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  ヴント  


Wundt,W.1832−1920

 心理学を、哲学から独立した学問へと導いた、近代心理学の祖の1人。世界で最初の心理学実験室を開設した人だ。要チェック。

 ドイツのライン河畔のネッカラウに牧師の子として生まれ、医学を修めたあと、ベルリン大学のヨハネス・シュラーのもとで実験生理学を学んだが、のちに心理学に興味が移る。
 「逸話の少ない、根暗で勤勉な学者の典型」などと教科書にまで書かれてしまった気の毒の人。マジメ一本だったんですかねぇ…(笑)。

 彼の心理学では、それまでのような間接的経験(物理現象)ではなく、直接的経験、つまり、意識を主体とした経験こそが心理学の扱うべき分野だとした。もっと簡単に言うと、目の前で火が燃えてても、見ている人自身が火を意識していなければ、その人が火を見たあとに返す反応は「火を見た反応」ではない。
 ここから、「実際に起こっていることと、その人に見えていることとは違う」と言える余裕が生まれた。

 彼の「構成心理学」においては、(1)意識を感覚、心像、感情などの心的要素に分け、(2)これらの諸要素の結合の方式を見出し、(3)その結合方法を見出さなければならない、とされた。
 意識とは、様々な要因が組み合わさって出来ている、ということだ。

 ヴントは雑学たっぷりの多才な人だったので、実にいろんなことをやっている。そのため理論にあちこち矛盾が無くもないが、彼への批判から現代心理学が生まれたことを考えると、彼の思想は、いわば北欧神話で言うところの原始の巨人ユーミルの体みたいなモンですな。言語や神話なんかも扱っているので、なんだかとっても親近感が湧くお人だ♪


【関連研究】

■「民族心理学」全10巻

 晩年のヴントの残した大作。執筆に20年を費やしている。人間の心理は個人にとどまるものではなく、その人の属する社会、民族、宗教などにもよるのだと考えた。神話を基本とした民族心理から脱却した、現在の社会を意識した研究を行ったが、個人差を考慮しないどの問題もあり、そのまま引き継がれることはなかった。

■構成心理学(structual psychology)

 構成心理学が誕生した背景には、哲学者たちの考えだした、生理学的要素の強い「連合心理学」がある。ここから心理学は、哲学の一部という立場を脱却し、実験理学によって、自然科学へと近づいていく。
 ヴントの構成心理学では、認知を行う人間本人も含めた経験、つまり意識が重要視されている。このような「内観」にもとづいた心理学は、特に「意識心理学」とも呼ばれている。



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