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第百五十一章

ムト−ヘテプのパピルス文書より


 『汝の右の眼はセクテト舟の如く、汝の左眼はアアテト舟の如く、汝の双眉はアンプの如く、汝の指はトトの如く、汝の頭髪はプタハ−セケルの如くし。彼等は汝の為に清き途を作り、又彼等は汝の為にセトの悪鬼を撲滅す。』

 イシス曰く、『噫オシリスよ、我はテムより出現する北風と共に、汝を保護せんとて来れり。我は汝の為に汝の咽喉を強くす。我は汝をして神と偕にあらしめたり、又我は汝の凡ての敵を汝の足下に置けり。』

 ネフティス曰く、『我は我妹オシリス=ムト−ヘテプの背後を巡回す。我は汝を保護せんが為に来れり。而して保護する我が力は永久の背後にあるべし。ラーなる神は永久汝の叫びを聞き給う、噫ハトホルの娘よ、汝は勝利を得しめらる、汝の首(こうべ)は汝より取り去らるることなかるべし、又汝は平和に起こさるべし。』

 一人の神曰く、『何ものにせよ、若し汝を束縛せんとて来ることあらば、我は彼をして斯くなさしめるべし。何ものにもせよ、若し汝に矢玉を投ぜんとして来ることあらば、我は彼をして斯くなさしめるべし。されど我は汝を束縛すべく、又我は汝に矢玉を投ずべし、而して我は汝を保護しつつあり、噫勝利を得たるムト−ヘテプよ。』

 テト曰く、『噫汝疾く来る者、我は我踵を反す、噫ケプ−ラよ、而して我は汝の隠れたる場所を照らす。我は屠殺も追ひ返すの日にテトの背後に立つ、而して我はオシリスの前に汝を保護しつつあり、噫勝利を得たるムト−ヘテプよ。』

 焔曰く、『我は砂を以って隠れたるを囲み、又其れを攻撃するものを撃退す。我は葬式の山を和らげ、我は其の上に光を投ず。我は途を横切り、而して我は勝利を得たるムト−ヘテプを保護す。』

 アヌビス即ち聖なる広間の傍にありて其の山の上に住する、タ−チェセルトの主曰く、『我は勝利を得たるオシリス=ムト−ヘテプを保護せんが為に来れり。』

 ムト−ヘテプの活ける霊魂曰く、『ラアをして天に於いて敬拝せらしめられよ、又彼が西空に没する時に、敬拝せられしめよ。』

 オシリスの前に勝利を得たるムト−ヘテプの活ける霊魂と完全のクウ曰く、『ラアが地平線に昇るときには、敬拝彼にあれよ。』

 ムト−ヘテプの家の貴女曰く、『シャブチ像よ、我若し罰を受くることあらん乎、或いは下界に於いて、我に為すべき事業の配当せらるることあらん乎、―――視よ反対して破壊されしめよ―――人間が其の順番に於いて為す事、例せば田野に種蒔く事、水路に水を満たす事、又西の砂を東に将来する事等のある場合に、我若し汝を呼ばわれば、噫願わくは汝、其の所に現在せよ。』

 メスウト曰く、『我は汝の娘なり、噫ムト−ヘテプよ、而して我は汝を保護せんとて来れり。我は汝の家をして発芽せしめ、又堅く成立せしむ、是はプタハの命じたる所に随ふなり、又ラーの命じたる所に随ふなり。』

 ハピ曰く、『我は汝を保護せんが為に来れり、噫ムト−ヘテプよ、我は汝の為に汝の首と汝の肢体とを包帯し、我は汝の為に汝の敵を汝の下に撃ち倒し、又我は永久汝の首を汝に輿ふ。』

 ドゥアムテフ曰く、『我は汝を愛する汝の娘なり、噫永久に勝利を得たるムト−ヘテプよ。噫我が父オシリスよ、我は来たり、而して我は汝に悪を行ひし者に復讐せり、而して我は其の者を汝の足下に置けり。』

 ケベフセヌフ曰く、『我はケベフセヌフなり、而して我はムト−ヘテプを保護せんが為に来れり。我は汝の為に汝の骨々を蒐集して全体となり、我は汝の肢体を汝の為に集めたり、我は汝の心臓を将来せり、而して我は其れを汝の身体中の其座位に置けり、而して我は汝の家を後に発芽せしむ。』



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