j重装機兵ヴァルケン・激震のスタッフインタビュー

※このインタビューは電撃プレイステーションVol.273(2004/6/11号)に掲載されたものです。

開発スタッフが語る
「Vプロジェクト」の正体
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プロデューサー
原神敬幸
 (株)彩京ではプログラマーとして活躍。
現在ではクロスノーツでプロデューサーを務める。代表作は『ガンバード』や『ホットギミック』など。




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ゲームデザイナー
小嶋靖雅
 原神氏の片腕を担うゲームデザイナー。
『ホットギミック』ほか、携帯アプリの開発にも携わる。Vプロジェクトのメインデザイナー。

ACT本来の魅力に触れるための原点回帰

──PS2版『重装機兵ヴァルケン』開発の経緯を教えてください。

原神敬幸氏(以下、原神。敬称略):最近はやりのリバイバルブームも一つのきっかけでしたね。昔のゲームを考えた時に、ただ懐かしいだけではない。今のゲームと違って、システムが単純だからこそおもしろかった部分もあったような気がするんですよ。もちろん、ノスタルジィーにひたるだけでなく、常に過去の名作を上回る作品を目指しています。そこで、一度原点に立ち返ってみようというところから今回のプロジェクトがスタートしました。幸いにもクロスノーツと彩京は、ゲーム部門から撤退されたメサイヤさんの名作のライセンスを引き継いでいます。数ある名作の中でも、とくに多くのユーザーから支持を受けた作品ということで、第一弾として『重装機兵ヴァルケン』をPS2向けにリメイクして開発することとなりました。

──開発スタッフから見た『重装機兵ヴァルケン』の魅力とは?
小嶋靖雅氏(以下、小嶋。敬称略):美しいストーリーと、こだわりの2Dグラフィック、それにストイックな難易度でしょう。まずはSFC版を知らない世代に、これらの魅力を伝えていきたいです。難易度に関しては当時さまざまなご意見をいただいたようで、今のユーザーさんに受け入れられるかはもう、一種の賭けですね。何度もバッドエンドを迎えるかもしれませんが、それを乗り越えた者にしか味わえない結末が用意されているので、ぜひともプレイして何かをつかんでいただけたらと思います。
原神:ロボットゲームといえば『電脳戦記バーチャロン』や『アーマード・コア』などがありますよね。でも、これらの名作が生まれる前に、ロボットゲームの先祖的な作品として『ヴァルケン』があったということを、より多くの人に知ってもらいたいんです。もちろん、今リメイクを出す理由はそれだけではありません。第一弾は次の段階への布石であって、近いうちにユーザーの方にはシリーズの進化をお見せできることでしょう。

ストイックな難しさも『ヴァルケン』の魅力
──移植のコンセプトは?
原神:とくに論議を呼びそうなのが、最近のユーザーがくじけそうな難易度設定でしょうか。この難しさこそ、こだわりの1つといえます。開発スタッフの間では、セーブ機能をつけるかどうかで非常にもめた覚えがあります。個人的には3回までという回数制限ありのコンティニューすらはぶきたかったんですけどね(苦笑)。
小嶋:難易度調整の問題はかなり難しいんです。当時の作品はやり込めばクリアできるのですが、デバッグのスタッフがやり込むことで必然的にハードルが高くなって……。そこで今回は、救済策として難易度選択の代わりにおまけモードを用意しました。このモードではクリア済みのステージを自由にプレイできるので、苦手なステージは何度もトライしてコツをつかんでください。
原神:一応、コツコツ倒していけば最後にはクリア出来るようになっています。
ちなみに、SFC版ではシールドを使うと「背後からの攻撃も防げる」という理不尽な仕様があったのですが、今回はあえてそのまま残してあります。正直、アレがないとクリアできませんから(笑)。

