コラム 古賀 勝

      


【2019年05月19日更新】

節目の時節

 5月に入ると、浮き浮きする気分と沈みたくなる気持ちが、奇妙に重なり合います。
まずはボクの誕生日が5月17日であること。こればかりは、もう少しゆっくり近づいてくれたらよいのにと思うものです。子供の頃に迎えた誕生日は、未来に向かって飛び出す準備運動の日だと考えて楽しかったな。それが中年になると、自分の生まれた年月日すら時々分からなくなる始末。そして、80歳台に踏み込んだ現在は・・・。
まさしく「老境の域」であり、誕生日を忘れようにも、忘れられなくなります。それが、死の恐怖ではないと言えば嘘になるが、本質はもっと違うところにあるように思います。
過去を振り返っても、サラリーマン時代に起こったり終結したりした“大事件”のほとんどが、5月でした。そうそう、自らの結婚式が5月8日だったことも、忘れたらチコちゃんに叱られそう。
55年前のことでした。「共に白髪まで」と誓いあったあの時の妻は今もボク以上に元気で、来年東京オリンピックを見物したいと張り切っています。間もなく50歳を迎えようとしている次男坊が、産声を上げたのがボクより3日前の14日でした。やっぱりボクにとっての「5月」は、いつの時代であっても特別な節目の月であり続けるのです。
もう一つ、忘れられない「5月」がありました。平成から令和に替る元号が始まったのが今年の「5月」だったですね。でも、ボクにとっては、80歳から81歳に登った今年の「5月17日」の方が、よほど令和より高く感じます。(2019年05月19日)


自前の味


猫額庭に稔った甘夏

 今年は、狭い庭(猫額庭)に植えている甘夏の木から150個ほどの大きな実を収穫した。2月初めから1個、2個ともいで食べていて、途中隣近所に配った後も嫁さんと2人でせっせと口に運んだ。今年のみかんは例年になく甘みを増していて、酸っぱいものが苦手なボクでも積極的に厚皮をむきまくった。そして最後に残った1個を連休明けに食べ終わった。
農業(野菜や花卉)が苦手なボクだが、なぜか甘夏だけはうまく実をつけてくれる。よ〜し来年もと意気込んだが、咲き出した花芽はちらほら。花が咲かなきゃ実もなるまい。また園芸公園で、育て方を尋ねますか。(2019年05月12日)


80−20の幸せ

「80-20」という記号をよく耳にする。そう、歯医者さんが掲げる健康キャンペーンである。つまり、人間80歳になって親から頂いたままの歯が20本あるように努力しようという意味である。
思い起こせば、数十年前から歯医者に行くたびに「貴方の歯茎は歯槽膿漏でガタガタですよ」と言われ続けてきた。実際、歯茎が腫れて駆け込む度に、医者は「そろそろ抜きましょう」を繰り返す。
親から頂いた体の一部を簡単に奪われてたまるかと意地を張り、その都度医者と睨めっこを繰り返してきた。
そんなある日、「先生、ボクの歯は何本残っていますか?」と尋ねたことがある。「23本ですよ、立派ですね」と褒められた。80歳の誕生日を目前にした日のことであった。ガタガタですよと言った医者とは別人であったが、何か腑に落ちない。そんなこんなで80歳を過ぎて、未だに幼児の頃に生えた歯は20本を上回っている。ただし、歯茎の弱さは相変わらずで、未だに歯医者さんと縁が切れることは望めそうにない。(2019年05月05日)


元号の代替わり

 2019年5月1日には、元号(年号)が「平成」から「令和」に替る。政権にある人たちは、この時とばかりに大はしゃぎ。企業や商売人も、年号の変わり目で一儲けしようと知恵を絞りまくっている。テレビも、時代に乗り遅れまいと、特別番組の編成に余念がない。
現天皇は、「この時代戦争がなかった」喜びを素直に表現していた。現政権が、何かと軍備拡張にばかりを力説するなかで、それなりの説得力を持つ「お言葉」ではあった。
西暦主義を貫くボクには、「令和」の時代がどうなるのか、特に感慨はない。また、元号交替でゴールデンウィークの連休が超大型化したことも、定年後の老後にある身分では、特に意味を持たない。
若者よ、ここだけは我ら年寄と気持ちをいっしょにしよう。戦争や徴兵制度のない平和な社会を壊さないために注意を怠らないよう。(2019年4月28日=平成最後のサイト更新日)


