■32


 乾いた大地は貪欲に水を飲み干して、数日前の雨はもうすっかり地面の表面から消えている。通過してきた枯れ谷の底には、まだ、塩まじりの水が流れているかもしれないが。街道の側に残る僅かな緑の西側は完全な砂漠だ。一面が茶色く、砂と礫に覆われている。かつてフィリメイアの住んでいたオアシスも、その先にあるはずだった。
 「水脈が変えられている」
彼女は、憮然とした表情で呟いた。「あの、小山みたいな建物に吸い取られてる。あの中で水をくみ上げている」
 「小山っていうか…城、だな。あれは」
 「どういうことだ…」
ベースまで呆気にとられているところを見ると、かつてのソルナレイクとは様子が違っているらしい。
 目の前には、高い城壁と砂漠に囲まれた要塞のような小山が聳えていた。所々に石積みが見えているところからして、もとは確かに人間の町だったのだろう。石造りの城壁をさらに高くして、建物の周囲に土を盛り上げて竜人族の住居に似せたのだ。その真ん中に、特徴的な丸い屋根が突き出している。
 「あの丸いのは、王宮の塔だった」
元の形を知るベースは、少なからず衝撃を受けているようだった。「あの美しかった商隊の町が…あそこが月の門なのか? なんてことだ、めちゃくちゃだ」
 「投石器、でしたっけ。あの、ものを投げる木組みがあります」
と、リュカ。妖精族は、人間より遠くを見るのに馴れているらしい。「城壁の上に、警戒している敵が居ますね。これ以上は近づかないほうがいいと思います」
 「城壁は二重…いや、外側の土塁を入れれば三重か。馬止めも仕込んである。本体に辿り着くまでが遠すぎるな。」
ユッドは、軍学校の教科書の中身を必死で思い出そうとしていた。こんな時にどう攻めればいいか。学校の実技の試験で、作戦の立案を求められたことがあったはずだ。
 (包囲戦は却下。こちらの補給線は十分じゃない。エルム湖を経由して送ってもらうにしても遠すぎるし、…長引くだけ、こちらが不利になる)
あごに手をやりながら、彼は、何度も行きつ戻りつして考え込んだ。
 (向こうは、どのくらい食料を溜め込んでる? この距離だと戦力も分からない。いざというときの撤退を考えて…いや、駄目だ。もう「次」はない。ルナリアとグロッサリアの軍事同盟がいつまで続くか。それに…リュカたち妖精族がいつまで協力してくれるか。これが最初で最後の機会なんだ…)
 「くそっ」
声を上げるとともに、ユッドは両手で自分の頬を叩いた。そして、足元の小石を拾い上げると猛然と砂の上に図を描きはじめる。
 「おい、おい」
三人は、あっけにとられている。「何してる。何のまじないだ」
 「見れば判るだろ?! 図だよ! あの城の図だ。ベースさん、ソルナレイクの町の門は? いま見えている以外出入り口だ」
 「えっ? あ、あーっ…そうだな、三つだ。ここと、このへんと…」
ユッドの手元に、図が描かれていく。
 「王宮は、どの門からが一番近い?」
 「この、東側の太陽の門からなら、大通りを真っ直ぐだ。王宮前の中庭に出る。」
 「今まで見てきた竜人族の拠点からして、一番偉いやつは一番目立つ場所に住んでるはずだ。」
 「ユッド…」
彼は、小さく頷いた。
 「指示を出してる奴を倒さないと終わらない。だろ?」
人間同士の戦いで、町を攻め落とそうとする時と同じだ。交渉による開城、という選択肢が無いのなら、最後は市街戦になる。
 「連絡が届いたぞ」
フィリメイアが片手にフィルダーの寄越した蝶を乗せている。「あの逃げ出してきた男の言っていた、枯れ谷の側の奴隷の町を解放したそうだ。順調に進んでるらしい」
