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第七十四章

ヌウのパピルスより


 足を挙げ、地上に出現するの章。印璽監督院の監督にして勝利を得たるヌウ曰く、

 「おお、セケルよ、汝の技を実行せよ。
  おお、セケルよ、汝の技を実行せよ。
  汝、汝の家(神殿)に住まう者よ、下界において、汝の足の下に立つものよ。
  我は天の腿の上に光を送るものなり。
  而して、我は天空に出現す。而して、我は自らの光の神の傍らに座す。
  万歳、我は力なきものとなれり!
  万歳、我は力なきものとなれり!
  されど我は前進す。我は力なきものとなれり。
  我は下界において略奪する者らの地方において、力なき者となれり。」 


ポイント

「セケル」は棺に入れられたる者を意味するというが、おそらくここではソカル(ソカリス神)なのだと思う。
ソカルは舟に乗る鷹の姿で表される神で、言ってみれば死者の渡し守か門番のようなもの。死者の国の入り口に住むと考えられている。

「天の腿」とは、天空の女神であり、天そのものである女神ヌトの腿を指すと思われる。

自らの光の神とは、自分自身の一部であるカーを指している。死者の国において魂は鳥の姿となり、死者自身の傍らに控える。生きている間は肉体が魂の保護をしていたが、死者の国では魂が肉体の保護をする、逆の立場になっているのかもしれない。

下界に於いて略奪する者らの地方、というのが何を指すかは不明。なぜ「力なき」者となって歓喜しているのかも、ちょっとゴメン、どういうことなのか分からない…。


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