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日常短編茶番劇−大学編3部作



+第一話+  Mr.スワンの親父ギャグ講座

 我が大学には、教養の英語科目担当教員として、Mr.スワンというカナダ人がいた。
 優雅なお名前ながら、だまされてはいけない。オレも1回生のときお世話になったが、この人物、当時から半そでのポロシャツ(しかもピンクor紫限定)のみを着用という、恐るべき人物だったのだ。
 どんな暑い日も、寒い日も、このポロシャツ一枚。
 そして挨拶は必ず「It’s fine! Beautiful Summer Day! HAHAHA!」…である。

 どんな暑い日も、寒い日も。

 雨の日も風の日も、もちろん雪の日も、「美しく晴れた夏の日」と、言いつつ、派手な色あいの半そで服で現れるのである。ただものではない。
 実際に、台風が近づいて大荒れの日の授業でも、ガタガタ鳴る窓の外を見つつ「Fine Day」と言い放ったほどの恐ろしい人物だ。「カナダは奈良より寒いよ」と、言うが、それは本当なのか? 先生。こんな雪の日にピンクの半そでシャツ一枚で、なぜそんなに笑っていられるのか?!(しかも顔がちょっとクリントン似)

 奥さんが日本人で、オレたち生徒より長い年月、日本に滞在している(30年くらい)はずなので、標準的な日本語はおろか、関西弁までペラペラだ。にもかかわらず、授業では、決して日本語を話さない。愛のしつけにより、すべて英語で喋る。

 先日、この先生が、自室のドアを開けっ放しにしているところを目撃した。
 入り口には、大きく、こう書かれた紙が貼り付けてあった。

 「NO SMOKING!  I AM SWAN(吸わん)」

 日本語、分かってんじゃん。スワン先生。


+第二話+  にっぽんむかしばなし

 突然、友人が語りだした。
 「桃太郎について語りたいと思う。むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが」
 「は?…」
 「巣くっていました。」
 「マジですか!」
 どんなおじいさんとおばあさんなのか。
 「おじいさんは山へシヴァ狩りに」
 「ってシヴァ神? 神狩りですか!」
 「おばあさんは川へ四択に出かけました。 ファイナルアンサ―――」
 「クイズミリ●ネアかよ!」
 「…うーん。残念。桃は手に入りませんでしたねぇ〜…。」
 「そんなオチ!!」

 このあとも、さらに白熱したツッコミトークが繰り広げられたが、著作権に関わるので後はナイショである。
 続きはお近くの本屋さんで。(?)


+第三話+  T教授は心配性

 それは、大学卒業式の日のこと。オレたちはお遊びでコスプレをしていくことにした。オレと友人Iはそれぞれ、民族衣装である。しかし教授は、それについてはあまりコメントをくれなかった。似合っていたので、特に問題は無いと判断したらしい。
 が、フリルのついた黒いセーラー服を着ていったKさんについてだけは、心配だったらしい。
 あとで、それとなく「あれは何の服なのか。どうしてあんな格好なのか。」と、尋ねてこられた。

 …ゴスロリ、というモノは始めて目にするらしく、たいそう気になるようだ。

 オレは素直にありのままを答えた。「ああ、あれはKさんの彼氏の趣味で、頼まれたから着ているのです。」
 すると教授は、ムチャクチャ真面目な顔になって、言った。

 「フリルなんか好きな男にロクな奴はいない。別れなさい。

 イヤ、そんなん、オレらに言われても。
 まるで年頃の娘を持つ父親のように彼女の身を案じるT教授を見て、オレたちはちょっとジェラシーにも似た感情を覚えた。
 教授は、何かフリルに嫌な思い出でもあったのだろうか。
 なお、Kさんは、卒業式後はその格好のまま町のゲーセンへと繰り出していったそうだ。

 親の心を子はしらず。(?)



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