サイトTOP別館TOPコンテンツTOP

「クイーンフェニックス」

講談社漫画文庫(上・下巻) 横山光輝


「魔法使いサリー」や「三国志」を描いた、あの横山先生の幻のエジプト漫画、復刻版です。
復刻版は帯がスゴイ。「愛と神秘のスペクタクル」って…。そういう話だったんか、コレ…。


*****
ストーリーは、こんな感じ。

時は古代エジプト、女王と僧侶カクラテスは、ひそかに禁断の愛に身をゆだね神の怒りを買う。二人の殺害を意図した神は、美しくなりたいと願う、ナイル河のほとりに住む醜い少女に女王とカクラテスの殺害を命じ、成し遂げた暁には、永遠の美と命を授けよう、と言う。
かくて醜い少女は王宮に仕え、人気のないときを狙い女王とカクラテスを刺し殺すが、少女は一目ぼれで僧侶を愛してしまっていた。
永遠の美と命を与えられた少女・バステトは、いつか、僧侶カクラテスが生まれ変わり、美しく生まれ変わった自分を愛してくれることを願いながら、時を待つ…。そして二千年の時が流れ、現代日本…。

加倉風子のペンネームで活躍する写真家、加倉春彦は、遠くエジプトの地から、自分を呼ぶ誰かの存在を感じるようになる。


 昔ながらの王道パターンです。ナイス黄金律。

そして、けっこう面白いです、このマンガ。
まず、女王と僧侶が神の怒りで殺されるところなどが古代エジプトチックでよいと思います。神様が自分で殺すのではなく、間接的に、というのもミソかと。
また、太陽から声がして、「女王と僧侶を殺せ」とか言ってますが、こういう身勝手なことを言いたがる神様は、太陽神ラー様以外には滅多にいないはずなので、ここらの設定もオッケーかと(笑)
しかも、取引条件が、永遠の美と命、ですからねぇ…。
ラー様…身勝手にもほどがすぎます…。

他にも、僧侶カクラテスが高級神官用の豹の毛皮をまとっているところや、アフリカ奥地に古代エジプト文明を継承する隠れ里があるといった設定は、やたらリアルです。

主人公の春彦は、古代の僧侶の生まれ変わり。やっぱ、古代エジプトは生まれ変わりネタを避けて通れないもんでしょうか。
ペンネームの「加倉風子」が、「カクラテス」に、なっているのは言わずもがな。漢字ってベンリですよねえ、読み方が何種類もあって^^;
前世で身勝手にも一目ぼれされ、さらにその後、ザックリ殺されてしまった僧侶の魂は、永遠に生き続ける女からの電波によって、エジプトへエジプトへと引き寄せられていきます。
…しかし、僧侶の魂は、女王の魂とむすばれる運命にあり、今世においても、やはり彼は、前世で愛し合った女王のほうを選びます。(婚約者の鳩子さんが女王の生まれ変わりらしいのですが、こういう名前がついたってことは、前世ではハトシェプストとか、そういう名前だったんでしょうか。)

恋にやぶれ、老化の始まった女王は、炎の中に身を投じてフェニックスのごとく生まれ変わり、…あなたも、再び生まれ変わったときは、わたくしのものになってください、と言い残します…。
うーん…。
それって、次に生まれ変わってもまた…恋のバトルなのでしょうか…。

私としては、主人公に尽くしながら物語半ばで死んでしまう現地の女性スティンに好感度・大なんですけどね。

実際に古代エジプトが出てくるのは冒頭部分だけで、あとは現代が舞台なので、ツッコミポイントは比較的少なく、「古代文明が絡んだ冒険物語」として楽しむことが出来ます。
全体的に…この時代にしてはよく調べているし、ストーリー構成上、ネタの嵌め込み方がうまいので、違和感は感じない。
壁画描くのが面倒だったらしく、よーく見ると適当な絵になっているのも、意外とハマるので(笑)

設定としてもーちょい掘り下げて欲しかった部分は、

・女王の名前がバステトなのに、バステト女神自体が出てこない。愛関係の女神様だから出してみた?
・神から与えられたのは永遠の美と命だけのはずなのに、いつのまにか魔法や予知能力まで身に付けている。
・なんで転生する炎がアヌビスの神像の前に置いてあるのか。(この女王はミイラ作りがお好きなようだし、アヌビスの信徒?)

…と、いうところ。


戻る