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第十九章

レプシウスの死者の書 第十三巻より
<書き下しバージョン…旧字・旧カナ使いをすべて現代語に訳してみました。>



 勝利の飾環の章。勝利を得たるシェレト・アムスより生まれし者にて、かつ、勝利を得たるオシリス、即ちアウフ−アンク云う。

 『汝の父、テムは、汝の生ける額の上に置かんため、勝利の美しき飾環(かざりわ)を、汝のために編めり。おお汝、神々を愛する者よ。しかして汝は永遠に生きるべし。
 オシリス=ケント−アメンテト(アメンテトの主、オシリス)は、汝をして汝の諸敵に勝ためしめたり。しかして汝の父ゲブは、もってその継業を汝に命じたり。これがゆえに、おお、イシスの子なるホルスよ、来たれ、何となれば、おおオシリスの子なる汝は、汝の父ラーの王座に坐し、汝の諸敵を覆さんとすればなり。
 何となれば彼は、二つの国<ケメト>を、その最極端に到るまで汝に任命したればなり。アトゥムもまた、汝を任命せり。しかして神々の群れは、イシスとオシリスの子なるホルスの確固たる勝利の力を永久無限に確信せり、しかしてオシリス=アウフ−アンクは、永久無限に勝利を得るべし。

 おお、オシリス=ケント−アメンテトよ、天の北部と南部との全体、また天に在り、かつ、地に居る全ての男神と女神とは、イシス及びオシリスの子なるホルスの、その敵に対する勝利を奨励す。それは、オシリス=アウフ−アンクをして、オシリス=ケント−アメンテト、すなわちヌウトの子なるウン−ネフェルの前において、その諸敵に勝利を得せしむるオシリス=ケント−アメンテトの御前においてなり。

 それは、彼をしてアンヌ(ヘリオポリス)に在るところの、大かつ主なる君たちの御前にて、セバ悪鬼の戦争及び覆城の夜においてなり。

 それは、汝勝利を得たるオシリス=アウフ−アンクをして、アメンテトの地平線に在るところの、大かつ主なる君たちの御前にて、その諸敵に勝利を得せしむる夜においてなり。

 それは、タッツに在るところの大かつ主なる君たちの御前にて、テトをタッツに建つるの夜においてなり。

 それは、セケム(レトポリス)に在るところの大かつ主なる君らの御前にて、滅ぼさるべき人々の審判の夜においてなり。

 それは、デブとブート(上下エジプトそれぞれの聖都)に在るところの大かつ主なる君たちの御前における、「セケムの祭壇の夜」においてなり。

 それは、ホルスがタッツにおいて、或いは、アブツ(アムドゥアト)において地を耕しつつ、かつ掘るのに祭臨める大かつ主なる君たちの御前において、その父オシリスの財の相続を確定するの夜においてなり。

 それはアン−ルト−フに在るところの大かつ主なる君たちの御前において、即座に「言」を秤量し、或いは「頭髪」を秤量するの夜においてなり。

 それはホルスがレクチ(?)の両地に在るところの大かつ主なる君たちの御前にて、イシスが彼女の兄弟を看守し、かつそのために憂愁を為すの夜においてなり。それはオシリスをして、すべてその諸敵に勝たしむるの夜においてなり。』

 『ホルスは是らの言葉を四回繰り返し、しかして、その一切の敵は逆さまに落ち、転覆して粉砕せられたり。しかして勝利を得たるオシリス=アウフ−アンクは四度、これらの言葉を繰り返したり、これゆえにすべての諸敵をして、逆さまに落ち、かつ転覆して粉砕するに至らしめよ。

 イシスの子にして、またオシリスの子たるホルスは、代わる代わる数百万の祭礼を施行せり。しかして、その諸敵は、逆さまに落ち、転覆して粉砕せられたり。彼らの住所は東方の断頭台に進み、その首は切り取られたり。彼らの首は滅されたり、彼らの腰は切り取られたり、彼らは墓の谷に住む大滅亡者に渡されたり。しかして、彼らは決してゲブの神の束縛下より出で来ることはあらざるべし。』




 ※ …と、いうわけで、いろいろ注釈も入れてみましたが、アン−ルト−フとか、レクチとか、意味不明な単語がざらざら出てきます。何なんでしょうねぇコレは。ちなみに原文は、ラー→ラア、ホルス→ホオラス、ゲブ→セブ…と、いった、旧カナ表記になっていました。分かるとこだけ直してみましたが。

 ※アウフ-アンクは、この死者の書の持ち主と思われる人物名です。



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