 「それなら、あと三日ってとこだろうな。それまでに準備を整えよう。といっても、様子見くらいしか出来ないけど…」
 「地下水の流れを変えてみます。」リュカが言った。「竜人族がどのくらい水を飲むかは分かりませんが、井戸の水が使えなくなれば少しは焦りますよね?」
 「出来るのか、そんなこと」
少年は曖昧な笑みを浮かべる。
 「今ならね。」
 「今なら?」
 「私は、様子を見て来よう」
フィリメイアが宙に浮かび上がる。
 「気をつけろよ」
 「少しは目くらましの術も使える。奴らから逃げ回るのは馴れているしな」
白い姿が、半透明になりながら風のように流れてゆく。ユッドは目の前の土盛りのような奇妙な形の城を睨みつけながら、じっと考え込んでいた。
 時間が過ぎていく。
 考えられる攻撃と、それに対抗する手段と。考えているうちに、これまでの戦いが蘇ってくる。投石器を使った攻撃で、リオネス砦が半壊した夜のこと。マリッドの町の消失とラーフィーの死。レスカトーレで陽動に気を取られているうちに武器庫を襲われ、爆発に巻き込まれたこと。初めて出くわした時は竜人族の大きさに圧倒されて動けなかった。武器を抜くことすらできずうろたえているばかりだった。
 「ん」
ふと気が付いた時、太陽はもう、西の地平線にかかろうとしていた。赤い輝きに手を翳しながら顔を上げると、目の前に、逆行の背が見えた。
 「……リュカ」
振り返ったのは間違いなく、彼だった。けれど一瞬、背中が別人に見えたのだ。ここにいない、…かつて憧れた人に。
 「地下の水脈の流れが変わりました」
こともなげにそう言って、微笑む。その笑顔は、可愛いというよのも美しく、人間のようでありながら、どこか全く異質で恐ろしくもある。あの日、斥候の帰り道に竜人族に襲われなかったら、彼と出会うこともなかった。
 「お前さぁ、背ー―延びたな」
 「え? そうですか?」
 「ああ。最初に会った時よりな。」
笑って、ユッドは足元の砂を手でならして立ち上がった。その表情にはもう、迷いはない。
 「考えがまとまったんですね」
 「ああ。まとまったよ」
天才軍師でもなけりゃ経験豊富な将軍でもない。けれど、竜人族との戦いは、誰よりも経験してきた。人間に近いけれど人間とは決定的に違う、敵の戦略の致命的な弱点に、ようやく突き当たったのだ。
 「これで終わりにしよう」
西へ消えてゆく明るい昼の輝きの代わりに、紺碧の空に無数の星々が、輝き始めていた。


 砂漠の砂を蹴立てながら近づいて来る大軍を迎えるのは、たとえ味方と判っていても緊張するものだ。
 先頭集団を率いてきたのはカリムだった。もう引退したと散々言っていたくせに、とユッドは思わず笑ってしまった。エルム湖に残って帰りを待つことも出来たはずなのに前線に出て、しかも先頭にいるとは。
 ユッドが手を振ると、老兵は率いてきた兵を先に行かせて騎馬のまま駆け寄ってきた。
 「お疲れ、カリム。腰大丈夫か?」
 「馬鹿にするでない」
言いながら、勇ましく馬から飛び降りる。けれど、その飛び降り方はいささか不恰好だ。
 「報せは受け取ってる。奴隷にされてた人たちは、ぶじ解放できたんだよな?」
 「ああ、枯れた井戸の町にした瀕死の男ともども保護しておる。護衛はつけてきたが、本当に必要なのは医者かもしれん。酷い有様だった」
竜人たちの食料を作らされていたという人間たちは、ほとんどがこの周辺の、最初期に攻め落とされた国々から連れて来られた人々だった。それを見張っていた竜人族は二十体ほどで、大軍を率いてきた人間たちの前には障害ではなかった。
