戦火にも耐えた

大牟田市庁舎

 
威風堂々の庁舎本館  
 
目の前では町の歴史を語っている
   
三池炭鉱は世界に誇る産業遺産でもある
 
市役所に賑わいは感じられない
   
大理石造りの階段
 
いかにも歴史を感じる
   
今流行りのエスカレータなどはない
 大牟田といえば、なんといってもJR駅前に聳えたつ市庁舎の威容だろう。60年前、中学生だったボクは、筑後地区駅伝競走のアンカーとして、その庁舎のシンボル・塔屋を目指した。炭鉱華やかな時代である。沿道に出たお母さんたちの振り絞るような声援に後押しされて、実力を忘れて走った。お陰でゴールした時は、気絶一歩手前だった。
倒れ込んだ市役所前の広場で見上げた、威風堂々の茶色の建物が、優しくボクを慰めてくれた。
 その後何度か大牟田の町に足を踏み入れているが、庁舎をゆっくり眺めたことはなかった。ところが最近、この建物が使い勝手の悪さから建て替えられるかもしれないというニュースを目にした。いくら炭鉱産業が終了したからといって、歴史的にも貴重なシンボルまで壊すことはなかろう。
 市役所の4階の市民課に尋ねた。「本当に建物がなくなるのですか?」と。答えは、「まだそこまではいっていません」だった。下記、市発行のパンフをご覧ください。丸焼けになった大牟田の町のなかで、奇跡的に災いを潜り抜けた魔法の手を持つ庁舎である。国土の歴史的景観に寄与していることが認められ、国の登録有形文化財にも登録されている。まさしく、我が郷土が責任を持って守らなければならない建造物ではないか。
 子供の頃、駅伝競走で倒れ込んだボクを、優しく慰めてくれたからだけの理由ではない。戦国時代からずっと闘い続けた大牟田魂を大切にするためにも、シンボルは守らなければならないのだ。(2019年05月21日取材)

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