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「イシス」

潮出版(社) 山岸涼子


駅で発見した瞬間、失敗のニオイを嗅ぎ付けて衝動買い。タイトル帯には「エジプト神話の精髄」なんて書かれてますが、はてさて。

古代エジプトのことはよく調べていて、好感が持てますし、ストーリー自体も悪くは無いです。少なくとも、不快感を覚えるものではない。
ただ、ストーリーの内容と作画が合っていない、という点において、マンガとしては失敗している。そういう作品です。やたら脚の細い、少女マンガ画風に拒絶感を持たない人むけ。(たぶん万人むけの画風ではない)

本は文庫サイズで、表題の「イシス」の他に、エジプトとは全く関係ない「雨の訪問者」、ハトシェプスト女王を元ネタにした「ハトシェプスト 1」「2」が収録されています。

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「イシス」のストーリーは、若き王オシリスが即位するところから始まります。
即位の日、オシリスは自分に、双子の弟と妹たちがいることを知ります。しかし、弟セトは強気で傲慢、王に頭など下げられるかという性格。妹のうちの一人ネフティスは美人でしたが、もう一人の妹イシスは、生まれつきのアルビノで、白髪、赤い目を持つ不吉な容姿の持ち主でした。

オシリスは美人の妹ネフティスを妻にと望みますが、父ゲブが定めた妻は、怪しい術を使い死んだ虫をも生き返らせる、上の妹、イシス。理由は、イシスは、王位継承権の順位が高い王女だったため。
イシスの知恵と容姿を恐れるオシリスは、密かにネフティスと激しい浮気を続けますが、それがセトにばれ、セトは怒り狂って兄オシリスをバラバラにして殺害してしまいます。

それを知ったイシスは、自ら持って生まれた能力を使い、バラバラにされ腐敗したオシリスの体を蘇らせ、子供を残して貰おうとします。自分がオシリスに嫌われていることを知るイシスは、ネフティスをむりやり、オシリスと番わせ、子供をつくらせます。(ネフティスはそのせいで発狂してしまいました)
そうして生まれたのが、ホルス。セトの追っ手を恐れたイシスは、側近たちとともにエジプトから脱出し、ゆくえをくらまします。

10年後、ホルスはどういうわけだかフェニキアの王子としてエジプトに戻ってきました。美少年好きのセトの寝室に夜伽として入り込み、セトを毒殺しますが、自らも片目を負傷。
息子(自分で産んでないけど)を救おうとしたイシスも命を落としてしまいます。

セト亡き後、ホルスは、イシスの魔力を受け継ぐ王として、王の座につくのでした。

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こんな最低野郎なオシリス、久しぶりに見ました(笑)
健気なイシスに至っては、初めてかもしれません。いやはやいやはや。
髪型とか、衣装とか、「おぃこんなエジプトマンガはじめて見たぞ」な作風です。セトっちのおさげとか、スベってるのかどうなんだか際どいところが笑えます。

さて問題点ですが、わりと中心に近いところに登場する「醜女」や、王家に仕える人々、背景に登場する「平民」など、脇役が、悉く不自然です。少女漫画家さんらしく、美男美女を描いていただくとお上手なのですが…。
オシリスの後見人・トト、セトの愛人(男)・ハピや、イシスの乳母・ヘケトなど、うまく使えばストーリーの盛り上げに一役買いそうなキャラの存在感が薄すぎるのも難点。

展開が早すぎるというのも…。雑誌掲載のページ数の都合なのか。何より一番の問題点は、絵の中で、描くべきところは描いていないのに、余計な書き込みが多いということです。
場面から場面への移り変わりは黒いコマひとつですっ飛ばされるため、何が起きているのか全く分からない。
シリアスなシーンのはずなのに、コマの端っこのほうに、チョコっと茶化すような一言を書いているために、かなり興ざめ。
セトとネフティスのベッドシーンに「くんず ほぐれつ」とか書いちゃダメでしょう作者さん。^^;
オシリスと浮気した直後のネフティスに「アンタ節操は?」なんていうツッコミも、読者が心の中でコソっとするものであって、作者が率先して書くものではないですよ…

 それにしても、この方は、なんでこんなにアブノーマルなベッドシーンが好きなんでしょうか。

イシスが死んだオシリスを蘇らせ、子を残させようとするシーンなんか、あまりに正直に書きすぎてヤバいことになってますよ。「ゆさゆさ」って^^; イシスがネフティス脱がすわ、死体のオシリっさんがネフティスの乳を揉もうとするわ、揺らされてるわ、目がイッちゃってるわ、えらいことに…。


続く「ハトシェプスト」でも、アブノーマルなベッドシーンが沢山登場。
始まりからして、いきなり青カンですし、男装の麗人・ハトシェプストと、知恵遅れの金髪美人・セシェンのヤバめの関係あるいは姉妹のレズっぽい関係など…ストーリー上あまり必要とも思えない描写が多いのはやはり好きだからでしょうか。

「ハトシェプスト 2」では、幼少のハトシェプストが異国の巨乳美人に接吻されたり押し倒されたりするモロなレズシーンがあり、さらに激しいことになっています。

巻末の解説を読む限り、この方は描きたいものを描く人とのことで、うーんちょっとどうなんだろう。とか思いますが、作風はしっかりしているので読んで失敗した気分にはなりません。
ただ、やはり最初に書いた「中心人物以外の影が薄すぎる」という点と、「セリフ以外の余計な書き込みが読んでる上で非常に邪魔」という二点は、どうにかしてくれよと思います^^;


★どうしても一言いいたいツッコミ
セトがオシリスを殺す場面の、オシリスの首が「すぱーん」と飛んでいくコマ(具体的に言うとP66)…ギャグでしょうか…。生首でロケット砲ですよ?

★どうしても二言いいたいツッコミ
なぜクレタ島の怪獣がゴジラなんでしょうか。(オリジナル解釈がどうこうとか言う以前に、スベってると思います)


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