PS2版『ヴァルケン』はココがスゴイ!
──PS2に移植するにあたって、リメイクしたポイントは?
小嶋:目玉となるのは幻のミッション0でしょうか。SFC版では容量の都合でカットされていて、本編がいきなり始まるんですよ。本来チュートリアル的な意味合いを持つミッション0を加えることで、基本操作にも慣れていただけることでしょう。あとはコントローラの振動機能に新しく対応しているのですが、バルカンを撃つたびに反動が返ってくるあたりは個人的にイチオシです。
原神:空薬きょうの排出角度は11.25度といった具合に、SFC版『ヴァルケン』には細かなこだわりがあります。敵の動きなども含めて変えてはいけない部分が多々あるため、爆発のエフェクトや効果音など、手を入れても良い部分を模索しつつリメイク作業を進めました。とくにサウンドに関しては、当時の音源は貧弱だったため完全に作り直しています。じつは、SFC版の効果音を選べるモードも試作されたんですよ。でも、懐かしさの中でよかったものだけを抽出するため、あえてカットさせていただきました。

──リメイクするうえで苦労した点は?
原神:復刻の名に恥じないよう、SFC版の動きや難しさを再現するのには気を使いました。グラフィック面では、かっこよさよりもミリタリー調に近い泥臭さを強調しています。
小嶋:せっかくPS2だからと見た目をきれいに仕上げると、もっと汚しを入れてくれというダメ出しが……(笑)。冗談抜きでグラフィックの1つ1つをチェックされるので、ドット単位で修正が入るんですよ。しかも、作業期間に余裕がないので、短期間で質の高いものを作ることを要求されました。
原神:昨今のクリエイターさんは、3Dや大きなグラフィックは描けても16×16など細かなドットを描ける人が殆ど残っていないんです。ただでさえ苦労している所へ「16×16」にこだわれとかアバウトな指示を出したりもしました(笑)。具体的にどうと聞かれても「そこまでは知らん」としか答えられないので、現場の人間も苦労した事でしょう。
小嶋:効果音の支持に関しても「昔の音に近づけろ。ただし、近づけすぎたらボツだ」などという理不尽な注文が…(笑)

『重装機兵』シリーズ最新作ついに発表!
──Vプロジェクトの今後について教えてください。
原神:ここだけの話、第2弾『新・ヴァルケン(仮)』はすでに制作進行中です。
まだ具体的な形でお見せできるモノはありませんが、システムは完全3Dへと以降します。ただ、舞台はあくまでも『重装機兵』シリーズで、戦争というテーマをよりリアルに表現する手段として、オンライン対応も考えています。オンライン対戦では見知らぬプレイヤー同士が手を組んだり敵対したり、絶対的な敵が存在しないという意味では『ヴァルケン』のコンセプトにマッチしていますから。
また、技術的な問題は出てきますが、多数のロボットが入り乱れる戦場なども考えられるでしょう。
小嶋:まぁ、そこはあまり言ってしまうと現場に「実現できないです」って怒られるので(笑)。ちなみに、今回お見せしたモデリングやキャラデザインはあくまでも仮のものです。ここから『ヴァルケン』らしさを加えて、徐々にクオリティを上げていきます。

──『重装機兵』シリーズの今後についてお教えください。
小嶋:『重装機兵』シリーズには『レイノス』と『ヴァルケン』があり、世界設定を解説するファンブックまで出版されていました。どういう形になるか、もしかするとハードも違うかもしれませんが、シリーズの新作を出していきたいです。
原神:『重装機兵』シリーズは個人的に気に入っているだけに、慎重に扱いたいタイトルです。彩京ならではの、縦スクロールのSTGとして登場する可能性もあります。まぁ、あえて言わせていただくなら、S・RPGでは出さない可能性が高いですね(苦笑)。

──『ヴァルケン』に期待する読者の方へ、ひと言メッセージを。
原神:PS2版『ヴァルケン』については、とにかく遊んでみてください。そして、『重装機兵』の世界観を理解したうえで、Vプロジェクトの今後に注目してください。きっと、いい意味でみなさんの期待を裏切る作品をお届けできると思います。
小嶋:先に言われてしまいましたね(笑)。メサイヤのライセンスを受け継いでいるということで、PS2版『ヴァルケン』はもちろん、そのほかのメサイヤ作品の移植なども含め今後のクロスノーツ(メサイヤ・彩京)にご期待ください。

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