 「で、そっちは」
 「不気味なくらい動きがない。斥候ですら出てこないんだ。」
ユッドは、ちらと町のほうを見やった。高台の上から見ている限り、動くものは何もない。
 頭上から声が降ってくる。と同時に、長い、白い髪が垂れ下がった。
 「油断するなよ、人間族<ヒューリット>。あの町のまわりはワナだらけだ」
 「というと?」
カリムが空中の美女を見上げる。
 「砂で隠した穴だ。馬で走ると落ちるぞ。それから、あの回りの壁の影に敵がひそめる穴がいくつも掘られている。」
 「ほう」
 「人間の戦法を大いに活用してる、ってところだな。」と、ユッド。「詳しいことはこれから説明する。皆揃ったら――」
言いかけたとき、彼の視線が後続の隊の中に留まった。何やら壁のようなものと、大きな木材を載せて進む四頭立ての荷車がある。それは、リオネス砦では一度も実戦に使われなかった、あの道具だった。
 「投石器…? どこから持ってきたんだ?」
 「エルム湖の拠点に放置されていたものだ。他に、間に合わせで色々作ってきたぞ」
壁のように見えているのは、盾を組み合わせたものだ。
 「組み立ててみてのお楽しみだ。驚くぞ」
 「ったく…ま、役にはたちそうだけどさ」
馬列が到着するたびに、周囲には人が増えてくる。兵だけで千人。医療班など非戦闘員を入れればもっとだ。この人数の命運がかかっている。今更のように、体の奥底が震えた。
 「ユッド」
高台から城の様子を伺っていたリュカが、彼を呼んだ。「向こうも動き始めましたよ」
 町に隣接した城壁につけられた門が開いて、黒々とした竜人族の列が外に出てくる。外側の土塁に陣取って、そこで迎え撃つつもりのようだ。
 馬を降りながらサニエルが近づいて来る。
 「策は?」
 「正面突破さ。それしかない」
驚いて、男はまじまじとユッドを見た。
 「…本気か」
 「ああ。それが最短、かつ最小犠牲でいける。外に出てる連中は大したことがない。城壁に取りついてからが勝負になる」
罠だらけ、とフィリメイアが表現した砂礫の荒野の幅は、馬で駆け抜ければ数分の距離だ。そして、土塁を越えた先の城壁の奥には、土盛りのような町と、王宮を囲む第二の壁が聳えている。


 明け方――冷えた空気が頬を撫でていく。凪いだように風もなく、高台の上から見下ろす砂礫の台地には、まだ、日は挿していない。
 「準備は?」
 「完了している。いつでも行ける」
はあ、と白い息をついて、ユッドは腰の剣に視線をやった。金属は冷たく冷えて、頭の芯まで冴えている。顔を上げると、夜の明けつつある空が見えた。
 カリムが無言に馬の手綱を手渡した。
 それを受け取り、馬に飛び乗る。隣でリュカが頷いた。後ろには、この日最初の突撃のために選ばれた志願者たちの馬が並んでいるはずだ。彼は大きく息を吸い込むと、片手を挙げ――腹の底から叫んだ。
 「突撃!」
あちこちから、盾を打ち鳴らす音が響き渡った。銅鑼の代わりだ。土塁のあたりから、応じるように竜人族の咆哮が響き渡る。砂埃を上げて駆け下りていく馬の列めがけて、焦った何体かが届かない矢を射掛けてきた。
 「避けるな、正面に集中!」
朝靄が辺りを包んでいる。それは、フィルダーナとフィリメイアが二人がかりで仕掛けてくれた、早朝のほんの僅かな時間だけ有効な目くらましのカーテンだ。速度が落ちるからと普段は持たない盾を頭上に掲げながら、三十騎ほどの馬が二列に並んで槍のように土塁を突き抜けていく。いとも簡単に第一防壁を突破された竜人族の列が、後ろでうろたえ手居るのがわかる。