遠隔地でも震度7の恐怖

 あの唇が青ざめた夜から、早や3年が経過した。熊本地震のことだ。2016年4月14日の夜9時半頃だった。ゆっくり寛いでいるところに、携帯電話のけたたましくアラームが後頭部を蹴り上げた。顔を見合わせた家内には、落ち着けと一言。実はこちらの顔の方が数倍が引きつっていた。熊本地方を震源とする大地震である。
その夜と翌日もアラームは鳴った。余震である。そして翌々日の16日、またまた携帯電話が激しく振動を起こした。前々日と同じ震源の熊本地方で「震度7」であった。震源地から100`離れた福岡市内でも、恐怖を感じるには十分な揺れであった。加えて、携帯電話の演出効果は抜群だった。
気を取り直した時、頭をよぎったのが川内原発(鹿児島県)のことだった。専門家ではないので詳しいことは分からない。でも、震源地の熊本は、活火山の阿蘇と桜島に隣接している。もし8年前の福島のようなことが起こったら、陸続きの福岡も無事では済まされまい。めったに動じないつもりのボクでも、あの携帯電話のアラームのことだけは忘れることが出来ない。
あの時災害に遭った熊本では、未だに復興の半ばにも到達していないと新聞は伝えていた。(2019年04月21日)


無謀な長期拘留

 このところのニュースは、天皇退位と政権与党の緩みから生じる政治家の不祥事が占めている。そしてもう一つ日産自動車とルノーの内部抗争とゴーン前会長の逮捕・再逮捕と長期拘留の件である。
私がこの事件を、なんだか変だと思うには理由がある。それは、ゴーン氏に対する検察の拘留の長さだ。最初の逮捕は108日間の長期拘留を伴った。10億円の保釈金を差し出してやっと自由になったと思ったら、またもや別の容疑で再逮捕された。
そもそも警察や検察が、国民を「逮捕」するのは、何のためなのか、そして起訴後に拘留する必然性とは。検察に言わせると、「ゴーン氏が容疑を認めないから」だという。そんな馬鹿な。けっして私は被告の肩を持つわけではない。だが、彼には彼の言い分があるはずだ。つまり、自分は犯罪者ではないという主張だ。ゴーン氏が無実を主張できるのは、地球のどこにいても普遍の権利であるはずだ。
ならば、検察は基本的権利である「無実の主張」すら認めないというのだろうか。そんなことだから、人間の一生を不幸のどん底に落とし込む「冤罪」が後を絶たないのではないのか。
ゴーン氏が犯したという容疑の金銭的額の大きさが、庶民感覚から大きくかけ離れているからといって、権力機構の「俺は無罪だ」と叫ぶ権利も与えない横暴を絶対に許してはならない。でなければ、この次に権力による人権侵害の煽りを受けるのは、自分になるかもしれない。(2019年04月14日)


見苦しい親分と子分

 最近我が地元の福岡県で、お偉いさん(政治家)のとんでもないお粗末が露呈した。国交副大臣の塚田一郎氏が、県知事選挙の応援にやってきてしゃべった内容のことだ。塚田氏は、自ら麻生先生(副総理)の子分だと言ってはばからない政治家である。彼は選挙応援演説で、「下関北九州道路を推進するために、安倍・麻生先生のご意向を忖度して」国家予算を組んだと放言した。その時の言葉の一部始終が録音されていることを知ってか知らずか、親分のためなら国民のことなど気にしてはいられないとでも言いたげにだった。
関門海峡に橋を架けるなんてそんなに簡単な話ではない。しかし政権維持のためなら、少々無理があっても、建設業界など財界(スポンサー)のご意向に沿うことをやらなければならない。安倍さんと麻生さんの本音がそこにある。しかし、本人の口からは言いだせないから、子分の政治家が「忖度して・・・」突っ走るのだろう。
その証拠に安倍さんも麻生さんも、とんでもない失言をした子分の立場を守ろうとなさる。さすがに世論の風あたりが強くて、本人から副大臣を止めると言いだした。「どこまでも愛(う)い子分よのう」と、喜ぶ親分たち。
だが見ておけよ、お二人さん。世論(国民)はそんなに甘くはないはずですよ。きっと今度の福岡県知事選挙で、麻生さんが命がけで推す候補が泣きべそをかく情景が、必ずやってくるからね。(2019年04月07日)


元号と西暦

 天皇の退位とともに、「平成」の次の元号が始まる。「筑紫次郎の伝説紀行」立ち上げ以来、「何年前・・・」と表現する際の計算上便利のため、私は完全に西暦主義を貫いている。従って、申し訳ないが、今では「和暦」とか元号を使うことはなくなってしまった。
元号(年号)とは、中国から渡来したものだとか。中国で皇帝が時をも支配するという思想から、紀元前140年前に「権元」と号したのが始まりだと辞書には書いてある。同じ辞書では、日本での元号の始まりは西暦645年に「大化」と号したのが始まりだと。中大兄皇子と藤原鎌足らが蘇我入鹿を暗殺して孝徳天皇が即位した時、初めての元号「大化」が制定されたと書いてあった。
それから1300年余りの間、営々と天皇と年号の関係が続いてきたことになる。今更西暦一本に改めたらという意見など通りそうにない。天皇制が平和希求のために存在するならばそれはそれとして問題ないが、「天皇のために・・・」国民の命を捧げて戦争への道に突き進むことだけは避けなければならない。
平成が終わって新しい年号が始まる今、そんなことが巷の話題になればよいのだが。(2019年03月31日)


