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「スコーピオン・キング」


”ハムナプトラから誕生した、新たな謎と伝説!”
…とかいうことで、ハムナプトラの続編らしいです(笑) ハムナプトラ2では、蘇る古代の邪悪な王で、下半身サソリの化け物で、シャウトしつつ襲い掛かってる、世界征服を狙うオッソロしい古代の王なわけですが、それを考えつつ、このスコーピオン・キングを見ると、ちょっとキングが可哀そうになってきます^^;

ここから先は例のご笑覧です。

【STORY】

今から五千年ほど昔といわれる時代。メムノンというハードロッカー風な暴君がおりまして、予言の力を持つ女性を従わせ、その力を持ってオリエント全土を支配せんとしておりました。
北はメソポタミアから南はヌビアまで。追われた部族の人々は、最後の手段として、暗殺の技能に長けたアッカド人の生き残りを雇います。彼の名は孤高の戦士マサイアス…。
マサイアスは、メムノンに勝利をもたらす予言者を倒しに行くのですが、その予言者が女だと知るやフォーリン・ラヴ。また、彼女が実は嫌々メムノンに従っていたと知ると殺すのを止め、傍らにおいてメムノンに挑むことになるのでした。

そして仲間たちの支援のもと、一騎打ちの末、勝利! 暴君メムノンを倒すのを見て、人々はマサイアスを王として祭り上げるのでした。…
…で
どこが古代エジプトなん?(^^;


【歴史的なツッコミどころ】

さてこっからが心の中に思ったことを、スナオに暴露するツッコミ大会だ。
まずは暴君メムノンだが、名前はもちろんギリシア人。というか今から五千年前のギリシアは、そもそも開拓されておらず人も住んでいないので厳密に言うとギリシア人ではない。まず国家がそこに無いし、地方としての名前があったかどうかも謎。

と、いうわけで、冒頭、マサイアスの兄ちゃんが捕まって縛り上げられるシーンについても疑問が残る。
なんだかやたらとゲルマン民族っぽい人々が、「俺たちはミケーネ人を殺した、メソポタミア人も殺した、バビロニア人も殺した。だがアッカド人はまだ殺していない」と盛り上がっているが、そもそもそんな区別があったんだかどうなんだか。
バビロニアという都市があったのは、だいたい今から四〜三千年前。千年の誤差は無視っていいんだろうか?
映画の中に出てくる他の都市名も、かなりアヤシいことになっている…。

マサイアスの属する「アッカド人」が暗殺集団だったかどうだかは分からないし、いきなりメムノンに全滅させられてマサイアスが最後の生き残りってのも、ひでぇ話だ…。
都市の名前に「ソドム」「ゴモラ」なんて名前がつけられていたり、発明もされていないはずの中国産の火薬がメソポタミアに伝来してたり、さらに、まだ建設もされていないはずのポンペイ産の物品が市場で売られていたりして、もう名前なんかはどーでもいい感じ。
この辺り、歴史的な考証は、無駄なんでしょうな、多分。^^;


ところで、アッカドはバビロニアの一部で、文字もおなじ楔形のものを使っている。もしメムノンがギリシア人ではななく、メソポタミア周辺の出身だったらマサイアスと言葉が通じる可能性は高いが、果たしてヌビアの王バルサザールとはどうだったかなっと。
エジプト周辺にある。アマゾネスの国の女王であるらしいイシスとも言葉が通じたかどうか…。

それから、彼らみんな、何かにつけて「神」という単語を口にするんですが、当然、信仰も違うんで、指してる神も違ってるハズです。キャストが英語を喋るために「GOD(単品)」になってますが、ぶっちゃけ言えば古代オリエント周辺は多神教なので複数形にならないとおかしいハズだし、もっと言えば「○○神にかけて」とか「○○神の加護を」と、言うはずですよね。

ま、その点、三枚目役のアーピッドだけは「おれはセット神の神官なんだ! 助けてくれたら五ヶ国語で祝福してやるよー!」と、じつに分かりやすいセリフを叫んでます(笑)
…セット神つぅのは、セト神のことですかね。顔も名前もエジプト人ではないがエジプト人という設定だったんだろうか…。

ちなみにアッカド神話というと、ギルガメッシュ・サーガやらイナンナの冥界くだりやらの辺りです。
もしマサイアスが神々に祈りを捧げるとしたら、相手はアッカド神話のとつてもなくユカイな、自分たちのことでイッパイイッパイな神様たちだと思われます。いやいや、ちょっと笑えます。そして何故だかちょっと納得。


【見所】

アクションに頑張ってます。とにかくガンバッてます。
何せそれがウリの映画なので。
たとえヒロインの予言者があんまり美人じゃなくっても、無駄に露出してても、蛇やアリに無駄にCGI使ってても、セットにいちいち細かいツッコみどころがあっても、兵士の衣装に時代としておかしい装飾がされていても、
青銅器時代のはずなのに鉄と思しき武器が使われていても、いないはずのラクダがエジプトの砂漠を歩いていても、そもそもマサイアスが王となるゴモラの町は一体どこにあるんだかが分からなくても、エジプトらしいモノが唯一オベリスクだけなんだが、そのオベリスクって五千年前はまだ建設が始まってないんだよとか心の中でも思っちゃっても、

 すべてはアクションで誤魔化せばオーケー!(笑)

戦いのテンポは非常に良いです。
これが五千年前のエジプト初期王朝建国がテーマの映画ではなかったら本当に良かったのに、と思ってしまうくらいの勢いで。


【ダメだし】

「ほとんど資料のない古代」を描くのだからムリがあるのは分かるけど、手近な資料を寄せ集めて作るのはどうだろう。
今から五千年前です。エジプトは第一王朝期にすら入っていない、黎明期です。もちろんピラミッドはありません。」…と、いう時代を、果たして一般の視聴者は想像できるだろうか。オレだってムリだ(笑

そんな、イメージの雛形の「全く無い」時代を描くのだから、それなりに強烈で、説得力のある世界観を作り出さなければ、この映画は意味がない。
そもそも「スコーピオン・キング」とは何ゆえについた名前なのか。(察するに、サソリの毒に浸した矢に射られて生き残ったからですかね) …さらに根本的なこととして、彼はどこの国の王になったのか。
ストーリーを見てただけでは、マサイアスがどこの国の出身で、誰のために戦い、どの国を手に入れたのか、分からない。これは決定的にイタい。衣装もセットも、色んな時代、色んな国のイメージをバラバラにつなぎ合わせたものなので、まず地方色は皆無に等しく、地域と時代が伝わってこない。

結局、記憶に残るのは、「主人公が華々しく戦って悪者を倒し、最後に王になりました。以上」という、ひじょーにシンプルでつまらん内容になってしまうのだ。

ぶっちゃけ、一番ダメな点は、冒頭にも書いたとおりどこがエジプトなんだか全然わからんということだな…。
アクションテンポはよろしいのだが。…もうちょっと世界観を描きこんで欲しかった。


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