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神統時代
Legendary period


パレルモ・ストーンやトリノ王名表で知られる。神々が地上を統治した時代。
日本で言う高天原時代とでも言うべきもので、アマテラスならぬ太陽神ラーが王として君臨していたりする。歴代王たちが「神々の子孫」であり神の系譜に連なるという思想の延長線上に存在する時代である。



<<9柱の神々による統治時代>>
9は古代エジプトにおいて特別な数字であったことから、合わせたものと思われる。
以下が地上を統治したといわれる神々の順番。


プタハ
メンフィスの主神、工芸や鍛冶など職人技の守護神。
この神が創世神の地位にあることから、もともとの「神統時代」という概念がメンフィス発祥だったか、太陽神たちの権威が落ち、メンフィスが最大聖域になった時代に作られた伝統であると推測できる。

ちなみにプタハ神は、王朝期に入る以前から信仰されていたことが確実なとても古い神であり、つねにミイラ姿で描かれることから、実際に実在した古代の王が神格化されたという説も有力である。もしその仮説が正しいのであれば、職人技の神であることから、優れた技術をもたらした外来人だったか、発明家だったのかもしれない。

ラー

太陽神。太陽を神格化した存在で、古代エジプト語では太陽のことを「ラー」と呼ぶ。
最大聖域はメンフィスの対岸にあるヘリオポリス。ピラミッドづくりが盛んだった4-5王朝時代に信仰の頂点を迎えた。

シュウ

大気の神。天と地を引き離すもの。マネトーの王名表には登場するが、トリノ王名表では飛ばされている。

ゲブ

大地の神。天の女神ヌトを妻とし、大気の神シュウとテフネトを生んだ。

オシリス

冥界神。冥界は大地の底にあるというつながりで、大地のもたらす恵み、農耕・豊穣の守護神としても知られる。
ゲブとヌトの長男で、セト、イシス、ネフティスとは兄弟。
オシリスもプタハ同様に常に死者の姿で描かれ、実在の王が死後に神格化されたのではないかという説がある。

セト

オシリスの弟で、兄を殺して王位についたとされる。
オシリス殺害と、オシリスの息子ホルスによる王位奪還の神話はエジプト神話の中で最も有名なエピソードだろう。

ホルス

オシリスの息子。叔父セトを倒し王位についた。
もともとはオシリス神話とは関係なく、太陽神ラーへの崇拝が始まる以前の時代から王の化身、王の象徴として信仰されていた鷹の姿をした神である。オシリス神話に組み込まれる以前は「太陽神の息子」として知られていた。

トト

知恵の神。ヘルモポリス・マグナの主神でもある。
ヒエログリフを考案したのはこの神ということになっており、楽器や算術、暦などの発明者とされることもある。

マアト

真実・秩序の女神。女性がファラオについていいのか? という疑問がわくだろうが、最終的に「真実・秩序が世界を統治した(あるべき姿になった)」という哲学思想から来ている順番だと思えば不思議はない。


<<神王による統治時代>>
具体的な名称は示されていないが、以下の様な時代が続く。

・半神たちによる統治の時代
・メンフィス出身の王たちによる統治
・ティスの王たちによる統治/またはホルスの息子たちによる統治

第二王朝の王たちは実際にティス出身であることが知られており、後世に書かれたこれらの「神話時代」の歴史には何らかの史実が元ネタになっている可能性もある。


<<人間王の時代>>
パレルモ・ストーンには、このあとさらに人間王たちの統治時代が記されているが、歴史的に実在したという証拠は見つかっていない。
実在したことが知られている最古の王は「スコルピオン」で、上エジプト地域からエジプト統一を開始している。同時代の下エジプト地域の王については判明していない点が多い。

【パレルモ・ストーンでのみ知られる下エジプトの王名】

1 セカ Seka
2 カーユ Khayu
3 ティウ Tiu
4 チェシュ Thesh
5 ネヘブ Neheb
6 ウェネジュ Wenegbu
7 メク Mekh
8 <破損のため解読されていない>



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