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セクメト Sekhmet

古代名:セヘメト/ギリシア名;セクメト/別称・別綴り:
性別:女性


――――最強の破壊女神

主な称号
強きもの、燃え上がるもの、ラーの眸、赤い亜麻布の女主人

主な信仰大英博物館のやつ
プタハ神の妻として、メンフィスの三柱神の一を成す女神。メスライオンの頭部を持つ女性の姿で表されるのが一般的で、名前は「強力な女性」を意味する。ラー神の右目より生み出された、エジプト神話最強の破壊女神。なんたって人類を抹殺しようとして神々さえも震え上がらせたほどのお方。エジプトの砂漠が赤いのは、そのときセクメトに殺された多数の人間に血に染まったから、という説もある。

>>詳しいエピソードは、エジプト神話ストーリーを参照。

頭上に頂く丸いものは太陽。灼熱の太陽を体現し、常に昼の世界に存在するセクメトは、死の世界、闇、夜といった世界に属する夫プタハの真逆の属性を持っている。

●死の女神として

エジプトで死神といえばアヌビスと勘違いされていることが多いが、実は、死神役はこのお方、セクメト女神である。セクメトは、伝染病などを統べ、「火のような息」=人間を殺してしまう病の風を吐く女神とされた。そのため、この荒ぶる女神を鎮められるセクメトの神官たちは、伝染病を鎮める特殊な医師、呪術師でもあった。医療パピルスにおいては、不治の病は「セクメト神官たちにも治せないもの」として分類されている。

●戦いの女神として

獅子であり、戦いの女神でもあるセクメトは、女性でありながらファラオの力強さの比喩として使われることがある。たとえばセンウセルト3世をたたえる賛歌では「セクメトのなすが如きに矢を射る者」「かれはその国境に踏み込みし敵に対するセクメトなり」といった表現が使われている。物理でも状態異常(疫病)でも殺される。逆らってはいけません。

●母なる女神として

荒々しい戦いの女神、死をもたらすものではあるが、現実のメスライオンと同じく、子供たちを慈しむ強くやさしい母としての側面も持ち、その面においてはハトホル女神やバステト女神とも同一視された。新王国時代のテキストでは、「荒ぶるセクメトにビールを飲ませ、寝ている間に猛々しい心を抜き取ると、バステト女神となった」というパターンのものもある。しかしこれはおそらく両方ともネコ科動物だというところからきた後付けの神話である。飼い猫を種として確立させたのはエジプトであると考えられていることから、エジプト人が、飼い慣らす前の猫の荒っぽさを記憶していたことによるのかもしれない。
母なる女神として、ハトホル女神とも関連が深い。また、その名自体が「母」という意味でもあるテーベの守護神ムト女神ともよく関連づけられた。

●家庭人、メンフィスの守護神

荒っぽい死の女神ではあるものの、彼女はいったん家庭に入ると浮気をすることもなく、息子を得て大人しく暮らしていたようである。夫はエジプト史の初期から信仰された、メンフィスの守護神である大神のひとりプタハ。「良き妻」の側面も持つのである。普段は愛想のよいバステトな嫁が、キレると恐ろしいセクメトに変貌する…、古代エジプト人の家庭事情が神話の中にも透けて見えるような気がするがそのへんは >>そっとしておこう<<


下図は、セクメトとプタハ神が仲間たちと一緒に素敵な胸飾り。(この神様ユニット戦闘力めっちゃ高そうだな…。)
みんなでとりかこむよ!



神話
・日本語に訳された神話で、セクメトが「燃え立つ炎のネセレト」と呼ばれることがある。これはギリシア時代に「セクメト」の意味が「ネセレト」(炎)と解されたことに由来する。

・砂漠の熱風は「セクメトの息」と呼ばれた。また、伝染病や疾病は「セクメトの使者」だった。

・セクメトは恐ろしい死の運び手だったが、逆に、その力を「守る」ことに向けたときは強力な守護者となる。猛る狩猟者である雌ライオンと、母性に溢れた母猫の二重の顔を持つ女神とされていた。そのため、母性の女神たちとの混合ユニット「セクメト=ムト」や「セクメト=ハトホル」などが存在する。デルタ西部のコム・エル=ヒスンに築かれた神殿は、セクメトとハトホルのためにささげられたもの。

・太陽神ラーに反逆してヌビアに逃亡したという神話がある。連れ戻したのは、トト神かオヌリス神ということになっている場合が多い。

聖域
主にメンフィス

DATA

・所有色―黄、赤
・所有元素―火
・参加ユニット―メンフィス三柱神<プタハ、セクメト、ネフェルテム>
・同一化―テフヌト、バステトなど
・神聖動物―雌ライオン
・装備品―下エジプトの象徴、パピルス杖。服装は称号のとおり真っ赤なロングドレスであることが多い。

◎補足トリビア◎

セクメト女神のものではないが、ライオンの顔は、しばしば神殿の屋根の排水口に使われた。屋根を伝った水が、ライオンの口からどばーっと出てくる仕組みである。最も保存のいい例は、デンデラのハトホル神殿に使われている。
エジプトに、「降雨を想定した排水システムがあった」ことは、ちょっとオドロキ。

ちなみに、かなり昔の「世界ふしぎ発見」で、「エジプトで、噴水と結び付けられた動物はなんでしょう?!」⇒「答えはライオン」なんていう問題があったが、噴水じゃなくて排水溝だし! 「エジプト一般」ではなく一部の神殿だし!>ツッコミ


◎補足トリビアその2◎

神話エピソードの中で、人類を抹殺しようとしたセクメト女神をとめるためにトト神らが一計を案じて赤く染めたビールを飲ませて酔わせるというものがあるが、その際にセクメト女神に飲ませたビールはなんと7000樽であったという。大トラどころではない。いやトラじゃなくてライオンだけど。人間のどんな酒豪も敵いません・・・。

どうでもいいネタ>>女神セクメトと赤い酒 赤いビールおいしいです。



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