うぐいすと共存できる幸せ

 さくらの開花を心待ちする朝。楽しみは頭上より降り注ぐうぐいすの鳴き声。ラジオ体操で気持も解れてくると、「ホ〜ホケキョ」と呼びかけてくれる。
つい10日前までは、「チチチ・・・」とうまく鳴けなかったものが、今朝は堂々たるものだ。昨年までは1羽だったような気がするが、今年は3羽か4羽身近にいらっしゃる。玉を転がすようなとはよく言ったもので、透き通った声に加えてコブシもよく効かせている。ボクを挟んで南で鳴けば、北の仲間が呼応する。ステレオ効果は、そんじょそこらの音楽家より遥かにうまいもんだ。
体操するのを忘れて聞き入っていると、こちらの気持ちが分かるのか、今度は西の方から更に喉を震わせて、彼らは鳴くのを止めようとしない。
「ご飯ですよ!」の家内からの呼び声も、何度目かでやっと耳に入った。(2019年03月24日)


それでも経営者か!

 あの東日本大震災から丸8年が経過した。地震は家を壊すだけでなく、同時に起きた津波によって、原子力発電所まで呑みこんだ。そのお陰で、多くの人が命からがら全国に散らばってしまったのだ。あれから8年経っても、5万人もの人々が、未だに行き場を失ったままだと聞く。
8年が経過した丁度その時、東京電力経営者の責任を問う裁判が結審した。裁判の被告とは、当時の会長であった勝俣恒久氏と(78)と元副社長の武黒一郎氏(72)、それに元副社長の武藤栄被告(68)の旧経営陣3人に対する刑事責任を問う裁判が、審理を終了する決心を迎えた。
3氏は、現場からの津波の危険性を指摘されながらもそれを無視して、「想定できない地震によって津波が襲来した。事故を防止できる可能性はなかった」と言いはり、無罪を主張しているという。部下の動かぬ証言を突き付けられても、「彼の勘違い」だとそっぽを向く。勝俣氏には、原発推進派の安部総理大臣がついているための安心からなのだろう。
東電の原発事故でこれだけの犠牲者を生んでおきながら、発生元の経営者は何の責任もとらないとおっしゃっているのだ。冗談じゃない、と叫びたい。
たまたまその時経営者だっただけだと言いたいかもしれない。しかし彼らは、事故さえなければぬくぬくと、最高の地位と財産を享受していたはず。たまたま事故が起きたときに、全従業員と同業者になり代わって責任をとるのが、貴方たちの最低の仕事ではないのか。むかしの武士だったら、部下の罪を喜んで被るに違いない。日本の武士道も地に落ちたものだ。
最高責任者の勝俣さんを写真で見る限り、すべて部下の落ち度を自らのものとして受け止める風貌に見えてしかたがないのだが・・・。(2019年03月17日)


異常拘束

 日産自動車のカリスマ的経営者・ゴーン氏が、このほど108日振りに保釈された。保釈金はなんと10億円。
私が気になるのは、その金額よりも、108日間という拘留期間の長さである。日本では、これが異常な日数ではない。近いところで、森友学園の籠池夫妻は300日であったし、高級官僚の村木女史もゴーンさんより遥かに長い。
検察の言い分は、「逮捕状や起訴状の理由を認めないから」だとか。本当にそうなら、日本の司法は江戸時代以前の拷問制度と同じことにならないか。警察や検察の言いなりにならないから釈放しないとか、起訴事実を否認するから外に出さない。解放して証拠隠滅を図られたらたまったものじゃない、との言い分なんて、世界中探しても珍しいのではなかろうか。
ゴーンさんの罪状については、日本国民一人一人が正解を持っているに違いない。彼も、弁護士をつけて堂々と闘えばよい。それを「正解」を保持する国民が見守れば、自ずと出てくる判決も「正義」のものになるはずだ。(2019年03月10日)


民意と民主主義

 米軍の普天間基地を名護市の辺野古に移すことに賛成か反対か、はたまた「どちらでもない」かを問う沖縄県民投票が行われた。結果は、「移転容認」派の首長を擁する市町村を含めて、圧倒的多数(72%)が、「反対」の意思を投じた。投票率も、この手の住民投票としては十分なくらいの52%だった。
しかし、安部内閣は、投票結果に関係なく辺野古の海を埋め立てると言い、埋め立て工事を続行している。彼らが言う「民主主義」とはいったいどういうものなのだろう。改めて、沖縄住民の民意と自民党政権の言う「安全保障」の関係を考えてみたい。
ボクの意見は、民意を無視して安全保障などありえないということ。「世界一危険な普天間基地を除去するため」と言うが、基地の周辺で暮らす沖縄県民は、それでも辺野古埋め立てはダメと言われてもね。彼らが言うのは、米軍基地の沖縄県内だけを対象にしたたらい回しは止めてくれと叫んでいるのだ。朝鮮半島がそれなりに非軍事化に向かおうとする時、敢てアメリカさんのために、進んで基地を提供しなければならないわけを、もう少し分かりやすく説明して下さいよ、安部さん。(2019年3月3日)

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