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セラピス(サラピス) Serapis

古代名:なし/ギリシア名:セラピス/別称・別綴り:サラピス
性別:男性


――――生と死のはざまなりし融合神

主な称号


主な信仰セラピス
エジプト王国時代の末期、ギリシャ人による統治(プトレマイオス朝)の時代の末期に、政府の現地融和政策として作り出された神。つまり政治的な理由で誕生した人造神である。
当時のアレキサンドリリアはエジプト人とギリシア人が混在し、他にユダヤ人など外来の民族も多数存在する国際都市であった。そんな中、「みんなの崇める神様を一つにまとめちゃえばケンカにならないよね!!!」という感じで生み出された。この神に反感を抱く人は「頭に桶を載せた神」とバカにしていたようだ。

原型は、メンフィスで信仰された「オソラピス(Osorapis)」という神だとされる。オソラピスはエジプト語では「ウサル・ハピ」といい、オシリス神とハピを合体させたものである。ハピはナイルの神ハピではなく、メンフィスの主神であったプタハ神の聖牛アピスのこと。
セラピスとは、このオソラピスと、ギリシャの最高神であるゼウスを合体させた神である。

オシリスやプタハが冥界神としての役割ももっていたため、セラピス神はギリシャの冥界神ハデスの役割も一部融合していた。信仰の中心地はプトレマイオス朝の首都であるアレクサンドリアであり、一時期は土着民・外来民ともにこの神を信仰していたという。
しかし、妻として設定されたイシス女神への信仰のほうが勝り、エジプトがローマ属州となったあとは廃れていくことになる。


●セラペウム
聖牛アピスも融合させていたため、のちにアピスの墓所はこの神の名前をつけて「セラペウム」と呼ばれるようになった。

●属性まとめ

エジプト神から→(オシリス+プタハ+ソカリス=冥界三神セット)+ミン(豊穣神)+アピス(冥界神の属神、聖なる牛)
ギリシャ神から→ゼウス(最高神)+ハデス(冥界神)+アスクレピオス(医神)

これらをワンセットにした「冥界神」「豊穣神」「医学神」であり「最高神」という属性持ちがセラピス。究極最終合体みたいなノリ。(でもイシスに負ける)


神話
オシリスの家族である、妻イシス、息子ホルスという家族関係を引き継いでおり、基本的な神話はエジプトのものである。ギリシャとエジプトの神の融合といいつつどちらかというとエジプト寄り。ある意味、人為的に「全知全能の神」に近いものを作り出そうとした試みとも言える。

また、この神がアレキサンドリアで主神として祀られるようになった経緯についてはタキトゥスが「エジプトの神官たちから伝聞した」として以下のような話を残している。
「プトレマイオス1世の夢の中に美しい若者が現れ、ポントスより自分の神像を持ち帰れば王国は繁栄するであろうと告げて炎に包まれながら天に昇っていった。プトレマイオスはポントスのシノペにあるゼウス神殿を突き止めて像を持ち帰った。」
プルタルコスも同じような話を伝えている。プルタルコスではシノペから持ち帰られたのはプルートーの像であったとされている。

初期のキリスト教の図像に与えた影響についても考察されており、アレキサンドリアにいたユダヤ人がキリストの画像にりっぱなひげを付けくわえるようになったのは、この神の威厳に対抗するためでは?という説もある。


聖域
アレキサンドリア

DATA

・所有色―
・所有元素―
・参加ユニット―
・同一化―
・神聖動物―
・装備品―


◎補足トリビア◎

キリスト教徒が勃興してくる時代のアレキサンドリアを描いた映画「アレクサンドリア」の中では、キリスト教徒たちに「頭の上にバケツを載せた神」とバカにされたうえに神殿をぶっ壊されている。うんまあ確かに頭のアレ(カラトス)はダサいなって思いますけどね…

◎おまけ◎

今知られている「イエス・キリスト」のイメージは実はエジプト神セラピスが元かもしれない


【Index】