大神殿のナイショ話

裏設定・ティトエスの過去



 ティトエスなんか、どこのエジプト神話サイト行っても出て来ないよねぇ…。
 と、いうか、コイツを神名簿に載せる辺り、私も相当個人的だよなぁ。などと思いつつ、載せてしまうあたり個人的。
 でもティトエスって、意外と重要な神なのよ? スフィンクス伝播に関与してる神様だし、しかも、実際にスフィンクスから派生した神なので、その属性を多分に引き継いでいる。

 ティトエスの役目は、

 1.スフィンクスと同じく、門番。
 2.生と死の中間である眠りの時間は無防備で危険なので、寝ている人間を守る。
 3.運命を司る神、特に正義を遂行する神として、悪人に天誅をくらわせる。

 …と、大きく分けて3つ。
 何だかいかにもカタブツそうな役割だが、スフィンクスは冗談ヌキに石だからしょうがない。

 彼の交友関係は、わりと狭い。
 ほかの神様たちと兄弟姉妹・夫婦などのかんけいを結ぶのがエジプト神の常なのに、そういった交わりはほとんどない。
 ただし、信仰の発祥地がサイスなので、サイスの守り手である女神ネイト様とは、かろうじてつながりがあるようだ。ホームステイ先の奥さんってとこですか。そりゃ交流がなきゃダメでしょう。
 さらに、スフィンクスは大抵、獅子の形をしていることから、少し上流のメンフィスの獅子の女神、セクメトと、少し下流の猫の女神、バステトとも知り合い。彼女たちの配下の下級神や精霊たちとも知り合い。
 女ばっかし(笑)。

 …と、まあ、こんな風にカタブツで友達も少ないうえ、女にはモテるが男友達はいない、とかいう、何だか嫌われやすそうな性格のうえ、神としては新参者で、せいぜいスフィンクスの一部くらいにしか思われていないティトエス。
 本当に信仰されてたのか、なんだってこんなマイナーな神が。と、言いたいところだが、実は、知られざる伝承がある。

 プリニウスマネトーの伝えるところによると、ティトエスとは、伝説の迷宮の主で、13番目の神王なんだそうだ。

 何のことか分からないと思うので、説明しよう。
 マネトーというのは、有名な王名表を書いた、2千年ほど前のエジプト人学者の名前だ。考古学も、このマネトーが記録した王朝の興亡や王の代替わり、名前の記録をもとにして始まっているくらい、重要視されている。(もちろん、すべてが正しいわけではないが。)
 エジプトの王名表というのは、歴史を記録したものでありながら、「神々の時代」から始まっているが、これは別に驚くことではない。
 日本でも天皇家の祖先は神様だし、王家というのは、やはり、神の時代から続かなくては格が上がらないものなのだろうか。

 エジプト神話でも、そのような基本原則にたがわず、超古代には「神の代」があったことになっており、人間の初代王より以前に地上を治めていた神々が、全部で12人いたという。
 12人の中には、ラーやシュウやゲブ、トトにプタハといった、有名どころの神々が列挙されている。まさにオールスター勢ぞろい状態。この神話が作られた当時、有力だった神々を全部あつめました、というカンジになっている。

 この、12人の「神王」のいちばん最後、「神の時代」と、「人の時代」のはざまに当たる、13人目の幻の王が、ティトエスだった…、と、いうのが、「13番目の王伝説」だ。

 プリニウスの言う「迷宮の主」というのは、何を指すのかはよく分からないが、エジプトに迷宮があったという伝説は幾つかあるようなので、そのうちのどれかがティトエスの建造したものだということになっていたのかもしれない。
 実際に、「迷宮」と呼ばれていたピラミッドもある。

 伝説の迷宮の主で、13番目の神王。
 なんとも壮大な話である。この話を書いた2人とも遥か昔の人間で、彼らが信じたということは、それなりの根拠があったのだろうが、私には調べようが無い。
 現実は伝説とは違い、ティトエスの発祥はそう古いものではないが、このティトエスを巡る伝説が心引かれるものである以上、無視するわけには、いかないだろう。

 何せ、このサイトは「面白ければ全て良し」なんで(笑)。
 私の無駄知識は、すべて、自らの妄想に信憑性と説得力を与える言い訳のために存在する!(言い切り)

 そんな私は考えた。
 スフィンクスから派生したっていうより、ティトエスは、スフィンクスから分離した神様だ。ってことは、スフィンクスの中に眠ってたとかそういうノリではないだろうか。否、「封印」とか書くと、マニアな人はもうバッチリひっかってくれるに違いない。

 しかも神と人間の時代の境目だし。なぜ神々が人間に統治権をゆずったのか、あたりの話もからんでくるかもしれない。きっと何か悪いことでもしたんだろう。
 悪いこと…迷宮…。たとえば、迷宮の奥に太陽神を閉じ込めるとか、どうだろう?(クノッソス宮殿+天の岩戸)
 そして世界は闇に包まれる…。
 いかにもありそうな神話である。だいたいからして、迷宮とか建造したがる王ってどっかヒネくれてるからな。性格悪い王様だったのかも。

 スフィンクスには創造の呪文がかけられていて、王が命じると生ける像となって王のために働く、という伝説がある。
 創造の呪文は古代エジプト語で「フゥ」と呼ばれ、最上級の神しか使えない。たとえば、トト神などは、最高位の魔法の神なので、創造の呪文はお手のものだ。
 ”トトさんがティトエスをスフィンクスの中に封印しました。”
 とか、いい話が出来そうなんですよ。

 神様ってのは、悪いことしても、むやみやたらと殺せませんからね。(セトさんもピンピンしてるし。)


 でも、こんな裏設定を考えても、結局のところ「プリニウスって誰ー?」くらいの反応しか返って来ないであろう昨今の世界史レベルでは、あまり意味が無いのであった…。
 (いいんだ、自分が楽しければ。)



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