隈さんが命を掛けてましたんで……。

只隈 あれだけは削らないでみたいな。

『ヴァルケン』の見せ場はまだまだあるぞ!

司会 ゲーム中とおして、ヴァルケンの動きなんかも、相当凝った作りになっていると思うんですが、あそこまで完成させるには、相当の苦労があったと思います。みなさんそれぞれの立場から、まだ語られていないご苦労を。

鈴木 キャラクターの動きについては『レイノス』(ヴァルケンの原型ともいえるメガドライブ用ソフト)の操作性を向上させようという方針で進めていったら、必然的にああなったんですよ。『レイノス』のほうが選べる武器は多いんですけど、多少使えないものもあったから、それを省いていったらヴァルケンの数になった、みたいな。

斉藤 ヴァルケンのアクションだったら、俺はローラーダッシュが好きなんですけどね。
あれは、快感でしょう。

大矢 これはプログラムの話になっちゃうんですけど、レーザーが重くなるのに、ロボット本体の方は全然、重くならない。わかる人が見てくれれば、なんでだろうと思ってくれると思いますよ。

パート2の可能性はあるのか?

司会 少し気が早いとは思いますが、パート2をやるとしたら、どんな希望が?

只隈 カットされた面の復活や、予定していた演出を見直して、更にパワーアップさせて入れたり。全体的にゲーム性を豊かにしたいですね。

川野 ストーリーを厚くして、もっと分岐とかいろいろな要素を入れて欲しいですね。

佐藤 もしやるとすればですね、やっぱり演出にすごく気を配ったつくりですね。遊んだ人がにやりと笑うような、そんな要素をたくさん盛り込んでいきたいと思います。

斉藤 希望なんですけどね、あくまでも。クリアー条件によって、(ストーリーに)いろいろな変化が起こるものをやりたいです。

『ヴァルケン』の魅力・その秘密に迫る!

司会 それでは最後にディレクターの鈴木さんに、ゲーム全体について、いろいろお話をお願いしたいのですが……。

鈴木 僕の個人的な気持ちでいいますと、『ヴァルケン』の持つ、少し変わった雰囲気を楽しんで欲しいんですよ。でも、あまり抽象的なことばかり言ってもしかたないですよね(笑)。それだったら、まずはロボットの動きに注目して欲しいですね。それから、最初のヤマ場なんですけど、「アーク・ノバ」から脱出したあとの戦闘で、(ステージの)初めは青かったはずの地球が真っ赤になって……。その燃える世界の中で戦闘するというあたりを、よく見て欲しいですね。

司会 鈴木さんの立場から、『ヴァルケン』のパート2を作るとしたら、どんな点を改良したいですか?

鈴木 今回は(プログラム上の)制約があって、味方のロボットを出せなかったんですよ。自分と同型機だけじゃなくて、補給アイテムを持ってくるロボットとかも。すでにグラフィックはあったんですけどね。あとはストーリー的にでもですね、さまざまな演出のアイデアを削ってしまったんです。味方とストーリー、そこらへんをうまくまとめて、膨らませてみたいですね。

大矢 今回は割と納期の設定なんかが甘かったので(笑)、マスターアップの前になっても慌てないで作れるといいですね。

司会 余裕のある製作体制で。

大矢 そうですね。もう少し練り込めば、もっとよかったんじゃないかと思ってるんで。

鈴木 敵をもっとよく作りたいですね。今回は、そこらへんが、あまりうまくいかなかったんで。

司会 結論として、どうなんでしょうか?パート2の可能性なんかは?

鈴木 それはもう、お客様のご支持に全てが掛かっていますって感じで。わりと現金な会社ですから、売れれば、僕がイヤだって言っても作ることになるでしょうし。

司会 やはりパート2が遊びたければ、『ヴァルケン』を買って、おもしろかったとアンケートはがきに書いてメサイヤに送ろう、ということですか?

鈴木 そうですね(笑)

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