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序章 ラーの昇る時之に奉る歌

フーネフェルのパピルスより


 天の東部にラーの昇る時之に奉る讃美の歌。オシリス即ち勝利を得たるフーネフェルを観よ。彼は曰ふ、

 『嗚汝の昇る時にはラーたり、汝の没する時にはテムたる汝、今汝を敬禮し奉る。汝は昇る、汝は昇る。汝は輝く、汝は輝く。汝は神々の主たり。汝は地の主たり、汝は高所に住まひたる者等と、深所に住まひたる者等との創造者たり。汝は神即ち時間の始めに存在するに至れる者たり。

 汝は地を創造せり、汝は人類を創造せり。汝は蒼穹の大淵を造れり。汝はハアピを作れり。汝は大淵を創造せり。而して汝は其の中にある凡ての者に生命を輿ふ。汝は山々を編み合わせ、汝は人類と野の獣とを出現せしめ、汝は天と地とを造れり。

 女神マアトが朝と夕とに抱擁し奉る汝は、當さに禮拝せらるるべし。汝は悦びに満てる心を持て蒼穹を過ぎり旅す。テステスの湖は之を見て満足す。蛇鬼ナクは倒れ、其の両腕を断ち切られたり。セクテト舟は順風を受く、而して其の社殿の中にある彼の心は歓ぶ。汝は天の王とせらる。汝は凡ての主権を授けられて蒼穹より出で来る者なり。ラーは勝利を得たり!

 嗚汝聖なる青年よ、汝無窮の相続者よ、汝自生の者、嗚汝己れに生を輿へし者よ! 嗚汝敷萬の姿と形とを具えし偉大なる者、世界の王、アンヌ(ヘリオポリス)の君、永遠の主、無窮の元首よ、神々の群れは汝が昇る時に歓び、又汝が蒼穹を帆走る時に歓ぶ。嗚汝、セクテト舟の中にありて崇めらるる者よ。』


 『嗚アメン−ラー、今汝を敬禮し奉る。汝はマアトの上に休息し、天を此方より彼方に一過し、凡ての顔皆汝を見る。汝は増大す、汝の威厳は進み、又汝の光線は萬人の顔の表にあるに随って、汝は不可思議なり。如何なる言も汝の面影を明するに足らず。
 單汝独り自ら能く之を成し得べし。汝は一人なり、テナ籠を齎す者の如くに。人々汝を汝の名<ラー>に於いて讃美し、而して彼等は汝によりて誓ふ。是汝は彼等に君臨する主なる故なり。

 汝は汝の耳を以って聴き、又汝は汝の眼を以って視給ふ。数百萬年の歳月は世界の上を経過せり。我は汝が経過し給へる歳月の数を語る能はず。

 汝の心は汝の「旅行者」てふ名に於いて、幸福の日を定めたり。汝は通過するに数百萬年をも要すべき無数の空中を通過し、又旅行す。汝は之を平穏に通過す、而して汝は、大淵を横断し、舵を操りて、汝の愛する地に進む。汝は之を為すに、短時間を要するのみ。斯くて汝は沈み、以って時間を終結す。』


 オシリス即ちフーネフェル、即ち二の陸地の主の宮殿の主宰を視よ、彼は曰ふ、
 『萬歳。我が主よ、汝は無窮を通過す、汝の存在は永久なり。萬歳、汝光線の主なる太陽よ、汝は昇り、而して汝は凡ての人類をして生活せしむ。願わくは汝、我をして日々の黎明に汝を見ることを得させ給へ。』


△上のものの現代語簡略版△
※たぶん、現代風に訳すとこうなるんだろうな〜っていうオリジナルです。素人の仕事なので、根拠は薄い(笑)


 東の地平線に太陽の出でます時、ラーに捧ぐ賛歌。オシリスとなりし、勝利を得たるフーネフェルを観よ。彼は言う、

 『おお、汝、昇る時にはラーたり、没する時にはテムたる者よ、今、汝に拝礼す。
  汝は昇る、汝は昇る。汝は輝く、汝は輝く。
  汝は神々の主たり。
 
 汝は地の主たり、汝は高所に住まひたる者等と、深所に住まひたる者等との創造者たり。
 汝は神すなわち時間の始めより存在したる者なり。

 汝は地を創造せり、汝は人類を創造せり。
 汝は蒼穹の大淵を造れり。汝はハピ(ナイル)を作れり。
 汝は大淵を創造せり。
 そして汝は、その中にある凡ての者に生命を与う。
 汝は山々を編み合わせ、汝は人類と野の獣とを出現せしめ、汝は天と地とを造れり。

 女神マアトが朝と夕とに抱擁したてまつる汝は、幾度も礼拝せらるるべし。
 汝は悦びに満てる心を持て蒼穹を過ぎり旅す。テステスの湖(※天の異名とされる)は、これ見て満足す。

 蛇鬼ナクは倒れ、その両腕を断ち切られたり。
 セクテト舟は順風を受く、而して其の社殿の中にある彼の心は歓ぶ。
 汝は天の王となる。汝は凡ての主権を授けられて蒼穹より出で来る者なり。ラーは勝利を得たり!
 ああ、汝、聖なる青年よ、無窮の相続者よ、自ら生まれいでし者、我に命を与えし者よ!
 汝、妙無き姿と形とをそなえし、偉大なる者、世界の王、アンヌ(ヘリオポリス)の君、永遠の主、無窮の元首よ、神々の群れは汝が昇る時に歓び、汝が蒼穹を帆走る時に歓ぶ。
 ああ、汝、セクテト舟の中にありて崇めらるる者よ。』

 『ああ、アメン−ラー、今、汝に拝礼す。汝はマアトの上に休息し、天を此方より彼方に一過し、凡ての生ける者はみな、汝を見る。汝は増大す、汝の威厳は進み、又汝の光線はすべての者の目にうつる、汝は不可思議なり。いかなる言葉も、汝の真の姿を暴くことは出来ず。(←この部分、原本でも「?」マークがついてて、意味がはっきりしない)

 汝、自ら、ただひとりにしてこれを成す。汝は一人なり、テナ籠を齎す者の如くに。人々は、汝を、汝の名<ラー>によって賛美し、彼は汝自身によって誓う。汝は、彼らに君臨する主なるゆえなり。

 汝は汝の耳を以って聴き、又汝は汝の眼によって視る。数百万年の歳月は世界の上を経過せり。我は汝が経過せる歳月の数を語ることは出来ず。

 汝の心は汝の「旅行者」の名に於いて、幸福の日を定めたり。
 汝は通過するに数百万年をも要すべき無数の空中を通過し、旅行する。汝はこの旅路を平穏に通過す、しかして汝は、大淵を横断し、舵を操りて、汝の愛する地に進む。汝は之を為すに、短時間を要するのみ。
 かくて汝は沈み、一日の時間は終結する』

 オシリス即ちフーネフェル、二つの大地の主の宮殿の主宰を視よ、彼はいう、
 『万歳。我が主よ、汝は無窮を通過す、汝の存在は永久なり。万歳、汝光線の主なる太陽よ、汝は昇り、汝は凡ての人類を生かし暮らさせる。願わくは汝、我をして日々の黎明に汝を見ることを得させたまえ。』



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