霧深き森で昼寝をしたら、
 鳥になる夢を見た。

 その森は、アルスターの森と呼ばれていて、冒険者仲間の間では、ちょっとした噂の森だった。
 何でも、迷い込んだ者が次々と、いなくなってしまうらしい。森のどこかに妖精たちの国へ通じる道があって、人はそこへ迷い込むと二度と戻って来れないんだとか。
 だけど、そんなお伽噺はどうでもいいと思っていた。
 妖精たちの常世の国<ティル・ナ・ノグ>なんて、興味はあるけど行きたくはない。別に怖いわけじゃない、戻ってこられないのは困ってしまう。何たって、常世の国では年を取れないらしいんだから。一生チビのままは嫌だなぁ、なんて、ちょっと下らないことを考えてもいたんだ。
 でも、気が付いたら、そんなことなんかすっかり忘れて、近道の森に入ってしまっていた。いつもこうなんだ、気が付いたら、地図とは違った方向に向かって歩き出してしまうんだから。
 淡い緑がかった霧に包まれて、しばらく歩いているうちにだんだん眠くなってきてしまった。空はミルク色、朝なのか昼なのかもわかりゃしない濃い霧の中だ。仕方なく、赤キノコの生えた木の下で、ちょっと一休みして行こうと思い立った。
 消えてしまうかもしれない、なんて考えたこともない。消えたってどうってことはない。人はみんな、いつか死んでこの世から消えてなくなってしまうんだ。名前や武勇伝を残せるのは、ほんの一握りの人だけだ。こっちはそんなご大層な人間でもないんだから、今、ここで消えるのも、あした、どこかで冒険の途中に死んでしまうのも同じことじゃないか。

 そうして、眠りについてから、どれくらいたったのだろう。
 気が付くと、夢の中で目の前に、どこまでもつづく青い空が広がっていた…。

−−続きは、あなたの想像の中で。−−


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