 「ははっ、予想通りだな。正面は落とし穴ナシだ。」
 「ユッドの読みどおりですね」
この数日、町の周辺で踏み跡の多い箇所を、念入りに観察しておいたのだった。ヘタにあたこち落とし穴だらけにしてしまったら、自分たちも落ちてしまう。罠を避けて歩き回る体の大きな竜人族の足跡は、砂の上にははっきりと痕跡を残していた。
 ユッドたちが通過したのを見て、後続が同じ道を追いかけてくる。今度は、カリムお手製の「巨大な盾」を先頭に掲げて、矢を防いでいる。射手はうろたえ、弓を投げ捨てながら向かってくる人間に立ち向かおうとしている。そこに、馬を反転させたユッドたちが襲い掛かった。
 (竜人族には弱点がある。――絶対に、二体以上が協力しあって攻撃してくることはない)
土塁を突破した味方の軍と、竜人族とが入り乱れて接近戦となっていた。もはや弓は使えない。そして、数は人間のほうが上だ。
 (群れで動くことに慣れていないんだ。たとえ群れを作っていたとしても、それは単なる"数"に過ぎない)
 「ユッド、追加がきます」
リュカが叫んだ。町の門が開き、さらに竜人族の兵が押し寄せてくる。
 「思ってたより早いな…、カリム! おもちゃの設置は?」
 「今、必死でやっとるわい!」
矢よけの壁を前に、カリムたちがせっせと組み立てているのは投石器だった。「ギリギリだぞ。ここからは壁に届かせるので精一杯だ」
 「それでいい! 急げ」
向かってくる数は、想定していたより多い。背後では、まだ戦闘が続いている。挟撃だけは避けなければ。ユッドは、唸るように叫んだ。
 「サニエル! 援護してくれ!」
 「はあ?! そんなの、打ち合わせに無――」
振り返ったサニエルが、真っ直ぐに敵に向かって突進していく馬を見てぎょっとした顔になる。
 「――弓兵! あのバカの後ろに続け!」
駆けるユッドの隣を、リュカが追い越していく。
 「考えてることは分かりますよ」
手綱を手放して馬の背に立ちながら言う。「でも、いいんですね?」
 「ああ!」
向かってくる二人に気づいた竜人族の群れが、雄たけびを上げる。列が乱れて、全員が一斉にユッドたちのほうに向かって突進してくる。狙い通りだ。たった二人の敵でさえ、向かってくるものに反応せずにはいられない。一体でも、群れになっていても、同じように本能に従って獲物を追う。全体の戦局を見てその場で判断することが出来ないのだ。
 ユッドは、敵を誘導するように乱戦となっている正面の戦場から大きく逸れるように馬を走らせた。途中、馬が砂に足取られて前のめりになる。
 「うわっ」
背中から放り出され、地面に転がる。
 「ユッド!」
リュカが手を伸ばし、彼を拾い上げる。馬の背に辛うじてしがみつきながら、彼は後ろから追ってくる仲間のほうを見ていた。髪を振り乱しながら、サニエルの部隊が突撃してくる。背後からの矢の一斉射撃。竜人族の隊列は大きく乱れ、延びきっている。接近戦に持ち込むには今しかない。
 「リュカ戻れ!」
 「判りました」
馬を巡らせて、追いかけてくる竜人族の前で馬から飛び降りた。
 「ブオオオ!」
 「うるせえ!」
怒鳴り返しながら、ユッドは剣を抜いた。「お前たちに防衛戦なんか出来ると思ってるのか?! これまでずっと――人間の町を襲うだけだったお前たちに! ナメんじゃねえっ」振り下ろされる斧をかわして、下から上へ、喉の下を切り上げる。やすやすと肉を切り裂く感触とともに、鮮血が飛び散った。妖精族の金属の銀の輝きが、届き始めた朝日の中に輝く。
 「……はっ」
馬上のサニエルが声を上げて笑う。次々と敵を切り伏せていくたった二人の姿に、剣を抜きかけた手を止めた。
