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第百五十四章

ヌウのパピルスより


*英訳(「The Ancient Egyptian BOOK OF THE DEAD」R.O.Faulkner)を参照して、参考和訳の出版された当時「?」とされていた単語などを修正したVerです。



 身体を腐朽せざしむるための章。印璽監督院の監督にして勝利を得たるヌウ曰く、

「今、汝を敬拝し奉る、我が聖なる父オシリスよ。汝が我を活けるがままに保つように。願わくば汝、我が肢体に油塗りたまえ。さすれば我、腐朽せず、我は終焉に至らず、我は不滅の聖なる父、ヘプリの如くなり。然らば来たれ、我が呼吸を強くせよ。ああ、呼吸を統べしもの、どこに彼らの如き者のあらんや。我は墓所の主として、汝によりは永続するだろう。願わくば我をして、汝の父アトゥムとともに、無窮の地に入らしめよ。アトゥムの身体は決して腐敗を見ることはなく、崩壊することなきものなり。

我は汝の憎むことを成さざりし。汝は我が魂<カー>を愛する者の中にありて呼ばれたり。願わくば我をして、死すべきあらゆるものたち、蛇たちの如く穢れし者とせしことなかれ。我は汝に仕えし数多の男神と女神たちよりも汝に良く仕えたる者なり。

霊魂の脱離するや、彼は腐朽を見、その身体の諸々の骨は崩壊し、悪臭を発するに至り、肢体は粉砕し、崩壊して力なき塊となり、無数の虫に覆われ、肉は悪臭を発するに至る。また彼はシュウの前にて滅ぶること、なお全ての男神、女神、すべての羽鳥、すべての魚類、すべての蛇、すべての虫・・・すべての動物、万物のごとくならん。ゆえに彼らは、我を認めるとき、我を畏怖し、我にに拝礼す。すべての人間は、みな死に至る。あらゆる生けるものたち、動物も、鳥も、魚も、蛇も虫も、悉くみな死ぬものである。

虫によりて起これる腐朽をして、我を終焉に至らしめることなかれ。
また彼らをして、その様々なる形にして、我に逆らって来らしむるなかれ。
汝、願わくは屠殺者、すなわち自ら隠れて諸の肢体を殺し、かつこれを腐敗せしむるもの、――多くの死体に腐敗をもたらし、屠殺によりて生活する者――に我を渡すことなかれ。願わくば、我をして生き、かつ使命を全うせしめよ。また願わくば、彼に命ぜらめめことを成さしめよ。願わくば、彼の指に我を渡すなかれ、願わくば、彼をして我を支配せしむるなかれ、何となれば、我は汝の命令の下にあればなり、ああ、神々の主よ。」


「今、汝を敬礼し奉る、我が聖なる父オシリスよ。汝は汝の肢体と共に汝の存在を有す。汝は腐朽せざりき、汝は汚されておらざりき。汝は悪臭を放たざりき、汝は腐敗せざりき、汝は虫と化さざりき。
 我はヘプリの神なり、我は我が肉体を永久に在らしめる。我は腐朽せざるべし、我は腐敗せざるべし、我は壊敗せざるべし、我は自らを虫と化さざるべし。
 しかして我はシュウ神の御前にて弱ることなかれ。在れ、生きよ、強くあれ、(エンドウ豆のごとく)発芽せよ。我は腐敗することなし、我が内臓は破損することなし。

我は我が存在を有すべし、我は我が存在を有すべし、我は生活すべし、我は生活すべし。我は発芽すべし、我は発芽すべし、我は発芽すべし、我は壊敗せざるべし、わが内臓は死滅せざるべし、我は障害を受けざるべし、我が眼は腐朽せざるべし、我が頭蓋は砕けることなからん、我が耳は聾となることなからん、我が首は我が頸より切り取らるることなからん、我が舌は除去せられるることなからん、我が毛髪は切り去らるることなからん、我が眉は剃り去られることなからん。また如何なる不幸の障害も我に来ることなからん。わが肉体は永久に保たれ、地上において永遠に破滅することなからん。」



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