チクタク 2

世界一深い湖の底で
私は鳥を探していた
鳥の名前はチクタクという
青い、小さな丸い目と
黄色い脚をした小鳥

鳥は、世界の中心にある
大時計から逃げ出した秒針
毎分60回
チクタク、チクタク動くことに
疲れて

ある日 とつぜん
翼が生えて逃げ出した

大時計はばらばらに壊れてしまった
世界の中心にある大時計
その日から
世界じゅうの時間がめちゃめちゃだ

私は壊れた短針を持って
世界でいちばん深い湖に潜った
そこは時間が限りなく遅く
…世界でいちばん遅く過ぎて
チクタク鳥は
チクタク動くことを忘れて休んでいるかと
思ったから
湖は底へ行くほど時間が遅く

今は滅びた銀の貝
太古のままの魚たち

空気の泡は ゆっくりゆっくり
まるで止まったままのように 水面の空に向かって昇っていく

珊瑚のつくる並木道
歩いていた私の背中を
小さな魚が引っ張った

”おいで あなたの探している鳥は
 ずっと前に 水の中に落ちてきた”