はじまりの大樹

それは、ずっとむかし
まだ動物たちが海の中にいて
世界を木々が治めていたころのこと

あるとき風が予言した
「やがて海から上がる足を持った生き物たちが
この世界を支配するようになるだろう
彼らは争いを生み出して
世界じゅうで戦いが起こるだろう」

木々は恐れおののいて
空に逃げようと言い出した
けれど一本の老木だけはこう言った
「わたしはもう年老いて
大地を連れて空には上がれない
争いが起きるならそれも良い
わたしはこの世界を見ていよう」

そうして その木だけを残して
木々はみんな空へ上がってしまった

やがて時がたち
獣や人の祖先が海からあらわれたとき
世界には木が一本しかなかった

だから、いまあるこの大地は
老木の根が支えていた大地からうまれ
すべての木々と花々は
あの老木の子供たちなのだそうだ