 「なんてデタラメな戦い方だ。まるで英雄様じゃないか」
その顔は嬉しそうでもあり、どこか、悔しそうでもあった。
 「第三壁、突破ー!」
背後に声が響き渡る。土塁のあたりで戦っていた仲間たちが、敵を完全に制圧したのだ。
 「前進だ。城壁に取り付け!」
 「進めー!」
打ち鳴らされる盾の音。地面はあちこち地に濡れて、倒れた馬と、息絶えた竜人族と、人の体とが散らばっている。
 どぉん、と重たい音が行く手の城壁に響き渡った。
 振り返ると、組み立て終わった投石器の前で大きくガッツポーズしているカリムの姿がある。
 「おーーし、命中だー!」
 「おいおい。まだ一発だけだろう? 商人ギルドとっておきのアイツはどうした。」
ベースが茶々を入れる。「この日のために輸送させたんだぞ。たっぷり出資したんだ。思い切りやってくれ」
 「わかっとるさ、今のはお試しだ。次いくぞ!」
荷車が運んできた重たい樽を装置にくくりつける。蓋からは黒い液体がぽつぽつと滴り落ちている。
 「発射――!」
樽が弧を描き、城門のあたりに落ちる。と、次の瞬間、どす黒い炎が上がって、凄まじい空気の振動が伝わってきた。
 「はっはぁ、いい衝撃だなあ。」
ベースは豪快に笑っているが、発射を命じた当のカリムのほうは初めて見る兵器の威力に青ざめている。
 「おい…、この威力はまずいんじゃないのか…?」
 「何がだ。」
 「よくこんなももの輸送させてくれたな?!」
 「なぁに、二種類混ぜなきゃああはならんよ。東の果ての鉱山でしか精製できん高価な油なんだぞ。ほれ、どんどんいかんか」
 「くっ…。」
投石器は、他にもいくつか組み上げが完了している。そこに高台で待機していた荷車が次々と到着し、危険な油樽を置いていく。
 「ええい。こうなったら使い切るまでどんどん打ち込め! 熱をかけて壁を崩せー!」
樽が宙を飛び、火の手が次々と上がる。城門から追加で出てくる敵の姿は、もうない。兵力が尽きたのか、それとも中で待ち伏せしているのか。
 ユッドは、赤いマントを巻いた人間のような顔だちの竜人族と向き合っていた。矢が刺さり、わき腹に深い傷を受けて、すでに足元がふらついている。
 「おのレ…、家畜ども…」
濁った呻き声とともに、最後の力を振り絞ってうちかかってくるのを受け流すと、ユッドは、敵の首を切り落とした。
 「これが、人間の戦い方だ」
砂に、赤い色が染みこんでいく。汗を拭おうとした彼は、その手が真っ赤に染まっていることに気が付いた。自分の血ではない。すべて、敵のだ。
 無我夢中で戦っていたせいで、辺りがどうなっているのかに気づいていなかった。戦線は、第二城壁の近くまで迫っている。城壁の上から矢を射かける竜人族と、盾でそれを防ぎながら様子を伺う人間側とがこう着状態だ。カリムたちが遠方から打ち込む爆発樽と石が城壁と城壁の上の敵戦力を少しずつ削ってはいるものの、このままでは夜になる。
 「ユッド!」
リュカが馬を連れて駆け寄ってくる。「そろそろ、頃合です」
 「ああ」
頷いて、彼は手綱を受け取った。
 いま攻めているのは正面の城門。両陣営とも、そこに戦力を集中させている。ということは――他の場所は、手薄になっているはずなのだ。
 「頼むぞ」
 「ええ」
いささかの不安も感じさせない笑顔で答えて、リュカはひょいと馬に飛び乗った。
 二頭が走り出す。目指すは、町を囲む城壁のうち最も小さな、東側の門だ。


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